飲食店開業マップ

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開業計画

開業の流れ

  • 開業計画
  • 事業計画
    資金調達
  • 開業地・物件
    建築・内装
  • 厨房機器
    什器・備品
  • 資格・許認可
  • スタッフ
    募集・研修
  • 集客・販促
  • その他

開業の手引きはじめに

はじめに

たこ焼きやお好み焼き、うどん、そば、パン、パスタなどの粉もんは、日本人にとって親しみのある食べ物で、全国各地で食べられています。
代表的な粉もんであるお好み焼きの市場規模だけでも、1,800~1,900億円あるといわれています。
粉もん屋は、日本人に人気の食べ物で原価率も低いため、成功しやすいと思われがちです。

しかし、粉もん屋は

  • 他の業種より開業率が高い(競合店が多い)
  • 客単価が低い
  • 提供までに時間を要する(回転率が悪くなる)
  • 家庭でも作れるものも多い

などの問題があり、成功への道のりは一筋縄ではいきません。

メインの食材となる小麦の価格が世界的に急騰しており、ソースや砂糖などの調味料やたこなどの食材も高騰が続いています。
また、総菜や冷凍食品として手軽に購入できるスーパーやコンビニという大きな競合が身近にあり、成功への壁は増々高くなっています。
しかし、海外での日本の粉もん認知度の上昇と共に、インバウンドでの人気も向上し続けており、需要拡大の明るい未来も見えています。

ここでは、『お好み焼き』『たこ焼き』『クレープ』『たい焼き』『今川焼(大判焼き)』など、移動販売やテイクアウトでの販売にも向いている粉もんメニューを中心に、開業までの案内及び成功に導くためのポイント・注意点を項目ごとに説明していきます。

テンポスグループは、「大手の荒波を受ける中小飲食店のための防波堤となり、共に成長していくことを目指す」を企業理念に掲げ、お客様をサポートしていくための様々な事業展開をいたしております。

ご不明なことやお困りのことがございましたら何なりとご相談ください。

少しでもお客様のお力になることができましたら幸いです。

メリット・デメリット

ここでは、

  1. お好み焼き・焼きそば
  2. たこ焼き
  3. 鯛焼き・今川焼(大判焼き)
  4. クレープ
  5. 屋台や移動販売(キッチンカー)

の5つに分けて、それぞれの業態別メリット・デメリットをご紹介します。

1. お好み焼き・焼きそば

1.1 お好み焼き・焼きそばのメリット

● 高度な調理技術を必要としない
お好み焼きは、レストランや日本料理店など料理人のような高度な技術を必要としません。
アルバイト・パートスタッフ、もしくはお客様自身で作ることが可能です。
そのため、プロの料理人を雇う必要がなく、人件費を抑えることができます。

● 利益率が高い
お好み焼きの原価率は、20~25%ほどです。
居酒屋やレストランなど他の飲食業態の原価率は30~35%ほどのところが多く、高いところでは40%近くかかるところもあります。
その点お好み焼きや焼きそばは原価率を低く抑えられるため、高い利益率を見込めます。

●客層を選ばない
お好み焼きもやきそばも、老若男女に好まれる料理です。
具材やトッピングで簡単にメニューの幅も広げられるため、幅広い層のターゲットの獲得が可能です。

● 主食・間食どちらの需要にも対応できる
昼食や夕食のメインの食事として利用できます。
サイズを変えるとおやつなど間食としての利用も見込めます。
主食と間食どちらの需要も獲得できるということは、アイドルタイムができないということです。
アイドルタイムが少ないというのは、利益拡大の大きなチャンスとなります。

● イートインとテイクアウト両方の需要の獲得が可能
お好み焼きや焼きそばは、お店で出来立てを食べるのもよいですが、料理の特性上、持ち帰りにも向いています。
席を設けた店舗型の場合は、イートインとテイクアウト両方の需要の獲得が可能です。
また、席を設けずに、屋台やキッチンカーなどテイクアウト専門で開業することもできます。

1.2 お好み焼き・焼きそばのデメリット

● 家庭でも作れる料理である
お好み焼きや焼きそばは、食材も作り方も手軽なため、家庭でも作りやすい料理です。
そのため、家庭で作るものとの差別化をいかに図るかが重要となります。

