オープン
備品や食材の搬入を行い、スタッフの研修ができたらいよいよ開業となります。
オープンからが本番です。
本ページでは、大きく分けて2種類あるオープンの仕方、オープン日、オープン後について説明していきます。
開業スケジュール
前準備 | 物件申し込みから引き渡し 約1〜2か月 | 内装・外装工事期間 約2、3週間〜2か月 | 工事引き渡し後 約1週間 | オープン後 | |
オープン | プレオープン | オープン |
オープン方法
店舗オープンの方法としては、2パターンがあります。
1つめは、プレオープンをし、事前に広告宣伝を多めに打ち出しオープニングキャンペーン等を実施して派手にオープンする方法。
2つめは、最初は広告は控えめにし、ひっそりとオープンするサイレントオープンです。
それぞれのオープン方法のメリット・デメリットなどをご紹介します。
お店によって合っている方法は異なると思います。
オープンの仕方は今後を左右しますので、ご自身の店舗の状況・特徴を鑑みて、十分にお考えになって選択してください。
プレオープンとレセプション
プレオープンとは
プレオープンとは、いわば“実践練習”です。
目的
1.トレーニングを兼ねた試運転
プレオープンは、実際にお客様をお迎えし、問題なく接客、料理提供を行うことができるかを確認する試験的な営業のことです。
ホールスタッフはお客様のご案内から注文、料理提供、会計、バッシングまで、キッチンスタッフは、短い時間内に料理を提供できるかどうかの最終トレーニングの場ともなります。
プレオープンでは、重ねてきた研修やシミュレーションでは見えなかった問題点を見つけ出し、グランドオープンまでに策を講じることができます。
2.宣伝効果
プレオープンをするもう一つの目的は、宣伝・販売促進です。
プレオープンに訪れたお客様が、本営業開始後もお客様となっていただける可能性もあります。また、プレオープンによって近隣の住民や通りがかりの人への宣伝ともなります。
レセプションとは
プレオープンと似たものに、「レセプション」があります。
レセプションとは、”招待会”を意味します。開業の報告と感謝の意を伝えるため、関係者のみを”招待”し、お店のお披露目をします。
会計業務も含んで行われるプレオープンと違って、レセプションでは限られた関係者のみを招待し、基本的に無料で行われることが多いのが特徴です。※プレオープンでも無料で行う場合もあります。
レセプションのメインの目的は「感謝を伝えること」ではありますが、プレオープン同様スタッフにとっては、グランドオープン前の大事なトレーニングと問題発見の場でもあります。
メリット
- 接客、キッチン、仕入れ・仕込みなどのオペレーションの確認ができる
- 機器、設備などの不備の有無が確認できる
- お客様目線による批評を受けることができる
- 問題点を洗い出し、本営業までに改善を図ることができる
- オープンまでにお世話になった人へのお礼の場が持てる
- 宣伝、集客、販促効果が期待できる
デメリット
- プレオープンと本営業では客層などの状況が異なり、プレオープンでの経験が活かせない可能性がある
- 費用をかけすぎると赤字となってしまうリスクがある
- しっかりとしたトレーニングができていないと悪評につながり逆効果になってしまう可能性がある
推奨する招待客
プレオープンでは、友人、知人、取引先、お世話になった人などを招待するとよいでしょう。
以下のような人物を選ぶことがポイントとなります。
- 遠慮なくはっきり意見してくれる人
- 多少の失敗があっても、本営業に影響がない人(許容してくれる人)
- 集客・宣伝効果の高い人
招待客は、席数×1.5倍の人数程度に留めておきましょう。
※招待人数が多い場合は、立食形式にしたり、複数日に分けたりしましょう。
費用
レセプション・プレオープンの費用
レセプションは、基本的に無料でおこなうケースが多いです。
プレオープンで有料にするケースは、以下のような場合です。
- レジシステムの動作を確認したい
- レジなどの会計の業務を通してシミュレーションをしておきたい
- プレオープンにかかる費用が大きい
費用をかけすぎて赤字とならないように注意してください。
記念品の準備
招待客に、割引クーポンやドリンク無料券などをプレゼントすれば、開店後も足を運んでくれる可能性が高くなります。
準備
1.日にちの決定
日程は、オープン前日~1週間前を目安に設定します。できればオープン3日前ほどまでに行うのがベターです。
オープンまでに2回ほど行うのが理想です。
プレオープン、レセプションの後には、必ずスタッフミーティングを設け、問題点を洗い出し、改善策と講じましょう。
すぐに改善できる内容でない場合は、オープン日を延期することも考えましょう。
2.招待
家族や知人の招待だけであれば、電話やメールなどの案内でよい場合もあります。
