ゴーストレストランとは
ゴーストレストランとは、客席を持たず、電話やオンラインでの注文を受け料理を配達するデリバリー専門の飲食店のことです。
『バーチャルレストラン』『ダークキッチン』などと呼ばれることもあります。
消費者のデリバリーニーズの増加や、フードデリバリーサービスマーケットの広がりにより急速に拡大している業態の1つです。
実店舗を営業する傍ら出店するケースや、マンションの一室などキッチンのある場所で実店舗を構えずに出店するケースがあります。1つの場所で複数のゴーストレストランを展開しているケースもあります。
初期投資費用が安いなどのメリットが多数ある半面、大手飲食チェーン店の参入も相次いでおり、今後競争がより激しくなる業態でしょう。
メリット・デメリット
メリット
●開業コストを抑えられる
・客席がないため内外装工事費用が抑えられ、イス・テーブル・食器など客席備品の費用もかからない。
・店舗面積が小さく済むので、保証金が安くなる。
・好立地である必要がないため、物件費用を抑えることができる。
・初期投資が安いことによって、撤退の容易性が上がる。また、失敗した際にも損害が小さく抑えられる。
●経営コストを抑えられる
・接客業務がないため、人件費を抑えられる。
・デリバリー代行アプリを利用すれば、配送人員の確保や配送車が必要ない。
・デリバリー代行アプリを活用すれば、広告費を抑えられる。
●出店までのスピードが速い。
・店内のデザイン等が必要なく、事前打ち合わせも少なくなるので、オープンまでの時間が短縮される。
・用意する備品数が少ないため、購入に費やす時間の短縮。
・採用人数も少なく済む。
・通常の路面物件を探すよりも物件が見つけやすい。
・最短1カ月程で開業できる。
●軌道修正しやすい
・変更が必要なものが”料理”のみのため、軌道修正がしやすい。
・メニュや業態(店名)の変更はWEB上の操作だけで容易にできる。
・複数のブランド展開も可能。
●料理に専念できる
・接客の必要がないため、料理作りやメニュー開発に時間をかけることができる。
・接客が苦手なオーナーでも、気にすることなく始められる。
●売上が天気の影響を受けにくい
・実店舗の場合は天候により客足が左右されやすいが、ゴーストレストランの場合は天候による影響を受けにくい。
デメリット
●集客・プロモーションが難しい
・デリバリー代行アプリを使わない人には認知されにくい。
・アプリ内の掲載店舗数が多いほど集客が難しくなる。
・集客は、どうしてもデリバリー代行アプリ頼みになる。
・アプリ内で自店舗まで誘導できなければ、集客が見込めない。
・集客を増やすために複数のデリバリー代行アプリを使用する必要があり、各アプリごとの管理に手間がかかる。
・自発的にSNSなどで宣伝し、集客ルートを用意する必要がある。
・アプリ自体のの集客力が落ちると、自店への集客も低くなる。
●顧客との関係性を築けない
・顧客とのコミュニケーションの場が無いため、関係性を築けない。
・リピーターになってもらうためには、料理・メニューでの勝負部分が大きい
・お客さまの反応がわかりづらい。
・デリバリー代行アプリから顧客情報は得られない。
●提供料理が限定される
・「冷めても美味しい」「配達しやすい」など、デリバリーに向き不向きのメニューがあり、提供料理が限定される。
・配達時間がかかるため、食中毒にはより一層考慮する必要がある。
●開業場所を思うようにみつけにくい
・シェアキッチンサービス利用する場合、サービスを提供している場所が限定的で少ない。
・間借り可能な店をな探す必要がある。
●システム利用料がかかる
・デリバリー代行アプリのシステム利用料は30~40%程かかる
・システム利用料を加味した価格設定にする必要がある
●Webマーケティング力が求められる
・Webマーケティングに強くなる必要がある。
・プロモーションやデータ分析などオンライン上でのマーケティングが重要になる。
成功のポイント
●既存のイートインの店舗にゴーストレストランを取り入れる
既存店に付随した形での展開は、低リスクで参入ができます。
●出店前にしっかりと事業シミュレーションを行う
・特に家賃・人件費(給与・人数)などの固定費は、出店後の変更は難しいので、きちんと精査し考える。
・厨房機器や設備など初期投資を抑える工夫をする
