飲食業界において大きな課題とされているのが、人材、人手不足です。
他業種と比べて正社員の応募が中々来なかったり、パートやアルバイトがすぐにやめてしまったりなど人手不足に頭を抱えている店舗は多いかと思います。そこで今回は、人手不足になってしまう原因からその対策、人材を確保するために他のお店が取り入れている事例をご紹介いたします。
今後人材を増やしていくためのヒントになりましたら幸いです。
目次
飲食店での人手不足の原因
帝国バンクによる2021年10月の企業調査によると正社員が人手不足と感じている企業は43.8%となっています。
対して非正規雇用が不足している企業は25.1%となっています。飲食店は非正規雇用が不足している割合が一番高く、63.3%となっています。9月に行われた調査では44.1%だったため、人手不足が加速していることがわかります。
(参考: 帝国データバンク |人手不足に対する企業の動向調査(2021年10月))
どんなことにも原因はつきものです。
飲食店での人手不足にはどんな原因があるのか、主な要因を紹介していきます。
コロナウイルスによる影響
コロナと人手不足は切っても切り離せない関係になります。
コロナが流行した当初、緊急事態制限等もあり、飲食店は大きなダメージを受けました。営業の中止や営業時間の変更を余儀なくされたからです。
アルコール提供の停止等もあり、客足が落ち込んだことで、アルバイトやパートを含む人員の調整が必要になったのです。
しかし、コロナによる規制の緩和も行われ、客足も戻りつつあります。
客足が戻ることで、人員が再度必要になる店舗が多く、人手不足を感じるお店が増加しています。
給与水準
正社員に限った話になりますが、給与水準が低いことも人手不足の要因の一つです。
学生のアルバイトから見ると、時給は高く感じるところが多いかと思いますが、長く働き続ける正社員での給与を考えると安く感じてしまいがちです。
飲食業は社員が少ないこともあり、シフトが上手く回らず長時間労働、サービス残業に繋がるケースが多く、労働時間に対する給与が見合わないと感じる人も多いのではないでしょうか。
環境
一般的には土日休みな企業が多いかと思いますが、飲食店は土日祝日での営業が多く、シフト制のところが多いため、休日が不規則になってしまうケースが多いです。
また、祝日やGWといったイベント時に売上を作ろうとするため、他の企業に比べて年間の休日数が少ないのが現状です。
休みが取れず拘束時間も長いため、結果長続きせず辞めてしまう。残った従業員で回すしかなくなり、1人の負担が大きくなってしまう。そうした悪循環に陥ってしまう飲食店は少なくないと思います。
アルバイトやパートもワンオペ対応やサービス残業、クレームなどが発生しやすく肉体的にも精神的にもきつくなり、定着率が低いのが現状です。
人手不足の対策
働くにあたって給与や環境といった部分で悪い印象を持たれてしまっている飲食店ですが、人手は確保しないといけません。
そこで、ここでは人手不足の対策方法を紹介していきます。
福利厚生、労働環境の見直し
人手不足の原因としてよく挙げられるものとして、給与水準の低さと労働環境が悪いということを紹介しましたが、この2つを設定しているのは飲食店側です。
改めて見直す必要があるかもしれません。社員の給与を増加したりアルバイトの時給をあげたりなどを思い切ってしてみるのも1つの手段かもしれません。
しかし、給与をあげる際にはお店の売上や他の費用を考えた上で行うようにしましょう。
労働環境についてもやり方はたくさんあります。長時間労働、拘束時間を防ぐために、お店の営業時間を短縮することや、定休日を設けることも対策の1つかと思います。
飲食店に限らず、コンビニでも「働き方改革」によって24時間の長時間営業を取りやめた店舗も多くあります。飲食業界に限らず、従業員の人手不足は多く発生しています。
営業時間を制限する、定休日を設けることは決して悪いことではありませんので、一度検討してみてはいかがでしょうか。
とはいっても、営業時間の変更は大きな決断になり、すぐには変えられない場合も多いでしょう。
そのため、人手不足を起こさせない仕組みづくりが一番大切になってきます。
仕組みづくり
それぞれの業務内容において必ずしも人がやらなくてもいいものもあります。