親会社や店舗物件のオーナー、恩師などの場合は招待状を用意したほうが無難です。
FAXやメールに招待状の文書を添付して送る方法もあります。
3.アンケートの準備
来店された方には、アンケート用紙を用意しておきましょう。
直接は言いにくいことでも、アンケート用紙を使うことによって書いてもらえる可能性が高まります。
アンケートは、あまり細かい内容になりすぎないようにすることがポイントです。
4.開催準備、オペレーションの確認
仕入れ、食材・備品の配置の確認
- 食材の仕入れ量
- 食材の保管・保存場所
- 調理備品の配置場所
キッチンの確認
- 配置確認
- 動線確認
- 味と提供時間の確認
- 厨房機器の動作確認
- 衛生チェック
接客の確認
- 案内、注文の受け方、キャンセルの受け方、サーブの確認
- トラブル発生時の対応確認
- 会計方法の確認
- 片付けのタイミング、方法の確認
会計の確認
- 釣銭の準備
- レジの操作確認
- クレジットなどの端末の操作確認
- 領収書の書き方
- レジ処理の流れ
5.周辺の方への告知
プレオープン時に、招待客でないお客様が間違って来店される場合があります。
店頭に「本日はご招待の方のみのプレオープンです」など書いた張り紙と、グランドオープンお知らせの張り紙を忘れないようにしておきましょう。
プレオープン・レセプション当日
最終チェック
開店前の準備、仕込み、掃除がきちんとできているかを確認します。
スタッフと、閉店後までのオペレーションの流れを確認しておきましょう。
開催
通常営業と全く同じように行います。
アンケート
アンケートの記入、回収を行うようにしてください。
記念品
お客様のお帰りの際には、サービス券、クーポンなどの記念品を渡すと好印象ですし、再来店のきっかけともなりえます。
※お祝い品をご持参になったお客様には、オープン後にお礼のご連絡をすることを忘れないでください。
閉店作業
通常通りの閉店作業を行います。片付けまできちんとできているかまで確認します。
ミーティング
プレオープン、レセプション開催後には、必ずスタッフでミーティングをするようにしてください。
ミーティング内容
お客様
- アンケート内容の確認
- 待ち時間、ウェイティング時の様子
- 店内での様子
スタッフ
- オペ―レーション内容
- お客様対応時の様子
- 商品説明やアレルギー対応(利用食材の説明)
- 指示の伝わり方
- キッチンとホールの連携
- 提供までの時間
- 調理スピード、盛り付け、味
- 動線の再検討
- バッシング
- レジ清算
備品・設備・食材
- 仕込みの適量
- 機器の動作
- 備品の配置場所の再検討
マニュアルへの記載の追加
対処法や注意事項の記載を追加します。
もしプレオープンの際に課題が見つかったら、グランドオープンまでに解決を目指すべきです。お客様として来店した第三者の意見も聞きながら、改善するべきポイントを細かくチェックしていきましょう。
対処法や注意事項を決めたらマニュアルに記載するなどして、スタッフ全員に周知させることが大切です。
起こりがちな注意点
- いただいたお祝いの保管場所の用意
- 忙しすぎてお祝いに来てくれた方にご挨拶ができない
- 長居するお客様がいて、他のお客様が入店できない
- 食材の仕込み量が少なすぎる
- 忙しさのあまり、スタッフのミスが多発してしまう
- プレオープンであることを知らずに、一般の方がご来店してしまう
オープン前のプレオープン・レセプションでは、各自の役割をチェックし、気になったところはオープンまでに修正できるようしておきましょう。
サイレントオープン
サイレントオープンとは
サイレントオープンとは、「一切宣伝をせずに、ひっそりとお店を開店させる」オープン方法です。
宣伝・告知をせずにオープンすることにより、来店数をコントロールしながら実地訓練を重ねることができます。
普通は、新しいお店をオープンしたら、お店の存在を知ってもらうために、チラシを配ったり、フリーペーパーなど雑誌への広告出稿、インターネットのクチコミサイトなどに登録を行います。
メリット・デメリット
メリット
- 工事の遅れ、スタッフの採用数不足、材料不足、機器の不具合などの不測の事態にも対応しやすい
- 少しずつのお客様の対応に慣れていくことで、スタッフのサービスの質を高めていくことができる
- トラブル対策をじっくりと築くことができる
- 慣れないスタッフの接客・調理でミスの多発による口コミ・評判の低下を起こしにくい
デメリット
- ランニングコストを売上で埋めることができず、赤字幅が大きくなる可能性がある
- 混雑した状況には対応できない可能性がある
- その後の集客がうまくかない場合もある
サイレントオープンのステップ
1.宣伝・告知を行わずにオープンする
2.オーナーの友人・知人や、オープンに気づいて来店されたお客様にサービスを提供
