近年、コンテナハウスを活用したパン屋の開業が増えています。コンテナハウスは、比較的安価で手に入れることができ、設置や移動も容易なため、コストを抑えて開業したい人や、モバイル型の店舗を展開したい人に人気です。
そこで今回は、コンテナハウスでパン屋を開業するメリットとデメリットをご紹介していきます。
目次
コンテナハウスとは?
コンテナハウスは、貨物を輸送するために使用される大型の箱を活用した建築物です。ホテル、雑貨店、オフィス、住居など、さまざまな用途に利用されています。飲食業界では、そのおしゃれな雰囲気がマッチするカフェやパン屋、コーヒースタンドなどをコンテナハウスで開業する方が増加中です。また、キッチンカーよりも、しっかりとした店舗を持ちたいといった理由からコンテナハウスを選ぶ方もいるようです。
コンテナハウスは、従来型の物件に比べると単純なつくりをしているため、簡単に開業できる、開業費用が安い、移転できるといったイメージがあります。しかし、必ずしもそうとは言えません。コンテナハウスには、耐久性や断熱性、衛生面などの課題もあります。そのため、コンテナハウスの特性をしっかり理解した上で開業を考える必要があります。
デメリットは?
魅力的なコンテナハウスによる飲食店開業ですが、一方で以下のようなデメリットがあることも理解しておく必要があります。
コンテナハウス自体の大きさを変えられない
コンテナハウスは、あらかじめ決まったサイズで製造されています。そのため、パン屋の規模に合わせてコンテナハウスの大きさを変えることができません。
パン屋の規模が大きくなるにつれて、必要なスペースも大きくなります。コンテナハウスのサイズが足りない場合は、複数のコンテナハウスを組み合わせるなどの工夫が必要になります。
意外と建設費用がかかる
コンテナハウスは、初期費用が安いイメージがありますが、意外と建設費用がかかります。コンテナハウス本体の購入費用に加えて、設置費用や内装工事費用がかかるためです。
コンテナハウス本体の購入費用は、コンテナの種類やサイズによって異なります。設置費用は、コンテナの設置場所や方法によって異なります。内装工事費用は、パン屋の規模や内装のデザインによって異なります。
コンテナハウスでパン屋を開業する場合は、これらの費用を十分に考慮する必要があります。
コンテナハウスを設置する土地が必要
コンテナハウスを設置するには、土地が必要です。土地の購入費用や賃貸費用がかかるため、初期費用がかさむ可能性があります。
コンテナハウスを設置する土地は、パン屋の規模や用途に合わせて選ぶ必要があります。また、土地の形状や地盤の状態なども考慮する必要があります。
耐久性に不安がある
コンテナハウスは、一般的に物件よりも耐久性に不安があります。そのため、長く使い続けるためには、定期的なメンテナンスが必要になります。
コンテナハウスの耐久性を調べるには、製造年や使用歴を調べるとよいでしょう。製造年が古いものや、すでに何度か使用されたものなどは、耐久性に不安がある可能性があります。また、定期的にメンテナンスをすることで、耐久性を維持することができます。
断熱性が低い
コンテナハウスは、断熱性が低いため、夏は暑く、冬は寒くなります。そのため、空調設備や断熱材を導入する必要があります。
空調設備は、電気代がかかるため、省エネ効果の高いものを選ぶとよいでしょう。また、断熱材は、断熱性能とコストのバランスを考えながら選ぶ必要があります。
衛生面に注意が必要
コンテナハウスは、密閉性が高く、湿気がこもりやすいため、衛生面に注意が必要です。換気設備を導入したり、こまめに清掃したりすることで、衛生面を保つことができます。また、食品衛生法に沿った設備や手順を整えることも重要です。
食品衛生法に沿った設備や手順を整えるためには、保健所への相談や、専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。
メリットもたくさん!
