一日の始まりの目覚ましタイムに、のんびり過ごす午後のひと時にコーヒーを飲むという方も少なくはないでしょう。我々の生活に身近に存在しているコーヒーですが、一口にコーヒーと言っても様々な飲み方があります。
その中でも今回は、近年話題になっている「ベトナムコーヒー」についてご紹介します。普通のコーヒーとは違い、甘さの際立つベトナムコーヒーはデザート感覚で楽しめる新感覚のコーヒーです。
目次
新感覚。甘さ際立つベトナムコーヒー
近頃流行り始めているベトナムコーヒー。クセのある苦めのコーヒーに、普通のコーヒーとは違ってミルクではなく練乳を入れて飲む独特な飲み方、コーヒーを入れる時に使う独自のフィルターなど一風変わったスタイルのコーヒーです。
そんなベトナムコーヒーの魅力を掘り下げていきましょう。
そもそもベトナムコーヒーとは?
そもそもベトナムコーヒーとは一体どんなものなのでしょうか?産地や誕生の背景などを見ていきましょう。
ベトナムに定着したコーヒー
1850年代、ベトナム北部にアラビア品種のコーヒーの木を導入して栽培を試みたものの環境に適応しませんでしたが、19世紀頃にフランスの植民地となってカネフォラ種(ロブスタ)が持ち込まれて、この種が高温多湿な地域に適していたことから栽培に成功し大量に生産することに成功しました。
現在ではロブスタ種の生産が90%を超えていて、世界2位の生産量を誇るほどになっています。
何故練乳を入れたの?
べトナムコーヒーの一番の特徴と言っていいのがコーヒーに入れる「練乳」です。
当時ベトナムを統治していたフランス人達がコーヒーを飲むためにミルクを使おうとしたのですが、ミルクを手に入れる事が難しかったために代わりにコンデンスミルク、つまり練乳を使用したのが始まりでした。
クセのある苦味の強いコーヒーには、練乳の他にもマーガリンやココナツオイルを足す人もいるようです。
バター焙煎
因みにベトナムコーヒーに使われるコーヒー豆は焙煎後にバターを豆に染み込ませる「バター焙煎」を行っているのが一般的です。クセのある味や香りをまろやかにするためバターで味や香りを足してしまおうという発想から生まれた焙煎ですが、その甲斐あって美味しくいい香りが楽しめます。
ベトナムコーヒーの淹れ方
それではベトナムコーヒーの淹れ方を見ていきたいと思います。その前に先ずはベトナムコーヒーを淹れるうえで重要になってくる独自のコーヒーフィルターである、「カフェフィン」をご紹介致します。
カフェフィンとは
カップにのせる平たい「下皿」、筒状でコーヒーの粉を入れてお湯を受ける「ドリッパー」、筒の中の粉を抑えるフィルターの「中ぶた」、抽出時に熱を逃さない「上ぶた」の四層構造になっていて、下皿、ドリッパー、中ぶたに細かい穴が沢山開いています。
通常のペーパードリップだと2分で出来るところをカフェフィンでは5分から10分かかってしまうのですが、そのおかげで細かい穴からゆっくりとお湯がカップへと落ちていくことで濃く濃縮された味わいを得ることが出来ます。そのため濃く苦めのコーヒーが出来上がるので、甘めのトッピングがよく合うのだとも言えます。
淹れ方の手順をご紹介
【1】カフェフィンにコーヒーをセットする
この時使うのは中細挽きがベストです。細かすぎるとフィルターを通りぬけてしまい、荒挽きしすぎても詰まって上手く抽出できません。
【2】中ぶたを締める
締め方の調整具合でコーヒーの濃さが変わるのでお好みに合わせて締めましょう。
【3】グラスに練乳を入れる
練乳の入ったカップの上にカフェフィンを載せてお湯を入れる準備をします。
【4】中ぶたの上からお湯を少量注ぐ
お湯を少量注いで、20秒ほどコーヒーを蒸らします。
【5】再度お湯を注ぐ
20秒後にお湯を注いで5分から10分程度待ち、上ぶたをします。
【6】カフェフィンを取る
二層に分かれた練乳とコーヒーをよく混ぜ合わせたら完成です。
アレンジしても美味しいベトナムコーヒー
独特の苦味に甘い練乳を足して飲むベトナムコーヒーには、練乳以外にも足して美味しいものや、飲み方のアレンジが存在します。そんな新感覚コーヒーのバリエーションを見ていきましょう。
アイスでも美味しく
ベトナムコーヒーは他のコーヒー同様冷たく飲んでも美味しく頂けます。アイスにする場合の美味しい飲み方をご紹介しましょう。
アイスコーヒー
常夏のベトナムではむしろこちらの方が一般的といえる飲まれ方とも言えます。苦味が強めのベトナムコーヒーをたっぷりの氷と共に飲むことで渋みが薄れすっきりとした味わいを楽しめます。
通常通りコーヒーを淹れて、たっぷり氷の入ったグラスに少しづつ氷を解かすように入れて飲むのがおススメの飲み方で、練乳と一緒に飲む場合には透明なグラスで練乳の白とコーヒーの琥珀色が奇麗なコントラストになり写真映えする事もポイントの一つです。
大人デザートのアフォガード
アイスクリームに熱々のコーヒーをかけてアフォガードにしてみても美味しいです。この場合、普段よりも濃い目に淹れて渋みとアイスの甘さのマリアージュを楽しみましょう。
練乳と合わせるだけじゃ物足りない。
ベトナムコーヒーには練乳を入れるのが一般的ですが、合うのはそれだけではありません。独特な苦味に合う美味しい飲み方のバリエーションをみてみましょう。
ヨーグルト
コーヒーに酸味と甘さを合わせるヨーグルトは爽やかな飲み口で、今や人気急上昇中の飲み方です。アイスでの飲まれ方が一般的なベトナムコーヒーとしては、冷たく爽やかに飲めるヨーグルトとの組み合わせがいいのは当然と言えるかもしれません。
ヨーグルトと練乳を混ぜ合わせたところにコーヒーを注ぐことでより甘みを感じることが出来ます。
エッグコーヒー
コーヒーにたまごを合わせるという、聞いただけではイメージしにくい飲み方ですが、ベトナムでは馴染み深い飲み方です。練乳とたまごの黄身をふわっふわに泡立てて濃い目に淹れたコーヒーの上に注ぐのが基本的な作り方です。
その味わいは、まるでカスタードを載せたケーキを食べているかのようなデザート感覚の美味しさで、液体のティラミスと言われるほど。見た目にも淡いクリーム色とコーヒーの琥珀色でシックでおしゃれな一品です。
まとめ
さて、ここまでベトナムコーヒーについてその歴史から飲み方、アレンジについて見てきましたが、いかがでしたでしょうか。筆者自身は苦いものが苦手なのであまりコーヒーを飲むことがないのですが、今回ベトナムコーヒーについて知るうちに、飲んでみたくなりました。
苦味と甘さの絶妙なハーモニーで美味しく頂ける一品。カフェフィンさえあればお家でも頂けそうです。カフェやお家でゆっくりとした時間を過ごしながら頂くデザート感覚のベトナムコーヒーを皆さんも是非、飲んでみてくださいね。