JR京急本線「京急蒲田駅」から徒歩5分程。飲食店が並ぶ商店街とは反対方向にあるにも関わらず、平日の昼はサラリーマン客でにぎわう「麺場voyage」は、海を意識したラフだけどどこか「おしゃれ」な雰囲気を醸し出す人気店。基本メニューは「ラーメン」に「つけ麺」に「和えそば」。更には、様々な期間限定メニューが顧客を魅了させているヒミツを店主の貝原光さんに探ってみました。
目次
開業までの経緯
貝原さんがラーメン店の開業を志したのは、一般的には就職先が決まり一段落し、最後の学生生活を満喫する時期でもある大学4年生のとき。地元、金沢から東京に上京し、大学に通いながら新横浜のラーメン店でアルバイトを始めました。大学の学園祭で「ラーメン」のお店を出し大盛況となるなど、ラーメンを作る面白さに日々「どっぷり」とはまっていきました。
今でこそ、人気のご当地ラーメンは数多くありますが、上京した当時、地元の金沢に比べ、東京・神奈川に美味しいラーメン店が数多くあり、それもひとつの理由だったそうです。
大学では中学・高校の教員免許を取得し、地元で教員になることも考えましたが、「本当に自分のやりたい事は何か。」と考えたときに答えはひとつしかなかったそうです。
開業に際し、周囲から猛反対されたそうですが、「今までにないラーメン店を作りたい。」という貝原さんの開業への強い想いは揺らぐことなく、卒業後はラーメン店開業のための道へと進んでいきました。
ラーメン店は基本的に、「単一メニュー」を出す業態でトッピングやサイドメニューの数も少ないのが普通です。しかし開業前に、定期預金で開業資金を貯めるとともに、幅広い食材やお酒の知識を身に付けておくことは最低限しておきたいと考え、ラーメン店以外にも居酒屋やバーで5年間の修行を積まれました。そして貯まった開業資金をもとに、2010年の27歳の時にラーメン店「麺場ながれぼし」を南蒲田で開業されたのです。
その後、「麺場ながれぼし」で提供していた「限定麺メニュー」を定番化し、今の場所に「麺場voyage」を開業し今に至ります。
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苦労したこと、失敗したこと、それらを乗り越えたエピソード
正直、毎年苦労の連続です(笑)と冗談交じりに話された貝原さん。
最初の3ヶ月位は全くお客さんが入らず、6月末に開業し8月末には「廃業かな?」と正直感じたそうです。しかし、そこで転機となったのが「取材依頼」が入り始めたこと。それを機にどん底の状態は抜けられたのだそうです。
その後は、様々な期間限定麺や新しいコンセプトのラーメン作りに力を入れました。「新しいメニューに対しお客様がどのような反応をしてくれるのか。」にすごく興味があったのだそうです。お客様が食べた後のスープの残量や顔色などをいつも「ピリピリ」しながら見ていましたが、後の看板メニューになっていきます。
そんな中、どの飲食店をも苦しめた「コロナ」が襲来してきたのです。「緊急事態宣言」時などギリギリの状態を味わった貝原さんを救ったのが、コロナ禍前から取り組んでいた「ラーメンの冷凍販売」と「テイクアウト」。コロナ禍になってから対応しノウハウに苦戦した飲食店が多い中、それまでほとんど売れていなかったのが「うそ」のように売れだします。イベントに出てプラスチック容器に入れてラーメンを提供したこともあったので、不安はなく、保健所の許可など、も見直し、あらゆる対策を先手先手で打っていきました。時には店舗内飲食の売上を上回る日も。
たまたまノウハウがあったからコロナ禍を乗り越えられました。『今後もどういった状況になるか全くわからないので「いろいろなことをやってみる」「挑戦」が大事。』と貝原さんは語られました。
コロナが落ちついた今でもテイクアウトのリピーターが多く、1人で来店され、4~5食のテイクアウトもご購入いただくと、「客単価も一気に上がり本当にありがたいです。」と感謝を述べられる貝原さんでした。
開業してみてはじめてわかったこと
「いろいろなことに対応していかなければいけないということ。個人的には大学まで行っていて良かった。」こう語られるには、飲食店を運営する顧客が目にすることがない裏側の世界の苦労です。