● 客単価が低い
大衆的な料理ですので、高額ですと敬遠されがちです。
また、単品で完結する料理であることから、追加注文が入りにくいことも客単価の低さに繋がっています。
客単価増のためには、サイドメニューやドリンク、デザートの注文をいかに多く受注できるかにかかっています。

● 調理時間を要する
お好み焼きも焼きそばも、焼くのに10分はかかります。
特にお好み焼きは1枚ずつ焼く必要があり、スタッフ1人が1回で焼ける数も限りがあるため、一気に捌くことができません。
また、客席の鉄板付きのテーブルでお客様がセルフで焼く提供方法の場合は、滞在時間が長くなり回転率が悪くなります。

● 広い調理スペースを必要とする
鉄板で複数人分のお好み焼きを作るためには、大きな鉄板が必要となるため、厨房スペースは広めの設計が必要となります。
客席に鉄板付きのテーブルを設置する場合、広い席スペースが必要です。そして、機器設備費や工事費などの初期投資が大きくなります。

● 業界全体での人件費や食材の高騰
飲食業界全体おいて、人件費および小麦・ソースなど食材の高騰によるコスト増加の傾向が続いています。
そのため、業務の効率化やコストダウンなど対策を講じる必要があります。

2. たこ焼き

2.1 たこ焼きのメリット

● 高度な調理技術を必要としない
たこ焼きは、1度作り方を覚えるとアルバイト・パートスタッフ、もしくはお客様自身で作ることが可能です。
そのため、プロの料理人を雇う必要がなく、人件費を抑えることができます。

● 利益率が高い
たこ焼きの原価率は、25~35%ほどです。
居酒屋やレストランなど他の飲食業態の原価率は30~35%ほどのところが多く、高いところでは40%近くかかるところもあることを考えると、原価率は低めです。
また、たこ焼きは使う食材が限られており、食材の回転率が高いので、食品ロスは低く抑えることができます。
そのため、他の飲食業態より利益率が高めです。

●客層を選ばない
老若男女に好まれる料理です。
具材やトッピングで簡単にメニュー数を広げられるため、幅広い層のターゲットの獲得が可能です。

●初期費用・ランニングコストを抑えられる
テイクアウトに向いているため、省スペースでの出店が可能です。
物件費、機器設備費を最小限に抑えることができるので、初期費用を抑えることができます。
人件費は、ランニングコストの中で大きな割合を占める費用の1つです。
テイクアウトの店舗の場合は1人で営業することも可能ですので、人件費も抑えることができます。

2.2 たこ焼きのデメリット

●他店との差別化がしづらい
料理がシンプルなので、他店との差別化が図りにくいという問題があります。
大きさ、食感、ソース、トッピング等でいかにオリジナル性を出せるかがポイントとなります。

● 客単価が低い
たこ焼きは、気軽に買える点が魅力の1つなので、あまりに高すぎると利用してもらえません。
単品では客単価が上がりませんので、たくさん購入してもらう工夫が必要です。
サイドメニューやドリンク、デザートのセット購入に繋げる仕組みもあるとよいでしょう。

● 業界全体での人件費や食材の高騰
飲食業界全体おいて、人件費および小麦・たこ・ソースなど食材の高騰によるコスト増加の傾向が続いています。
そのため、業務の効率化やコストダウンなど対策を講じる必要があります。

3. たい焼き・今川焼(大判焼きなど)

今川焼は、地域によって「大判焼き」「回転焼き」「おやき」「二重焼き」など様々な呼び名があります。
ここでは、表記を「今川焼」とさせていただきます。

3.1 たい焼き・今川焼のメリット

●初期費用・ランニングコストを抑えられる
テイクアウトに向いているため、省スペースでの出店が可能です。
物件費、機器設備費を最小限に抑えることができるので、初期費用を抑えることができます。
人件費は、ランニングコストの中で大きな割合を占める費用の1つです。
テイクアウトの店舗の場合は1人で営業することも可能ですので、人件費も抑えることができます。

● 利益率が高い
居酒屋やレストランなど他の飲食業態の原価率は30~35%ほどのところが多く、高いところでは40%近くかかるところもあります。
たい焼きや今川焼の原価率は20~25%ほどの店舗が多く、高くても30%ほどですので、他の飲食業態より高い利益率を見込めます。

● 高度な調理技術を必要としない
たい焼きや今川焼は、1度作り方を覚えるとアルバイト・パートスタッフでも作ることが可能です。
そのため、プロの料理人を雇う必要がなく、人件費を抑えることができます。

