パン屋を開業することは、多くの人にとって夢の実現であり、自身のパンやペストリーを提供することで地域社会に貢献する魅力的なビジネスチャンスです。この記事では、未経験からパン屋を開業するために必要な基礎知識とステップを紹介します。
目次
知っておくべき基礎知識
製パン技術の習得方法
未経験でパン屋の開業をめざす人にとって、製パン技術をどうやって身につけるかということは大切です。パン作りの基礎を身につけるためには、最低でも1年程度の学習が必要と言われています。
また、経験を積むことで、より高度な技術を身につけることができます。
パン屋を開業するにあたって必要な製パン技術の習得方法は、以下のとおりです。
専門学校や製菓学校で学ぶ
専門学校や製菓学校では、パン作りの基礎から応用までを体系的に学ぶことができます。また、実習で実際にパン作りを体験することができるため、実践的な技術を身につけることができます。
パン屋で修行する
パン屋で修行することで、現場で必要な技術や知識を身につけることができます。また、先輩パン職人から直接指導を受けることで、技術の向上も期待できます。
独学で学ぶ
パン作りに関する書籍や動画などを活用して、独学で学ぶこともできます。ただし、独学では正しい技術を身につけることが難しい場合もあるため、注意が必要です。
安定して美味しいパンを提供し、リピーターを増やして行けるように、開業前に基礎技術はしっかり身につけておきましょう。
資格について
まず、パン屋開業にあたって特に必須となる専門的な資格はありません。ですが、パン作りの基礎的な技術や知識が身につくことや、経営や開業に関するノウハウも学べる資格もあり、持っていると有利な資格もあります。
ここでは飲食店を開業するにあたって必要な資格、パン屋を開業するにあたって持っていると有利な資格をご紹介していきます。
食品衛生責任者
食品衛生責任者とは、食品関係施設において製造・調理・販売などが衛生的に行われるよう自主管理を行う責任者のことです。
パン屋だけではなく飲食店を開業するには、最低1名の食品衛生責任者の資格保有者が必要と義務付けられています。各都道府県などの食品衛生協会が実施する養成講習会に参加し、修了すると、食品衛生責任者の資格が与えられます。
飲食店営業許可
パン屋でイートインスペースがある場合、サンドイッチなどの調理が必要な商品を提供する場合は、飲食店営業許可が必要です。
飲食店営業許可は、保健所が物件の構造や衛生管理の設備を審査して、安全な飲食店であることを認定するものです。申請してから取得までは半月程度かかるため、開業に影響がないよう早めに申請しておきましょう。
菓子製造業許可
パン屋を開業するには、菓子製造業許可が必要です。菓子製造業許可は、パンやケーキなどの菓子を製造し、販売するために必要な許可です。パン屋でサンドイッチなどの調理が必要な商品を販売する場合は、飲食店営業許可も必要となります。
許可を得るには、保健所の立ち入り検査を受けて、店舗の構造や設備・器具、衛生管理体制などが適切に整備されていることを確認してもらいます。許可の取得には通常2〜3か月程度かかります。
防火管理者
防火管理者とは、火災による被害を防ぐために、防火計画の作成や消火訓練の実施などを行う責任者です。収容人員が30人以上の飲食店を開業する場合は、防火管理者を選任する必要があります。
延床面積が300平米以上の場合は「甲種防火管理者」、300平米未満の場合は「乙種防火管理者」を選任します。資格取得のためには、各地域の消防署などが実施する講習会を受講します。
あると役立つ資格
パン製造技能士
パン屋開業にあたって持っていると有利になる「パン製造技能士」の資格は取得しておくのがおすすめです。パン製造技能士は国家資格なので、一定のスキルがあることの証明になり、開業時などさまざまな場面で役立つでしょう。
特級、1級、2級と3つの等級があります。特級は学科試験、パンの製造計画を立て安全に作業を行う実技試験で構成されます。
1級と2級には学科試験と、時間内に決められた工程に沿ってパンを作る実技試験も行われます。
パンマイスター
パンマイスターとは、本格的なパン作りの知識と技術を身につけたことを証明する資格です。通信教育で取得できるため、忙しい方でも自宅で学ぶことができます。
マイスターの通信講座では、定番から珍しいパンまで、118種類ものレシピを学ぶことができます。また、経営や開業に関するノウハウも学べるので、パンにかかわる仕事をしたい方にピッタリな資格といえるでしょう。
パンシェルジュ
パンシェルジュとは、パンに関する幅広い知識と技術を身に付けた人を指す言葉です。パンシェルジュの資格は、パンの歴史や原材料、製法、マーケティングなど、パンに関するさまざまな知識を問う民間資格です。
