どんなお店にしたいのか -コンセプトの重要性-
「どんな飲食店にしたいのか」「どんなイタリアン料理店にするのか」。お店のイメージを形にする首尾一貫した基本的な考えや方向性(コンセプト)を持つことが大切です。 お客様から見たら「そのお店がどんな価値を提供してくれるのか」ということです。
この軸である「どんなお店にしたいのか(コンセプト)」がしっかりしていないと、開店する前も開店してからも迷走してしまします。結果としてちぐはぐなお店となってしまい、お客様に価値を十分に伝えられず、失敗することになりかねません。
誰もがどんなお店かすぐにイメージでき、分かりやすい言葉にすることが大切です。他店との明確な差別化ができていると来店動機に繫がります。
アイディアは、コンセプトを決める上で重要な材料ですが、コンセプトは、そこから一歩踏み込んで「お客様がお店に訪れたくなる理由」を考え決定します。 メインコンセプトを明確にすることで、価格帯、料理のジャンル、店内の雰囲気、場所などの方向性が決まっていきます。
飲食店におけるコンセプトは、「Why」「When」「Where」「Who」「Whom」「What」「Which」の7Wと「How」「Howmuch」の2Hから成る「7W2H」の観点から考えていくことができます。
ぶれない、確固としたコンセプトを作り上げましょう。
開業スケジュール
前準備 | 物件申し込みから引き渡し 約1〜2か月 | 内装・外装工事期間 約2、3週間〜2か月 | 工事引き渡し後 約1週間 | オープン後 | |
コンセプト設定 | コンセプト |
7W2Hの観点
What(なにを)
What ・・・ なにを
提供したいと考えている、メニュー・サービスの特徴。
サービス
- 面白み、サービス向上の仕組み、他店との差別化
メニュー
- 味で勝負か価格で勝負か
- 斬新さか王道か
- こだわる点はどこか
(産地、ボリューム、安心安全、コミュニティ、健康、元気・活力、癒しなど)
Who(だれに)やWhere(どこで)もふまえてメニュー、サービスを考えます。
Which(どれを)
Which ・・・どれを
看板となるメインメニューとお店のウリを明確にします。
決定したコンセプトは一行にまとめましょう。 あまり長いコンセプトは複雑すぎてまとまりがなく、お店の趣旨を認識してもらえません。
立地条件や、ターゲットにしている客層、販売する商品(メニュー)を基にコンセプトに盛り込む内容を絞り込む作業を何度も繰り返します。 そうすることで、簡潔で分かりやすいコンセプトを作り上げることができます。
Whom(だれに)
Whom ・・・ だれに(ターゲット)
- メインターゲットの設定
(サラリーマン、OL、主婦、学生、ファミリーなど) - サブターゲット(次いで取り込みたい客層)の設定
例1:メイン→20代学生、サブ→20~30代食欲旺盛な社会人男性
例2:メイン→20~40代OL、サブ→女性と一緒に来店する男性
(例2の場合は、女性向けの商品ばかりでなく、男性にも喜ばれるボリュームのあるメニューも入れておくなど) - 時間帯、曜日による客層の違い、顧客行動の違いを考慮
メインターゲットがOLであれば女性ウケしそうな健康志向の料理にしたり、サラリーマンであればボリューム満点のこってりメニューにするなど、ターゲットに合わせた味、サービス、内装などの店舗作りをする必要があります。
Where(どこで)
Where ・・・ どこで(立地・物件状況)
出店する店舗の街(商圏)の決定と調査。
- 立地条件の設定
- 沿線、最寄駅からの距離、最寄り駅の乗客数
- 建物、看板などの視認性
- 坪数・席数 ・店舗間口
- 営業時間:顧客動向による営業時間、定休日の設定
ターゲットという要素が場所選びには絡んできますので、コンセプトの”Whom(だれに)”を踏まえて決定します。 ターゲットがOLならオフィス街、サラリーマンなら駅前などです。
競合店がやっていないポイントをあえて狙ってみるのもいいかもしれません。
