開業資金が少なくても大丈夫!飲食店開業の手順とオススメの方法

出店・開業

飲食店を開業する上で必要不可欠でありながら、多くの方々が用意することに苦労するものの一つに開業資金があります。これから飲食店を始めようとしている方のなかには、「開業資金を出来得る限り抑えたうえで、飲食店を開きたい」という方々も多いのではないでしょうか。

この記事では、これから飲食店を開業しようと考えている方に向けて、飲食店を開業するのに必要な資金額や、飲食店を開業するための手順についてご紹介します。

開業資金とは

開業資金は、設備資金と運転資金に分類されます。以下の記事では資金ごとの特徴や平均金額について解説します。

設備資金とは

設備資金とは、名前の通り店舗を開業する上で必要となる設備や厨房機器、調理道具等を購入するための資金を指します。

設備資金の内訳

設備資金には物件の購入費用、内装外装の工事費用、厨房機器、備品の購入費用などがあります。設備資金として融資を受ける場合はそれぞれの見積書が必要となります。

また、設備資金は年々減少しており、2020年の設備資金の平均値は989万円と日本政策金融公庫による調査開始以来、最も少なくなっています。設備資金の内訳としては、500万円未満での開業が47.3%となっており、500万円~1000万円未満が27.3%を占めています。500万円未満での開業の割合は日本政策金融公庫の調査が開始されて以来最も高くなっています。

参考:日本政策金融公庫2020年度新規開業実態調査

運転資金とは

運営資金とは店舗を開業した後に必要とされる資金を指します。

運転資金の内訳

運転資金の内訳としては、食材や備品の仕入れ代金、人件費、家賃、水道光熱費、広告宣伝費などがあります。運転資金については、毎月の売上でまかなうことが出来ると考えている方も多いのではないでしょうか。

しかし、クレジットカード決済の場合は、現金取引と異なり、売り上げの発生日にはすべて売掛金として処理されます。一方で運転資金のように買掛金として支払いが後日に発生する場合、必要な時に手元に資金が残らないことも考えられます。

このように売掛金が入金されるまで、必要な材料費などを補うために運営資金があります。

開業資金ゼロとはどのような状態か

開業資金ゼロというのは、上記で触れた開業資金及び運転資金が枯渇している状態を指します。ほとんどの場合は、開業資金がゼロの状態では店舗の運営どころか開業すらままなりません。

そこで役立つのが、日本政策金融公庫や地方金融機関から融資を受けることです。組織によって、様々な融資条件がありますが、条件を満たしていれば、飲食店の開業に必要な資金を借りることができます。

以下では、日本政策金融公庫による融資の種類と融資条件について解説します。

意外と知らない!?融資を受けて開業する方法!!

日本政策金融公庫の融資を受ける

日本政策金融公庫とは日本経済の成長や地域活性化への貢献を目的として、創業される方や中小企業・小規模事業へ融資を行っている政策金融機関です。

融資先数は4.4万企業、平均融資金額は102百万円、融資の約5割が融資期間5年と返済計画の立てやすい長期融資となっています。

この他にも財務診断やSWOT分析などの経営に役立つアドバイスや同業他社の成功事例といった経営をするうえで役立つ情報の提供も行われています。

新創業融資制度

新創業融資制度では新たに事業を始める方に対して事業開始後に必要となる設備資金や運転資金のために幅広く融資が行われています。担保・保証人については原則として不要ですが、対象者と自己資金の要件が設定されています。

メリット

新創業融資制度を利用することで、無担保・無保証で最大3000万円までの融資を、申し込みから1ヶ月程度と早い期間で受け取れます。また、通常の金融機関からの融資と比較すると金利が安く、返済までの期間が、設備資金の場合は20年、運転資金の場合は7年と長期間に設定されています。

デメリット

通常の金融機関の融資制度と比較すれば利率は低くなることが多いですが、日本政策金融公庫における他の融資と比較すると無担保である分、利率が高くなります。

融資の要件について

新創業融資制度では2つの融資要件が設定されています。

1つ目の要件は「新たに事業を始める方または開業後2年以内の方」です。なお、新しく事業を始める場合は、適正な事業計画を作成しており、審査の際に事業を遂行するための能力が十分であると認められる必要があります。

