京都市バス上七軒より徒歩4分、京都市バス乾隆校前より徒歩4分。
西陣病院さんの北隣にある、かわいい屋号と、カラフルでにぎやかな店先が特徴的な「一期一会」さん。
店内では所狭しと絵や本、だるまさんやオリジナルのグッズなどが迎え入れてくれます。
お食事も、京都産の旬な食材をつかった美味しいものばかり。
アットホームでスタッフの皆さんも明るく楽しく働いていらっしゃいます。
そんな「一期一会」さんの開業までの経緯、苦労したことや失敗したこと、それらを乗り越えたエピソードをお聞きしました。
目次
開業までの経緯
音楽の道から飲食業へ
僕は元々京都市上京区の出身で、今の店は地元に2006年2月10日にオープン。
高校から音楽のバンドをやっていて、ミュージシャンとして音楽の道で生きていくと決めていたのですが、現実の壁にぶつかって飲食店の道へ進むことに。
飲食業界には、21歳から大手ファミレスで3年半働き、チェーン店の合理的な店舗運営を学び、その後は、お弁当やコース料理パーティー料理など、いろんなことに対応する大型飲食施設で働いて、合理的なキッチン運営を学ばれました。
カフェを継ぐことに
飲食業界で働いているなか、25歳くらいで独立を意識し始め、そのタイミングで「カフェの店長をしてほしい」という話が。
それは、個人経営のカフェで、オーナー、アルバイト、私の基本3名で運営していましたが、当時店長をしていた方が退職されたので後を継いでくれないかということでした。
そのため、新規開店ではなくて既に開業していたお店で店長にはなったけれど、オーナーがいらっしゃったのでお店での立場は2番手でした。そこでは、あくまでお店の2番手として個人店を運営するという事の難しさ、仕事の多さを学ばせてもらいました。
その後、「5か年計画を立てて5年後の30歳に独立する」という目標を立てて、ゼロから組み立てていこうと計画していたのですが、結局は1年半で開業することに。
また、当時は、思い立ったらがむしゃらに突き進むタイプなので、寝る時間を惜しんで4社くらい同時に働いていたのだそう。
そこには「調理の技術を学びたい、サービスを学びたい、合理的なことを学びたい」という目的があり、レストラン・和食・コンビニで、ありとあらゆる思い付くものを全部やっていたとのこと。
独立へ
そんな風にがむしゃらに働く中で、2006年に「もう独立したい」という気持ちが芽生え強くなり、結果的に見切り発車的ではあったが開業。
開業に関するスキルや資金に関して5年計画だったところを、最初は3割くらいの状態。7割は準備不足での開業となりました。ただ、まったくのゼロの状態からではなかったのが結果的には良かったとのこと。
一番人気メニュー:ツナと和歌山の梅干の和風ペペロンチーノ 900円(税抜)
一期一会を代表する看板メニュー
和歌山の梅農家さんに南高梅をカスタマイズして作ってもらっている唯一無二の梅干を使用していて、
一度食べたら老若男女問わずみんな虜になる事間違いなし!!
ベーコンとバジルのピザ 1,100円(税抜)
一期一会のピザは生地から手作り!!
チーズと具材のバランスが抜群で何度でもリピートしたくなる飽きない味がみんなを虜にしています。
一期一会のグリーンカレー 880円(税抜)
2023年度 SARAH JAPAN MENU AWARDを受賞した大人気メニュー
「タイで食べるより美味しい。
一期一会のグリーンカレーを食べると他が食べられなくなる。
無性に食べたくなって足を運んでしまう。」
と皆様に大好評の人気メニューです。
本日の和牛ステーキ 1,450円(税抜)
一期一会だからできてしまうこのクオリティと価格。
食べて納得、大満足のスペシャルな一品です。
※上記商品の値段について、消費税は店内飲食時10%・テイクアウト時8%となります。
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苦労したこと、失敗したこと、それらを乗り越えたエピソード
廃墟のような状態からのスタート
開業は2006年2月ですが、開業準備中の2005年12月に物件を契約。
しかし、物件は完全に廃墟のような状態。
前の人が夜逃げをしたらしく、2~3年間使われていなくて、店内はほこりだらけカビだらけ残物だらけ。以前のお店は韓国料理をやられていたようなので、厨房設備もドロドロというかなり酷い状態だったそうです。
そういった状況でしたが「そのまま借りる代わりに家賃を3ヶ月間無料にしてほしい。」という条件で契約が完了。
仲間だと思っていた人に裏切られて
そんな時、準備をしていた開業資金を全部奪われてしまうことに。
