今や飲食店にとって必須の厨房機器の一つとして浸透しているスチームコンベクションオーブン(以下、スチコン)。
オーブンと名前は付いていますが、「焼く」だけではなくて、「蒸す」「煮る」「炒める」「揚げる」といった加熱調理全般が、一台でまかなえる夢のような機器です。
そのうえ、温度と時間のコントロールにより調理を高い精度でプログラミングできるため、操作を覚えれば新人スタッフでも有名シェフのレシピをかなりの部分まで再現できるようになりました。
まさに厨房の歴史を変えるような存在だったわけです。
目次
スチコンの性能も着実に進化
スチコンを例にとると、近年の機器はスチームモードで調理をする場合でも、ダンパーを開いて蒸気を抜くことができるようになりましたので、魚の塩焼きや北京ダックのように皮目をパリッと香ばしく仕上げたいといったニーズにも対応できるようになりました。
また、庫内の加熱温度や調理時間を段ごとにコントロールして別々の料理を順に仕上げる、という機能も一般的になってきました。
スチコンが持つ様々な機能の紹介
芯温調理
芯温センサーが付属しているスチコンの場合、どのモードにしていても食材中心の温度を確認してくれるのです。
食材芯温センサーは、スチコン作動中に食材に挿すことで内部の温度を測る仕組みです。
内部の焼き具合を自動で管理してくれたり、生焼けを防いでくれるので食材を直接確認する手間を減らせます。
実際の温度を計測しているので、正確な数値を確認できます。
初めて調理する食材が、どのくらいの時間で設定温度に達するのか確認する際にも有効となるでしょう。
予熱機能
スチコンには食材を調理する前に庫内を温めておく、予熱機能が搭載されています。
調理前に庫内温度を上げておくことで食材を入れた後に素早く調理を開始できるので、非常に効率的です。
予熱の温度は、食材の状況や調理方法にあわせて細かく変更することもできます。
冷蔵食品を温める・一度に多くの料理を調理するなどの場合は、予熱温度を少し高めに設定すると良いでしょう。
マルチ調理機能
スチコンは、それぞれの段ごとに調理の時間や方法を設定することができます。
ただし、モードや設定温度が同じメニューに限りますので注意しましょう。複数の調理を同時に行えるので、人件費削減にもつながります。
各段ごとに調理が終了するたびに音で知らせてくれるので、取り出し忘れの心配もありません。
一度に複数の料理を短時間で提供できるため、お客様の満足度向上にもつなげられるでしょう。
再加熱機能
スチコンには、マイメニューで製造工程や温度管理を料理ごとに登録しておくことができます。
登録したメニューはボタン一つで実行できるので、調理をするたびに設定をする手間が省けるのです。
調理方法をUSBに記録しておけば、他のスチコンへの共有も可能となります。
製品を買い替えた際に再登録する必要がなくなるので、効率よく作業が進められるでしょう。メモリ機能の登録可能数は、メーカーによって異なります。
スチコン導入のメリット
調理時間を短縮
スチコンは、蒸気と熱を用いて加熱調理を行います。蒸気は庫内のすみずみまでまんべんなく行き渡るため、熱が伝わりやすいのが利点です。
電子レンジと違い加熱ムラが無いので、調理時間の短縮になります。
さらに、一度に複数の調理を行っても調理性能は変わりません。通常大人数の調理を行うためには、人手や時間・スペースが必要になってきます。スチコンを利用することで、それらのコストが一気に削減可能となるのです。
誰でもおいしく作れる
調理方法や時間等をメモリ機能で記録してくれるので、難しいメニューでもボタン一つで作ることができます。
芯温センサーを用いることで内部の温度を正確に計りながら調理が進められるので、失敗もほぼありません。
加熱をしすぎて味や舌触りの低下や、温度調整による時間のロスを防げます。
操作方法さえ覚えれば、誰でもプロ同様の仕上がりが期待できるのです。アルバイトでも、高レベルの料理が提供できるでしょう。
安心の衛生管理
芯温センサーを利用することで食品内部の状態が確認でき、生焼けを防ぐことができます。
これにより、食中毒の危険性を回避できるのです。また、調理中は庫内がしっかり密閉されています。
庫内に異物が混入する心配がなく、厨房内も蒸気が拡散されないため調理室の衛生も守られるでしょう。
小容量の調理には向いていない
小容量の調理に、スチコンにはほとんどメリットはありません。しかし、大量の加熱調理が可能という点が特徴の製品なので、小容量の調理には不向きといえます。製品の規模に対して少量の調理を行うと、逆に電気代などコストの方が大きくなってしまうでしょう。
新機能
厨房機器全般でここ2、3年くらい前から増えている機能があります。
「自動洗浄モード」です。加熱機器の場合、営業時間中はほぼ稼働し続け、様々な料理に利用されます。
衛生的な観点から、毎日のこまめな清掃は欠かせません。ただ、その作業はどうしても営業後になってしまいます。人材不足に悩む飲食店が多い中で、自動洗浄は作業の省力化に貢献します。
スチコンのお手入れは、調理後に欠かせない作業の一つです。
スチコンのお手入れをせず長期間使用すると、製品寿命を短くしたり、また調理物の品質低下といった悪循環を招いてしまいます。
スチコンを長く使うためにも、日頃からしっかりとお手入れを行いましょう。
まとめ
使いやすさや品質はメーカーによって違いがあります、サイズやカタログだけではなく、実際の機器を見てみないと分からない部分もたくさんあります。
ですから、「これ」という機器がすでに決まっている場合は別として、新たに購入する場合は、メーカーのショールームや厨房機器の展示会に足を運び、機器に触れてその性能や使い勝手を確認することをお勧めします。
「前に勤めていた店で使っていて慣れているから」という理由で、同じメーカーの機器を選ぶ方も多いのですが、
最初にも言ったようにそれぞれの機器の性能は日々進化していますから、購入するタイミングで確かめるのがベストです。