静岡県は、豊かな自然と温泉、海の幸など、魅力的な観光資源が豊富な地域です。そのため、飲食店を開業する人も少なくありません。しかし、飲食店を開業するには、店舗の賃料や内装費、設備費など、まとまった資金が必要です。そこで、融資を受けるという選択肢があります。
本記事では、静岡県で飲食店を開業時に融資を受ける際のポイントを解説します。また、開業の流れも含めて、具体的な手順を説明します。これから飲食店を開業する予定の方は、ぜひ参考にしてください。
目次
静岡の開業率は全国24位
2015年度の厚生労働省の調査によると、飲食店を含む静岡の開業率は4.6％と全国で24位です。
また廃業率は3.9％となっています。
静岡県の飲食店開業率は、全国平均より低めの全国24位です。静岡県は観光地として人気があり、競合店も多いため、開業率が低いのかもしれません。しかし、静岡県は、海の幸、山の幸、豊かな自然に恵まれた観光地であり、飲食店の開業には多くの魅力があります。
まずは融資、補助金、助成金、それぞれの特徴を知りましょう！
融資、補助金、助成金は、いずれも事業資金を調達する手段として活用できますが、それぞれに特徴があります。
融資
融資は、金融機関から借り入れを行うことです。利子をつけて返済する必要があるため、返済計画をしっかりと立てることが大切です。融資のメリットとしては、資金調達が早いこと、事業の自由度が高いことなどが挙げられます。一方、デメリットとしては、利子がかかること、返済義務があることなどが挙げられます。
補助金
補助金は、国や地方公共団体などの公的機関から、事業の実施に必要な経費の一部を支給されるものです。返済の必要がないため、利子や返済の負担がありません。補助金のメリットとしては、資金調達が早いこと、利子や返済の負担がないことなどが挙げられます。
一方、デメリットとしては、申請に手間がかかること、採択率が低いことなどが挙げられます。
助成金
助成金は、補助金と似ていますが、補助金よりも受給要件が緩やかであるのが特徴です。補助金と同様、返済の必要がないため、利子や返済の負担がありません。助成金のメリットとしては、資金調達が早いこと、利子や返済の負担がないことなどが挙げられます。
一方、デメリットとしては、申請に手間がかかること、採択率が低いことなどが挙げられます。
それぞれの特徴をまとめると、以下のようになります。
資金調達の主体
融資：金融機関
補助金：国や地方公共団体など
助成金：国や地方公共団体など
返済の必要性
融資：必要
補助金：不要
助成金：不要
利子
融資：必要
補助金：不要
助成金：不要
申請の難易度
融資：やや高い
補助金：やや高い
助成金：比較的低い
資金の使い道
融資：自由
補助金：指定された用途に限る
助成金：指定された用途に限る
事業資金を調達する際には、それぞれの特徴を理解した上で、自社に最適な方法を選択することが大切です。
静岡県で利用可能な融資・補助金・助成金とは？
静岡県では、中小企業や小規模事業者の経営革新や新事業展開、事業承継、国際展開などの支援を目的に、さまざまな融資・補助金・助成金が提供されています。
融資
静岡県の融資は、主に県の信用保証協会による保証付き融資と、県の制度融資の2種類に分けられます。
県の信用保証協会による保証付き融資
県の信用保証協会は、県内の金融機関から融資を受ける際に、事業者の信用を保証する制度を設けています。これにより、事業者は金融機関から融資を受けやすくなります。
県の制度融資
県の制度融資は、県が金融機関に対して融資の条件を優遇する制度です。これにより、事業者は金融機関から低金利で融資を受けることができます。
補助金・助成金
静岡県の補助金は、主に中小企業の経営革新や新事業展開、事業承継、国際展開などの支援を目的としたものです。助成金は、主に中小企業の経営基盤の強化や人材育成、環境対策などの支援を目的としたものです。
経営革新等貸付（先端設備等導入計画）
経営革新等貸付（先端設備等導入計画）は、経営革新計画に基づいて先端設備等を導入する中小企業を支援する補助金です。
クラスター産業分野支援貸付
クラスター産業分野支援貸付は、県の重点産業であるクラスター産業分野において、事業展開を拡大する中小企業を支援する補助金です。
事業承継資金
事業承継資金は、事業承継を実施する中小企業を支援する補助金です。
新エネ・省エネ設備等導入促進資金（特別型）
