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開業の手引き物件探し

物件探し

宿のコンセプトや事業計画書と実物件の乖離を防ぐためには、事前の商圏調査をしっかりと行いましょう。
理想とする優良物件をいち早く紹介して貰うためには、事業計画書作成前の早い段階から不動産業者に足を運び、良好な関係や人脈を作ることが、成功のための第一歩となります。

本ページでは、立地別の特徴や居抜き物件についても記載してます。
それぞれに良し悪しがありますので、よくお考えのうえ物件探しの判断材料としてご活用ください。

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開業スケジュール

前準備物件申し込みから引き渡し
約1〜2か月
内装・外装工事期間
約2、3週間〜2か月
工事引き渡し後
約1週間
オープン後
不動産物件探し・内見物件申し込み / 契約締結物件引き渡し※家賃発生
※大方の目安です。大型物件や一からの建設の場合は該当しません。

物件探しのポイント

コンセプトに合っているか

コンセプトを元に、収容人数、物件の大きさ、エリアなどを決めます。
取得費や家賃が高すぎると経営を圧迫しますので、費用を掛け過ぎないことも大切です。

集客力

利便性の悪い立地では集客に苦労します。
利便性の良さや、近くに魅力的な観光地があることは大きな強みとなります。
ただし、競合が多すぎると宿泊客の取り合いにもなるため差別化が重要になります。

リフォームの可不可

中古物件を宿泊所にする場合、リフォームが可能かどうかを確認しておく必要があります。
古民家の場合は、リフォームに耐えられるかも調べなければならないので、専門家に依頼するのが良いでしょう。

注意点

営業できない場所がある

法律で、民泊の運営可能地域が決められています。
自治体の条例や都市計画上の用途地域、建築基準法(面積や階数)などで営業ができない場所があるので注意してください。
事前に自治体で確認しておくと良いでしょう。

※新法民泊の場合、最も制限が少ないです。

宿泊施設として使用可能な物件かどうか

賃貸物件の場合、オーナーからの承諾が必要です。
後々のトラブル回避のために、契約書には「ゲストハウス(民泊)として利用する」ことがわかる一文を記載しておきましょう。
リフォームに関してもオーナーとトラブルになりやすいため、事前に使用許諾などを細かく決めておいたほうがよいでしょう。
閑散時期にレンタルスペースなどとして時間貸しとしての利用の承諾を得ておくと、多角的な経営ができます。

ハザードマップの確認

近年、地震・火山の噴火・豪雨などによる大規模な自然災害が多発しています。土砂崩れ、浸水などハザードマップを確認し、災害に備える必要があります。
被災想定区域や避難場所・避難経路などの防災関係施設の位置を確認しておきましょう。

立地調査

コンセプトに基づいて、エリアを決めます。
近隣の観光スポット、利便性、市場のニーズ、競合など多角的に考えることが必要です。

家賃は投資金額が大きく、変更が効きません。安易に安さで選んで集客に失敗したり、好立地の高額な物件を選んで経営を圧迫したりすることがないよう、慎重に選んでください。

立地調査

立地調査は、その物件の「集客力」を調べるために行います。立地は、事業の成功を左右する重要な部分ですので、必ず調査を行うようにしましょう。

集客力を計るためには、「通行量」を調べることですが、肝心なのは、「ターゲット層」の割合です。
物件のある建物の前を実際に通行している人数や、どういった店に入っているか、どのような看板を見ているかなどの行動調査をします。
昼間と夜間、平日・休日など時間帯や曜日による通行量の違いや、通っている年齢層や性別天候による変化なども調べるようにしてください。
また、近隣の競合宿の集客営業時間や価格設定なども調べておくと良いでしょう。
立地調査は何度も通うことで、徹底的にリサーチすることができます。

物件は、集客し易い場所か看板は目につきやすく目立つ場所に設置可能かといこうこともふまえて選んでください。

商圏調査については
【2.事業計画】市場調査をご覧ください。

競合店

ライバルとなるのは、ゲストハウスや民宿だけではありません。
同じ商圏であれば、ホテルや、旅館であっても競合店となります

立地別の特徴

駅周辺

メリット

  • 旅行客やビジネス客両方の利用客が見込める
  • 高稼働率が見込める
  • 視認性が高く、宣伝効果も高まる
  • ターゲット層が広い

デメリット

  • 物件取得費や家賃が高額
  • 競合が多い
  • 人件費も高くなりがち

ポイント

  • 事前の競合宿のリサーチと差別化
  • ターゲット層の行動調査

など

観光地周辺

メリット

  • 都市部に比べて賃料が安い
  • 近隣の物販店などと協力して施策を打つことができる

デメリット

  • 利便性が悪ければ集客が難しい
  • 繁忙期と閑散期の差が激しい

ポイント

  • 近くに”魅力的な”観光スポット・レジャー施設・イベント会場がある
  • 空港や主要駅からの交通アクセスがよい
  • 最寄駅からの交通アクセス・観光地への交通アクセスがよい
  • 繁華街や商業施設が近い
  • 駅から遠い場合は送迎をする、近くに駐車場がある
  • 景色が良い