2つ目の要件は「新たに事業を始める方または開業後1年以内の方を対象とした自己資金要件」です。この条件に該当する場合は、融資金額の10分の1以上の自己資金を用意する必要があります。

ここで問題となるのが自己資金が指す範囲です。どこまでを自己資金とすることができるかを知らなければ、融資の際に要件を満たさない事業者として審査の際にマイナスの印象を与えてしまいます。

自己資金とは

自己資金として認められるには、出所が明確であることと、第3者へ返済する必要がないことが大前提です。出所が明確でない資金は審査の際に細かく確認されるため、注意が必要です。自己資金の具体例としては以下のものが挙げられます。

・通帳に記載されている貯金

・退職金

・生命保険の解約金

・自己資産(不動産など)を売却して得た現金

融資を受ける際の注意点

新創業融資制度を受ける際に注意することはいくつかあります。

1つ目は前述の自己資金についてです。家族や友人から贈られた資金だとしても借入金とみなされる可能性があります。自己資金の中に出所が不明の資金があれば、金融機関からの信用にもかかわるため細心の注意が必要です。

2つ目は融資の金額についてです。融資を受けるためには「その資金がなぜ必要か」「どのような用途で使用するか」を明確に説明できる必要があります。融資金額を適当に決めれば、計画性がない事業と判断され、審査に落ちる可能性が高まります。

3つ目は融資の用途についてです。受けた融資は、必ず金融機関に申請した事業に使用しましょう。融資金額の使用先について金融機関に報告する際に、別の用途に使用していれば、融資の返還を求められる可能性があります。また、信用にかかわる問題であるため、今後の融資を受けられなくなる可能性もあります。

新規開業資金

新規開発資金では新たに事業を始める方や事業開始後7年以内の方を対象者としています。

特徴としては、「地域おこし協力隊の任期を終了していること」や「Uターンにより地方で新たに事業を始める方」を特別利率の条件としており、地域活性化に貢献できる事業者に向けた制度となっています。

女性、若者/シニア起業家支援資金

女性、若者/シニア企業家支援資金では事業開始後7年以内の女性の方や35歳未満か55歳以上の方を対象者としています。

特徴としては、名前の通り、女性やシニアの事業者に特化した融資制度であることが挙げられます。

まだ間に合う!!開業費を抑える方法とは

店舗開業費を抑える方法

飲食店を開業する多くの人は融資を利用していますが、本記事で紹介した新創業融資制度は毎月の返済を求められます。融資を受ければ、毎月の返済額も増加します。融資も大切ですが、開業費や運転費を抑えるためにできることを実践していきましょう。

物件選び

物件には大きく分けてスケルトン物件と居抜き物件があります。

スケルトン物件とは建物の内装や外装を除いた躯体だけの物件を指し、居抜き物件とは設備を残したままにしてある物件のことを指します。

開業費を抑えたい場合は、当然ですが居抜き物件を選ぶべきです。スケルトン物件では内装、外装費や厨房設備やその他備品など自身で用意するものが多く、余計に資金が必要になってしまいます。

厨房設備

居抜き物件にすれば、前の使用者が使用していた厨房設備を利用することもできますが、故障していることもあるため、ある程度は自前で厨房設備や備品を用意することを念頭に置いておいた方がいいでしょう。

厨房設備の購入費を抑えるには、テンポスドットコムなどの中古厨房機器を取り扱っている店舗やウェブサイトから購入することをお勧めします。

まとめ

まとめとして、開業資金ゼロで飲食店を開業するのは難しいですが、ある程度の自己資金を用意することができれば、日本政策金融公庫などの金融機関から融資を受けることが可能です。
そのためには融資に必要な自己資金や事業計画書などを用意する必要があります。

また、融資だけに頼らず「開業費を抑えるために居抜き物件を利用する」「中古品やリース商品を利用する」「内外装費の工事を自分で行う」ことで開業費を抑え、返済に困らない事業計画を立てていきましょう。

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