● 客層を選ばない
たい焼きや今川焼は、老若男女に好まれています。
具材やトッピングで簡単にアレンジできるため、あんこの苦手な人でも食べられるメニュー開発が可能です。
そのため、幅広い層のターゲットの獲得が可能です。

3.2 たい焼き・今川焼のデメリット

● 夏場は売上が落ちる
気温の上がる夏場は、販売数が激減します。
アイスやソフトクリームを挟んだ冷やしたい焼きや、アイス今川焼など夏限定の商品を用意したり、かき氷などのメニューを取り込んだりするなど、工夫が必要です。

● 他店との差別化がしづらい
料理がシンプルなので、他店との差別化が図りにくいという問題があります。
皮のタイプ、具材、見た目等でいかにオリジナル性を出せるかがポイントとなります。
たい焼きの場合、一匹ずつ焼き上げる『天然物(一本焼き・一丁焼き)』か、一度に複数匹焼き上げる『養殖物(連式)』にするかで特徴が大きく変わります。

● 廃棄ロスと販売ロスの調整が難しい
たい焼きや今川焼は焼き上がりまで10~15分ほどかかります。
パリッとした焼き上がりを売りとした店舗は、その多くが20分経つと廃棄にしています。
販売ロスを考えて多く焼き過ぎると、作り置きができないため廃棄率が高くなります。
廃棄ロスを考えて注文後に焼き始めることにすると、焼き時間を待てずに購入をあきらめる方も出てくるため販売ロスとなります。
このように、廃棄ロスと販売ロスの調整が難しいのが難点です。

● 客単価が低い
たい焼きや今川焼は、気軽に買える点が魅力の1つなので、あまりに高すぎると利用してもらえません。
また、ドリンクの同時購入が見込めないため、客単価は低いです。
ですので、いかに量を捌くかがポイントとなります。

● 業界全体での人件費や食材の高騰
飲食業界全体おいて、人件費および小麦・砂糖など食材の高騰によるコスト増加の傾向が続いています。
そのため、業務の効率化やコストダウンなど対策を講じる必要があります。

4. クレープ

4.1 クレープのメリット

● 初期費用・ランニングコストを抑えられる
テイクアウトに向いているため、省スペースでの出店が可能です。
物件費、機器設備費を最小限に抑えることができるので、初期費用を抑えることができます。
人件費は、ランニングコストの中で大きな割合を占める費用の1つです。
テイクアウトの店舗の場合は1人で営業することも可能ですので、人件費も抑えることができます。

● 人気メニューであるが競合が少ない
クレープは、若者や子どもに特に人気が高いメニューです。
材料も手に入りやすく作り方も比較的簡単なのですが、家で作られる機会は少なく、できたてを食べられる機会は限られます。
スーパーやコンビニでも販売されていますが、できたてではありません。
具やトッピングによるアレンジ性も高く、幅広い層の獲得が狙えます。
人気メニューであるにもかかわらず競合が少ないため、狙い目のメニューです。

● 利益率が高い
居酒屋やレストランなど他の飲食業態の原価率は30~35%ほどのところが多く、高いところでは40%近くかかるところもあります。
クレープの原価率は20~25%ほどの店舗が多く、高くても30%ほどですので、他の飲食業態より高い利益率を見込めます。

● 高度な調理技術を必要としない
クレープは、1度作り方を覚えるとアルバイト・パートスタッフでも作ることが可能です。
そのため、プロの料理人を雇う必要がなく、人件費を抑えることができます。

● 季節や時間を選ばない
クレープは、暑い時期にはアイスやソフトクリームを使用した冷たいメニューを提供し、冬にはチョコレートやスイートポテトなどのような温かいメニューを用意します。また、ランチ向けには肉類・野菜・チーズなどを組み合わせたバラエティ豊かなメニューも用意するなど、その汎用性の高さが特徴です。
ですので、季節や時間を問わず安定した売上を見込めます。

4.2 クレープのデメリット

● 客単価が低い
クレープは気軽に買える点が魅力の1つなので、あまりに高すぎると利用してもらえない可能性が高くなります。
客単価が低いため、いかに量を捌くかがポイントとなります。