など

繁華街

特徴

  • 電車、バスなどの公共交通機関が充実している
  • スーパーやデパートなど大型の商業施設が集まっている
  • ハイリスク・ハイリターンの立地

メリット

  • 昼夜問わず多くの人が集う
  • 商圏規模が大きい
  • 平日・休日共に集客しやすい
  • ターゲット層が広い
  • 購買人口、昼間人口が多い

デメリット

  • 物件取得費、家賃、保証金が高い
  • 人件費が高くなりがち
  • 人気の立地なため、同業態に限らず、競合が多い

ポイント

  • 事前の競合宿リサーチと差別化
  • インパクトのある見た目とサービス
  • 興味を引く外観
  • 入りやすい外観
    (清潔感、宿前看板に価格を表示、ガラス張りにして宿内の様子がわかるようにするなど)
  • ターゲット層の行動調査

駅前・駅近

特徴

  • 通学通勤での利用者が多い
  • フリー客が取り込める

メリット

  • 人が集まりやすく、集客がしやすい
  • 視認性が高く、宣伝効果も高まる
  • ターゲット層が広い

デメリット

  • 家賃や敷金・補償金などが高くなる
  • 人件費も高くなりがち

ポイント

  • 競合店のリサーチと差別化
  • インパクトのある見た目とサービス
  • 興味を引く外観
  • 入りやすい外観
    (清潔感、宿前看板メニューに価格を表示、ガラス張りにして宿内の様子がわかるようにするなど)
  • ターゲット層の行動調査

物件探しの方法

探し方

物件は、ウェブ検索、不動産会社、民泊運営会社などから探します。気になる物件が見つかったら、物件を取り扱っている会社に出向きましょう。

物件探しの方法

WEBサイト

インターネットを使用し、好きな時間に好きな場所で容易に情報を得ることができます。
民泊専門のポータルサイト、不動産会社のサイトや、空き家バンクなどのサイトで探すことができます。

家賃相場観を把握するためには、まずはWEBサイトなどで多くの物件情報を見ておきましょう。
そうすることで、ある程度相場観を養うことができます。相場観を養うことにより、即決が必要な場合の判断の手助けとなります。

不動産会社

実際の物件探しでは、WEBサイトで探すと同時に希望エリアの不動産会社に直接出向くようにしましょう。
相談をしながら希望する物件を探してもらうことができます。
不動産会社の担当者から、物件探しに有益な情報を得られたり、アドバイスをもらえる可能性もあります。
また、一般公開されていない物件情報を持っていることもあります。そのような情報を得るためには、まめに足を運び関係性を深めることが重要です。

民泊運営会社・民泊運営者

民泊代行会社や、民泊を運営しているオーナーに聞いてみるもの一つの手です。
民泊セミナーを開催していることもあるので、参加してみるのも良いでしょう。

歩いて回る

希望エリアを歩いてみることは、競合宿や利用客の動向のチェックもできます。
そして、テナントを募集している空き物件にも出会える可能性もあります。

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内見

物件探しを始めて、気になる物件がでてきた場合は内見予約をして「内見」をします。気に入った場合は2回目の内見の際に内装工事業者に同行してもらい現地調査をしてもらいます。

内見

内見では、残された設備などを細かくチェックすることが大切です。
一般的に、内装工事よりも費用がかかるのが、インフラの工事です。
契約後に、予定外の出費が増えるということがないよう、以下の点をチェックするようにしておきましょう。

チェック内容

  • 実際の譲渡対象物がどれか(前オーナーの私物が残っている場合もあります)
  • リース品の有無(リース品が残される場合、リース残債を引き継がないといけない可能性があります)
  • 譲渡の対象物厨房設備などが正常に使えるかの動作確認
  • ガスや電気の容量(足りない場合は希望する機器が設置できなかったり、別途工事が必要となります)
  • 排気・排水の立ち上がりの位置(排気・排水の位置によってレイアウトに制約がかかります)

内装工事業者による現地調査(現調)

内見の際には、内装工事業者に同席してもらい現調(現地調査)をし、見積もりを出してもらいましょう。
見積もりを知ることによって、出店コストを把握することができます。
中にはリフォームが不可能な物件もありますので専門業者に依頼するのがベストです。