3級、2級、1級の3つの等級があります。
3級はパンのパンの歴史、原材料、製法、種類、マナー、衛生などの基本的な知識を問う試験、2級はパンのマーケティングやトレンドに関することなどの、パンの応用的な知識を問う試験、1級はパンの未来やサービスに関する高度な知識と技術を問う試験になります。
パンに関する知識や技術を身に付けたい人、パン屋で働きたい人、パンの講師として活躍したい人におすすめです。
▼資格についての詳しい記事はこちら
成功へ向けてのステップ
ここからは、パン屋を開業するまでの準備についてお話していきます。
コンセプト・メニューを決める
パン屋開業でコンセプト、メニューを決めることは、成功への重要なポイントです。コンセプトやメニューが明確になっていないと、ターゲット層や競合店との差別化が図れず、集客や売上につながりにくいからです。
コンセプトを決める
コンセプトとは、パン屋の理念やイメージを言います。コンセプトを決めることで、パン屋の方向性が明確になり、ターゲット層や商品、販売方法などが決まってきます。
自分の強みやこだわりを活かす
パン屋を開業する理由は何ですか?パン作りの技術や経験を活かしたいのか、それとも特定の食材や製法にこだわりがあるのでしょうか?自分の強みやこだわりを活かしたコンセプトにすることで、他店との差別化を図ることができます。
例えば、素材にこだわりがある、地域の食材を使いたいなど、コンセプトを大事にすることで他店とは違う魅力が引き出せるでしょう。
ターゲット層を明確にする
パン屋を開業する際には、誰にパンを売りたいのかを明確にしましょう。ターゲット層を明確にすることで、メニューや価格設定、販促方法などを決めやすくなります。
年齢、性別、家族構成、職業、ライフスタイル、嗜好など、さまざまな観点からターゲット層を絞り込んでいきます。
競合店との差別化を図る
すでに近隣にパン屋がある場合は、競合店と差別化を図ることも大切です。コンセプトやメニュー、価格設定などを工夫して、競合店との差別化を図りましょう。
メニューを決める
上記で決めたコンセプトに沿ったメニューにすることで、お店の雰囲気やイメージを統一することができます。
素材にこだわりたい
オーガニックや無添加の素材を使ったパン。
健康志向に特化する
低糖質やグルテンフリーのパン。
手作り感を大切にしたい
少量ずつ丁寧に作ったパン。
ユニークなパンを販売したい
見た目も味もユニークなパン。
地域に根ざしたパン屋を目指したい
地域の食材を使ったパン。
その他にも年に数種類、SNSでトレンドのパンや、季節ごとに旬な食材を使ったパンなどを考案して定期的にメニューが入れ替わることで、リピーター客の増加も期待できます。
資金の準備
パン屋を開業するには、家賃や光熱費、設備費、材料費、人件費など、さまざまな費用がかかります。そのため、初期費用は最低1500万円以上かかるのが一般的です。ただし、居抜き物件などの活用で、費用を抑えることも可能です。
具体的に見ていきましょう。
家賃や光熱費
店舗の立地や規模によって異なります。都心部や大型店舗では、初期費用が高額になる可能性があります。
設備費
オーブンやミキサーなどの製パン機材の購入費用です。新品で購入する場合は、初期費用が高額になる可能性があります。
材料費
パンの原材料費です。パンの種類や量によって、初期費用は異なります。
人件費
パートやアルバイトなどの従業員の給与や社会保険料です。従業員数が多いほど、初期費用が高額になる可能性があります。
パン屋を開業する際には、これらの費用を十分に考慮して、資金計画を立てることが大切です。
居抜きで再利用できる厨房設備や家具がある物件を探したり、厨房設備や空調設備はリースを検討するなど、工夫すれば初期費用を抑えることが可能です。
お金をかける項目の優先順位を決め、必要以上に資金がかからないようにしましょう。
▼資金調達についての詳しい記事はこちら
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は未経験でパン屋を開業する際に、おさえておきたい基礎知識や、資金についてのお話をさせていただきました。
未経験でパン屋を開業することは、簡単なことではありません。
しかし、パンから繋がるお客様との交流や、新しいパンを考案する楽しさに向けて一歩を踏み出すお手伝いが出来ればと思います。
テンポスでは、パン屋開業についてのトータルプロデュースをしています。
パン屋開業についてのご相談・内装・物件などお困りの際は、是非お問合せください。