● ターゲット層が若年者・女性がメイン
クレープは、若者や子どもの若年層や女性に人気が高いメニューです。
出店場所を誤ると、販売数が伸びません。

● 作成技術習得に一定の期間が必要
クレープ生地を薄くきれいな円形に焼けるようになるまでには、一定の訓練期間が必要です。
提供までに時間がかかりすぎると販売ロスにも繋がります。
作業効率を上げ、提供までの時間を短縮する工夫も必要です。

5. 屋台・移動販売(キッチンカーなど)

5.1 屋台・移動販売(キッチンカーなど)のメリット

● 初期費用・ランニングコストを抑えられる
物件費がかからず、機器設備費を最小限に抑えることができるので、初期費用を抑えることができます。
人件費は、ランニングコストの中で大きな割合を占める費用の1つです。
屋台や移動販売の場合は1人で営業することも可能ですので、人件費も抑えることができます。

● 場所を変えられる
出店した所で予想していたほど集客ができなかった場合に、営業場所を変えることができます。
複数拠点を持ってローテーションを組むことも可能です。

● 時期・場所によってメニューを変えることができる
地域に合わせてメニュー内容の調整をしたり、トレンドを取り入れたりというメニュー変更に対応しやすいのもポイントです。

● 席数の制限による販売ロスがない
固定店舗の場合は、席数の人数分しか料理の提供ができませんが、移動販売の場合は、席数の縛りがないため満席による販売ロスというものがありません。

5.2 屋台・移動販売(キッチンカーなど)のデメリット

● 出店場所の確保が難しい
移動販売の要ともなる”立地”ですが、近年キッチンカー・フードトラックでの出店が増加しているため立地を確保するのがかなり難題となっています。
人がたくさん集まって、たくさん売れる見込みがある出店場所は、出店費用が高騰したり、出店審査のハードルが高かったりといった傾向にあります。
他者が入り込んでいない場所を確保するには、商業施設、企業、大学、イベント会場などに積極的に営業をかけ、出店場所を確保する努力が必要です。

● 出店する自治体ごとに保健所の許可が必要
屋台や移動販売での営業は、自治体ごとに「許可申請費用」が必要になってきます。
移動販売で複数の自治体をまたぐ場合には、営業に必要な『食品営業自動車』の営業許可を各自治体の保健所で取得する必要があります。
移動販売で様々な自治体での出店をお考えの場合は、出店予定のある全ての自治体で保健所の許可が下りる仕様にしておくとよいでしょう。

● 扱えるメニュー数に限りがある
屋台や移動販売の場合、基本的に多品目のメニューを同時に販売するのは難しいといえます。
販売品目や調理などに自治体・保健所の制約が多いことや、スペースの都合で、提供できるメニューは制限がでてきます。
提供できるメニュー数が限られていたり、食材保管できるスペースが少ないため容易に新しいメニューを追加できなかったりと、自由度が低い点も留意しておきましょう。

● 仕込み場所が別途必要
屋台や移動販売での販売は、営業場所での調理は盛り付け、小分けなどの作業に限られたり、簡単な加熱調理のみに限定されたりと、様々な制約を受けます。
調理が必要な商品の販売には、食材を「切る」「混ぜる」などの下準備には別途「仕込み場所」を用意しないといけないケースもあります。※自治体・保健所によって判断は異なります。
仕込み場所は、「飲食店営業許可」を受けた調理場である必要があります。
そのため、物件を賃貸する、他の飲食店の空き時間を利用させてもらう、シェアキッチンを借りる、自宅を改造して保健所の許可をとるなど費用がかかります。
物件を賃貸する場合は、立地を気にせず家賃の安さで選んで大丈夫ですが、飲食店営業許可を取得できる厨房設備である必要があります。

● 天候や外気の影響を受けやすい
移動販売は、基本的に外気と同じ環境になります。
真夏の車内は外よりも高温になり、真冬は厳しい冷え込みの中での販売となります。
また、雨などの天候にも左右されやすいのもデメリットとなります。
夏には、食材が傷みやすく、特に食中毒には細心の注意が必要です。
そのため、メニューには食中毒のリスクを減らせる対策をしておきましょう。

