パン屋を開業したい！そう考える人は少なくありません。しかし、実際に開業するまでには、さまざまな準備が必要です。今回は、パン屋開業準備の基本を解説します。
目次
開業までの流れを把握する
パン屋開業までの流れは、大きく分けて以下のとおりです。
開業準備
店舗取得
設備・備品の導入
営業許可の取得
開業
開業準備
開業準備では、以下の項目を検討・準備します。
- コンセプト
- メニュー
- ターゲット顧客
- 資金計画
- 販促計画
店舗取得
店舗取得では、以下の項目を検討します。
- 立地
- 規模
- 内装
設備・備品の導入
設備・備品の導入では、以下の項目を検討します。
- 製造設備
- 販売設備
- 備品
営業許可の取得
営業許可の取得では、以下の手続きを行います。
- 保健所への申請
- 税務署への申請
- 市区町村への申請
開業
開業では、以下の手続きを行います。
- 開業届の提出
- 商品の陳列
- 営業開始
開業資金を準備する
パン屋開業には、初期費用と運転資金が必要です。初期費用は、店舗取得費、設備・備品費、開業準備費、広告宣伝費などです。運転資金は、人件費、原材料費、光熱費、水道費、通信費などです。
初期費用は、店舗規模や立地によって異なりますが、一般的には2000万円～3000万円程度です。運転資金は、売上や仕入れ量によって異なりますが、初期費用の2～3倍程度は必要とされています。
開業資金は、自己資金と借入金で賄います。自己資金が不足する場合は、金融機関から融資を受けることになります。
コンセプトを決める
パン屋開業で最も重要なことは、コンセプトを決めることです。コンセプトは、パン屋の方向性を示すものです。
コンセプトを決める際には、以下の点を検討しましょう。
ターゲット顧客
ターゲット顧客を明確にすることで、コンセプトやメニューが決まりやすくなります。ターゲット顧客を決める際には、以下の点を検討しましょう。
- 年齢
- 性別
- 家族構成
- 職業
- 趣味
- 生活スタイル
ターゲット顧客を絞ることで、その顧客層に響くようなコンセプトやメニューを打ち出すことができます。
提供するパンの種類
提供するパンの種類を決める際には、ターゲット顧客のニーズを満たすものを考えましょう。例えば、健康志向の顧客をターゲットにするなら、素材にこだわったパンや、ヘルシーなパンを提供するといったコンセプトが考えられます。
また、提供するパンの種類は、店舗の規模や立地なども考慮して決める必要があります。
価格帯
価格帯は、ターゲット顧客の経済状況や、競合店の価格帯などを考慮して決めましょう。例えば、高級志向の顧客をターゲットにするなら、高価格帯のパンを提供するというコンセプトが考えられます。
店舗の雰囲気
店舗の雰囲気は、コンセプトや提供するパンの種類を反映して決めましょう。例えば、おしゃれな雰囲気の店舗なら、おしゃれなパンや、カフェスペースを併設するというコンセプトが考えられます。
また、店舗の立地や周辺環境なども考慮して決める必要があります。
以上の点を踏まえて、パン屋開業のためのコンセプトをしっかりと決めましょう。
メニューを決める
コンセプトに沿ったメニューを決めましょう。パンの種類や価格帯、提供するサービスを検討します。
パン屋を開業する際のメニューを決める上での注意点は、以下のとおりです。
ターゲット顧客のニーズを満たす
メニューは、ターゲット顧客のニーズを満たしたものである必要があります。例えば、健康志向の顧客をターゲットにするなら、素材にこだわったパンや、ヘルシーなパンを提供するといったメニューが考えられます。
競合店と差別化できる
メニューは、競合店と差別化できるものである必要があります。例えば、オリジナルのパンや、ユニークなサービスを提供するといったメニューが考えられます。
製造のしやすさやコストを考慮する
メニューは、製造のしやすさやコストも考慮する必要があります。例えば、手間がかかりすぎるパンや、原材料費が高すぎるパンは、採算が取れなくなってしまう可能性があります。