新エネ・省エネ設備等導入促進資金（特別型）は、新エネルギーや省エネルギー設備等を導入する中小企業を支援する補助金です。
小規模企業経営力向上事業費補助金
小規模企業経営力向上事業費補助金は、新たな需要の開拓や生産性向上を目指す小規模事業者を支援する助成金です。
静岡県中小企業者等物価高騰緊急対策事業費補助金
静岡県中小企業者等物価高騰緊急対策事業費補助金は、原材料費やエネルギー価格の高騰により経営に影響を受けている中小企業者等を支援する助成金です。
静岡県で利用可能な融資・補助金・助成金は、非常に多岐にわたります。事業の目的や規模、状況に応じて、適切な制度を活用することで、経営の改善や拡大に役立てることができます。
詳細については、静岡県のホームページや県の信用保証協会、金融機関などにお問い合わせください。
※こちらは2024年1月5日現在の情報です。最新の情報はこちらからご確認ください。
融資を受ける際に気を付けるべきポイントとは
静岡県で融資を受ける際に気を付けるべきポイントは、以下のとおりです。
融資の目的を明確にする
まずは、融資を受ける目的を明確にしましょう。融資の目的が明確になっていないと、金融機関から融資を受けられなかったり、融資の条件が不利になったりする可能性があります。
事業計画書を作成する
融資を受ける際には、事業計画を作成する必要があります。事業計画は、融資の目的や事業の将来性などを金融機関に示すために重要です。事業計画は、客観的なデータに基づいて作成し、実現可能性を高めるようにしましょう。
信用情報を確認する
融資を受ける際には、信用情報を確認されます。信用情報には、過去の返済状況や借入状況などが記載されています。信用情報が良好であれば、融資を受けやすくなります。
金融機関と十分に相談する
融資を受ける際には、金融機関と十分に相談しましょう。金融機関は、事業者の経営状況や融資の目的などを踏まえて、最適な融資プランを提案してくれます。
具体的には、以下の点に注意しましょう。
融資の種類や条件を比較する
静岡県では、さまざまな融資制度が用意されています。融資の種類や条件は、金融機関によって異なります。複数の金融機関から見積もりを取り、条件を比較した上で、最適な融資を選びましょう。
融資の返済計画を立てる
融資を受ける際には、融資の返済計画を立てましょう。融資の返済計画は、事業の収益性やキャッシュフローなどを考慮して作成する必要があります。融資の返済が困難になるような計画を立ててしまうと、融資が打ち切りになる可能性があります。
融資の目的を達成する
融資を受けたら、その目的を達成するために努力しましょう。融資の目的を達成できなければ、融資の継続が難しくなる可能性があります。
静岡県で融資を受ける際には、これらのポイントを押さえておくことで、融資を受けやすくなります。
静岡県で開業する際の費用の相場とは？
静岡県で飲食店を開業する際の費用の相場は、店舗の規模や業態、立地などによって大きく異なります。一般的な内装工事や厨房設備の費用に加えて、物件取得費や人件費、開業準備費なども必要となります。
2022年の日本金融政策公庫の調査によると、静岡県で飲食店を開業する際の平均的な開業資金は、1,000万円から1,500万円程度です。このうち、内装工事費や厨房設備費などの設備資金が500万円から700万円程度、物件取得費や人件費などの運転資金が500万円から800万円程度となっています。
具体的な内訳は、以下のとおりです。
内装工事費：100万円から300万円
内装工事費は、店舗の規模やデザインによって大きく異なります。
厨房設備費：200万円から500万円
厨房設備費は、業態によって必要な設備が異なるため、業種ごとに費用が異なります。
物件取得費：200万円から500万円
物件取得費は、物件の立地や物件の規模によって大きく異なります。
人件費：100万円から300万円
人件費は、店舗の規模や営業時間によって異なります。
開業準備費：50万円から100万円
開業準備費は、開業に必要な各種申請や許可の取得、広告宣伝費などです。
静岡県では、中小企業や小規模事業者を支援する融資や補助金・助成金などの制度が充実しています。これらの制度を活用することで、開業資金を抑えることができます。
合計650万円〜1,700万円程度
なお、飲食店の規模や業態によって、費用は大きく異なります。たとえば、小規模のカフェであれば、費用を抑えることができます。一方、大規模なレストランや居酒屋であれば、費用が高くなります。