Why(なぜ)
Why・・・なぜ
創業目的・目標・夢・開業理由 / お客様視点の来店動機
自身
- なぜ開業しようと思ったのか
- なぜそのメニューにしようと思ったのか
顧客視点
- なぜ来店するか
仕事帰り、通りがかり、料理のおいしさ、雰囲気、安さ、便利さ、話題性、知名度、クーポン、落ち着いて食事できる、素早く食事できる、女性でも入店しやすい、ファミリーでも利用しやすい、デートに、お祝い事に、歓迎会・送別会・結婚式二次会などのパーティーに、お酒を楽しむ時に…など
Who(だれが)
Who ・・・だれが
誰が開業に際して関わるのかを考えます。メンバーや、雇用する予定の従業員数。営業スタッフはプロかアルバイトかなど。
- 単独店かFC(フランチャイズチェーン)かVC(ボランタリーチェーン)か
- ビジネスパートナー
- 調理スタッフがプロの料理人かアルバイトか
- 社員として雇うかアルバイトとして雇うか
- 何人での営業になるか
How(どのように)
How ・・・ どのように
接客 / サービス
集客・販売促進・提供方法の手段
- 集客方法:ポイントカード、フリーペーパー、SNS、HPなど
- 販促方法:時間限定・時期限定商品、クーポンなど
- 提供方法:セルフサービス、テイクアウト可、落ち着いて食事できる店内環境、素早く食事できるなど
サービスレベル、アピールポイント
How much(いくらで)
How much ・・・ いくらで
開業にかかる資金 / 設定する客単価
開業にかかる資金
- 物件/内装/外装/厨房・備品
- 初期仕入代
- 宣伝広告費
- 人件費
など
設定する客単価
- ランチタイムでの客単価、ディナータイムでの客単価
- 回転数
When(いつ)
When ・・・ いつ
開業時期 / 営業時間
開業までにかける時間、いつまでに開業するか、どんな時に利用してもらえるのか。
- 開業する時期:資金集めのための時間、飲食店での経験値蓄積のための時間、歓迎会・送別会・忘年会・新年会の繁忙期などタイミングの考慮
営業時間・定休日の設定
コンサルタントからのワンポイントアドバイス
フードコンサルタント
紡ぎ屋様
出店前に「自分に何ができるか」をよく考えましょう!
どこでどんな規模でどんなサービスで店作りをするかで今後の動きが決まります。
物件探しも立地ありきではなく、「自分に何ができるか」により行っていくことで大きく変わるものです。
コンサルタントからのワンポイントアドバイス
渡邉 司様
利益を出すためには物語を作ることがポイント!
「物語を作って商品を売る」というのは提供するグラスや食器も含めた付加価値を生み出すことです。
そのためにしっかりと商品の知識などをスタッフに落とし込む必要があります。
儲けの出ない飲食店は必ずここがおろそかなことが多いため、ぜひ私にお任せください。お客様のお店に合った物語を作ります。
コンサルタントからのワンポイントアドバイス
栗田 宏和様
集客、売上が見込めるコンセプトづくりを徹底的に行うことが大切です。
行ってみたいと思えるコンセプト作りをした上で、web、SNSで集客を行う準備をしましょう。
その際、想いが詰まったお店ほど情報発信の内容が「伝えたいこと」の押し売りになってしまいがちです。
お客様が「知りたい」情報を発信できるようにして来店の動機づけの仕組みをつくりましょう。
コンサルタントからのワンポイントアドバイス
DEF様
まず飲食店を始めたいと思った時にどのような店にしたいかを決められる方が多いですが、その前に個人・会社でいくら稼ぎたいのかを決めましょう。
月30万円稼ぎたい方と月200万円稼ぎたい方とではそもそもの入りが違います。
前者であれば自分の技術を駆使して他社ではできない事をやってもいいですが、後者では1店舗で得るのか2店舗で得るのかでも変わってきます。
自身がなぜ独立して飲食店をやりたいのかどこまでいきたいのかを決めましょう。
まずは小さく始めてお金をつくり、そのお金で資産を増大することが王道です。