3.お客様の意見を取り入れたり、スタッフ間で問題の洗い出しをしてサービスの改善を行う
4.スタッフがオペレーションに慣れ、サービスの改善も行えたら、宣伝広告・キャンペーンを行い、大々的に集客をする
サイレントオープンをして徐々に安定したら、無料であるネット集客を始めること
一定の慣らし期間をおき、店舗オペレーションの質が安定してきたら、広告宣伝を始め、 集客をしていきます。
スタッフ全員がお店に慣れた段階で宣伝広告・キャンペーンも仕掛けることで、想定される様々なトラブルやクレームを大幅に防止することができます。
グランドオープン
グランドオープンとは
グランドオープンとは、いわゆる正式な開店のことです。
オープニングセール
チラシやSNSによるオープン「告知」と共に、割引やドリンクサービスなどのオープンキャンペーンを行い華々しくオープンする戦略です。
メリット
- 宣伝告知となり集客効果が高い
- 多くのお客様に来店してもらう可能性を高めることができる
- 味・サービスに満足してもらえれば、再来店につながる
- 好評価を得ることができれば、口コミにより来店数を増やすことができる
- ランニングコストの回収ができる
チラシやSNSによって「オープン告知」をし、更にオープンセールによって実際に足を運んでもらうことで「宣伝」効果が狙えるため、オープンセールは新たに開店する店舗にとって重要な戦略となるのです。
デメリット
- さばけないほどのたくさんのお客様が来店される可能性がある
- 慣れないオペレーションでたくさんのお客様対応するとミスを連発する可能性がある
- ミスの連発によって評価が下がると、今後の集客に影響がでてしまう危険性がある
オープンセールのやり方
- 日程を決める
- 事前にオープンセール専用のチラシやSNSで拡散する
宣伝方法
1.チラシ
メリット
- 情報量が多く、訴求力がある
- 近隣の方々へ、直接訴求できる
- 短期間で効果が見込める
- オープン直後に想像以上の来客数を得られる可能性がある
デメリット
- 数打てば当たる作戦のため、反応率は低い(1万世帯にまいて、約50組程度の来店)
- コストがかかる(1万世帯で、だいたい10万円)
- オープン時の完成されていない接客やオペレーションがマイナスとして働く場合がある(リピートしていただけない)
2.SNS
メリット
- 知り合いや友人が来店してくれやすい
- 短期間ですぐに効果が見込める
- 基本的には宣伝コストがかからない
デメリット
ターゲット層とミスマッチがある可能性がある
3.看板
メリット
- 長期に渡って、オープンすることを認知してもらうことができる
- 1つ作るだけなので宣伝コストがかからない
- オープン早々から来客してもらえる
デメリット
- 具体的ではないため、訴求力が弱い
- オープン早々から来客してもらえるものの、爆発力はない
コンサルタントからのワンポイントアドバイス
山田 朋樹様
すべての面で完璧な開店は難しいですが、後になって致命的な欠陥がないこと、状況に応じられる幅を見出すことが、個人店の開業では大切です。着眼点と対応策をしっかり整頓しましょう。
コンサルタントからのワンポイントアドバイス
板垣 政行(Maple leaf co.,Ltd)様
お店を末永く繁盛させるには客観的なプロの目が必要です。
苦労して開店にこぎつけたお店を長続きさせるためには、継続的かつ客観的にお店を見守るプロの目が重要。
自らも30年超の飲食経営経験を持つ専門コンサルタントに、是非一度ご相談ください。
コンサルタントからのワンポイントアドバイス
鈴木 泰弘様
開業準備から開業日までフルサポートをさせていただいたオーナーに必ずこう伝えています。
「お店は開業までではなくそこからがスタートです。ご自分でできるところはしっかりと組み立ててみてください。そこで足りないところを私が補完します。そうしてお店が自走できるようにしていきましょう。」
長年業態開発をしてきた経験から「わからないから全部お任せ」では長く続くお店はできません。
得手不得手は必ずあります。その発見とお店として継続するための必要な部分をアドバイスさせてください。
オープン後
店舗開業はようやくスタート地点に立てただけに過ぎません。これから自分の店を潰さないように、そしてますます発展していけるように、更なる道と未来が待っています。特にスタートアップ直後の経営者は代わりがいませんので、無茶をしすぎて体や心を壊さないように気を付けながら仕事をしていく必要があります。
基本が重要
成功に不可欠なのは「味」「サービス」「経営力」です。
回転率や集客数を増やしつつ「味」「サービス」を維持・改善していくことが求められます。
「店内、トイレが綺麗」「接客の心地よさ」「おいしさ」「提供時間が早い」「雰囲気・使い勝手が良い」「適正価格」は顧客満足には欠かせません。必ず毎日チェックするようにしてください。