また、物件の立地によっても、費用は異なります。繁華街や駅前などの立地条件の良い場所は、費用が高くなります。
静岡県で飲食店を開業する際には、これらの費用をしっかりと把握しておくことが大切です。
静岡県で開業する際の資金調達の方法
静岡県で飲食店を開業する際の資金調達の方法は、以下のとおりです。
自己資金
自己資金は、最も確実な資金調達方法です。ただし、自己資金が十分にない場合は、他の資金調達方法を検討する必要があります。
融資
金融機関から融資を受ける方法です。静岡県では、県の信用保証協会が実施する保証付き融資や、県の制度融資など、中小企業や小規模事業者を支援する融資制度が充実しています。
補助金・助成金
行政機関から補助金や助成金を受け取る方法です。静岡県では、中小企業や小規模事業者の経営革新や新事業展開、事業承継、国際展開などの支援を目的とした補助金・助成金が提供されています。
クラウドファンディング
インターネットを通じて不特定多数の人から資金を集める方法です。クラウドファンディングには、寄付型や購入型、投資型など、さまざまな種類があります。
日本政策金融公庫を利用する
日本政策金融公庫は、政府系金融機関として、中小企業や小規模事業者の資金調達を支援しています。日本政策金融公庫では、飲食店を開業する際に利用できる融資制度として、以下のようなものがあります。
新創業融資制度
新規に創業する事業者を対象とした融資制度です。
新事業展開融資制度
既存事業の拡大や新規事業の展開を行う事業者を対象とした融資制度です。
女性起業家支援融資制度
女性が起業する際に利用できる融資制度です。
経営革新等貸付制度
経営革新計画を策定して、経営の改善や新事業の展開を行う事業者を対象とした融資制度です。
日本政策金融公庫の融資制度は、中小企業や小規模事業者を対象とした融資制度の中でも、比較的審査が緩やかで、条件が優遇されています。また、日本政策金融公庫の融資は、信用保証協会が保証を付帯することで、金融機関の審査が通りやすくなるというメリットもあります。
※こちらは2024年1月5日現在の内容です。最新の情報など詳しくは日本政策金融公庫の公式ＨＰなどで確認してください。
静岡県で飲食店を開業する際には、これらの資金調達方法を検討し、最適な方法を選択することが大切です。
静岡県で開業する際の実際の開業までの流れを解説
静岡県で飲食店を開業する際の実際の開業までの流れは、以下のとおりです。
開業準備
事業計画書を作成する
事業計画書とは、飲食店の経営計画を示す書類です。事業計画書には、以下の内容を盛り込みましょう。
店舗の概要
店舗の立地や規模、コンセプト、内装、設備などをまとめたものです。大まかにどのような店舗を想定しているのかまとめましょう。
メニューやコンセプト
競合店を分析したり独自の強みを打ち出したりすることで競争に勝てるよう考えましょう。
ターゲット顧客
ターゲット顧客を明確にすることで店舗の方向性や立地の条件なども明確になってきます。
売上計画、収支計画
収支計画を実現可能なものにすることで明確なビジョンを打ち出しましょう。売り上げの計画もしっかりとすることで事業の実現性を明確にします。
事業計画書は、金融機関から融資を受ける際にも必要となります。
物件の選定
物件の選定は、開業成功の鍵を握る重要なポイントです。立地や規模、賃料などを十分に検討して、最適な物件を選びましょう。
厨房設備の選定
厨房設備は、業態によって必要な設備が異なります。業態に合った厨房設備を選ぶことで、効率的に業務を行うことができます。
人材の確保
開業当初は、一人で運営するのは難しいため、人材の確保が必要です。アルバイトやパート、正社員など、必要に応じて人材を確保しましょう。
許認可の取得
開業するためには、必要な許認可を取得する必要があります。静岡県で飲食店を開業する際に必要な許認可は、以下のとおりです。
飲食店営業許可
飲食店営業を行うためには、都道府県知事から飲食店営業許可を取得する必要があります。
食品衛生責任者の選任
飲食店営業許可を受けるためには、食品衛生責任者を選任する必要があります。食品衛生責任者は、食品衛生に関する専門的な知識と技術を有する者です。
防火管理者の選任
飲食店営業許可を受けるためには、防火管理者を選任する必要があります。防火管理者は、防火に関する専門的な知識と技術を有する者です。
