店舗賃貸借契約書は実は2種類!? 飲食店が結ぶ賃貸借契約それぞれの解説、注意点 【教えてふ~みん!】

経営ノウハウ

みなさまこんにちは!ブログ執筆者の自称ふーみんです。

今回は、飲食店のみなさんが締結する不動産賃貸借契約について、解説致します。
みなさん、実は不動産賃貸借契約には大きく分けて2種類存在することは、ご存じでしょうか?

【普通賃貸借契約】【定期借家契約】の2種類が実は存在します。それぞれにメリット・デメリット、注意点が存在します。

何も予備知識無しに契約をしてしまうと、数年後にこんなはずでは、、ということにもなりかねません。実際に店舗を探して不動産契約を締結する際には、よくよく確認の上、契約書に署名・捺印することをお勧めします。以下、内容の解説となります。

前回のコラムはこちら:「物件の賃料が決まれば損益収支が分かる?飲食店の損益計算の出し方」

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2種類の店舗賃貸借契約について

冒頭記載の通り、店舗賃貸借契約書には【普通賃貸借契約】【定期借家契約】の2種類が存在ます。以下に、その成り立ちの背景、それぞれの契約について解説致します。賃貸借契約の根幹を成す内容なので、よくよく注意してください。

普通賃貸借契約とは

普通賃貸借契約とは、いわゆる世の中一般に使われる、従来通りの賃貸借契約です。賃料、契約期間、保証金、礼金など、住居から事務所、飲食店含め、幅広く使用される賃貸借契約です。

以下、借主から見てのメリットです。

●契約方法:書面or口頭での契約も可能(とは言え、基本は書面による契約です)

●契約更新:特段に正当な事由がない限りは更新される
※更新時に新賃料等折り合いつかなくても、法定更新という方法もあり、基本は借主の意思で退去しないかぎりは、ずっと借り続けることができる。

●借主からの解約:契約の定めに従い中途解約可能(半年前予告による解約等が一般的)

●大家からの解約:契約の定めがあれば可能だが、通常は多額の違約金が発生したり、借主の移転先を手当するなど、大家にとってはハードルが相当に高い。

住居でも飲食店でも同じですが、普通賃貸借契約はどちらかと言えば借主の力が強いです。一度借りてしまうと、大家都合で借主をどうこうするのは、なかなか難しいです。これが、昔から今に至るまで広く一般に認識されている賃貸借契約の中身となります。

定期借家契約とは

上記普通賃貸借契約の内容は、借主からすると慣れ親しんだ契約内容であり、一度借りれば居座り続けられるメリットもありますが、裏を返すと大家にとってはデメリットと言える部分もあります。こういったデメリットを解消し、且つ賃貸マーケットを活性化させるためにも、新しい契約の形態が生まれました。

それが、平成12年3月より施行された【定期借家契約】となります。定期借家契約は、上記の借主メリットと照らし合わせて下記の通りです。

●契約方法:書面による契約のみ、且つ「定期借家契約です!」と改めて書面による差し入れが必要

●契約更新:更新せず、契約満了により賃貸借契約は終了となります。もし継続して賃貸借契約の状態を維持したい場合は、新たに一から契約を締結し直すことになります。契約条件等もその際に改めて交渉し直すとなります。

●借主からの解約:原則は解約不可。ただし、契約の定めがあれば例外的に可能だが、基本的には中途解約する場合は、残り契約期間分の残存賃料を支払う等の特約が存在する。借主にとって金銭的な負担が非常に大きく、事実上は解約できないパターンが多いです。
※残存賃料の支払い・・・例えば契約期間3年、1年を迎えて残り2年を残して中途解約したい場合、賃料が10万円だとしたら2年/24ヶ月分の残存賃料(10万×24ヶ月=240万)を支払うことで中途解約が可能

●大家からの解約:原則は解約不可。ただし、契約の定めがあれば例外的に可能だが、普通賃貸借契約の時と同様に、多額の金銭負担など、大家が負担する金銭負担が大きく、事実上は解約できないパターンが多いです。

●その他:普通賃貸借契約と比べて、一般的に定期借家契約の方が契約賃料は安いです。普通借契約との比較で借主にリスクを寄せている部分があるので、そのリスク分を賃料で調整する=普通借契約よりも賃料が低いことが多いです。

定期借家契約が適用される不動産について

次に、どういう不動産の場合に定期借家契約が多く存在するか、以下に解説します。みなさまが入居される不動産(建物)について、どのパターンに当てはまるかご確認ください。

商業施設

一般的に、イ●ンやらら●ーとに代表される商業施設内の飲食店に入居する場合、大半は定期借家契約での賃貸借契約となります。理由は以下の通りです。

・大家からみて、テナントを定期的に入れ替えることで、その時のトレンドに沿った施設のコンセプト作りを行える。
※タピオカ屋が流行ってるからと普通借でタピオカ屋を入れた場合、タピオカブームが去った後もタピオカ屋が残ってしまっていれば、次のブームに沿ったテナントを入居させられない。

・定期的なフロア大規模改装等を行うケースが多いが、定期借家契約なら大規模改装の時期に合わせてテナント退去を促すことは可能だが、普通借契約の場合、その時期を合わせることが難しく、計画通りの大規模改装ができない。

概ね、有名商業施設の場合、上記の理由としてテナントに対しては定期借家契約を求めることが、現在は常態化しております。

築古物件

建物自体の築年数が例えば昭和40年代の築年数の物件の場合、当然に近い将来の建て替えが想定されます。

大家の立場からすると、築年数が古い物件の場合、建物・内部施設等の老朽化が進んでいるため、周辺の新しい物件と比較して不動産としての競争力が低下しております。建て替えをすることで、不動産の競争力を元に戻すことは、大家としての当然の仕事の1つです。

この場合、普通借契約のテナントをいくら建て替えするからと、契約期間の途中で大家都合にて解約を促すのは、上述の通り、金銭負担等のハードルが高いです。

一方、予め定期借家契約で契約を締結しておけば、建て替えの時期に合わせて契約満了を調整すればよく、建て替えもスムーズに行えます。商業施設でもないのに、定期借家契約を求められる場合、建物自体が古いか否かもチェックポイントです。

不動産会社が保有する建物物件

商業施設でもなく、築年数が経過してる訳でもないのに、定期借家契約を求められる場合、大家が不動産会社の場合が想定されます。

不動産会社が事業として不動産を所有している場合、今は純粋大家業として入居テナントから賃料を受領しているが、何かの拍子に事業計画が変更となり、建て替えを行う、もしくは建物を取り壊してマンションを建設する、不動産自体を売却する等、様々なケースが想定されます。

どのパターンになったとしても、普通借契約でテナントが入居していると不動産会社としての事業計画に支障をきたしてしまうので、予め定期借家契約での入居を求められる場合があります。

まとめ

上記で、普通借契約と定期借家契約の違いについて解説しました。2つの違いについて、掘り下げると、本当はもっと細かい違いは多数ありますが、予備知識としては本コラムで記載されていることを頭に入れて、不動産会社と向き合っておけば大丈夫かなと思います。

なお、定期借家契約の場合、賃貸借契約の期間と飲食店が入居時に投資した設備における償却年数の整合性など、クリアする課題はありますが、それは別のコラムで解説させて頂きます。

なお、定期借家契約だからといって過度に身を引く必要もありません。普通借契約と比較して、賃料が比較的安いというメリットもあります。それでも、これ大丈夫かな?など、ご心配事等があれば、お気軽にテンポスまでお問い合わせください。

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