季節感やトレンドを意識する
季節感やトレンドを意識したメニューも効果的です。例えば、季節の食材を使ったパンや、流行りのパンを取り入れるといったメニューが考えられます。
メニュー表や看板でわかりやすく伝える
メニュー表や看板で、メニューの内容をわかりやすく伝えることも重要です。写真やイラストを使って、パンの見た目や味をイメージしやすいようにしましょう。
具体的なメニュー例としては、以下のようなものが考えられます。
定番のパン
食パン、ロールパン、バケット、メロンパン、あんぱん、カレーパンなど
オリジナルのパン
季節の食材を使ったパン、ヘルシーなパン、変わり種のパンなど
スイーツ系のパン
ケーキ、クッキー、マフィン、スコーンなど
サンドイッチやサラダ
ハム、卵、サラダ、フルーツの萌え断など
ドリンク
コーヒーや紅茶、オリジナルブレンドのジュースなど
パン屋開業を目指す方は、これらの注意点を踏まえて、ターゲット顧客に響くようなメニューを検討してみてください。
また、メニューを決める際には、実際にパンを製造して試食してみることが大切です。味や見た目、食感などを実際に確認することで、顧客に喜んでもらえるメニューかどうかを判断することができます。
ターゲット顧客を決める
誰にパンを売りたいのかを明確にしましょう。ターゲット顧客を決めることで、コンセプトやメニューを決めやすくなります。
立地を決める
ターゲット顧客の集まる場所を選ぶ
立地は、ターゲット顧客の集まる場所を選ぶことが重要です。例えば、子育て世代をターゲットにするなら、住宅街や駅前などの人が集まる場所が適しています。
競合店との距離を考慮する
競合店との距離も考慮する必要があります。競合店が近くにあると、顧客を奪われる可能性があります。
周辺環境を考慮する
周辺環境も考慮する必要があります。例えば、道路が狭い、駐車場が少ないなどの環境では、顧客が来店しづらくなります。
賃料や物件の条件も考慮する
賃料や物件の条件も考慮する必要があります。初期費用を抑えたい場合は、賃料が安い物件や、リノベーションにかかる費用が少ない物件を選ぶとよいでしょう。
具体的な立地例としては、以下のようなものが考えられます。
住宅街
子育て世代や主婦層をターゲットにする
駅前
通勤・通学客をターゲットにする
商業施設内
買い物客をターゲットにする
観光地
観光客をターゲットにする
パン屋開業を目指す方は、これらの注意点を踏まえて、ターゲット顧客にアクセスしやすい立地を検討してみてください。
また、立地を決める際には、実際に現地を訪れて、周辺環境や交通状況などを確認することが大切です。
店舗の規模を決める
提供するパンの種類や、想定する売上規模に合わせて、以下の点に注意して店舗の規模を決めましょう。
ターゲット顧客のニーズを満たす
店舗の規模は、ターゲット顧客のニーズを満たしたものである必要があります。例えば、カフェスペースを併設してゆっくりと過ごしたい顧客をターゲットにするなら、ある程度の広さが必要になります。
提供するパンの種類やメニューを踏まえる
提供するパンの種類やメニューも考慮する必要があります。例えば、多くの種類のパンを販売したいなら、ある程度の広さが必要になります。
初期費用やランニングコストを考慮する
初期費用やランニングコストも考慮する必要があります。店舗の規模が大きくなれば、初期費用やランニングコストも高くなります。
将来の拡大を見据える
将来の拡大を見据えて、ある程度余裕を持った規模を決めておくことも大切です。
具体的な規模例としては、以下のようなものが考えられます。
小規模：10坪～20坪程度
中規模：20坪～30坪程度
大規模：30坪以上
パン屋開業を目指す方は、これらの注意点を踏まえて、ターゲット顧客に適した規模を検討してみてください。
