水漏れや盗難、食中毒など、飲食店を経営する際には、さまざまなリスクを想定しなければなりません。このリスクのひとつに「火災」があります。ニュースに取り上げられることも多く、被害の大きさによって長い期間の休業、最悪の場合は閉店を余儀なくされるケースも少なくありません。
そのため、いざというときのためにも保険に加入することが大切です。
今回は、飲食店において火災が発生する原因や対策、いざというときのために加入すべき保険などについて詳しく紹介していきます。
目次
飲食店における火災のリスク
火災件数
総務省消防庁が発表している令和4年版消防白書の「建物火災の火元建物用途別の損害状況」を見ると令和3年の出火件数は19,549件で、そのうち飲食店の件数は453件でした。
全体の出火件数に対する飲食店の割合はそこまで多くありませんが、損害額は14億3百万円と言われております。
令和元年は出火件数が531件だったため、出火件数自体は減っているものの損害額は11億6千9百万円だったため、損害額は増えている状況です。
火災の原因
東京消防庁の調査によると、平成24年〜28年の飲食店の出火原因割合は「放置する・忘れる」が30%も占めています。
次点で「電気機器の接触部加熱」と「火のついた油等が吸いこまれる」がそれぞれ8%という結果になっています。
調理中に火をかけたままその場を離れた結果、火災に至るというケースが多く、個人個人の火災への意識を高めたり、対策を講じることで件数を減らすことができます。
参照:東京消防庁 飲食店の厨房設備等に係る火災予防対策ガイドライン
発生事例
ここまで、火災の件数や損害額、原因についてお伝えしましたが、次は実際に飲食店で発生した火災の事例を2つ取り上げていきます。
①飲食店の厨房から出火し2名の負傷者が発生した火災
従業員が食用油を入れた両手鍋を大型ガスレンジで火にかけ、揚げ物を作り終えた後に火を消し忘れたことにより、油が過熱され出火しました。
飲食店は、限られた人員で幅広く仕事をこなすことが多いため、加熱していることを失念してしまう場合があります。
防火管理者や店長は従業員に対して、火気の使用中はその場を離れないよう日頃から指導することで出火防止に繋がります。
②焼肉店から出火した火災
利用客が下引ダクトの無煙ガスロースターで肉を調理していたところ、ダクトに火のついた油が吸い込まれ、ダクト内に堆積していた油かすに着火し出火しました。
従業員は、普段の営業時より店内の煙が多いことに気付き、屋外に出て排気口を確認したところ、大量の煙が発生しているのを発見しました。
ダクト内には防火ダンパーが設置されておりますが、周囲に油脂等が付着し、完全に閉鎖されていない状態でした。
防火ダンパーは、火災が発生した場合にダクト内の延焼を防止する役割があることから、日常的に点検や清掃を実施するとともに、ダクト内の定期的な洗浄を実施することが大切です。
火災事故への対策
次に火災を未然に防ぐポイントを紹介していきます。
①防火への意識を高める
火災が発生する原因の30%が「放置する・忘れる」のため、意識次第で火災を未然に防ぐことができます。
近年は、営業時間の長期化に伴った人材不足による長時間労働やワンオペ、また新しいアルバイトの増加などにより防火への意識が薄れています。
出火原因や火災が発生した際の行動をまとめたシートを作り、見やすい場所に掲示したり、店長や店舗責任者が日頃から指導することで防火への意識を高めることが大切です。
②排気ダクト等の点検・清掃をする
排気ダクトの維持管理を徹底していない場合、内部に大量の油脂等が堆積し、延焼ルートになる恐れがあります。
天蓋やグリス除去装置など外観から確認できる部分は日常的に、外観から確認が難しい部分は概ね1年ごとの点検が大切と言われています。
また、点検するだけでなく店舗の実態に応じて清掃することが大切です。
清掃した方がよい箇所に関しては、以下の火災予防対策ガイドラインに記載されていますので一度確認してみてください。
参照:東京消防庁 飲食店の厨房設備等に係る火災予防対策ガイドライン
火災の可能性は0にならない。だから火災保険
防火への意識を高めたり、排気ダクト等の点検・清掃を行なうことで火災を未然に防ぐことができますが、火災の可能性を0にすることはできません。
そのため、万が一に備えて保険に加入しておくことが大切です。
火災に対応している保険としては、その名の通り「火災保険」があります。
火を使わない飲食店であっても、複数の飲食店が入っているビルなどで営業している場合は、他店からの出火も想定して保険に加入することが大切です。
近年では火災だけでなく、盗難や食中毒などさまざまなリスクに備えることができる「店舗総合保険」も人気です。テンポスでは、お客様の要望にあった保険の提案を行なっている保険代理店をご紹介しています。
火災保険に関わらず、万が一に備えて保険の加入をお考えの方は、ぜひ一度テンポスへお問い合わせください。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は火災の原因や対策、火災に対応している保険などについて紹介してきました。
保険は、万が一に備えるためのものですが、一番良いのは保険を使うことなく営業を続けられている状態です。
日頃から対策を怠らないのはもちろんのこと、いざというときのために向けて保険に加入することで、リスクに備えましょう。
テンポスでは保険の他にも、経費削減や食材仕入れ先の紹介、集客に向けた販促物の作成などさまざまなサービスを取り扱っています。
気になるサービスがありましたら、どうぞお気軽にお問合せください。