東京都・都営三田線板橋区役所前駅から徒歩3分の立地にある、ラーメン店「あさひ町内会」はオープンから1年で人気店となった。店主は、北海道・札幌にある味噌ラーメンの名店で10年以上の修業を積んだ本山敬也さん。後悔のない人生を送りたいとオープンしたラーメン店。しかし、オープンから2カ月後にコロナが・・・。
目次
開業までの経緯
当初は、北海道でオープン予定だったが、修行中にいろいろなラーメン店を回っているうちに、「関東でやってみたい。」という気持ちが強くなり、結果的に、東京での独立は修行先で一緒に働いていた先輩方の後ろ姿が後押し、道を作ってくれて決意したのだそう。
「田舎でやるよりも都心でどれだけできるのか、自分の腕を試したい。」と本山さんは当時を思い出します。
そして、北海道・札幌にある味噌ラーメンの名店で13年ほどの修業を積んだ後、最終的に東京都・「都営三田線」板橋区役所駅前から徒歩3分の立地にオープン。新店ながら「純すみ系都内御三家」の一軒に数えられる「知る人ぞ知る」人気店になったのです。
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苦労したこと、失敗したこと、それらを乗り越えたエピソード
苦労したことといったら、「コロナ」に尽きるとのこと。
2020年2月16日にオープン。ところが、オープンしてわずか2カ月後、2020年4月に第1回緊急事態宣言が発令され、売上はカクンと落ち、給料が無い状態が半年も続きました。
38歳で独立し借金がある状態で、毎日が不安な日々が続きます。行先は見えなかったが、自分だけが厳しいのではなく、周囲の店舗でも同様の声があったので、何とか踏みとどまれたのだそうです。
今後どうなるのか先行きの見えない状態に不安が募っていくそんな時、女性アルバイトスタッフが、「テイクアウトやりませんか?」と言ってきました。最初は本山さんもプライドがあり渋りました。
しかし、その子はまた「テイクアウトやりましょうよ」と言ってきたのです。結果的に彼女に押され、テイクアウトを始めることになりました。すると、すぐにテイクアウトだけで1日3万円売れ、4万円売れる日もありました。予想外の結果に驚きつつ、落ち込んでいた気持ちが高まるのを感じたそうです。
また、味には自信があったので、忘れられないために2か月おきぐらいに限定メニューを試し、外部に発信をし続けた本山さん。
「こういう時には、いろんな施策を仕掛けることが大切。味には絶対の自信があるからこそ、お店を忘れられてしまうことが一番怖い。今どれだけ悪あがきするか、それが未来を必ず明るくするという思いだった。」と振り返ります。
渾身の限定メニュー「20年前恋した味噌ラーメン」を1日10食で販売開始。
今では、定番メニュー化するまでになったが、通常提供しているマイルドな味噌ラーメンと比べて、あえて暴力的な濃さにした中毒になる味噌ラーメンだが、修行時代から、2種類を作ることに抵抗があった本山さん。「1種類で自分が磨き上げてきたものだけで勝負がしたい」と。
しかし、先輩方からの助言や、お客様から「限定ではなく夜も出してほしい。」という声から、土日通しで販売をすることに。すると、売上自体が一気にアップ。それを限定15→20食と徐々に増やすと、それを目当てにお店の前には朝から行列が出来始めたのだそう。
その結果、9月頃に雑誌4社の取材、YouTubeの撮影2件が入り、約半年後にラーメンのレビューを中心に活動しているYouTuberが取り上げてくれるまでに。なかでも当時登録者90万人(今では110万人を超える)のラーメンYouTuberが取り上げてくれたことは大きかったそうです。
そこから「何とかやっていけるかな?」と反転攻勢が始まります。
本山さんは、こうも語ります。「コロナ禍で何か仕掛けた人と、何も仕掛けなかった人では大きな差が出来てるんじゃないかな。」と。
「ステイホーム」が続き日常が始まり、「テイクアウト」と「限定メニュー」というコロナ禍前では決して実施しなかったアイデアが、結果的に「ピンチがチャンス」となりました。
少しは世間から興味を持たれ始めていると感じた本山さんは、さらに自分の思いのたけを綴った動画をSNSに投稿すると、なんと2万回も再生されたのです。