自分が猪突猛進していた時に、仲間だと思っていた人から「自分も開業しようと思っているから、一旦お金貸して。先に開業するから開業したら返す」という言葉にだまされて貸してしまったのだそうです。
年が若かったので、何の疑いも持たず信じてしまったとのこと。トータルで300万くらいは想定外の大金。
本来は、そのお金を持って借り入れをする予定だったのに、出来なくなってしまいましたが、別の友人の力も借りて、なんとか借り入れをし乗り越えたのです。
自分たちの力でお店作り
しかし、資金不足状態は続くなかで、内装工事は必要。しかし、業者に依頼するお金はなく、「自分でやるしかない。」と決め、DIYの経験もなかったが、壁紙を貼るなど、必死に手探りでひたすらお店を綺麗にして形にされました。
その頃は、すごく苦しく悲しくて、人間不信にもなりそうだったが、「自分たちだけで店を全てを作り上げた」というのが、人とのつながりを強く感じさせたし、ここまで出来きるんだという自信にもつながった。大変だったけれど、結果的にはその苦労が力になったとのこと。
また、そんな時、厨房機器や残物処理など様々な業者が見積もりに来てくれたなか、見るに見かねた厨房業者が、通常では考えれませんが原価で新品を入れてくれて助かったのだとか。今振り返ると結果的にすべてが良かったと思えるそうです。
いろいろな困難を乗り越えて
2008年にはリーマンショック、東日本大震災、コロナショックと5年に1回くらい大変なことが起きます。
その間にも、狂牛病とか鶏インフルエンザの影響で仕入れる食材の値段が上がったり入手できなくなったり、
また、お客さんが来なくなったりもしたけれど、開業当初が本当に地獄のようだったので「今お店を開けていることが幸せ」だと思えるとのこと。
当時は、今できることを最大限にしようと、お店を綺麗にしたり、やってなかったことをやり始めたりするとか、何をしたらスタッフを路頭に迷わせないようにできるかとか考えたりされました。
その結果、「テイクアウト、仕出し、冷凍食品販売、雑貨販売、お花の販売、他の店のコンサルや、サポートとしてレシピを考えたり、荷物預かりサービス」などその時出来ることを次々したりして乗り越えられました。
テイクアウトの販売は、コロナの前にすでに確立してあったので、そこは自然な流れで店舗売上よりもテイクアウトの売上が上回るという形で移行できたのだそうです。
店内は25席(着席時 30人、立食時 35人)が入れる広さです。
だるまさんやたくさんの本、個性あふれるにぎやかな店内が元気をくれます。
開業してみてはじめてわかったこと
雇われるということと開業するということの違い
松本さんは、開業前は現場にいた立場で、既存の施設に行って仕事していたので、就業時間にお店に行ったら仕事があるのが当たり前。
しかし、自分で開業してからは、「店を開けているだけではお客さんは来てくれない」ということを知ることに。
今のお店は、メイン通りにあるわけでもなく、飲食店が多い場所でもない。
「ここに店がある」という認知をしてもらうという努力がすごく必要だったそうです。
その頃はSNSもほとんどなく、そのため、呼び込みやチラシ配り、町内会の役員になったりしてとりあえず顔を覚えてもらうとか古典的な地道な作業で集客するしかありませんでしたが、その効果で集客は安定することが出来たのです。
結果として、「お店を任される」というのと、「開業して自分で経営をする」というのが全く違うものだというのを身をもって思い知らされることになりました。
また、料理や食材管理は出来るけど金銭管理などは出来ない。ホールマネージャーとかをしていたら金銭管理は出来るけど、調理や食材管理は出来ない。結果的には良い勉強にはなりましたが、「1つの会社でやること全部をミニマム化してすべて1人でやらなきゃいけない」ということに正直びっくりされたそうです。
さらには、最初の半年間は、なかなかご近所さんに認知してもらえなかったとのこと。
また、お店がある場所は、西陣の職人が集まる街で、観光客の方はあまり通らない立地だったので、地元の人に認知してもらえないとなかなか難しいエリアでの開業でした。
テンポスとのかかわり
よく京都店を利用しているとのこと。
開業時は大型機器に関しては知り合いの紹介だったので、テンポスでは、調理道具や消耗品、小物を購入されました。
開業後も、定期的に小物類を購入。19年もやっているとさすがに機器にガタが来て、ガスレンジのバーナー部分は京都店で、台下冷凍冷蔵庫はテンポスドットコムで入れ替えされたとのこと。