●商品の出数を増やす
・ブランド(業態)を増やす。
・プロモーションを変える
・利用するデリバリー代行アプリの種類を増やす。
●外部リソースを利用する
・自身の力で足りない部分は外部リソースを使うことも検討する。
・外部企業を活用した方が効果的な場合もある。
・バーチャルFCへの加盟、ゴーストレストラン用の物件の利用など
●口コミ数・評価を上げていく工夫をする
・時間はかかるが、認知や口コミを広げていくことが重要
●アプリ内でのプロモーションをしっかりと考えておく
・カート落ちの理由を考察
・クオリティーを上げる
・顧客評価を上げるための工夫
・販促費を払って上位に表示
・メニューや写真の変更
資格・許認可・保険
食品衛生責任者の資格を取得する
実店舗の有無は関係なく、料理を販売する場合は「食品衛生責任者」の資格が必要です。
※調理師、栄養士などの免許を持っている方は食品衛生責任者養成講習会を受講することなく、申請することで資格の取得が可能です。「食品衛生責任者」の責務は、食中毒や食品衛生法違反を起こさないよう管理運営をすることです。
各都道府県の食品衛生協会が開催している、公衆衛生学、衛生法規、食品衛生学などの6時間ほどの講習を受講することで取得できます。受講料は都道府県によって異なりますが、おおむね1万円前後です。養成講習会の受講後は、受講修了証として「食品衛生責任者手帳」が配布されます。食品衛生責任者の資格は日本全国共通なので、どの都道府県で取得しても全国で開業できます。
基本的にはお店に常駐する人が取得します。そのため、複数の店舗を運営する場合は、店舗数と同じ数の資格保有者が必要です。
資格は、講習日がひと月に1回であったり、予約が1か月以上先までとれない場合もありますので、早めに取得するようにしてください。
飲食店営業許可
飲食店営業許可を取得しておかなければ、飲食店の営業を開始することができません。使用するキッチンの「飲食店営業許可」の有無は確認し、営業開始前までに必ず取得しましょう。申請は各自治体の保健所にします。行政書士などに代行してもうらことも可能です。
許可を得るためには【人】と【店舗】の2つの要件があります。
【人に関する要件】
申請者が資格取得に影響する要件に該当していないかどうかになります。「営業許可の申請をした人が過去に食品衛生法違反で処分を受けてから2年たっていない」、「店舗の営業許可を取り消されてから2年たっていない」場合は保健所から営業許可をとれません。
【店舗に関する要件】
・店舗に食品衛生責任者を配置する必要があります。
・店舗の構造や設備に対して、法律のもと要件が決められています。保健所は、店舗を訪問して検査して要件を満たしているかの確認を行います。
店舗用保険
テイクアウトやデリバリーでは食中毒のリスクへの不安が高まります。
万が一、食中毒が疑われる場合には、保健所による厨房の立ち入り検査などが行われ、店舗が原因と判断された場合、業務停止命令書が届き、強制的に数日間の営業停止処分を受けることになります。さらに被害に遭われたお客様への賠償金やお見舞金の支払いも発生します。
保険に加入するメリット
①「まさかこんなことになるなんて」という不測の事態があっても安心
②お客様の衣服の汚損や火傷など負傷をさせてしまったなどの飲食店で起こりうるトラブルもカバーできる。
③お店を営業していくには必要不可欠。ほとんどの方が加入しています。
ゴーストキッチンの始め方
ゴーストレストランは、店舗としての実態は持たないため、客席や店舗内装も必要なければ、接客スタッフも存在しません。ゴーストレストランに必要なのは、極端に言ってしまえばキッチンと料理人だけなのです。
ゴーストレストランのフランチャイズ
ゴーストレストランに特化したフランチャイズも増えています。集客支援を受けられる、ブランド力を活かせるメリットなどのがあります。
一方で、経営の自由度が低い(オリジナルメニューの提供や、独自の販促キャンペーンなど)、加盟金・ロイヤリティーなどの支払い義務がある、ブランド毀損による影響を受けやすいデメリットもあります。
【開業までの流れ】
食品衛生責任者の資格を取得する
実店舗の有無は関係なく、料理を販売する場合は「食品衛生責任者」の資格が必要です。