失敗と成功の分岐点

飲食店の廃業率は、1年以内で30%、3年以内で70%、10年以内で90%といわれており、生き残りの厳しい業界です。
失敗しないためのポイントをご紹介します。

1. 参入業態の現状の把握

参入業態の現状を把握しておくことは必須です。
粉もん料理は、メインの食材となる小麦の価格が世界的に急騰しており、ソースや砂糖などの調味料や、たこなどの食材も高騰が続いています。
総菜や冷凍食品として手軽に購入できるスーパーやコンビニという大きな競合が身近に存在します。
時流は常に変化しています。時流を掴み、その変化にいかに対応できるかが一番重要なポイントとなります。
粉もんは、海外での日本の粉もん認知度の上昇と共に、海外からの旅行者からの需要も向上しています。
インバウンドが回復し、上昇している現在、この需要をどう取り込んでいけるかも重要となってくるでしょう。

2. 資金計画

条件によって変わってきますが、粉もん屋の開業には、席を構えた固定店舗の場合で500~1,500万円、テイクアウトメインの席を構えない店舗の場合で100~500万円ほどはかかります。
平日・休日、天候や季節によって売上幅は変わります。
オープン後1カ月ほどは、目新しさで集客はできるのですが、2、3カ月目頃から客足が落ちます。この時期を乗り越え、リピーターを地道に増やしていくには運転資金がどれだけ残せているかで決まります。イニシャルコスト(開店のための初期費用)を抑え、できるだけ運転資金に残すようにしてください。新規オープンの際には、居抜き物件を探したり、厨房機器をリサイクルで揃えたりするなど、イニシャルコストを抑える工夫をしてください。

安定した売上を確保するためには、客数・客単価・リピート率が重要です。あとは資金計画を立て、1日の売上額を前もって想定し、万が一売上が想定額に満たない場合にどんな見直しができるかを考えておく必要があります。

3. 人手不足

飲食業界は人手部不足の状態が長く続いています。スタッフを確保できず営業がままならなくなり、繁盛していたにも関わらず閉店を余儀なくされたというオーナーのお話はよく聞きます。求人をしてもなかなか人が集まらず、飲食業界は「人手不足」に悩まされています。

人手が足りなければ、その負担が他のスタッフにかかってしまいます。そうなると、労働環境の悪化にともなう離職、新しく人が入っても定着しない、サービス低下によるお客様離れ、と負のスパイラルに陥ってしまいます。

人口減少、人件費の高騰という課題は今後ますます続いていくでしょう。そのため、より少ない人員で運営できる体制づくりや、省力化を考えた店舗づくりは必須項目です。

粉もん屋での経験の必要性

開業前にはご自身が開業をお考えの同業態の店舗での経験や勉強をしておくことがベストです。開業前に同業態の店舗で働くというステップを踏むことで、失敗するリスクを大きく減らすことができます。
経験値というのは、現場でしか得られません。
一日の流れや基本的な接客など、実際に働く中でわかることがたくさんあります。一度も同業態の飲食店で働いたことのない方は開業前に一度働くべきでしょう。

また、飲食店での経験は一つのお店ではなく複数のお店で働くことによってより積み重ねられます。
接客の考え方、商品の見せ方、なぜこの営業時間なのか、など、経営に関して様々なアプローチ方法があることを知り、それぞれの違いを見る中で自分の店舗に活用できるものを探すことが重要です。
一つのお店を見ただけでは経験は限られたものになってしまいますが、いくつかの店舗や他業態の飲食店で働くことで引き出しは確実に多くなります。そうして経験したことのすべてが、開業時や経営で役立つものになります。

同業態の飲食店で働くことは上記のように多くのことが得られますが、実は他にも重要な要素があります。それが人脈です。
信頼を築いて働いていけば、そのうちお店のオーナーさんと繋がっている他の粉もん屋のオーナーさんや、お願いしている様々な業者さん、またそのお店のお客さん達とも、みなさんは繋がっていくはずです。そうした人たちが、みなさんが開業するときには何かしら力になってくれます。深い人脈を作れるのも、開業前に修行をする大きな意味になるでしょう。

専門スクール

お好み焼き、たこ焼き、たい焼き・今川焼、クレープなど、それぞれのメニューの知識や技術、接客マナー、経営術を学べる専門スクールがあります。
そのような専門スクールを活用するのも一つの手です。
開業するために必要な知識、接客術、経営術など、経営者に必要な知識を得ることができます。

※ただし、金融機関から融資を受ける場合には、飲食店での勤務経験が有利に働きます。

身に付けられるスキル

  • メニューの作り方
  • 料理を作る以外の業務
  • 仕入先
  • 雇用や経理、宣伝といった経営のノウハウ
  • 調理器具の扱い方
  • 回転率、平均客単価