また、メンテナンスとかでもお世話になっており、2~3ヶ月に1回くらいの頻度で利用されています。
今後の展望・開業する方へのメッセージ
「変わりながら変わらず居られる」店を目指して
「いつお店に来てもいつも変わらない店である。」という印象を持ってもらうために、自分たちに何が出来るのかを考え、更には「いつ来ても変わらないお店であるように、日々変わり続けるお店であること」を目指して取り組まれています。
同じお客さんでも、10年前にヘビーユーザーだったお客さんが、5年後来た時「やっぱりこのお店は変わらないよね」という言葉を聞けることを目標に日々頑張っているのだそう。
しかし、実際、5年、10年何も変わることなく維持し続けていてもどこか変わってしまう。
人がみんな同じタイムラインで動くわけだから、その人が結婚して子供も出来て久しぶりに京都に帰って来て、来店してくれた時に同じ店だと、やっぱり「変わったな」と思われてしまう。
お店も日々いろんな行動をしていき、「変わりながらも変わらずいられる」というのをキープすることが大事だと思い取り組まれているそうです。
「楽しむこと」を忘れないで
実際に様々なことが100個あるとすると、98~99個は失敗だとかしんどいこと。
しかし、「残りの1つか2つが幸せだとか大成功となり、それが大爆発して残りの良くないこと、失敗したことを忘れられる」くらいの感受性を持つという心構えが必要。
また、個人経営というのはハイリスクローリターンであるのは間違いないので、「楽しむ」ということが大事。自分のお店は、毎日良いことばかり起きているわけではないけど、確実にスタッフ全員、毎日「楽しんでいる」と思っているとのことです。
「自分の直感」を信じて
頭を抱えた時に、コンサルの本などを読んで「メニューを絞る」とか、書かれているようなアドバイスをやってみても、「人がやったことを自分がやっても絶対成功しない」と思うので「自分を信じること」が大事とのこと。
個人で自分のこだわりを持って突き進んで開業するのだから、参考にすることはいいけど「自分の直感を信じて」やって欲しいとのことです。
また、「反対に走っていってアンチなことをやるけど継続できる」というのが、個人店の面白さであり、普遍的なものは大きい会社がやっているので「マニアック」な店があってもいいのではないかとも語られています。
お店オリジナルのイラスト入りのカップやテーパック。
まとめ
入り口から何かがおきそうなワクワク感を抱ける店構え
「一期一会」さんのX(旧Twitter)やInstagramを見ていると、本当に楽しそうにスタッフさんや店主の松本さんが働かれている様子が垣間見えます。
ご自慢のメニューは厳選された京都の食材を使った美味しそうなものばかり。
店内は、カラフルでわくわくする装飾。
店頭ではアジサイなど季節の花々が販売されていたり、スタッフの方手作りの月刊新聞があったりと、楽しませてくれる要素が沢山の「一期一会」さん。
しかし、その道のりは平たんなものではなく、開業前に仲間だと思っていた人に裏切られたり、借りた物件が廃墟だったりと、大変な道のりを乗り越えてこられました。
それらを乗り越えてこられたのは、まさに「一期一会」ともいえる仲間やスタッフさんたちとの出会いでした。
自分たちの力でお店を作り上げ、今も自分たちの力でお店を盛り上げていらっしゃいます。
店主の松本さんは、「変化しながらも変わらず居られるお店作りを」「楽しむということが大事」とお話をしてくださいました。
これは、これから開業する皆様にも響く言葉ではないでしょうか。
『「何年経っても変わらずにいられる」ためには「少しづつ変化している」ことが必要だ』というのは難しいことかもしれませんが、長く愛されるお店を続けるためには大切なことです。
また、「楽しむ」ということは、働くうえで、一番大事なことかもしれません。
大変なこと、困ったことなどが起きて一歩も前に進むことが出来なくなる場面もあるかもしれません。
しかし、そんな時「楽しむ」ということが出来たら、何かいいアイディアも思い浮かぶかもしれません。
どんな状況でも、楽しむことを忘れずに、つらい状況を乗り越えていくということが必要なのかもしれません。
テンポスドットコムでは、様々な視点からカフェの開業成功を全力で応援します。
自分のお店の業態に合わせて必要なものは何があるのか、詳細を確認することができますので是非ご覧ください!
#開業 #出店 #カフェ
#取材協力
店名:cafe 一期一会
店主:松本 剛明(たかあき)様
住所:京都府京都市上京区老松町103
TEL:075-461-0080