開業届の提出
開業したら、税務署に開業届を提出する必要があります。開業届は、開業後1ヶ月以内に提出する必要があります。
広告宣伝
開業前に、広告宣伝を行い、顧客に知ってもらいます。広告宣伝には、チラシやポスター、インターネット、SNSなど、さまざまな方法があります。
開店
準備が整ったら、いよいよ開店です。開店当日は、スタッフの配置やメニューの確認など、万全の体制で臨みましょう。
静岡県で飲食店を開業する際には、これらの流れを参考に、計画的に準備を進めることが大切です。
静岡県で飲食店を開業するメリットデメリット
メリット
豊かな食材に恵まれた地域性
駿河湾の海の幸、伊豆山地の山の幸、掛川茶などの豊かな食材に恵まれた地域です。そのため、海鮮料理やうなぎ料理、そばやうどんなどの和食が人気です。また、浜松餃子や静岡おでんなどのご当地グルメも有名です。
観光地としてのブランド力
富士山や伊豆半島などの観光スポットも多く、観光地としてのブランド力も高くなっています。
地元民や観光客の両方をターゲットとした多様性
静岡県の飲食店は、地元民や観光客の両方をターゲットとした多様性も特徴です。地元民に愛される老舗の居酒屋や、観光客に人気のカフェやレストランなど、さまざまな飲食店が存在しています。
物件が比較的安価
首都圏や関西圏などの大都市圏に比べて、物件の価格が安い傾向にあります。そのため、初期費用を抑えて開業することができます。
人件費が比較的安価
静岡県は、全国平均よりも人件費が安い傾向にあります。
デメリット
競合店が多い
豊かな食文化と観光地としての魅力から、多くの飲食店が存在します。そのため、競合店との差別化を図ることが重要です。
天候の影響を受ける
四季折々の自然が楽しめる地域です。しかし、天候によっては、客足が減少する可能性があります。
観光客の減少
観光地として人気のある地域ですが、近年は観光客の減少が懸念されています。
地震リスク
地震の多い地域です。そのため、万一の災害に備えて、耐震対策をしっかりと行う必要があります。
人材の確保が難しい
人口減少が進んでおり、人材の確保が難しい地域です。
静岡県で開業する際の開業資金を抑えるコツとは
静岡県で飲食店を開業する際の開業資金を抑えるコツは、以下のとおりです。
物件の規模や立地を慎重に検討する
物件の規模や立地によって、内装工事費や人件費などが大きく異なります。無理のない範囲で、規模や立地を検討しましょう。
物件の規模
物件の規模が小さいほど、内装工事費や人件費などが抑えられます。ただし、規模が小さすぎると、客席数が少なく、収益性が低下する可能性があります。
物件の立地
立地がよい物件は、賃料が高くなります。無理のない範囲で、立地を検討しましょう。
厨房設備の選定を慎重に行う
業態に合った厨房設備を選ぶことで、必要以上の設備投資を抑えることができます。
厨房設備
業態に合った厨房設備を選ぶことで、必要以上の設備投資を抑えることができます。例えば、ラーメン店であれば、卓上IHやフライヤーなどの設備があれば、十分に営業することができます。
開業準備期間を十分に確保する
開業準備期間を十分に確保することで、余裕を持って準備を進めることができます。また、比較検討する時間も十分に確保することができるので、無駄な出費を抑えることができます。
中古やDIYを活用する
中古の物件や厨房設備を活用することで、費用を抑えることができます。また、DIYで内装や設備を整えることで、さらに費用を抑えることができます。
中古
中古の物件や厨房設備は、新品よりも安価で購入することができます。
テンポスでは多くの中古商品を取り揃えております。
DIY
DIYで内装や設備を整えることで、さらに費用を抑えることができます。ただし、DIYには技術や知識が必要となるため、注意が必要です。
まとめ
静岡県で飲食店を開業する際には、融資を受けると開業資金を抑えることができます。融資を受ける際には、融資の目的を明確にし、事業計画を作成することが大切です。また、金融機関とのコミュニケーションをしっかりと取り、信頼関係を築きましょう。
静岡県では、中小企業や小規模事業者を支援するさまざまな融資制度が用意されています。これらの制度を活用することで、融資を受けやすくなります。
開業準備期間を十分に確保し、計画的に準備を進めましょう。
開業に際してご相談、ご質問お気軽にお待ちしております。