3つの開業方法

粉もん屋を開業するには、単独で開業する以外にもフランチャイズ、ボランタリーチェーンと3つの方法があります。
それぞれの違いをご紹介いたしますので、メリット・デメリットを見極め、ご自分に合った方法での開業を考えてください。

開業方法1:単独店

メリット

最大のメリットは、全てを自分のイメージに合わせて店作りできるという点です。メニューはもちろん、店内の内装や家具、サービス内容に至るまで、自分の思い通りに揃えていくことができます。
また、自身の求める素材や味を納得のいくまで追求し、こだわることができる自由度の高さがあります。

デメリット

開業手続き、開業資金と物件の確保、店舗の設備や調理道具・食器購入、仕入れ先や人材の手配など、開業するために必要なことはたくさんあり、全てを自分でやらなければいけません。
また、個人店の場合は、ご自身の店舗のPRのための営業スキルも求められます。

開業方法2:フランチャイズ(FC)

フランチャイズとは、親企業からブランド名、確立されたサービスや商品を使う権利をもらい、その対価をフランチャイズ本部に支払い営業する仕組みです。

メリット

未経験でも開業できる
通常自分で店舗を持とうとすると、まずはその職種に関する業務や経営の下積みや経験が必要となります。フランチャイズでは、仕入れ・販売・集客・採用・商品開発や、経営や運営についてのノウハウ提供や研修制度が充実し、業務のマニュアル化など基盤がしっかりと整備されていることが多いので、全くの未経験でも店舗運営が可能になっています。
店舗数が多いほどノウハウの蓄積も多いため、本部からのより高いサポートサービスが期待できます。

資金の融資が受けやすい
フランチャイズで開業する場合も資金が必要です。開業資金は、加盟するフランチャイズによって違いますが、安いところで100~200万円、高いところでは2,000万円以上です。
フランチャイズに加入するには、100~300万円ほどの加盟金が必要ですが、中には加盟金が0円のところもあります。
自己資金を十分に準備できていない場合は融資を受けることになりますが、大手企業のチェーン店として申請をすれば融資を受けやすくなります。
また、フランチャイズでは、本部側で大量に購入するため安く購入できるので、内外装工事費、食材、食器、備品、什器などの初期費用を単独店より抑えることができます。

リスクの軽減
本部が開発した仕入法・調理法・接客やサービスのマニュアルなどの経営ノウハウについて事前に研修を受けてから開業できます。そのため、個人で開業する場合と比べてビジネスリスクははるかに低くなります。
本部の販促活動支援に加え、知名度が高いほど集客力が高いため、宣伝広告費にかける費用を抑えることができます。
設備の面でも、過去の店舗の実績に基づいた、最適化された店舗設計や備品の提供を受けることができます。

継続的なサポート
加盟店の売上を伸ばして経営を安定させるために、定期的・長期的に 本部から担当者が訪れて支援を行います。加盟店側はスタッフの育成や業務改善などについて相談に乗ってもらえるので安心です。
全店舗の食材・備品を一括で仕入れて各加盟店に供給していることがほとんどなので、全くゼロから仕入先を探し購入するよりも、手間・価格ともに小さくなります。また、フランチャイズによっては、「セントラルキッチン」とよばれる工場での一括仕込みをおこなっており、料理の味の均一化と店舗での省力化が可能になります。
その他にも、経営上重要な「集客」を、本部が主体で宣伝活動を行ったり、本部から加盟店へのチラシの配布・アドバイスなどの支援も受けることもできます。

デメリット

加盟金・ロイヤリティーなどの支払い義務
様々なノウハウやサービスを受け取る代わりに、加盟店オーナーは『ロイヤリティ』を本部に支払わなければなりません。
利益に関係なく、家賃や光熱費、材料費に加えて本部にロイヤリティーを支払わなければならないため、大きな負担になることがあります。
そのブランドに加盟するにあたり、適当だと思えるロイヤリティを設定しているフランチャイズを選ぶことが重要です。
フランチャイズで飲食店を開業するには、さまざまな諸費用を支払う必要があります。加盟者が支払う費用の例は次の通りです。

