山梨県で飲食店を開業する際、融資を受ける際にはどのようなポイントを押さえればよいのでしょうか?
飲食店を開業するためには、店舗取得や設備・内装費、食材の仕入れ費など、多額の資金が必要です。そのため、自己資金だけでは足りず、融資を受けるケースがほとんどです。
融資を受けるためには、金融機関に事業計画書を提出し、審査を受けなければなりません。事業計画書は、飲食店の経営計画をまとめた書類です。金融機関は、この事業計画書から、飲食店の将来性や経営者の能力を判断します。
そこで、本記事では、山梨県で飲食店を開業する際に融資を受ける際のポイントを解説します。また、開業までの流れについても紹介します。
目次
山梨県の開業率は全国20位
2015年度の厚生労働省の調査によると、飲食店を含む山梨県の開業率は4.7%と全国で20位です。
また廃業率は4.6%となっています。
山梨県の開業率が低い要因としては、以下のようなものが挙げられます。
・小規模企業の経営者は高齢化が進んでおり、事業承継の課題が大きい
・人口減少が進んでおり、市場規模が縮小している。
・競合店が多い。
山梨県では、開業率の向上に向けて、起業家支援事業などを実施しています。
まずは融資、補助金、助成金、それぞれの特徴を知りましょう!
融資、補助金、助成金は、いずれも事業資金を調達する手段として活用できますが、それぞれに特徴があります。
融資
融資は、金融機関から借り入れを行うことです。利子をつけて返済する必要があるため、返済計画をしっかりと立てることが大切です。融資のメリットとしては、資金調達が早いこと、事業の自由度が高いことなどが挙げられます。一方、デメリットとしては、利子がかかること、返済義務があることなどが挙げられます。
補助金
補助金は、国や地方公共団体などの公的機関から、事業の実施に必要な経費の一部を支給されるものです。返済の必要がないため、利子や返済の負担がありません。補助金のメリットとしては、資金調達が早いこと、利子や返済の負担がないことなどが挙げられます。
一方、デメリットとしては、申請に手間がかかること、採択率が低いことなどが挙げられます。
助成金
助成金は、補助金と似ていますが、補助金よりも受給要件が緩やかであるのが特徴です。補助金と同様、返済の必要がないため、利子や返済の負担がありません。助成金のメリットとしては、資金調達が早いこと、利子や返済の負担がないことなどが挙げられます。
一方、デメリットとしては、申請に手間がかかること、採択率が低いことなどが挙げられます。
それぞれの特徴をまとめると、以下のようになります。
資金調達の主体
融資:金融機関
補助金:国や地方公共団体など
助成金:国や地方公共団体など
返済の必要性
融資:必要
補助金:不要
助成金:不要
利子
融資:必要
補助金:不要
助成金:不要
申請の難易度
融資:やや高い
補助金:やや高い
助成金:比較的低い
資金の使い道
融資:自由
補助金:指定された用途に限る
助成金:指定された用途に限る
事業資金を調達する際には、それぞれの特徴を理解した上で、自社に最適な方法を選択することが大切です。
山梨県で利用可能な融資・補助金・助成金とは?
山梨県では、中小企業や個人事業主を支援するために、さまざまな融資・補助金・助成金制度を用意しています。
融資
山梨県では、中小企業の資金調達を支援するために、さまざまな融資制度を用意しています。
短期事業資金
事業資金の短期的な運転資金を融資する制度です。融資限度額は、法人・個人・組合構成員で500万円、組合で7,000万円です。
創業支援融資
創業資金を融資する制度です。融資限度額は、法人で2,000万円、個人で1,000万円です。
中小企業経営支援融資
中小企業の経営改善や新事業展開を支援するために、融資する制度です。融資限度額は、法人で1億円、個人で5,000万円です。
補助金・助成金
補助金制度には以下のようなものがあります。
ものづくり基盤整備事業費補助金
中小企業の経営基盤の強化を支援するために、設備投資を補助する制度です。補助率は、中小企業1/2、小規模企業1/3です。
販路拡大支援事業費補助金
中小企業の販路拡大を支援するために、展示会出展やインターネット販売等の販路拡大経費を補助する制度です。補助率は、中小企業2/3、小規模企業3/4です。
新技術・新製品開発支援事業費補助金
中小企業の新技術・新製品開発を支援するために、開発費を補助する制度です。補助率は、中小企業1/2、小規模企業1/3です。
助成金制度には以下のようなものがあります。
雇用創出促進助成金
新たな雇用を創出する中小企業を支援するために、雇用創出にかかる費用を助成する制度です。助成率は、1人あたり上限100万円です。
