目次
パン屋開業にかかる費用
パン屋を開業するには、初期費用とランニングコストの2種類の費用がかかります。
初期費用
初期費用とは、開業する際に必要な費用のことです。具体的には、以下のようなものが挙げられます。
物件取得費:店舗を借りる際にかかる費用
改装費:店舗をパン屋として使えるようにする費用
設備費:パンを製造するために必要な設備の購入費用
開業準備費:開業に必要な諸経費
物件取得費
物件取得費は、パン屋開業にかかる費用の中で最も大きな割合を占めることが多いです。物件取得費は、以下の3つの費用から構成されます。
- 賃料:店舗を借りるための費用
- 敷金:物件を借りる際に預けるお金
- 礼金:物件を借りる際に支払うお金
改装費
改装費は、店舗の状態や内装の仕様によって異なります。店舗が古い場合や、パン屋として使うために必要な設備を設置する場合は、改装費が高くなる可能性があります。
設備費
設備費は、店舗の規模や生産量によって異なります。小規模店舗であれば、シンプルな設備で済むかもしれませんが、中規模店舗や大規模店舗では、より多くの設備が必要となり、設備費が高くなる可能性があります。
開業準備費
開業準備費には、営業許可の取得費用や広告宣伝費用などが含まれます。営業許可の取得費用は、自治体によって異なります。広告宣伝費用は、パン屋の規模やターゲット層によって異なります。
ランニングコスト
ランニングコストとは、開業した後も継続的にかかる費用のことです。具体的には、以下のようなものが挙げられます。
家賃:店舗を借りるための費用
光熱費:店舗の電気代やガス代などの費用
人件費:従業員の給与などの費用
材料費:パンを作る原材料の費用
広告宣伝費:パン屋を多くの人に知ってもらうための費用
ランニングコストは、初期費用と比べて、継続的に発生するため、しっかりと把握しておくことが大切です。
家賃
家賃は、店舗の規模や立地によって大きく異なります。立地が良いほど、家賃は高くなります。また、家賃は、店舗の面積や契約期間によっても異なります。
小規模店舗の場合、家賃は月額10万円~20万円程度が相場です。中規模店舗の場合、家賃は月額20万円~30万円程度が相場です。大規模店舗の場合、家賃は月額30万円以上が相場です。
家賃を抑えるためには、立地や面積を妥協する、契約期間を短くするなどの方法があります。
光熱費
光熱費は、店舗の規模や営業時間によって異なります。店舗の規模が大きく、営業時間が長いほど、光熱費は高くなります。
光熱費を抑えるためには、省エネ設備を導入する、営業時間を短くするなどの方法があります。
人件費
人件費は、従業員の人数や給与によって異なります。従業員の人数が多いほど、人件費は高くなります。また、給与は、経験やスキルによって異なります。
人件費を抑えるためには、アルバイトやパートを活用する、従業員の人数を減らすなどの方法があります。
材料費
材料費は、パンの種類や生産量によって異なります。パンの種類が多いほど、材料費は高くなります。また、生産量が多いほど、材料費は安くなります。
材料費を抑えるためには、仕入れ先を複数にする、まとめ買いをするなどの方法があります。
広告宣伝費
広告宣伝費は、パン屋の規模やターゲット層によって異なります。パン屋の規模が大きく、ターゲット層が広いほど、広告宣伝費は高くなります。
広告宣伝費を抑えるためには、コストパフォーマンスの高い広告方法を検討する、自社で広告宣伝を行うなどの方法があります。
2つの費用の思わぬ落とし穴
パン屋開業にかかる費用は、大きく分けて初期費用とランニングコストの2つです。しかし、この2つの費用の中には、思わぬ落とし穴が潜んでいることもあります。
初期費用の落とし穴
物件取得費
物件取得費の落とし穴としては、以下のようなものが挙げられます。
- 立地にこだわりすぎる
立地は、パン屋の売上を大きく左右する重要な要素です。しかし、立地にこだわりすぎると、物件取得費が高くなってしまう可能性があります。
たとえば、駅前や繁華街などの立地は、人通りや交通量が多く、集客しやすいため、物件取得費が高くなる傾向があります。また、住宅街の近隣や商業施設の近隣などの立地も、比較的物件取得費が高くなる傾向があります。
立地にこだわりすぎると、予算オーバーになってしまう可能性があります。まずは、自分の予算内で出店できる立地を検討しましょう。
- 物件の状態や内装の仕様を十分に確認しない
物件の状態や内装の仕様によっては、改装費が高くなる可能性があります。物件を契約する前に、物件の状態や内装の仕様を十分に確認しておきましょう。
たとえば、店舗が古い場合や、パン屋として使うために必要な設備を設置する場合は、改装費が高くなる可能性があります。また、内装の仕様によっては、自分のイメージ通りに店舗を改装できない可能性もあります。
物件を契約する前に、必ず物件の状態や内装の仕様を十分に確認し、改装費の見積もりを取っておくようにしましょう。
- 仲介手数料や火災保険料などの諸費用を忘れない
物件取得費には、物件の賃料だけでなく、仲介手数料や火災保険料などの諸費用も含まれます。
仲介手数料は、物件の賃料の1~3ヶ月分程度が相場です。火災保険料は、物件の価値に応じて保険料が決まります。
物件取得費の見積もりをもらう際には、仲介手数料や火災保険料などの諸費用も含めて計算するようにしましょう。
改装費
改装費の落とし穴としては、以下のようなものが挙げられます。