結果的に、2020年10月以降はコロナ禍の中でも、困らない業績に戻ることに。
「売上が上がった理由が何だったのか分からない。しかし諦めずに手を打ち続けてきたことが一つ一つ繋がった結果なのだと思う」と、本山さんは話します。
「テイクアウトを薦めてくれたスタッフに感謝しています。最初にすすめてくれたときは、『少し早いかな』と濁した返事をしていて、“ちょっとしつこいな”とも思っていました。それでも、また言ってくれたんですよね。本当に感謝しています。」と嬉しそうに振り返られました。
開業してみてはじめてわかったこと
「自分の規模はまだまだ小さいな。」と思います。
北海道・札幌にある味噌ラーメンの名店で、当たり前の環境のなか13年修行しているうちは、他の店主の方も同じかと思いますが、「大変さ」が勝り気付きませんでしたが、振り返るとそこから技術など様々な学ぶことが大きく、「楽しかったな」と思います。
「こんなにすごいところで修業をしていたんだな。」と今更ながらにじみじみと感じます。
テンポスとのかかわり
鈴木さんと大脇さんにはお世話になっています。2020年2月の開業前からはもちろんですが、開業後の今でも連絡をさせていただいています。
店舗の工事業者が元テンポスの方で、その先輩が鈴木さん。そして鈴木さんから業務を引き継いだのが大脇さんで、「テキパキテキパキ」と連絡が速くストレスなく進められ、鈴木さんからも「大丈夫?」と来店してくれます。なので、お二人からの依頼は何でもやってあげようと思ってしまいます。
「自分でもドン引きの金額です」と言った上で、内装工事に1700万円をかけたと話す本山さん。もともと居抜きとスケルトンの間の状態だった物件は、厨房区画がとても狭かった。それを広げるために一度、内装を壊して作り直した。それだけで300万円の費用がかかったという。「こんなにお金をかけてと、周囲からは心配されましたが、それでも中途半端でやるくらいならという気持ちでした。これまで時間もお金も全部ラーメン作りに費やしてきました。ここで妥協しては意味がない。それに、へんにお金を残しておくと、うまくいかなかったときの逃げ道になってしまうなと。このお金があるから大丈夫、みたいな。だから、運転資金はしっかり確保した上で、後悔しない店を作りました。」
今後の展望・開業する方へのメッセージ
今は、「店舗数を増やすのではなく、板橋の店舗を守って少しでも良くしていきたい。」と思っています。
これから開業される方へのメッセージとしては、「ピンチの時こそチャンス」ということでしょうか。「どれだけピンチの特に悪あがきしてネタを蓄積させ、ピンチを乗り越えた時にいかに爆発させるか。」
「あきらめないでやり続ければ、きっと報われますよ。」最後の本山さんの言葉が胸に響きました。
ぜひ開業を目指している方は、自分だけが大変なのではなく、他の店主も苦しみ様々な試練を乗り越え今に至っていることを忘れないでほしいです。
また、しいて言うなら「自分の店で頑張ってくれている従業員は大事にしてほしい」ということ。店主になると、雇われていた時と違って、自分一人では何もできません。自分の事やお金のことだけを考えず視野を広く持ち、ゆとりを持つべきだと思います。
まとめ
開業して人気店となった今でも、ほとんど贅沢はしていないという。総菜も割引にならないと買わないよと、ニカッと話す本山さん。
今後は店舗展開するよりも、この店をもっと良いものにしていきたいと考えていらっしゃいます。「本当においしいものをずっと、ずっと追求していく。お客様に喜ばれているか、自分は知らず知らず手を抜いていないか。ひたすら、良いものを作っているか?お客様は喜んでくれているか?」 を考え、100%のものを提供していきたいと力強く話してくれました。
テンポスドットコムでは、様々な視点からラーメン店の開業成功を全力で応援します。
自分のお店の業態に合わせて必要なものは何があるのか、詳細を確認することができますので是非ご覧ください!
#取材協力
店名:あさひ町内会
店主:本山敬也氏
住所:東京都板橋区板橋3-5-1 リビオタワー板橋 1F
TEL:03-6915-5569