また、店舗の規模を決める際には、実際に店舗を運営するイメージを膨らませることが大切です。パンを製造するスペースや、販売スペース、客席など、必要なスペースを把握しておきましょう。
内装を決める
コンセプトに沿った内装を決めましょう。また、機能性も考慮します。
パン屋を開業する際の内装を決める上での注意点は、以下のとおりです。
ターゲット顧客のニーズを満たす
内装は、ターゲット顧客のニーズを満たしたものである必要があります。例えば、おしゃれな雰囲気のパン屋を好む顧客をターゲットにするなら、おしゃれな内装にするのがよいでしょう。
コンセプトを反映する
内装は、コンセプトを反映したものである必要があります。例えば、健康志向のパン屋をコンセプトにするなら、ナチュラルな雰囲気の内装にするのがよいでしょう。
機能性も考慮する
機能性も考慮する必要があります。パンを製造するスペースや、販売スペース、客席など、必要なスペースをしっかりと確保しましょう。
コストも考慮する
コストも考慮する必要があります。内装にかける費用は、初期費用の一部を占めるため、予算をしっかりと立てておきましょう。
具体的な内装例としては、以下のようなものが考えられます。
ナチュラルテイスト
モダンテイスト
ヴィンテージテイスト
カフェ風
パン屋開業を目指す方は、これらの注意点を踏まえて、ターゲット顧客に響くような内装を検討してみてください。
また、内装を決める際には、実際にパン屋を運営するイメージを膨らませることが大切です。パンを製造するスペースや、販売スペース、客席など、必要なスペースを把握しておきましょう。
以下に、内装を決める際に役立つポイントをいくつかご紹介します。
・明るい色を基調にすると、開放感と清潔感を演出できます。
・木材やレンガなどの素材を活用すると、温かみのある雰囲気を演出できます。
・間接照明や照明器具を工夫すると、雰囲気をアップさせることができます。
・グリーンや観葉植物を置くと、リラックスした雰囲気を演出できます。
これらのポイントを参考に、ターゲット顧客に響くような内装を実現しましょう。
設備・備品を導入する
パンを製造・販売するために必要な設備・備品を導入します。
必要な設備・備品を洗い出す
まずは、パン屋を運営するために必要な設備・備品を洗い出しましょう。パンを製造するための機器や、パンを販売するための什器など、必要なものをリストアップしておきます。
コストを検討する
設備・備品の購入には、初期費用がかかります。コストを抑えるためには、中古品やリースを利用することも検討しましょう。
機能性や使いやすさも考慮する
設備・備品は、機能性や使いやすさも考慮して選びましょう。パンを効率的に製造・販売するために、必要な機能を備えた設備・備品を選ぶことが大切です。
安全性も確認する
食品を扱う設備・備品は、安全性も確認しましょう。食品衛生法に適合した設備・備品を選ぶことが大切です。
テンポスではあらゆる設備備品をご用意いたしておりますので是非ご活用下さい。
営業許可を取得する
保健所、税務署、市区町村から営業許可を取得します。
パン屋を開業する際には、以下の2つの許可申請が必要です。
菓子製造業許可
菓子製造業許可とは、パンやケーキ、和菓子などの菓子を製造・販売するために必要な許可です。パン屋を開業する場合は、菓子製造業許可を取得する必要があります。
申請書類は、都道府県の保健所に備え付けられています。また、申請書類の作成方法は、保健所のホームページなどで確認することができます。
工場・店舗の検査は、保健所の職員が行うものです。検査では、食品衛生法に適合した設備・備品が整っているかどうかが確認されます。
許可の交付は、申請書類の審査や工場・店舗の検査の結果、問題がなければ交付されます。
食品衛生責任者
食品衛生責任者とは、食品衛生法に基づいて、食品の製造・販売を管理する責任者です。パン屋を開業する場合は、食品衛生責任者を設置する必要があります。
食品衛生責任者になるためには、以下のいずれかの資格を取得する必要があります。
