みなさまこんにちは!
ブログ執筆者の自称ふーみんです。
今回は、実際に物件を探すにあたり、避けては通れない賃貸募集図面の見方について解説させて頂きます。
住居でも事務所でも店舗でも、必ず物件を探している方は、この募集図面を一次情報として集め、内容を吟味し、内覧するかしないか等、実際に賃貸借契約を締結する上で、最初の一歩として非常に重要な資料となります。
但し、この募集図面は作成する不動産会社次第で、内容にムラがあり、形式としては千差万別な側面もあります。
今回のコラムでは、どんな募集図面を見たとしても、抑えるべきところ、確認すべきところ等を解説させて頂きます。
みなさんにおかれましては、本コラムをご覧の上で改めて募集図面を見て頂き、自分に必要な情報が何なのかをご確認ください以下、内容の解説となります。
目次
飲食店の賃貸募集図面について
まずは、そもそも賃貸募集図面とはなんぞや?について改めて解説致します。導入部分なので、前提知識としてご確認ください。
賃貸募集図面とは
賃貸募集図面とは、文字通り、大家がテナントに入居してもらうに際し、物件の一次的な情報を1枚の図面にマルっと入れ込んだ物件資料になります。
この資料を見れば、大まかな物件情報を一目で確認することができます。
大家としても、この募集図面の出来栄え次第で、テナント側に物件のことを第一印象として気に入ってもらえるか否かに関わるので、非常に重要な物件資料となります。
逆に、店舗を探している方々にとっても、いかにこの資料を多く集め、より自分の希望に近い条件に近づけるか、より良い出店に結び付けられるかに関わる非常に重要な物件資料となります。
この資料集めを怠けてしまっていると、良い物件は他の飲食店に持ってかれてしまいます。飲食店の皆様は、気合を入れてこの資料を集めてください。
作成者は誰?
この賃貸募集図面を誰が作っているのか?たまに大家自身が作成していることもありますが、世の中の賃貸募集図面の大半は、元付の不動産会社が作成しております。元付の不動産会社とは、大家から不動産管理の代行を受けたエージェント会社であり、テナント募集業務もその一環に含まれます。
よって、元付会社のセンス次第で、大家にとって早くテナントが集まるかが決まります。
元付会社と客付会社
上記にて、元付会社という名前が出てきました。
不動産の世界では、賃貸でも売買でも、大家側(売買なら売主側)のエージェントとして動く会社、借主側(売買なら買主側)のエージェントとして動く会社、の2社が存在します。
賃貸の世界では、大家側のエージェントとして動く会社のことを【元付会社】、借主側のエージェントとして動く会社のことを【客付会社】と呼びます。
なぜ、2手に分かれているのか。理由は色々とありますが、本来、大家と借主は利益相反の関係です。大家はより高い賃料で貸したい。借主はより安い賃料で借りたい。賃料だけみても、互いの利益は一致しません(利益相反)。
もし大家と借主双方のエージェントを1社が行ったらどうなりますでしょうか。そのエージェントは大家と借主双方の顔色を見ながら、『よりいじめやすい側』に厳しいことを言って、契約を無理に結ばせてしまうでしょう。
こういったことを防ぎ、大家・借主それぞれの利益を最大限に追求する会社として、元付会社・客付会社が存在します。
なお、賃貸ではそれほどではないですが、不動産売買においては、元付会社(売主のエージェント)でありながら客付会社(買主のエージェント)でもある状態で不動産売買に携わることが多いです。
これが悪名高い『両手仲介』です。特に売買の場合、物件によっては数千万、億単位の金額が動きます。売主・買主それぞれに立場があり、利益を追求しないといけないにかかわらず、不動産会社によっては売主・買主双方のエージェントとして不動産会社の都合だけで物件契約をさせてしまうことが多いです。
なお、例えば弁護士は特に民事裁判においては、双方の弁護士業務を1人の弁護士が行う『双方代理』は禁じられています。当たり前と言えば当たり前ですが、不動産業界においては、古くから続く商慣習からなのか、双方代理が明確に禁じられていません。
飲食店の皆様は、不動産会社に当たった際、担当者に「貴方の会社は客付け会社ですか?」と聞いておいた方がいいでしょう。客付け会社と答えたら、貴方のために頑張ると思います。そうでないとその担当者も売上も上がりませんからね。
募集図面の見方、注意点について
前置きが長くなってしまいましたが、それでは早速、賃貸募集図面の見方について下記で解説していきます。このコラムを読むことで、今まで何となく見ていた物件情報が、そうだったんだ!と分かるかもしれませんので、よくよくご確認ください。
募集図面の構成
最初に、募集図面の構成について解説します。本コラムに参考資料として一般的な募集図面のひな型をアップしていますので、併せてご確認ください。
まず、向かって左上側は、その物件のキャッチコピーや訴求したいポイントを掲載します。もし物件近くの駅が人気の駅ならば、●●駅最寄!!とかデカデカと記載したりします。(添付資料①の箇所)
次に、その下、右下から中央にかけては、物件の写真やスペースが許せば区画の平面図などを掲載します。(添付資料②の箇所)
最後に、右側の上から下全部にかけて、物件の概要を文字情報として記載します。(添付資料③の箇所)
多くはこの3段構えで募集図面が作成されています。たまに、元付会社の怠慢で、物件概要だけ記載とか、写真資料が無いとかの募集図面が散見されます。
こういう物件資料を作成している元付会社は、やる気がないために、具体的なタイミングになっても真剣に動こうとしないかもしれません。そんな物件は避けた方が賢明です。
左上のキャッチコピーについて(資料の①)
上記の説明のうち、左上のキャッチコピーや訴求ポイントについて解説します。
良いことしか書いてない!?