人材育成支援助成金
中小企業の従業員のスキルアップを支援するために、人材育成にかかる費用を助成する制度です。助成率は、1人あたり上限20万円です。
女性活躍推進助成金
中小企業における女性活躍を推進するために、女性活躍推進にかかる費用を助成する制度です。助成率は、1人あたり上限100万円です。
上記は、山梨県で利用可能な融資・補助金・助成金の一部です。詳しくは、山梨県のホームページをご覧ください。
なお、融資・補助金・助成金の利用には、一定の条件を満たす必要があります。事前に条件をよく確認してから、申請するようにしましょう。
※こちらは2023年11月20日現在の情報です。最新の情報はこちらからご確認ください。
融資を受ける際に気を付けるべきポイントとは
山梨県で融資を受ける際に気を付けるべきポイントは、以下のとおりです。
事業計画書を充実させる
融資を受ける上で最も重要な書類は、事業計画書です。事業計画書は、経営者の経営能力や事業の将来性などを判断する材料となります。そのため、事業計画書を充実させることで、融資を受ける可能性が高まります。
自己資金を準備する
自己資金が多いほど、金融機関からの評価が高くなります。自己資金が多いと、万が一の経営不振時にも備えることができます。
自己資金は、融資を受ける際に有利になるだけでなく、事業の安定にもつながります。
複数の金融機関から見積もりを取る
同じ条件でも、金融機関によって融資額や金利は異なります。複数の金融機関から見積もりを取ることで、自分に合った条件の融資を受けることができます。
また、金融機関によって融資審査の基準も異なるため、複数の金融機関から見積もりを取ることで、融資を受ける可能性が高まります。
信用情報に問題がないか確認する
信用情報に問題があると、融資を受けられなくなる可能性があります。
信用情報は、JICCやCICなどの信用情報機関で確認することができます。
融資条件をよく確認する
融資を受ける際には、融資条件をよく確認しましょう。融資条件には、融資額、金利、返済期間、担保、保証人などがあります。
融資条件をよく理解した上で、自分に合った条件の融資を受けましょう。
返済計画を立てておく
融資を受ける際には、返済計画を立てておくことが大切です。返済計画を立てることで、無理のない返済をすることができます。
返済計画を立てる際には、以下の点に注意しましょう。
・月々の返済額を無理のない範囲に抑える
・返済期間を長めに設定する
・収支の状況に合わせて、返済額を調整する
以上、山梨県で融資を受ける際に気を付けるべきポイントについて解説しました。
融資を受ける際には、ポイントを押さえることで、審査に通りやすくなります。また、融資条件をよく確認して、自分に合った条件の融資を受けましょう。
山梨県で開業する際の費用の相場とは?
山梨県で飲食店を開業する際の費用の相場は、以下のとおりです。
物件取得費:200〜300万円
物件取得費は、店舗の規模や立地によって大きく異なります。都心部や繁華街では、賃料が高くなるため、物件取得費も高額になります。
設備費:500〜1,000万円
設備費には、厨房機器や調理器具、食器類、テーブル・椅子などの費用が含まれます。店舗の規模や業態によって、必要な設備は異なります。
内装費:300〜500万円
内装費には、壁や床の工事費用、照明や空調設備の費用、装飾品の費用などが含まれます。店舗の雰囲気やコンセプトに合わせて、内装をデザインする必要があります。
食材の仕入れ費:100〜200万円
食材の仕入れ費は、店舗の規模や業態によって異なります。また、仕入れ先によっても、食材の価格は異なります。
広告宣伝費:50〜100万円
広告宣伝費には、チラシやポスターなどの印刷費、折込チラシの配布費、インターネット広告の費用などが含まれます。店舗の認知度を高めるために、広告宣伝は欠かせません。
その他:100〜200万円
その他には、許認可の取得費用や、開業準備にかかる費用などが含まれます。
合計:1,850〜3,650万円
この費用はあくまでも目安であり、店舗の規模や業態、立地などによって異なります。
山梨県で飲食店を開業する際には、これらの費用をしっかりと計算しておくことが大切です。また、自己資金で賄えない部分については、融資や補助金・助成金などを活用するのも一つの方法です。
山梨県で開業する際の資金調達の方法
山梨県で飲食店を開業する際の資金調達の方法は、以下のとおりです。
自己資金
自己資金とは、個人が保有している現金や預貯金、不動産などの資産です。自己資金が多いほど、金融機関からの評価が高まり、融資を受けやすくなります。
融資
融資とは、金融機関からお金を借りることです。融資を受けるためには、事業計画書を提出するなど、審査を受けなければなりません。