最近ではお客様自身でやってもらう、機械が自動でやってくれるといった人件費を削減するためのシステムを活用することで、人手不足を解消する店舗も少なくありません。
例えば、お客様からの注文1つとっても都度従業員が注文を聞きにいくのではなく、各席にタブレット端末を設置してお客様自身で注文して頂くというシステムを導入している飲食店も少なくありません。レジもセルフレジを導入して、お客様自身でやってもらうお店も増えてきています。
オーダーやレジに限らず、商品を運ぶのも機械でできます。焼肉屋さんや回転寿司で多く見受けられるのが配膳レーンです。機械で注文しレーンのベルトコンベアで商品が運ばれてくるという仕組みです。これにより、特別な呼び出し以外対応することがなくなるため、少ない従業員でもお店を回すことができます。
機械やシステムは導入すれば効率も上がり便利ですが、初期費用はかかります。この費用を懸念されるオーナーさん、店長さんは多くいるはずです。しかし、長い目で見ればこういったシステムを導入してもいいのではないかと思います。
是非一度考えてみてはいかがでしょうか。
求人媒体、募集の仕方
求人に載せて募集することも人手不足を解消させる方法の1つです。
しかし、募集要項が漠然となっていたり、そのお店がどういう人を募集しているのか明確にわからないと求職者側も働きたいと思わず、中々応募がきません。
そのため、他のお店との差別化であったり、お店がどういう方を求めているのか、業務内容をわかりやすく簡潔に記載するなどして求職者の目に止まる求人にすることが大切です。
また、外国の方や高齢者を雇用するお店も増えてきています。
近年では、日本に留学してくる外国人も増えてきています。また高齢者の場合は定年を迎えてもまだまだ働きたいという方は多くいますので、募集して雇用するのも1つの手段かと思います。
人材確保のための施策事例
給与や環境を変える、求人媒体といった募集に関しての見直しなどに目を向けることは大切なことです。しかし他にも人材確保のために工夫されているお店もはあります。
ここでは、人材確保のために実際に行われているものを紹介していきます。
退職金制度
飲食店に限らず退職金が発生しないという企業は最近では多く見受けられます。
最近の若い世代では退職金はなくて当たり前と思っている方もいるのではないでしょうか。
そこで退職金制度を設けることで、長く働いてもらえるような環境を作ることで人材を確保するお店もあります。
退職金制度が減ってきているからこそ導入してみてはいかがでしょうか。
まかない飯
まかない飯は飲食店ならではかと思います。
長い労働時間で食べられるまかない飯は働く側にとってはうれしいことだと思います。
そのお店のオリジナルを売りにすることもできる上に他では簡単にマネできるものではありません。まかない飯が楽しみで働き続けてくれる方も中にはいるのではないでしょうか。
働く人とのコミュニケーションにも繋がりますし、料理開発にも活用できるので是非参考にしてみてください。
数量限定販売
営業時間を決めたうえで食材の調達や料理の品数を考える方もいるかと思いますが、逆に提供できる料理の品数を先に決めてしまうことで従業員の長い拘束時間というところを解消することもできます。
販売する品数を売ってしまえば営業時間に限らずお店を閉店せざるを得なくなります。またお客様にも「〇〇食限定販売」という告知をすることで集客効果にも繋げることができます。
コロナの影響により営業時間が制限されてしまっている今だからこそ、限定販売という形で行ってみるのもいいかもしれませんね。
まとめ
web社会になっている今、求人媒体も増えてきています。人手不足を解消するために、より多くの求人に掲載し、より多くの求職者に見てもらうことで人材を増やそうとすることが一般的でした。しかし、今では24時間営業を廃止したり、人材を増やすだけでなく、機械を導入することで人手不足を解消することも対策としてあがってきました。
人手を増やすことも必要なことかと思いますが、少ない人数でいかにお店を回すか、かつ従業員が無理せず気持ちよく働いてもらうためのにはどうしたらいいか考えることが人材を確保するためのポイントなのかもしれません。今回の内容で少しでも参考になれば幸いです。
最後に
テンポスグループでは飲食店向けに人手不足を解消するサービスを取り扱っています。
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