【ラーメン店・がちんこらーめん道 柊】大切なのはコミュニケーション。「開店しては廃業して」を繰り返しながら「人と人のつながり」の大切さを見つけた平井さんがつかんだ成功秘話とは?

出店・開業

JR阪和線信太山駅から徒歩10分、大きな看板が目印の大人気店『がちんこらーめん道 柊(ひいらぎ)』。

2012年12月1日に開店。代表の平井孝彦さんが立ち上げ、弟子へと引き継がれた自慢のラーメンは、「支那そばや」の「佐野実」さんからもらった言葉と共に、平井さん自らがイチから作り上げた、代々継承されていく味です。

食べログでは★3.36、ラーメンデータベースでは83.088ポイント(2024年3月25日現在)を獲得するほどの人気ラーメン店となった『がちんこらーめん道 柊』を生み出した、代表の平井さんが、お店を開業するまでに至った経緯や、苦労したこと、失敗から学んだこと、成功に至るまでについてお聞きしました。

開業までの経緯

一通の手紙が人生を変えた

23、4歳の頃、テレビ番組の「ガチンコラーメン道」(1999年から2003年放映)に出演したんです。「支那そばや」の「佐野 実」さんが講師で、その時に応募して一通の手紙で人生が変わったっていう感じでしょうか。
オーディションを経て2,000人の中から選ばれました。2,000分の6のなかにに選ばれたんです。

その頃、アルバイトで働くうちに、雇われ店長までやらせてもらうようになっていたんです。大阪王将が運営する「よってこや」で店長をしていました。
そのテレビの企画が、「優勝したら佐野実の暖簾(のれん)をもらえる」という企画だったんです。

そこで、テレビ出演が決まった時に揉めてしまったんです。「店長やらせてもらいながら、他の店の暖簾をもらいに行くのか」っていうので。
出るのを辞めるか、「よってこや」を辞めるかの選択を迫られました。

そんなわけで「よってこや」を辞めたんです。こんなチャンスはもうないと思って、

悔しさからの再出発

しかし、最終決戦でお客様投票で最後まで残られた今泉さんに3票差で負けてしまいました。
それで、仕事も辞めてしまって、何もない状態で路頭に迷っていたんです。
その時佐野実さんに「甲子園での優勝投手よりも準優勝投手のほうがその後プロとして活躍している。お前もプロの世界に来い」と声をかけてもらって。

それがきっかけで、もうこのまま突っ走ろうと思って。
新横浜のラーメン博物館に出店していた「志那そばや」に弟子入りをしました。
そこで2年間修業しました。

その時出会ったのが「麺屋つくし」の岩崎さん。彼もその当時「すみれ」で修業していて、僕は「支那そばや」で修業していました。
同じラーメン博物館で修行していたっていうところで、同じ学校出身みたいな気分ですね。

本来は、3年経たないと暖簾分けしての独立はできなかったんです。
でも、僕は自分の暖簾を出したかったので、2年で修業を辞めて「ラーメン道 柊」って店を立ち上げました。

本当は1年で修行をやめたかったんですけど。
季節によって違う具材や、季節に合った料理を覚えてから辞めたほうがいいといわれて2年にしました。

開業してからは、「ガチンコ」をフル活用したんですけど叩かれてしまいました(笑)。「ガチンコ」を頼って商売している、とお怒りの電話を受けたりしてしまったんですよね。

それでも、ラーメンに向けては真剣にやってはいたつもりだったんですけど、「ガチンコ」を利用させてもらっていたので流行ったのかと思いますが、そこで調子に乗ってどんどん拡大していってしまったんです。

一番人気ラーメン:柊ラーメン880円(税込)

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苦労したこと、失敗したこと、それらを乗り越えたエピソード

人材教育がうまくいかなかった

苦労や失敗というと、やはり「店舗をどんどん増やしていったこと」ですかね。
どんどん店を増やしたものの、それに見合った人や仕組みが追い付いていなかったので、人材教育が上手くいかなかったりとか。

その頃、「47都道府県を制覇しよう」みたいな意気込みで、各地を転々と回ってイベントで「的屋」みたいなことをしていたんですよ。その間、店舗をおろそかにしてしまったりしたんです。
そのせいで、どんどん従業員がついてこなくなってしまって、そういう状態を繰り返していたんですよね。

「開店しては閉め、開店しては閉め、を繰り返してしまったんです。」と、平井さんは悔しげに言う。
また、そのころに売却の話が出たんです。
結果的に、広げた店、本店を従業員に全部買い取ってもらいました。

「そこで全店無くなりました。」と、平井さんはさっぱりと話す。

育て、繋いでいく

自分は、「イベント行脚」にシフトチェンジしました。
全国行脚でいろんな人に出会いながら、従業員も付いてきてくれて上手くやっていたんです。

分かりやすく言うと、「プロデュース業に変えた」という感じですかね。弟子を育てて、その弟子に自分が立ち上げた店をやってもらう。
そういう形の店が6店舗開業しました。

SNSを勉強して再始動

しかし、コロナがあって、イベント自体が全然出来なくなってしまったんです。3億近くあった売り上げがゼロになってしまった。
店舗がない形態だったので、手も足も出ない状態。