  • 加盟金:契約時に、本部から商標やブランドを提供してもらうため必要となる初期費用
    (小型店舗では100万前後、大型店舗では300~500万ほどが相場。中には加盟金0円のところもあり)
  • 保証金:ロイヤリティや仕入費用等の担保金
    (保証金は債務がなければ、契約終了後に返還されるのが一般的)
  • 店舗取得費用:物件費用、内外装設備費用、消耗品費などお店作りに必要な資金
    (加盟金なども含めて1,000万円以上の開業資金が必要。本部が負担する場合は、300万~500万円前後で開業可能)
  • ロイヤリティ:ブランド使用権や、指導・援助を受けるために定期的に支払う費用
    (毎月売上の4~5%程度の支払いが一般的。「月額固定」「ロイヤリティ不要」のところもあり)

上記の他にも研修費や開業準備金などの費用が発生する場合もあります。

経営の自由度が低い
フランチャイズは、ブランドイメージの保守・経営効率の向上のため、多くの制限を設けています。 契約期間中はご自身の店舗でのオリジナルメニューの提供や、独自の販促キャンペーンなど本部の方針から外れた運営を行うことはできません。 地域性や客層に合わせた独自メニューの開発やサービス展開は、オーナーの独断ではできない可能性が高いです。 自分の好きなように店舗経営を行いたい場合は、自由度が低いフランチャイズは向いていないといえます。

ブランド毀損による影響を受けやすい
フランチャイズのメリットはそのブランド力ですが、ひとたびブランドに傷がつくと全加盟店が影響を受け、イメージダウンは免れません。たった1店舗の不祥事で、全店舗がマイナスの影響を受けてしまうことが起き得ます。SNSなどでの情報拡散が瞬時に起こってしまうネット社会の現代では、そうしたリスクもあることを認識しておく必要があります。

競合避止義務や契約期間の存在 と守秘義務
各フランチャイズ本部は、契約期間を設けています。契約途中に契約解除する必要が出た場合は、違約金を支払う義務が生じます。 通常、フランチャイズ本部のノウハウの流出を防ぐため、契約終了後も同業種での営業を禁止した「競業避止義務」が規定されています。 競業の範囲や競業禁止の期間など契約内容を確認し、10年後、20年後の将来のことを考えた選択をしておく必要があります。 また、フランチャイズ加盟により得た知識やノウハウには守秘義務がありますのでご注意ください。

開業方法3:ボランタリーチェーン(VC)

ボランタリーチェーンとは、加盟店同士が組織を結成して本部を形成し経営を行っていく事業形態です。
フランチャイズよりも仕組みが非常にゆるやかで、店名・内外装・看板デザイン・価格・営業時間・店休日など比較的自由なスタイルで店舗運営をしていくことができます。

フランチャイズとの共通点

  • 本社や本部といった事業をまとめて運営する『本部組織』と、店舗を営業する立場の『加盟店』の2つの立場から成り立っています。
  • 加盟店は、本部から一括して商品を仕入れて店舗を運営するため、フランチャイズとボランタリーチェーンどちらの場合も余計なコストがかかりません。
  • 加盟店は基本的に本部組織から商品(食材)を仕入れることになります。
  • 基本的にボランタリーチェーンのほうが規則やノルマは緩い傾向にあります。

フランチャイズとの相違点

  • フランチャイズチェーンは本部と各加盟店がそれぞれで契約を結ぶ縦のつながりなのに対して、加盟店同士(もしくは卸会社と加盟店)が組織を結成したボランタリーチェーンは横のつながりが強いところが主な違いです。
  • ボランタリーチェーンの本部は、各加盟店同士が互いに出資しあって本部を形成しています。そのため、本部とは上下関係ではなく、みな同じ立場という関係性があります。
  • ボランタリーチェーンの場合は、お店の屋号、看板、内外装、施工業者、営業時間、価格設定なども自由にできるようになっており、個々の事業者の個性を発揮していくことができます。
  • ロイヤリティはないケースが一般的ですが、発生する場合でもフランチャイズよりは低価格であることが多いです。

メリット

店舗展開が比較的自由
本部からのノルマや規則などが比較的緩いため、各店舗によって独自のメニュー開発やサービス展開を行い独創性を打ち出していくことができます。

仕入れコストの軽減
本部がメーカーからまとめて仕入れるため、コストを引き下げることができます。
仕入れコストが下がると、今までと同じ売上でも利益率はUPします。

POSシステムなどで情報共有
ボランタリーチェーンは、フランチャイズに比べて、加盟店同士の横のつながりが強い傾向にあります。
POSシステムという、商品の販売情報の管理システムによって、商品情報を記録して売上の分析データを共有することができます。これにより、他店でのトレンドメニューや、市場での消費者ニーズを把握することもできます。また、加盟店同士での運営ノウハウやアドバイスの授受を行うことができます。