補助金・助成金
クラウドファンディングは、インターネットを通じて不特定多数の人から資金を募る方法です。飲食店の開業資金を募るためのクラウドファンディングも増えています。クラウドファンディングは、自己資金や創業融資だけでは資金が足りない場合に利用できます。
助成金・補助金
補助金・助成金とは、国や地方自治体から、事業にかかる費用を支援する制度です。補助金・助成金を受けるためには、申請条件を満たす必要があります。
日本政策金融公庫の創業融資を利用する
日本政策金融公庫は、政府系金融機関です。中小企業や個人事業主を対象に、融資や保証、経営支援などを行っています。
山梨県で飲食店を開業する際には、日本政策金融公庫の融資制度を利用することも一つの方法です。日本政策金融公庫の融資制度には、以下のようなものがあります。
新創業融資制度
創業したばかりの中小企業や個人事業主を対象とした融資制度です。無担保・無保証人で利用できます。
中小企業経営支援融資制度
既に創業した中小企業や個人事業主を対象とした融資制度です。担保や保証人が必要になる場合があります。
日本政策金融公庫の融資制度を利用するためには、事業計画書を提出するなど、審査を受けなければなりません。審査では、以下の点が審査されます。
・事業の計画性や実現可能性
・経営者の経営能力や経験
・事業の将来性
日本政策金融公庫の融資制度を利用することで、自己資金を補充し、事業の安定化を図ることができます。
※こちらは2023年11月20日現在の内容です。最新の情報など詳しくは日本政策金融公庫の公式HPなどで確認してください。
山梨県で開業する際の実際の開業までの流れを解説
山梨県で飲食店を開業する際の実際の開業までの流れは、以下のとおりです。
事業計画書を作成する
事業計画書とは、飲食店の経営計画を示す書類です。事業計画書には、以下の内容を盛り込みましょう。
店舗の概要
店舗の立地や規模、コンセプト、内装、設備などをまとめたものです。大まかにどのような店舗を想定しているのかまとめましょう。
メニューやコンセプト
競合店を分析したり独自の強みを打ち出したりすることで競争に勝てるよう考えましょう。
ターゲット顧客
ターゲット顧客を明確にすることで店舗の方向性や立地の条件なども明確になってきます。
売上計画、収支計画
収支計画を実現可能なものにすることで明確なビジョンを打ち出しましょう。売り上げの計画もしっかりとすることで事業の実現性を明確にします。
事業計画書は、金融機関から融資を受ける際にも必要となります。
物件探し
事業計画書が完成したら、物件探しを進めます。物件の選び方には、以下のポイントがあります。
立地
立地は、集客のしやすさや、競合店の状況などを確認しましょう。
店舗の規模
店舗の規模は、事業計画で想定する売上や、客層に合わせて決めましょう。
賃料
賃料は、収支計画に収まるように設定しましょう。
設備
設備は、店舗の業態やコンセプトに合わせて選びましょう。
資金調達
物件が決まったら、資金調達を行います。資金調達の方法には、自己資金、融資、補助金・助成金などがあります。
自己資金が十分にない場合は、融資や補助金・助成金などを活用しましょう。
許認可の取得
資金調達が完了したら、許認可の取得を行います。飲食店を開業するためには、以下の許認可が必要です。
・飲食店営業許可
・深夜酒類提供飲食店営業許可(深夜営業する場合)
・食品衛生責任者
許認可の取得には、時間と手間がかかるため、早めに手続きを進めましょう。
内装工事
許認可が取得できたら、内装工事を行います。内装工事では、以下の点に注意しましょう。
・店舗の雰囲気やコンセプトを反映させる
・安全性や衛生面に配慮する
・法令に適合させる
人材採用
内装工事が完了したら、人材採用を行います。人材採用では、以下の点に注意しましょう。
・店舗の業態やコンセプトに合った人材を採用する
・スキルや経験を考慮して、適切な人材を採用する
・給与や待遇などを明確に伝える
開業準備
人材が採用できたら、開業準備を行います。開業準備では、以下の点を行いましょう。
・メニューの作成
・販促計画の作成
・開業イベントの開催
開業準備をしっかりと行うことで、スムーズな開業につなげることができます。
開業
開業準備が完了したら、いよいよ開業です。開業後は、以下の点に注意しましょう。
・顧客のニーズを把握する
・サービスや商品の改善を行う
・経営状況を常に把握する
開業後も、顧客のニーズを把握し、サービスや商品の改善を続けることで、事業を成功に導くことができます。
山梨県で飲食店を開業するメリットデメリット
メリット
自然豊かな環境で、地元の食材を活かした料理を提供できる
