活気あふれる街並みと豊かな自然が魅力の世田谷区は、飲食店開業を目指す方にとって魅力的なエリアの一つです。
しかし、理想の店舗を実現するためには、資金調達という大きな壁が立ちはだかります。
そこで今回は、世田谷区で飲食店を開業時に融資を受ける際のポイントと、スムーズな開業に向けた流れを詳しく解説します。
目次
世田谷区の開業率は東京23区中9位
2016年度の総務省・経済産業省の調査によると、飲食店を含む中央区の開業率は7%と東京23区内で9位です。
また廃業率は11.5%となっています。
まずは融資、補助金、助成金、それぞれの特徴を知りましょう!
融資、補助金、助成金は、いずれも事業資金を調達する手段として活用できますが、それぞれに特徴があります。
融資
融資は、金融機関から借り入れを行うことです。利子をつけて返済する必要があるため、返済計画をしっかりと立てることが大切です。融資のメリットとしては、資金調達が早いこと、事業の自由度が高いことなどが挙げられます。
一方、デメリットとしては、利子がかかること、返済義務があることなどが挙げられます。
補助金
補助金は、国や地方公共団体などの公的機関から、事業の実施に必要な経費の一部を支給されるものです。返済の必要がないため、利子や返済の負担がありません。補助金のメリットとしては、資金調達が早いこと、利子や返済の負担がないことなどが挙げられます。
一方、デメリットとしては、申請に手間がかかること、採択率が低いことなどが挙げられます。
助成金
助成金は、補助金と似ていますが、補助金よりも受給要件が緩やかであるのが特徴です。補助金と同様、返済の必要がないため、利子や返済の負担がありません。助成金のメリットとしては、資金調達が早いこと、利子や返済の負担がないことなどが挙げられます。
一方、デメリットとしては、申請に手間がかかること、採択率が低いことなどが挙げられます。
それぞれの特徴をまとめると、以下のようになります。
資金調達の主体
融資:金融機関
補助金:国や地方公共団体など
助成金:国や地方公共団体など
返済の必要性
融資:必要
補助金:不要
助成金:不要
利子
融資:必要
補助金:不要
助成金:不要
申請の難易度
融資:やや高い
補助金:やや高い
助成金:比較的低い
資金の使い道
融資:自由
補助金:指定された用途に限る
助成金:指定された用途に限る
事業資金を調達する際には、それぞれの特徴を理解した上で、自社に最適な方法を選択することが大切です。
世田谷区で利用可能な融資・補助金・助成金とは?
理想の店舗を実現するためには、資金調達という大きな課題を乗り越える必要があります。
そこで今回は、世田谷区で利用可能な融資制度、補助金、助成金について詳しく説明し、皆様の開業を後押しします。
融資
世田谷区では、区内での事業展開を支援する目的で、様々な融資制度を設けています。代表的な制度は以下の通りです。
区中小企業融資あっせん制度・創業支援資金
対象者:世田谷区内に事業所を有する中小企業者
融資額:最大2,000万円
金利:実質年利0.3%
返済期間:7年(うち1年間の据置期間)
東京信用保証協会 保証付融資
対象者:東京信用保証協会の保証条件を満たす中小企業者
融資額:最大1億円
金利:融資商品・保証協会によって異なる
返済期間:最大10年
上記以外にも、日本政策金融公庫や民間の金融機関が提供する様々な融資制度があります。
それぞれの制度には、対象者、融資額、金利、返済期間などの条件が異なるため、ご自身の状況に合致する制度を選択することが重要です。
補助金・助成金
融資制度に加え、世田谷区では飲食店向けの補助金や助成金も用意されています。代表的な制度は以下の通りです。
世田谷区 商店街等活性化支援事業
対象者:世田谷区内の商店街等で営業を行う事業者
補助金:最大300万円
用途:店舗改装費、設備投資費、販促費など
世田谷区 食品ロス削減対策事業補助金
対象者:世田谷区内で食品ロス削減対策に取り組む事業者
補助金:最大50万円
用途:食品ロス削減機器の導入費、研修費など
補助金や助成金は、返済義務がないという大きなメリットがあります。
ただし、申請には審査や書類提出などの手続きが必要となります。
情報収集と専門家への相談
世田谷区では、融資・補助金・助成金に関する情報を提供する窓口を設けています。
また、創業支援機関や金融機関なども相談窓口を設けています。
これらの窓口を活用し、積極的に情報収集を行うことが重要です。
さらに、専門家に相談することで、最適な資金調達方法や申請手続きのアドバイスを受けることができます。