- 自分のイメージだけで内装を決める
自分のイメージだけで内装を決めると、使い勝手が悪かったり、メンテナンスが大変だったりする可能性があります。
パン屋として使うことを前提に、使い勝手やメンテナンス性も考慮して内装を決めましょう。
- 予算をオーバーする
改装費は、見積もり通りに収まらないことも少なくありません。予算をオーバーしないよう、事前にしっかりと見積もりを取っておきましょう。
- 専門業者に依頼する
改装は、専門業者に依頼するのがおすすめです。自分で改装する場合は、思わぬトラブルが発生する可能性もあります。
設備費
設備費の落とし穴としては、以下のようなものが挙げられます。
- 最新設備を導入する
最新設備は、便利で機能的ですが、初期費用が高くなる可能性があります。
自分のニーズに合った設備を選び、初期費用を抑えるようにしましょう。
- 中古設備を検討しない
中古設備は、新品と比べて初期費用を抑えることができます。
ただし、中古設備は、故障やメンテナンスが必要になる可能性があるため、注意が必要です。
- リース契約を検討しない
リース契約は、初期費用を抑えることができます。
ただし、リース料は、月々のランニングコストとして発生するため、長期的な負担を把握しておきましょう。
パン屋開業の初期費用は、以下のとおりです。
小規模店舗(20坪程度):1000万円~2000万円
中規模店舗(30坪程度):2000万円~3000万円
大規模店舗(40坪以上):3000万円以上
ランニングコストの落とし穴
ランニングコストには、思わぬ落とし穴が潜んでいることもあります。
家賃の値上げ
家賃は、契約期間中に値上げされる可能性があります。契約時に、家賃の値上げ条件を確認しておくようにしましょう。
光熱費の急増
夏場や冬場は、光熱費が急増する可能性があります。電気代やガス代などの契約プランを見直し、節約できる方法を検討しておきましょう。
人件費の増加
従業員の給与は、経験やスキルによって異なります。従業員の給与が高くなると、人件費も増加します。
材料費の値上がり
パンの原材料は、市場価格の影響を受けます。原材料の値上がりによって、材料費も増加する可能性があります。
広告宣伝費の無駄遣い
広告宣伝費は、効果的に活用しないと、無駄遣いになる可能性があります。広告宣伝の効果を測定し、効果的な方法を検討しましょう。
予算策定のコツ
ランニングコストを把握し、予算を立てることが大切です。
ランニングコストを把握するには、以下の点に注意しましょう。
家賃や光熱費などの固定費を把握する
家賃や光熱費などの固定費は、毎月必ず発生する費用です。これらの費用を把握しておくことで、ランニングコストの全体像を把握することができます。
家賃は、店舗の規模や立地によって大きく異なります。光熱費は、店舗の規模や営業時間によって異なります。
人件費や材料費などの変動費を把握する
人件費や材料費などの変動費は、売上によって変動する費用です。これらの費用を把握しておくことで、売上と収支の関係を把握することができます。
人件費は、従業員の人数や給与によって異なります。材料費は、パンの種類や生産量によって異なります。
広告宣伝費などの特別費を把握する
広告宣伝費などの特別費は、通常の営業活動では発生しない費用です。これらの費用を把握しておくことで、予期せぬ出費に備えることができます。
広告宣伝費は、パン屋の規模やターゲット層によって異なります。
予算を立てる際には、以下の点に注意しましょう。
3~6ヶ月分のランニングコストを用意する
ランニングコストは、開業後も継続的に発生するため、3~6ヶ月分のランニングコストを用意しておくことが大切です。
想定外の出費に備える
設備の故障や、従業員の退職など、想定外の出費が発生する可能性があります。これらの出費に備えるために、予算の余裕を持たせておくようにしましょう。
ランニングコストをしっかりと把握し、予算を立てることで、パン屋の経営を安定させることができます。
ランニングコストの把握方法
ランニングコストを把握するには、以下の方法があります。
過去の帳簿や資料を参考にする
過去の帳簿や資料を参考にすることで、過去のランニングコストを把握することができます。
専門家に相談する
会計士や税理士などの専門家に相談することで、ランニングコストを客観的に把握することができます。
自分で計算する
家賃や光熱費などの固定費は、契約書や料金表を参考にして計算します。人件費や材料費などの変動費は、過去の売上や仕入量を参考にして計算します。
予算の立て方
予算を立てる際には、以下の点に注意しましょう。
ランニングコストをすべて含める
家賃や光熱費などの固定費だけでなく、人件費や材料費などの変動費、広告宣伝費などの特別費もすべて含めて予算を立てましょう。
余裕を持たせる
想定外の出費に備えるために、予算の余裕を持たせましょう。
定期的に見直す
ランニングコストは、売上や仕入れ量などの状況によって変動します。定期的に予算を見直し、必要に応じて修正しましょう。
まとめ
パン屋の開業は、大きな夢と希望を持って挑む人も多いでしょう。しかし、開業後も継続的に発生するランニングコストをしっかりと把握し、予算を立てることが大切です。しっかりとした準備をすることで、パン屋の経営を安定させ、成功へと導くことができるでしょう。
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