先程デメリットをお話しましたが、それを超えるメリットもたくさんあり、店舗開業に向いています。ここからはコンテナハウスのメリットをご紹介していきます。
工期が短い
コンテナハウスは、工期が短く済みます。一般的な物件を建てる場合、建築許可の取得や工事期間などにより、半年から1年程度かかるのが一般的です。一方、コンテナハウスの場合は、2~3ヶ月程度で開業することができます。
これは、コンテナハウスは工場で製造された状態で納品されるため、建築現場で行う工事が大幅に省略されるからです。そのため、建築許可の取得や工事期間が短縮され、工期が短く済みます。
また、鉄骨製で耐久性が高いため、重量鉄骨造の物件と同等の強度があります。工事中に地震や台風などの災害が発生した場合でも、倒壊のリスクが低く、安全に工事を行うことができます。
重量鉄骨造でも建設費用が安い
コンテナハウスは、鉄骨製で耐久性が高いため、重量鉄骨造の物件と同等の強度がありますが、建設費用は重量鉄骨造の物件よりも安く抑えることができます。工場で大量生産されるため、材料費や人件費を抑えることができるからです。
また、建築現場で行う工事が大幅に省略されるため、工事費も抑えることができます。
カスタマイズしやすい
コンテナハウスは、内装や外装を自由にカスタマイズすることができます。外装や内装を変更するために、特別な工事や許可は必要ないからです。そのため、パン屋の雰囲気やコンセプトに合わせて、オリジナルの店舗をデザインすることができます。
例えば、壁や床に木材やタイルを貼ったり、壁紙や照明を変えたりすることで、おしゃれな店舗に仕上げることができます。また、コンテナハウスを複数組み合わせることで、広々とした店舗を構えることも可能です。
移転しやすい
コンテナハウスは、解体や組み立てが容易なため、移転しやすいというメリットもあります。パン屋の経営状況に合わせて、場所や規模を変更することができます。
また、コンテナハウスは、軽量で移動が容易なため、運搬費も安く抑えることができます。
個性的な外観で宣伝効果がある
コンテナハウスは、一般的な物件とは異なる個性的な外観が特徴です。宣伝効果が高く、集客力アップにつながる可能性があります。
カラフルな色やデザインで塗装したり壁に絵を描いたりすることで、個性的な外観を演出することができ、街中で目を引く店舗となり、宣伝効果が高まります。
また、一般的な物件に比べてトレンド性が高くユニークな店舗としてSNSでも話題になりやすいため、集客力アップにつながるでしょう。
このように、コンテナハウスでの開業はさまざまなメリットがあります。これらのメリットを活かして、コンテナハウスでパン屋を開業することで、初期費用を抑えながらオリジナルの店舗を構えることができます。
コンテナハウスで店舗を開業するためには
コンテナハウスで店舗を開業するには、以下のポイントを押さえることが大切です。
必要な資格を取得する
飲食店を開業するには、食品衛生管理責任者の資格が必要です。また、集客規模30名以上の店舗なら、防火管理者の資格も取得する必要があります。これらの資格は、自治体指定の講習を受講することで取得できます。
さらに、開業届や食品営業許可証などの書類を提出する必要があります。無資格や無許可で店舗を開業すると、罰則の対象となるので注意しましょう。
開業資金を用意する
コンテナハウスでパン屋を開業するには、以下の費用がかかります。
コンテナハウス本体:100万円~200万円
基礎工事:10万円~20万円
電気工事:10万円~20万円
設備工事:20万円~30万円
内装工事:20万円~30万円
その他(諸経費):20万円~30万円
合計すると、200万円~500万円程度の費用がかかります。
初期費用を抑えるためには、以下の方法があります。
コンテナハウスのサイズを小さくする
内装や設備を簡素化する
自分で工事を行う
ただし、コンテナハウスのサイズを小さくすると、作業スペースが狭くなり、パンを作るのが難しくなる可能性があります。内装や設備を簡素化すると、営業に支障をきたす可能性があります。自分で工事を行うには、専門的な知識や技術が必要になります。
開業資金を用意する際には、これらの方法を検討し、無理のない範囲で計画を立てることが大切です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
コンテナハウスでのパン屋の開業は、初期費用を抑えてオリジナルの店舗を構えることができるというメリットがあり、計画的に開業することで、成功の可能性が高まります。
デメリットも理解したうえでメリットを生かし、自分だけのパン屋をオープンしてみてはいかがでしょうか。
テンポスでは、パン屋開業を目指している方を全力でサポートいたします。