※こちらは2024年4月1日現在の情報です。最新の情報はこちらからご確認ください。
融資を受ける際に気を付けるべきポイントとは
世田谷区で飲食店開業時に融資を受ける際に特に気を付けるべき5つのポイントを詳しく説明します。
事業計画書の重要性を認識する
金融機関にとって、事業計画書は融資判断において最も重要な資料の一つです。
事業内容、市場分析、競合分析、資金計画などを詳細に記載し、事業の将来性と収益性を明確に示す必要があります。
計画書作成には時間をかけ、論理的かつ説得力のある内容に仕上げることが重要です。
具体的な数値に基づいた資金計画を立てる
事業計画書の中でも、資金計画は特に重要です。
開業資金、運転資金、設備投資資金などを具体的な数値に基づいて明示し、返済能力を明確にする必要があります。
また、想定されるリスクや対策も盛り込むことで、より信頼性の高い計画となります。
自己資金の準備をしておく
金融機関は、一般的に自己資金がある程度ないと融資を受けにくいです。
自己資金の割合が多いほど、融資を受けやすくなるだけでなく、金利や返済条件も有利になります。
開業資金の少なくとも20%程度は自己資金を準備しておくことを目標にしましょう。
複数の金融機関を比較検討する
世田谷区内には、様々な金融機関が飲食店向けの融資制度を提供しています。
金利、返済期間、保証条件などを比較検討し、ご自身の事業内容に合致する制度を選択することが重要です。
必要であれば、複数の金融機関から融資を受けることも可能です。
専門家のサポートを活用する
融資手続きは複雑な場合が多く、時間や労力が必要です。
行政書士や税理士などの専門家に相談することで、必要書類の準備や申請手続きをスムーズに進めることができます。
また、専門家は、金融機関との交渉などもサポートしてくれるため、より有利な条件で融資を受けることが可能になります。
その他、以下の点にも注意しましょう。
・過去の事業経験や経営実績をアピールする
・清潔感のある店舗物件を選ぶ
・適切な保険に加入する
世田谷区で開業する際の費用の相場とは?
開業には様々な費用がかかりますが、事前にしっかり準備しておくことで、スムーズな開業と経営の安定を実現することができます。
そこでこの章では、世田谷区で飲食店を開業する際の費用相場を項目別に詳しく説明します。
物件取得費
家賃:世田谷区の飲食店用物件の平均賃料は、坪当たり約26,922円/月です。店舗の広さや立地条件によって大きく異なりますが、30坪程度の店舗であれば、家賃は 月約80万円~100万円程度となります。
敷金・礼金: 家賃の2~3ヶ月分が一般的です。
仲介手数料: 家賃の1ヶ月分が一般的です。
改装費:居抜き物件であれば不要ですが、スケルトン物件の場合は、厨房設備や内装工事などに、数百万~数千万円 かかる場合もあります。
厨房設備費
厨房機器: 調理器具や冷蔵庫、冷凍庫などの厨房機器には、 数百万~数千万円かかります。業態や規模によって必要な機器が異なるため、事前にしっかりと見積もりを取る必要があります。
食器・調理器具: 皿、グラス、鍋、包丁などの食器や調理器具には、数十万円~100万円程度かかります。
厨房排気設備: 厨房の換気扇や排気管などの設備には、数十万円~100万円程度かかります。
許認可取得費用
飲食店営業許可: 世田谷区の場合は、約4万円の手数料がかかります。
酒類販売免許: 酒類を販売する場合は、数万円~数十万円の取得費用がかかります。
消防設備設置届: 消防設備を設置する場合は、数万円の手数料がかかります。
その他の費用
登記費用: 会社設立の場合は、数万円の登記費用がかかります。
広告宣伝費: 店のオープンを告知するための広告宣伝費には、数十万円~100万円程度かかります。
運転資金: 開業後しばらくの間の家賃や人件費などの運転資金には、数ヶ月分の費用が必要です。
合計費用:2,000万円~5,000万円程度
上記の費用をすべて合計すると、世田谷区で飲食店を開業する際の合計費用は、一般的に2,000万円~5,000万円程度と言われています。
ただし、業態や規模、立地条件などによって費用は大きく異なるため、あくまでも目安として考えてください。
世田谷区で開業する際の資金調達の方法
世田谷区で飲食店を開業する際の 主要な資金調達方法を詳しく説明します。
自己資金
最も確実な資金調達方法ですが、多くの方が用意するのが難しいのが現状です。
開業資金の少なくとも20%程度は自己資金で準備しておくことを目標にしましょう。
融資