本社や本部といった事業をまとめて運営する『本部組織』と、店舗を営業する立場の『加盟店』の2つの立場から成り立っています。
加盟店は、本部から一括して商品を仕入れて店舗を運営するため、フランチャイズとボランタリーチェーンどちらの場合も余計なコストがかかりません。
加盟店は基本的に本部組織から商品(食材)を仕入れることになります。
基本的にボランタリーチェーンのほうが規則やノルマは緩い傾向にあります。

デメリット

経営力が必要
フランチャイズのように強固なバックアップがないため、店舗の経営努力がより必要になってきます。
運営ノウハウに関しては、加盟店同士での情報交換しか手段がないため、その店に合った的確なアドバイスをもらうことができず、経営ノウハウに詳しい事業者がいなければアドバイスを受けることもできません。
比較的自由度の高い運営が可能である反面、多くの問題をご自身の力だけで改善していかなければならないのです。
短期的な利益の追求だけでなく、しっかりとした長期的な戦略を組む必要性もあります。

知名度の低さ
大手のフランチャイズチェーンは、知名度が高いため、集客はしやすいでしょう。
しかし、現在のボランタリーチェーンでは知名度の高い飲食店は少ないため、看板の力を借りることができません。
自分たちで集客のための対策を考え、努力をしていく必要があります。

経営コンサルに相談する前に確認すべきこと

開業前にプロの意見を聞きたいという方も多いでしょう。
しかし、経営コンサルに相談するには費用がかかります。
費用対効果が合うように、下記の内容を事前に確認してから相談しましょう。

10個のよくある質問と回答

Q1: 開業に必要な許認可は何ですか?
A1: 飲食業を営むための営業許可や食品衛生管理者の資格、建物使用許可などが必要です。地域や国によって異なりますので、詳細は当該の行政機関に問い合わせてください。

Q2: 開業にかかる費用はどれくらいですか?
A2: 店舗の賃料、設備や備品の購入費用、人件費、広告宣伝費など、様々な費用がかかります。事業計画を作成し、必要な費用を詳細に算出しましょう。

Q3: 場所の選定に何を考慮すべきですか?
A3: 人通りの多い場所、競合店の少ないエリア、交通アクセスの良さなどが重要です。また、賃料や周辺環境も検討しましょう。

Q4: メニューの開発についてどうすればよいですか?
A4: 地域の需要や競合店のメニューと差別化するために、独自のメニューを考えましょう。また、原材料の調達先や価格設定も検討する必要があります。

Q5: 人員の採用や教育についてどうすればよいですか?
A5: 経験豊富なスタッフの採用や研修を行い、品質の向上とサービスの質を確保しましょう。労働法や雇用規則にも十分に配慮してください。

Q6: 広告や集客の戦略はどのようにすればよいですか?
A6: SNSや地域密着型の広告、イベントの開催など、ターゲット層にアピールする戦略を立てましょう。また、口コミや評判の管理も重要です。

Q7: 原材料の調達先はどこにしますか?
A7: 品質や価格、納期などを考慮して信頼できる卸業者を選定しましょう。地産地消やオーガニック食材の利用も検討してください。

Q8: 会計や税務の手続きはどうすればよいですか?
A8: 会計ソフトの導入や税務申告の準備をすることで、事業の適切な管理を行えます。税法や会計基準の理解も必要です。

Q9: 競合店との差別化のポイントは何ですか?
A9: 独自のメニュー、サービスの提供や価格競争だけでなく、店舗の雰囲気や顧客サービスなど、他店との差別化ポイントを明確にしましょう。

Q10: 成功するための秘訣はありますか?
A10: 顧客の声に耳を傾け、常に改善を心がける姿勢が重要です。また、地道な努力と情熱を持ち続けることも成功のカギです。

これらの質問と回答は、開業前に考慮すべき重要なポイントを網羅しています。経営コンサルタントとの相談の前に、これらのポイントをしっかりと確認し、準備しておくことが重要です。

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