例えば「お店のレポート作成」。エクセルを使って資料を作成するといった基本的なことも知識がないと苦労します。「知らない・出来ない・分からない」で通用する世界ではないですね。
自分で調べ学習する力がないと、思いつかないような問題が起きた時に対処方法が浮かばず苦労するので身に沁みますよ。「柔軟な対応」と一言でいっても、こういったベースがあって初めて対応できるのだと思います。
1~2年目にやらなければいけないこと、3~4年目以降にやらなければいけないことは違ってきます。長くやっていると、様々な情勢の変化があるでしょうから日々考えていかなければならないのでしょうね。
テンポスとのかかわり
大学の頃、1Kのアパートでラーメンをしていたので、寸胴鍋やレードルを川崎店や新宿店で買ったのを覚えています。自宅でスープを作ったりチャーシューを作ったりして、先程お伝えした学園祭でのラーメン販売もここがきっかけです。
最初の「麺場ながれぼし」開業時に、川崎店で中古の厨房機器やうつわを購入しました。また、「麺場ながれぼし」を閉めて今の「麺場voyage」をオープンする際に、テンポスの買取り(造作譲渡)を利用しました。一部ではなく、飲食店に関わるほとんどのことをサポートしてくれるテンポスさんには安心感がありますね。
今後の展望・開業する方へのメッセージ
物価高で大変な時期で、今週もいつも使っている生卵のサイズが指定で手配できず、いつもより大きなサイズが届き、ゆで時間の調整に苦労しました。少し時間が違うと全く別物になりますから。このようにいろいろなことに対応できる心構えをもつことでしょうか。
また、キャッシュレスの時代になってきているので「券売機」を変えようかと。「新しい500円玉が使えない」など、時代の流れには対応していかないといけないですね。「キャッシュレス使えないの?」というお客様もそれなりにいらっしゃいますし。また、外国人のお客様も徐々に戻りつつありますので、ここも先手先手で対応が必要かなと思っています。
最後に開業する方へのメッセージは、シンプルに「頑張ってください。」かな(笑)あらゆる準備をして色々な対応が出来るようにしておかないと、時代の変化にはついていけないですから。
まとめ
初期投資が低く開業がしやすい一方で、トレンドに左右されやすいことから、ラーメン店は3年で7割が閉店すると言われている。そんな中、東京都大田区、蒲田エリアで移転も含め約13年(2023年時点)ラーメン店を営なんできた麺場voyageの店主、貝原さんに創業から現在までの経営の道のりを伺ったところ、いつまでもチャレンジし続ける店主の強い想いがあふれていました。
また、貝原さんの故郷、金沢の文化からヒントを得た最中のアイディアは、斬新な印象でした。
「移店のタイミングで何か新しいものを作りたいと考えた時、地元の食材にたどり着きました。金沢には、最中のような焼き麩(ふ)の入れ物の中に、乾燥させた野菜や調味料を入れ、お湯を注ぐだけでお吸い物ができる『宝の麩』という金沢名物のお土産があります。そこから、今のホタテ最中のヒントを得たのですが、いつもメニュー作りでは、美味しいことはもちろん、感動や驚きをお客様に感じてもらう事を切にしています。だからこそ、他の人とは違う視点で物事を考えるように心掛けています。」と東京で開業されても地元を愛する気持ちの強さが印象的でした。「地元愛」は忘れず持ちたいですね。
ちなみにラーメン店では珍しく、830円までの麺メニューとチャーシューなどのつまみ、そして飲める場所が比較的少ない「ハートランド」のビールなどが2時間飲み放題付きで3,400円(税込)も。「ラーメン+つまみ+アルコール」でゆっくり楽しむのもおすすめです。
テンポスドットコムでは、様々な視点からラーメン店の開業成功を全力で応援します。
自分のお店の業態に合わせて必要なものは何があるのか、詳細を確認することができますので是非ご覧ください!
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#取材協力
店名:麺場voyage
店主:貝原光氏
住所:東京都大田区蒲田4-37-7
TEL:03-6424-5596