栄養士
製菓衛生師
調理師
食品衛生監視員
また、都道府県が実施する食品衛生責任者講習を受講して、修了試験に合格することもできます。
食品衛生責任者を設置する際には、食品衛生責任者の氏名や連絡先を、保健所に届け出る必要があります。
これらの許可申請を取得することで、パン屋の営業が可能になります。
開業準備をする
パンの製造や販売、販促など、開業に必要な準備を行います。
ここでは販促について説明します。
ターゲット顧客を明確にする
ターゲット顧客を明確にすることで、効果的な販促活動を行うことができます。
多様な販促方法を組み合わせる
チラシやSNSなど、さまざまな販促方法を組み合わせることで、より多くの人にパン屋の存在を知ってもらうことができます。
継続的に行う
開業当初は、チラシやSNSなどで積極的に販促活動を行うことが大切です。また、開業後も、定期的に販促活動を行うことで、顧客の来店を促すことができます。
具体的な販促方法としては、以下のようなものが挙げられます。
チラシやポスターの配布
店の名前や場所はもちろんのこと、デザインなどからお店のイメージも覚えてもらいましょう。
SNSやWebサイトの活用
X（旧Twitter）、Instagramなどで写真やコミュニケーションを通じて発信していきましょう。
イベントやセールの開催
開店イベントやセールなどを通じてお店を覚えてもらいリピーターを増やしましょう。
口コミの促進
口コミをしていただいた方を対象にクーポンを配るなどして口コミを促進しましょう。
開業する
準備が整ったら、いよいよ開業です。
パン屋を開業したあとの注意点は、以下のとおりです。
顧客ニーズを把握する
開業当初は、顧客ニーズを把握することが大切です。顧客の声をしっかりと聞き、ニーズに合ったパンを提供することで、リピーターを増やすことができます。
品質を維持する
パンの品質を維持することも大切です。パンの味や見た目、衛生管理などに気を配り、常に安定した品質のパンを提供しましょう。
コスト管理を徹底する
コスト管理を徹底することも大切です。材料費や人件費などのコストを適切に管理することで、利益を上げることができます。
継続的に販促を行う
開業後も、継続的に販促を行うことが大切です。新商品の発売やイベントの開催など、定期的に販促活動を行うことで、顧客の来店を促すことができます。
スタッフ教育を行う
スタッフ教育を行うことも大切です。パンの製造や販売、接客など、スタッフのスキルを向上させることで、顧客満足度を高めることができます。
経営状況を把握する
経営状況を把握することも大切です。売上や経費などの経営データをしっかりと分析することで、経営の改善につなげることができます。
これらの注意点を押さえることで、パン屋の経営を成功に導くことができます。
パン屋開業で成功するために
パン屋開業で成功するためには、以下の点に注意しましょう。
・コンセプトを明確にする
・ターゲット顧客を明確にする
・競合店を分析する
・資金計画を立てる
・販促計画を立てる
・人材を確保する
・営業努力を続ける
パン屋開業は、決して簡単ではありません。しかし、しっかりと準備をすれば、成功の可能性は高まります。
まとめ
パン屋開業準備の基本を解説してきました。パン屋を開業するには、初期費用と運転資金の準備、コンセプトの明確化、ターゲット顧客の明確化、競合店の分析、資金計画の立案、販促計画の立案、人材の確保など、さまざまな準備が必要です。
パン屋開業は、決して簡単ではありません。しかし、しっかりと準備をすれば、成功の可能性は高まります。
パン屋開業を検討している方は、ぜひこの記事を参考に、準備を進めてください。
また、パン屋開業には、専門的な知識や経験が必要な場面もあります。わからないことや不安なことがあれば、専門家に相談することをおすすめします。
パン屋開業で成功を収め、たくさんの人に美味しいパンを届けてください。