※調理師、栄養士などの免許を持っている方は食品衛生責任者養成講習会を受講することなく、申請することで資格の取得が可能です。
「食品衛生責任者」の責務は、食中毒や食品衛生法違反を起こさないよう管理運営をすることです。
各都道府県の食品衛生協会が開催している、公衆衛生学、衛生法規、食品衛生学などの6時間ほどの講習を受講することで取得できます。
受講料は都道府県によって異なりますが、おおむね1万円前後です。
養成講習会の受講後は、受講修了証として「食品衛生責任者手帳」が配布されます。
食品衛生責任者の資格は日本全国共通なので、どの都道府県で取得しても全国で開業できます。
基本的にはお店に常駐する人が取得します。そのため、複数の店舗を運営する場合は、店舗数と同じ数の資格保有者が必要です。
資格は、講習日がひと月に1回であったり、予約が1か月以上先までとれない場合もありますので、早めに取得するようにしてください。
コンセプト作成
「どんな飲食店にするか」「どんな価値を提供するか」というコンセプト考えます。この軸であるコンセプトがしっかりしていないと、開店する前も開店してからも迷走してしまします。結果としてちぐはぐなお店となってしまい、お客様に価値を十分に伝えられず、失敗することになりかねません。誰もがどんなお店かすぐにイメージでき、分かりやすい言葉にすることが大切です。他店との明確な差別化ができていると来店動機に繫がります。
メインコンセプトを明確にし、価格帯、料理のジャンルなどの方向性が決めていきます。
【メニュー】
独創性
産地を活かした食材で作ったり、インバウンド需要を狙うなら外国人が好きな食材を使うと良いでしょう。
また、最近の健康志向高まりを意識した、オーガニックやグルテンフリー、ビーガン(ヴィーガン)、低糖質、無化調など、新しい視点での商品づくりが求められています。
インスタ映えを狙う
ゴーストレストランの成功には、SNSマーケティングは必須です。「色味」「シズル感」「インパクト」を演出してインスタ見た目が重要でしょう。
メニュー数は抑える
品数が増えると、料理を提供するまでの時間が長くなるため、メニュー数は絞りましょう。
事業計画書の作成
余裕をもった支払い計画を立てる
事業計画書は、金融機関からの融資を受けるために提出する重要な書類となりますが、自己資金だけで開業する場合でも事業計画は必ず作成するようにしてください。
事業計画はお店のコンセプトや商圏の市場調査や開業にかかる費用、開業時の資金調達、開業後の売上見込みの算出、資金が不足しそうな時に削る箇所などを練りこんでいきます。
また、既存の飲食店を間借りする場合は、物件の借主との良好な信頼関係を保つためにも、余裕をもった支払いスケジュールを立てましょう。
物件を探す
まず注意しておかなければならないのが、自宅では設備要件を満たさない限り飲食店営業許可が取れないという点です。
調理のために間借りする、もしくはキッチンが備え付けられた物件を探します。
主に、既存の間借り(お店のキッチンを借りる方法)と、シェアキッチンを利用する方法のふたつがあります。物件探しでは、次のポイントに気をつけてください。
営業可能日数が少ない物件は、あまりメリットがありません。物件は、週7日・土日祝日も営業できるところを選びましょう。
立地
デリバリースタッフは駅前付近で待機しているケースも多いため、駅から遠すぎない物件を選ぶのが良いでしょう。
間借り
「間借り」は、既存の飲食店の空き時間を借りる形態です。
間借りの場合には、キッチンスペースだけを借りてデリバリーのみを行う使い方と、飲食スペースも借りて、モーニングやランチ営業をする使い方があります。
間借りは、物件の所有者が誰かによって注意が必要です。
①店主自身が物件を所有している場合
店主自身が所有している物件であれば、直接条件を決めることができます。
②注意!店主が賃貸でテナントを借りている場合
テナントが賃貸物件の場合、間借りは転貸(又貸し)という扱いになり、物件オーナーに無断で行うことはできません。
事前に物件オーナーの承諾を得る必要があります。
また、後々のトラブルにならないように、転貸の条件、備品の修繕や光熱費など、契約について細かく取り交わしておきましょう。
シェアキッチン
1つの厨房を同時に複数の飲食店が共同利用する場合と、1つの厨房を複数の飲食店が時間や曜日ごとに入れ替わりで利用する場合があります。