ワインやほうとう、ほうれん草、桃など、豊富な食材の産地です。これらの地元の食材を活かした料理を提供することで、他県の飲食店との差別化を図ることができます。
また、自然豊かな環境であるため、景観を活かしたテラス席やガーデン席を設けることで、より魅力的な店舗づくりができます。
富士山観光や温泉などの観光客が多い
富士山や温泉など、多くの観光客が訪れる地域です。観光客向けのメニューやサービスを提供することで、新たな顧客層を開拓することができます。
また、富士山の麓や温泉地など、観光客が多いエリアに店舗を構えることで、集客力を高めることができます。
地元客をターゲットにした飲食店も成功しやすい
人口が減少しているものの、地元を愛する地元客が多い地域です。地元客をターゲットにした飲食店も成功しやすい傾向があります。
また、地元のコミュニティに積極的に参加することで、地元客とのつながりを深めることができます。
コストを抑えて開業できる方法もある
キッチンカーやフードトラックなど、コストを抑えて開業できる方法もあります。
キッチンカーは、初期費用やランニングコストが低く、場所を選ばずに営業できるため、開業しやすい方法です。
起業支援制度が充実している
起業支援制度が充実しています。創業助成金や融資、経営相談など、さまざまな支援を受けることができます。
創業助成金を利用することで、開業資金の一部を補助してもらえます。
山梨県で飲食店を開業する際には、上記のメリットを参考に、ご自身の状況や希望に合った方法で開業を検討してみてはいかがでしょうか。
デメリット
競合店が多い
富士山や温泉など、多くの観光客が訪れるため、飲食店の競争が激しい地域です。
そのため、ターゲット層を明確にして、差別化できる要素を打ち出すことが重要です。
人口減少による影響
人口は減少傾向にあり、それに伴い、飲食店の客足も減少している傾向にあります。
そのため、常連客の獲得や、観光客の集客に注力する必要があります。
自然災害のリスク
富士山をはじめとする自然災害のリスクが高い地域です。
そのため、災害対策をしっかりと講じておく必要があります。
食材価格の高騰
近年、食材価格の高騰が続いています。そのため、原価を抑える工夫をすることが重要です。
人材の確保が難しい
少子高齢化が進んでいるため、人材の確保が難しい傾向にあります。
そのため、人材育成に力を入れたり、アルバイトやパートの活用を検討したりする必要があります。
山梨県で飲食店を開業する際には、上記のデメリットを参考に、リスクを回避するための対策を講じておくことが大切です。
山梨県で開業する際の開業資金を抑えるコツとは
山梨県で飲食店を開業する際の開業資金を抑えるコツは、以下のとおりです。
物件の立地や規模を検討する
物件の立地や規模は、開業資金に大きく影響します。都心部や繁華街は賃料が高くなるため、郊外や立地の悪い場所を検討するのも一つの方法です。また、店舗の規模を小さくすることで、開業資金を抑えることができます。
中古設備やDIYを活用する
新品の設備は高額ですが、中古設備やDIYを活用することで、開業資金を抑えることができます。中古設備は、状態や価格をよく確認してから購入しましょう。DIYは、手間がかかりますが、費用を大幅に抑えることができます。
自己資金を準備する
融資を受けるためには、自己資金が必要です。自己資金が多いほど、金融機関からの評価が高まり、融資を受けやすくなります。そのため、開業資金の一部は、自己資金で準備しておきましょう。
補助金・助成金を利用する
国や地方自治体では、創業支援のための補助金・助成金制度を用意しています。補助金・助成金を利用することで、開業資金を補うことができます。
中古やDIYの具体的な活用例
中古
厨房機器や調理器具、食器類、テーブル・椅子などは、中古でも十分に使用できます。中古設備の販売店やオークションサイトなどを活用して、お得に購入しましょう。
テンポスでは多くの中古商品を取り揃えております。
DIY
内装工事や看板製作などは、DIYで行うことで、費用を大幅に抑えることができます。DIYに自信がない場合は、専門業者に相談するのも一つの方法です。
山梨県で飲食店を開業する際には、上記のコツを参考に、開業資金を抑える努力をしましょう。
まとめ
山梨県で飲食店を開業する際は、自己資金に加えて融資を活用することで、開業資金を調達することができます。融資を受けるためには、事業計画書の作成や信用情報の確認など、事前に準備しておくことが大切です。また、開業には物件取得費や設備費、内装費など、さまざまな費用がかかるため、計画的に準備を進めましょう。
開業に際してご相談、ご質問お気軽にお待ちしております。