内装会社からのワンポイントアドバイス

カスタムアート様

物件探しの時には既存設備(電気/ガス/水回りなど)にお気を付け下さい。
物件をお探しの際、家賃・立地・広さ・店内配置を気にされるお客様は多いと思います。
その点を真っ先に確認するのは私たちも同様です。
それに加えて私たちは物件に備わっている既存設備の能力や容量なども必ずチェックします。
意外と既存設備の能力を見落としていたり、ちゃんと把握出来ていないまま物件を借りてしまったりするお客様がいらっしゃいます。
その結果、行いたい事業内容と物件の設備が釣り合わず後々余計な費用や工期がかかってしまうケースは多々ございます。
最悪物件を変えることになってしまったという方も実際にいらっしゃいました。
そのため、物件の設備能力が伴っているか賃貸契約前に必ずご確認下さい。

コンサルタントからのワンポイントアドバイス

DEF様

物件探しのポイントは、ずばり「完璧を求めすぎない」ことです。
東京駅近くで30坪賃料5万円はあり得ないため、自分の中でなにが譲れないかを決めましょう。
駅近や路面店、駐車場の有無、坪家賃の上限、スケルトンか居抜きなどたくさん選択肢がありますが絞りましょう。
また、繁盛店における家賃の売上比率は10%以下です。したがって3日間で家賃分の売上を上げる事ができるのかを考えて物件選びを考えましょう。

購入か賃貸か

物件を借りる場合は以下の内容を必ず確認しておきましょう。

  • ライフラインの状態
  • 内装・外装工事をどの程度おこなってよいか
  • 修繕・修理がどのくらい必要かと、その費用は貸主と借主のどちらが負担するか
  • 解約や更新時の条件

上記の内容は、確認しておかないと後々のトラブルとなりますので注意しましょう。

物件を借りるか購入するか、それぞれのメリット・デメリットを紹介します。

賃貸する場合

賃貸のメリット

  • 購入するより初期投資を抑えることができる
  • 万が一廃業する場合、撤退がしやすい

賃貸のデメリット

  • 宿泊業としては貸し出してもらえないケースが多い
  • リフォームなどでの制限があり自由度が低い

居抜き物件

居抜き物件の場合、改装費や水回り工事が最低限で済むので、初期投資を大幅に抑えることができます。
以前宿泊業をやっていた物件であっても、そのまま許可が取れるとは限りませんので注意が必要です。

購入する場合

購入のメリット

  • 内外装など全てにこだわりを発揮でき、自由度が高い
  • 自身が運営できなくなった場合に、物件を貸し出すことができる

購入のデメリット

  • 初期投資額が大きい
  • 撤退が容易ではない

持ち物件

築年数が古い場合、リフォームに耐えらず建て替えになる場合もありますので専門家に確認してもらいましょう。
※ご自身や親族などの持っている空き家を活用する場合、宿泊業ができる物件か、コンセプトに沿っているかを確認する必要があります。

物件取得費

物件取得費

初回家賃、保証金、仲介手数料など以下のような費用が必要です。
地域や地価にもよるため、開店予定のエリアの相場を確認するようにしてください。

物件取得費の目安

  1. 初月分の賃料
  2. 初月分の管理費
  3. 敷金/保証金: 家賃3~10ヶ月分
  4. 礼金: 家賃0~2か月分
  5. 仲介手数料: 家賃1か月
  6. その他: 造作譲渡代(居抜きの場合)、家賃保証委託料(その他)

※1~5が必要です。6は場合によります。

物件取得費用とは、店舗物件を契約する際に必要な費用のことです。この物件取得費用の内、最も金額が大きいのが、「保証金」です。
敷金と言う場合もありますが、店舗保証金は、月額家賃の3~10ヶ月程度です。
保証金10ヶ月・償却2ヶ月という場合は、解約時に8ヶ月分の保証金が返金されるということです。

その他、不動産屋への仲介手数料、礼金、造作譲渡代(居抜き物件の場合の設備代など)、前家賃などが必要となります。
物件によっては、さらに保証会社への加入が必須というものもあります。この場合は、加入時に家賃の0.5~1ヶ月分を保証会社に支払います。

家賃

賃貸物件を借りる場合、毎月の家賃は大きなコストになります。家賃を支払えずに閉業する宿泊施設も多いので、特に宿泊施設の立地は慎重に選ぶべきでしょう。

重要なポイントは、長期間家賃を払っても負担にならないかどうかです。
家賃は固定費であり、経営が悪化しても変動しません。1カ月だけの家賃で計算するのではなく、1年を通した固定費として管理する必要があります。

開業スケジュールを検討する際に予想する売上金は、最も高い時、平均、下がった時と3つのパターンを算出し、 1年間を通してしっかりスケジュールを練りましょう。

簡単な売上計画を立ててから、毎月の採算シミュレーションをした上で、適正な家賃を見極めることが大切です。

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