金融機関から融資を受ける方法です。代表的な融資制度は以下の通りです。
日本政策金融公庫新創業融資制度: 低金利で長期返済可能な制度です。
世田谷区中小企業融資あっせん制度・創業支援資金: 区が金利の一部を負担する制度です。
東京信用保証協会 保証付融資: 民間金融機関の融資に対して保証を行う制度です。
融資を受けるためには、事業計画書や財務諸表などの書類を準備し、金融機関の審査を受ける必要があります。
審査基準は金融機関によって異なりますが、事業計画の明確性、自己資金の割合、返済能力などが重要になります。
補助金・助成金
国や自治体から交付される資金です。代表的な制度は以下の通りです。
東京連携型創業支援金: 最大500万円の補助金が受けられます。
世田谷区商店街等活性化支援事業: 最大300万円の補助金が受けられます。
補助金・助成金は返済義務がないという大きなメリットがありますが、 申請には審査や書類提出が必要 となります。
クラウドファンディング
インターネット上で資金を募る方法です。多くの人から少額ずつ支援を受けることができます。
家族や友人からの出資
家族や友人から資金を出資してもらう方法です。
親族間融資の場合は、金利や返済条件を書面で明確にしておくことが重要です。
フランチャイズ
フランチャイズチェーンに加盟することで、資金調達や開業後の経営サポートを受けることができます。
エンジェル投資家・ベンチャーキャピタル
事業の将来性を見込んだ投資家から資金調達する方法です。
資金調達が成功すれば、経営に関するアドバイスを受けることもできますが、厳しい審査基準をクリアする必要があります。
日本政策金融公庫を利用する
日本政策金融公庫は、国が設立した金融機関であり、中小企業の事業開始・拡大を支援するために様々な融資制度を提供しています。
特に、新創業融資制度 は、低金利で長期返済可能な制度として、多くの飲食店開業に利用されています。
融資申込にあたっては、以下の点に注意しましょう。
・事業計画書をしっかりと作成する
・財務諸表を準備する
・保証人を用意する
・金融機関の担当者と面談する
日本政策金融公庫の各都道府県支所には、創業相談窓口が設けられていますので、融資制度について詳しく知りたい場合は、相談窓口を利用することをおすすめします。
※こちらは2024年4月1日現在の内容です。最新の情報など詳しくは日本政策金融公庫の公式HPなどで確認してください。
世田谷区で開業する際の実際の開業までの流れを解説
世田谷区で魅力的な飲食店を開業するためには、具体的なステップを踏み、計画的に準備を進めることが重要です。
そこで今回は、世田谷区で飲食店を開業する際の実際の開業までの流れを詳しく説明し、成功の秘訣となる事業計画書の作成についても解説します。
コンセプト・ターゲットを明確にする
どんなお店にするのか、誰に来店してもらいたいのかを明確にすることが、開業の第一歩です。
競合店との差別化ポイントも意識しましょう。
物件探し
コンセプトやターゲットに合致した立地条件の物件を見つけましょう。
家賃、広さ、設備などを考慮する必要があります。
事業計画書を作成する
事業計画書とは、飲食店の経営計画を示す書類です。事業計画書には、以下の内容を盛り込みましょう。
店舗の概要
店舗の立地や規模、コンセプト、内装、設備などをまとめたものです。
大まかにどのような店舗を想定しているのかまとめましょう。
メニューやコンセプト
競合店を分析したり独自の強みを打ち出したりすることで競争に勝てるよう考えましょう。
ターゲット顧客
ターゲット顧客を明確にすることで店舗の方向性や立地の条件なども明確になってきます。
売上計画、収支計画
収支計画を実現可能なものにすることで明確なビジョンを打ち出しましょう。
売り上げの計画もしっかりとすることで事業の実現性を明確にします。
事業計画書は、金融機関から融資を受ける際だけでなく、物件探し、行政手続きなど、開業後の運営にも必要となりますので、しっかりと練ることが重要です。
資金調達
自己資金、融資、補助金・助成金など、様々な資金調達方法を検討しましょう。
法人設立
会社設立の場合は、法務局への登記手続きが必要です。
許認可取得
飲食店営業許可、酒類販売免許、消防設備設置届など、必要な許認可を取得します。
厨房設備の導入
調理器具、冷蔵庫、冷凍庫などの厨房設備を導入します。
内装工事
コンセプトに合った内装工事を施します。
開業準備
メニューの作成、スタッフの採用、宣伝・広告活動などを準備します。
開業
いよいよオープン!