オーナーのみなさんは、常に客観的に状況を把握し、分析していかなければなりません。どのメニューが売れているのか、サービスは十分にできているのか、仕入れや設備のランニングに無駄がないのか、さまざまな角度から検証し改善を重ねていく必要があります。将来を見据えて一歩一歩努力を積み重ねていくことが、お店を繁盛させ、長く続けていく秘訣です。
リピーターの重要性
新たに開業した飲食店は、物珍しさから、開店して2~3ヶ月は客足が伸びます。しかしリピーターが付かなければ、尻すぼみとなっていってしまいます。
開店期の集客が多い時期に、次に来店してもらうための動機付けとなる 販売促進を行い、リピーターを獲得することが大切です。
リピーターになってくれるかどうかは、2回目の来店が関係していると言われています。
初めて来店したお客様が再来店する確率は40%ほど、2回目に来店したお客様が3回目も来店する確率は80%ほどに大きく伸びるとされています。
つまり、2回目に来てもらったときに満足してもらえれば、リピーターを増やすことができるといえます。
継続的に集客するためには、飽きさせないことです。また来たいと思っていただけるよう、リピーターを大切にし、しっかりとしたアフターフォローとサービスをしていきましょう。
リピーターを増やすためには
1.SNSの活用
メール会員になってもらい優待する
粗品プレゼントやメール会員限定の割引サービスやプレゼントを文句に、メールアドレスの登録をしてもらう。
※メールは配信頻度によっては登録解除されてしまうため、多くなりすぎないように注意しましょう。メール文面は、短くわかりやすくすることがポイントです。
Facebookの活用
Facebookのチェックイン機能を使い、店側から営業をかけることが可能です。
LINEを使った顧客リストの獲得
レジ台や店内、トイレなどお客様の目に留まりやすい場所に「LINE友達追加特典」などを表示しておくと、リピーター確保につながります。
2.お客様の好みの把握
アンケートを用意し、要望の多いものはサービスやメニューへと反映させていきましょう。
3.キャンペーンを行う
ご自身の店舗でしか食べることのできない期間限定のメニューを毎月作り、そのキャンペーンを実施することで、定期的に通いたくなる店作りをしていくとリピーターを増やすことができます。
期間限定メニューで評判の良いものは定番メニューにしてリピート率を上げる方法もあります。
キャンペーンが盛り上がりSNSなどで紹介されれば、新規のお客様を獲得するきっかけにもなります。
リニューアルを念頭に置いた計画を
営業を長く続けていくと、店舗の周辺に競合店ができたり、店舗自身が古くなってきたり、業種、業態がその時代にマッチしなくなっていきます。
繁盛期に貯蓄したお金で、リニューアルを行い、お店を新しく「再生」することで再びまた、繁盛記を迎えることができます。手遅れになる前に早めの再建が必要です。
世の中のライフスタイルや価値観はどんどん変化していきます。変化に柔軟に対応していけることが長く繁盛していける条件ともいえます。
コンサルタントからのワンポイントアドバイス
DEF様
まずはつぶれない経営をしましょう。
赤字でないならつぶれることはないため、損益分岐点に行く為の経営を行いましょう。
そこからできたお金で成長対策を実行していきましょう。
火災に要注意!
一度火災が発生してしまうと、数週間から数か月は再建のために休業を余儀なくされます。営業再開のために新たに内装・設備工事や厨房機器、備品の購入しなくてはなりません。また、近隣まで延焼した場合は、弁償金の支払いも必要となります。オーナーやスタッフの心的ショックも大きく、お客様からの信用も失ってしまいかねません。オーナーを中心に、日頃よりスタッフ間で意識がけましょう。
火を掛けたままその場を離れない!
火災の多くが、調理中に火をかけたままその場を離れ「放置する・忘れる」ことによって発生しています。調理中は、その場を離れないように注意していたださい。
可燃物を置かない!
厨房設備の周囲に可燃物を置いておくと、落下や接触により、火災になる恐れがあります。周囲には、可燃物を置かないように整理・整頓してください。
点検・清掃をしよう!
厨房設備には、油脂などが付着、堆積しやすく、延焼拡大原因になる恐れがあり、さらには、厨房設備の機能に支障をきたす恐れがあります。日常的に、厨房設備の点検・清掃をしましょう。
焼肉屋は要注意!
焼肉業態は、飲食店の中でも特に油煙の発生する業態で、ダクト火災のリスクが高い業種と言えます。
ダクト内の点検、清掃を行うには、専門的な知識や技術が必要です。火災が起きてからでは取り返しが付きません。
日々の清掃、メンテナンスに加え、定期的に点検・清掃を専門業者に依頼することをお勧めいたします。
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