コンサルのようなこともやっていたのだけれど、真っ先に切られてしまいましたね。
「これじゃいかん」と、SNSの勉強をして、動画などの勉強をして動画のアップやSNSを駆使して
「ガチンコラーメン」というところにもう一度テコ入れをして、盛り返しました。

店舗の収入だけでなく、そういったところから店舗外収益を得るようになって。
それをお客様に還元して、というような形でその仕組みを作ったことで店舗もうまくいくようになって、という感じで今は何とかやっています。

また、TikTokとかを使ってようやく軌道に乗りました。

カウンター6席、個室:4名様×4卓、8名席×2卓座敷席:8名卓×2卓

座敷席:8名卓×2卓 ゆったりと座れる個室や座敷が魅力的です。

開業してみてはじめてわかったこと

やっぱりやってみないと分からないことって多いですね。
修業時代は佐野さんのやっていたこととか、税金のこととか勉強しなかった。
経営してみてやったことは、当時では分からなかったことだらけでした。

お金の回し方だとか、開業してみてしかわからなかったですね。
先駆者が言っていたことが今になって分かるなと。
諸先輩方の言うことはよく聞いておくべきだったなと、今になってしみじみ思いますね。

ラーメンだけでなくチャーハンも人気です。

テンポスとの関わり

ほとんどテンポスで備品を買っています。
大阪日本橋が多いですね。
厨房機器も買いましたし、備品も買わせて頂きました。

値段を調べるときはテンポスさんを中心に調べています。
「安い!」中古でも、いいものも多いので助かっています。
器とかも中古でも大して変わらないと思うので。

自分の目で見られてちゃんと試せるというのはとてもいいですね!
価格や品ぞろえは助かっています。

今後の展望・開業する方へのメッセージ

大事なのはコミュニケーション

今後の展望としては「飲食店が儲かる世界を作りたい」という風に思っています。
飲食店が困っているところは「人手不足」だと思うんですが、その解決の仕方として究極たどり着いたところは、「コミュニケーション」だ思うんです、と平井さん。

アルバイトとのコミュニケーション、上司とのコミュニケーション
コミュニケーション能力が高ければ人は辞めない。

言葉の選び方や、気を使うということだけでなく、相手に寄り添えるような、共感を生めるような、そういうものを作っていかないと続いていかない。
飲食店で働いている人たちが、そういうところを覚えていかないとだめかなと思うんですね。と平井さんは力強く語る。

相手にわかれば、相手も気が付いて応えてくれる。
この人は自分のことを考えてくれている、と気が付けるような人間関係の中で、「この人いい人だ」と思ってもらえるように、相手が望む上下関係がきちんと築けることが大事だと思います。

相手がどう思うか、を想像してして言葉を発することが出来るようになることが大事。
「背中を見て付いてこい」では、今はもう通用しない。理屈や結論をきちんと説明してお互いに理解しあうということが大事。

そういうところを牽引できるような指導者になっていきたいと思っています。
「人材教育」が一つのテーマとして存在していますね。

小さい規模から試してみる

開業する人へは「スモールスケールで試してみるべき!」と言いたいです。
お金をかけて大規模で出店する、というよりは間借りでもいいから出店してみて、インスタなんかで宣伝して「とりあえずやってみる」というのが大事だと思う。

勢いでいくというよりは、小さい規模で失敗も最小限で済むように、まずやってみるというのが大事ですね。
自分が勢いで来てしまったので、余計にそう感じますね。

また、佐野実さんに最期にもらった言葉なのですが、
「自分ひとりの力では何もできない。人のつながりを大事にする」
これを今でも大事にしています。と平井さんは感慨深げに語ってくれました。

まとめ

一通の手紙から人生が変わった、と話して下さった平井さん。
店長という立場を捨て、チャレンジしたテレビ出演をきっかけに自分なりのラーメンの追求、そして全国行脚を経て、「弟子を育てて店を任せる」という新たなる形を見つけ出した平井さんが目指すのは「飲食業全体の向上」

ご自身のスキルやノウハウを伝えて新たなる人材を生み出したり、「人材教育」のノウハウを指導していく牽引者になりたい、と仰る平井さんからはこれからを見据える気概を感じました。

これから開業を目指す方は、「小規模からの挑戦」といういいアドバイスを頂けたかと思います。
勢いで大風呂敷を広げてしまう前に小規模でいいから挑戦してみて、自分の強みや弱みを知ることから始めるというのもいいかもしれませんね。

また、既に開業している皆さんにとっては、人材の確保という点で「人と人のつながり」「コミュニケーション」の大切さを再認識できたかと思います。

テンポスドットコムでは、さまざまな視点からラーメン店の開業成功を全力で応援します。
自分のお店の業態に合わせて必要なものは何があるのか、詳細を確認することができますので是非ご覧ください!

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#取材協力
店名:がちんこらーめん道 柊
店主:南 公仁 様
インタビュー:オーナー 平井 孝彦 様
住所:大阪府泉大津市曽根町1-11-27
TEL:050-5592-6268

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