念願の開業です。
オープン後は、お客様に満足いただけるサービスを提供し、継続的に利益を上げていくことが重要です。
その他、開業までに準備しておくべきこと
・保険加入
・税務署への届出
・POSレジ導入
世田谷区で飲食店を開業するメリット
人口密度が高い
東京都内でも居住地として人気が高く、人口密度が比較的高い地域です。
交通アクセスが良い
都心部に隣接しており、交通アクセスが良い地域で、多くの人々が訪れやすい立地条件にあります。
高所得層の比率が高い
高所得層の比率が高い地域の一つです。高所得者向けの高級レストランやカフェなどの開業での集客が見込めます。
多様な飲食店が受け入れられる地域
住宅地としての一面だけでなく、商業地としても発展しています。そのため、多様なジャンルの飲食店が受け入れられやすい環境です。
世田谷区で飲食店を開業するデメリット
人口密度の高さに伴う混雑
人口密度が高く、特に商業地域では日中は多くの人が行き交うため、店舗周辺の交通渋滞や駐車場の不足など、混雑による問題が生じる可能性があります。
地域社会との調和
住宅地も多く、地域のコミュニティや自治会などが盛んです。開業する際には地域社会との調和や配慮が求められます。
高額な広告宣伝費用
既存の飲食店が多いため、集客を目指す際には広告宣伝費用が高額になる場合があります。
人手不足の可能性
高額な物件価格や人件費の高さから、人手不足が生じる可能性があります。
世田谷区で開業する際の開業資金を抑えるコツとは
世田谷区で飲食店を開業する際の初期費用を抑える6つのコツを詳しく説明し、皆様の成功を後押しします。
居抜き物件を活用する
スケルトン物件に比べて、初期費用を大幅に節約できます。
厨房設備や内装がすでに整っているため、改装費を抑えることができます。
ただし、居抜き物件は状態が様々なので、物件選びには注意が必要です。
中古厨房機器・調理器具を利用する
新品の厨房機器・調理器具は高価ですが、中古品であれば大幅に費用を抑えることができます。
状態の良い中古品であれば、性能面でも問題なく使用できます。
中古厨房機器・調理器具販売店やインターネットオークションなどを活用しましょう。
中古家具やDIYで店舗を設営する
テーブルや椅子などの家具も、新品を購入するよりも中古品を活用することで費用を抑えることができます。
また、DIYで棚やカウンターなどを自作すれば、さらに費用を節約できます。
テンポスでは多くの厨房機器や厨房用品、家具などの中古商品を取り揃えております。
厨房設備レイアウトを工夫する
厨房設備は、限られたスペースを有効活用する必要があります。
動線を意識したレイアウトを工夫することで、必要な設備を最小限に抑えることができます。
厨房設備専門業者に相談するのもおすすめです。
開業前に十分な準備をする
開業後に追加で費用が発生するのを防ぐために、開業前に必要なものをリストアップし、しっかりと準備しておきましょう。
例えば、消耗品や食器類などは、事前にまとめて購入しておくことで、費用を抑えることができます。
クラウドファンディングを活用する
自己資金や融資だけでは足りない場合は、クラウドファンディングを活用して資金を集めるのも有効な方法です。
クラウドファンディングで成功すれば、多くの人から応援してもらえるだけでなく、お店の認知度を高めることもできます。
その他、以下の点にも注意しましょう。
・家賃を抑えられる立地を選ぶ
・省エネ設備を導入する
・食材を工夫する
・アルバイトを活用する
これらのコツを参考に、計画的に初期費用を抑えることで、世田谷区で成功する飲食店を開業しましょう。
まとめ
世田谷区で魅力的な飲食店を開業することは、夢の実現への大きな一歩です。
今回ご紹介した融資制度や開業の流れを参考に、しっかり準備を進め、皆様の夢を叶えてください。
計画的な資金調達と綿密な準備が、成功への鍵となります。
皆様の挑戦を心から応援しています!
開業に際してご相談、ご質問お気軽にお待ちしております。