時代の変化に伴い、消費者のニーズや市場は変化します。
したがって、飲食店経営においても消費者行動や市場のニーズの変化を捉える必要があります。
変化の中でも消費者の「モノ消費・コト消費」の変化が挙げられますが、具体的にどのような意味なのか、またどのような変化があったのか事例を含めて紹介します。
目次
モノ消費とコト消費とは
モノ消費とコト消費とは一体どういう意味なのか、どのような違いがあるのかを紹介します。
モノ消費とは
モノ消費とは、消費者がお金を払う際に、商品の所有に価値を見出す消費のことを指します。文字通り、「〇〇が欲しい」と思って支払いをし、自分のものにするという消費活動が挙げられます。
コト消費とは
コト消費とは、アクティビティや芸術鑑賞など、特定の時間・人間関係での思い出を、商品を買うことで得られる体験に価値を見出す消費のことを指します。
例えば、エステやリラクゼーション、スポーツ体験、芸術鑑賞などがあります。
時代はモノ消費からコト消費へ
消費者の行動が「モノ消費」から「コト消費」へ移った理由は、モノが不足していた時代に比べて、どこかのお店に行けば購入できる、通販で届く時代へと移り変わったからです。
戦後すぐの日本は生活を豊かにする商品開発が盛んでしたが、現代は欲しいと感じたら、お店に行けば揃うような時代になっています。特定の商品が欲しいと感じる機会は昔より少なくなり、「特定の人とこの時間を共有したいから」と商品を選ぶことが多くなりました。
コト消費が広がった理由
コト消費が広がった理由とは、具体的にどのような理由があるのでしょうか。
インターネットの普及
1つの理由として、インターネットの普及が関わっています。
インターネットが普及する以前は、特定の場所に行かないと購入できないということが当たり前でした。しかし、現在では家からインターネットで操作するだけで欲しいものが手に入る時代です。
特定の商品を手に入れることがたやすい時代になり、その場所に行かなくてもモノは手に入るため、「わざわざその場所に行ってでもモノを手に入れたい」という理由が必要になりました。
インバウンド集客の広がり
外国人旅行客が求めるのは、日本のお土産以外に「日本にしかない文化の体験」「日本でしか食べられない食べ物」「日本でしか見られない自然」を求めます。
逆の立場になってみると分かりやすいかもしれません。
自分が自国以外に旅行するとしたら、その場所でしか経験できないことにお金を払うということもあるでしょう。
新型コロナウイルスが流行する前は、インバウンド向けにさまざまな体験のプランやサービスが新しく企画されていました。
今後、新型コロナウイルスに対策がされた後も、「その場所でしか体験できないもの」として日本に来る外国人旅行客は増えていくでしょう。
飲食店で考えるコト消費
それでは、飲食店でのコト消費とは一体何を指すのでしょうか。
「モノ消費=提供される料理」となりますが、料理以外で選ぶということも多いはずです。
飲食店での事例
消費者のシチュエーションとして、「息子の誕生日に、たまにしか行かないステーキ屋さんに連れて行って、サプライズでケーキを出してもらい、泣いて喜んでもらいたい」と考えるとします。
提供される料理だけでは泣いて喜んでもらうことはできません。
消費者が考えるシチュエーションとして、まずはサプライズに応じてくれるお店の従業員、たまにしか行かないステーキ屋の豪華な内装、家族でゆったり楽しめる席や空間が必要となります。
これは、自宅や他の店では体験できないから、選んだ店で喜ばせたいという選択につながります。
料理に加えてそのシチュエーションに応えることができる飲食店は、数あるステーキ屋からかなり限定的に抽出され、選ばれるはずです。
その場での体験がリピートにもつながる
モノ消費の視点で飲食店を選んだ際に、とてもサービスが良く料理も美味しかった、かつ店内の雰囲気も合間って「とてもよかった」と言ってもらえたとしましょう。
恐らく、また何らかの記念日に来店してもらえるか、口コミ経由で新しいお客様に来てもらえる可能性があります。
料理が美味しいからまた来る、ということももちろん可能性としてはありますが、ほかに美味しいと思った飲食店が現れるとまた来てもらえる可能性は低くなります。
ここの店主さんはよく気をかけてくれて気持ちよくご飯が食べられるというお店と、お店が美味しかったとしても、対応が良くないお店があったとしたら、次はどちらのお店に行くか想像に容易いでしょう。
普段行っている集客販促の方法を見直してみよう
普段行っている集客販促の方法として、初回来店時、または次回来店時の特別クーポンを発行している飲食店も多いです。
そのクーポン内容が、周りのお店にはない内容のものが書いてあることで、「そのお店でしか体験できない体験」として選ばれる可能性が高まります。
ただし、特別な内容のクーポンをずっと掲示し続けていると特別感が薄れるため、3回来店していただいた方に限定するなどが必要ですが、5%OFFなど他のお店でも見たことがある内容のものでは、自分のお店が選ばれる可能性は低くなります。
自分のお店に来てもらえるためにはどうしたらいいかと考える際は、「コト消費」の視点が非常に大切です。
コト消費からイミ・トキ消費へ
さらに、現在はコト消費から「イミ消費」「トキ消費」へ移り変わっています。
イミ消費とトキ消費とは
イミ消費とは、ただ美味しいというだけではなく、消費することで自分が社会に貢献しているということを感じられる体験を指しています。
大手飲食チェーン店では、「SDGs」に取り組んでいるという内容を耳にするかと思いますが、例えば料理に使う油を廃棄するときに自然にやさしい取り組みを行っているなどが挙げられます。自分が食べるときに環境が配慮されているのであれば、大々的に取り組んでいるお店は良い店だとして再来店のきっかけになります。
トキ消費とは、近年流行したSNSの普及による「限定の時間でしか体験できない消費活動」を指します。
現在は、SNSやYoutubeの発展によりその場に行った体験を感じられるようになりました。
そこで、ハロウィンやクリスマスなどその瞬間・場所・人でしか味わえない「時間」の共有を味わうために消費をするという価値に移っています。
お客様と一緒になって飲食店を盛り上げる
では、コト消費からイミ・トキ消費への移り変わりに飲食店はどのように対策すればよいのでしょうか。
意外なことに飲食業界では以前から自然に行われています。例えば、季節ごとのメニューの切り替えやキャンペーン、その時期のイベントに沿った対応などが挙げられます。
しかし、発信が足りなかったり、口コミに値する価値がまだまだ足りず、せっかくキャンペーンを行っているのに認知されないということも多いです。
まずは自身のお店でしか体験できないことを企画したら、SNSやグルメサイト、ホームページなどで発信をこまめに行うことが大切です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
流行するものによって、頻繁に消費者の動向は変化しています。特に現在はその瞬間・場所・人によって価値を見出すという傾向にあるため、唯一性がなく何かの模倣だけでは消費者から見放される時代になっています。
今後も、新型コロナウイルスによって消費者の求める価値が大きく変化しています。
常に消費者が何を求めているか注視して、対策をする必要があるでしょう。
また、「モノ消費」は知ってもらうことが必須条件です。
認知されるために、SNSで拡散したり、ホームページを作成して詳細を掲載しませんか?
テンポスフードプレイスではSNS立ち上げ、ホームページ作成を行っております。
自分で運用が難しい、時間がないなどございましたらお気軽にご相談ください。