デリバリーサービスに特化した新しい飲食店の業態を「クラウドキッチン」と言います。
ゴーストレストラン専用物件
ゴーストレストラン用に設備を整えてくれている物件も出てきています。ゴーストレストランには以下のような形式があります。
・シェア型キッチンを提供する不動産型
・複数の自社ブランドを自社で展開する直営型
・既存の飲食店にノウハウを提供するフランチャイズ型(副業型)
電話番号を取得
注文を受けるための電話番号を用意します。私用とお店用の番号は分け、端末を別に持ちましょう。お客さまからの信頼につながります。
Wi-Fi環境
ゴーストレストランに必須のデリバリー代行アプリは、Wi-Fiを使ってタブレット端末で受注します。ポケットWi-Fiやテザリングで通信することもできますが、インターネット利用料金を考慮するとWi-Fi環境が整っていることがマストです。
UberEatsへの登録(説明会に参加)
デリバリー代行アプリに登録
自作のホームページやSNSでの注文を受けることもできますが、宣伝範囲が限られてます。
多くのユーザーを抱えるデリバリー代行アプリへの登録を必須でしょう。広範囲への宣伝・集客ができるうえ、配達員や配達用バイクを準備する必要もなくなりますす。
サービスによっては申請してから登録まで数ヶ月登録までに時間が必要なケースもあります。そのため、開業する前にどの程度の準備期間が必要なのか事前に調査をして登録を検討するようにしましょう。
代表的なデリバリー代行アプリ
「Uber Eats」「楽天デリバリー」「出前館」「LINEデリマ」など
ホームページやSNSの開設
ゴーストレストランを運営していくのであれば、ホームページやSNSを開設しましょう。SNSで認知度が高くなれば、集客を期待できます。
テンポスでは、飲食店様向け無料ホームページ作成サービスを行っております。
レジシステムを用意
レジシステムは、自前で用意しても構いません。間借り先のレジシステムを借りる場合、お金の管理が複雑になるためです。
支払いをシンプルにしたい場合は、専用のレジシステムを導入しましょう。
間借り・シェアキッチンのゴーストレストランの注意点
備品や設備のトラブル
お皿やグラスなどの備品を破損させた場合の処理方法や対応をあらかじめ確認しておきましょう。
不注意で紛失・破損してしまった備品への対応の取り決めも忘れず確認しましょう。
契約時に、全額弁済するのか、一部弁済でよいかなども確認してください。
共有スペースのトラブル
ゴーストレストランでは調理器具はもちろん、フードパックや割り箸、手提げ袋などの備品を置くスペースが必要です。
内覧時には、自分たちのものを置くスペースをの確認をしましょう。冷蔵庫のスペースはどこまで使っていいか、シェアNGの場合は冷蔵庫や冷凍ストッカーを持ち込めるスペースがあるかは必ず確認しましょう。
食材管理のトラブル
他ユーザーのストックしている食材を勝手に使ってしまった、共用の食材をダメにしてしまった、調味料をこぼして汚してしまったなど、食材の管理に関するトラブルも多いです。
間借り先のお店やシェアレストランの他ユーザーと一緒に、ミスをしたときの賠償内容、取り決めを決めておきましう。
お金のトラブル
金銭管理は、双方の信頼関係のためにも最も注意を払う必要があります。
既存店のキッチンを間借りする場合、レジシステムも使わせてもらえることがありますが、レジや金庫は別に用意し、お金の管理は徹底して分けるようにしてください。
キッチン使用料の支払いについても、支払い期日を厳守することや、余裕を持った資金繰りをすることなどを心がけましょう。
ゴミ捨てのトラブル
料理後に出たごみは、適切な日に、適切な場所へ捨てましょう。
家賃とは別に「ゴミ回収費用」を徴収される場合もあるので、内覧時に確認するようにしましょう。
間借りやシェアキッチンを利用する場合、思うように厨房を利用できないこともあります。厨房自体の使用時間や、オーブンといった調理機器の使用時間にも制限が出てくるかもしれません。また、冷蔵庫や倉庫の保管スペースが十分でないかもしれません。いつどのような調理をするのか、どのくらいの食材を保管しておきたいかといった要件を明確にして、レストランのスタイルに合う厨房をみつける必要があります。