この箇所に記載されている内容は、大家からテナントに対し、『貴方がここを借りたらこんなに良いことがあるよ!』と訴える箇所です。
当然ですが、良いことしか書いてないです。もちろん、良いことが無い物件を借りる訳にはいかないので、良い箇所はあるべきです。
しかし、この点だけに目が行ってしまうと、この物件に潜んでいるかもしれないデメリット事項が埋没してしまうかもしれません。あくまで、賃貸募集図面を見てる段階においては、飲食店の皆様はなるほどなるほど、こんな感じの物件なのね、くらいで気持ちを留めておいた方が無難です。
なお、逆にここに何にも書いてない賃貸募集図面は、それはそれで本当に良いところが無いかもしれないですし、作成した元付会社のやる気がないということもあるので、こういった物件は、前述の通り避けた方がいいです。変な物件を捕まされるオチです。
左下の物件写真・平面図について(資料の②)
次に、物件写真や記載があれば平面図について解説します。
信じちゃいけない!?
正直に告白しますと、私自身も過去に努めていた不動産会社で、物件写真を撮影しますが、100点満点は青空で逆光にならない、美しい写真を撮影することです。
しかしながら、曇りだったり逆光だったり交通量が多ければ余計な人が入ったり、建物の形がいびつで上手く1カットに収まらない等、なかなか100点満点の写真は撮れないものです。
では、どうするか。加工します。
画像の加工ソフトを使えば素人でも簡単に60点の写真を100点の写真に変身させられます。
もちろん、大半の不動産会社はこんなことは行いません。しかし、賃貸募集図面はただの文字情報です。百聞は一見に如かず、あくまで写真は参考資料の立場として、ご自身の目で確認することが必須です。
特に写真に掲載されてない箇所にこそ真実ありというのは不動産業界のあるある話。不動産会社は見せたくない箇所はわざわざ写真に撮らないです。必ずご自身で現地に行き、本当に写真と一緒か、写真に載ってない箇所に何があるのか、絶対に確認してください。
次に、当該区画の平面図が記載されていることがあります。
これは、非常に要注意!ポイントです。一般的に図面資料は、建物を作ったゼネコンが作成した資料を元に作成されていますが、基本はPDF資料ないし、青焼きの分厚い大型図面です。
要はこの資料を無理やりコピーや写真にとって掲載されています。しかも、賃貸募集図面のわずかなスペースに小さく縮小して掲載したりしています。もしかしたら縮小の過程で縦横比率を変更してるかもしません。
こちらも写真と同様に参考レベルに留めておくべきです。
また、平面図に現れない内容として、ありがちなのは『デッドスペース』です。平面図上は貸し床面積として記載されてますが、その箇所だけ階段下でまともに使えない、鋭角な角で物が置けないなど、いろいろパターンがあります。
結局は写真と同様に、実際に現地に足を運び自身の目で区画の形がどうなっているかを確認する必要があります。
右側の物件概要(資料の③)
それでは、最後に右側の物件概要について解説します。
募集図面の中で一番重要な箇所
右側の物件概要の欄は、賃貸募集図面の中で一番重要な箇所です。
一言一句、注意して確認してください。ここに記載の内容に誤りがあると、最悪はご自身の店舗経営に支障をきたすこともありえます。なお、本当に致命的な間違いとして誤認したまま物件契約をして、後から気づいた場合は、作成した不動産会社の責任です。その場合、最寄りの都道府県に不動産相談窓口がありますので、こちらにご相談ください。
最悪は行政処分等のペナルティーが不動産会社に課されます。
それぞれ箇所のポイント
では、概要記載欄について上から解説していきます。
通常、上段部分には、物件の種目、最寄り駅、賃貸条件が記載されています。物件種目について、万一『事務所(店舗可)』となっている場合、要注意です。あくまで事務所仕様として貸してるので、飲食店を行う場合は、配管工事等多額の工事が発生します。
賃貸条件は、賃料や保証料について要確認です。特に賃料は税別か税込かで実際に支払う賃料が異なるので大事です。保証料について多くは償却が発生します。償却の内容はだいたい下の備考欄に記載されています。併せて確認ください。
賃貸契約期間も要確認です。添付資料では普通3年契約と記載されています。これは普通賃貸借契約で、3年契約満了時に更新が発生する意味です。更新のタイミングでその時の経済情勢に合わせて賃料増減の交渉が発生する場合もあります。
また、居抜き譲渡物件ですと、譲渡対価費用が記載されていますので確認ください。もし記載が無い場合は、譲渡対価0円もしくは記載漏れのどちらかです。必ず不動産会社に確認してください。
次に、中央の箇所です。
ここは、面積や建物自体の概要が記載されていることが多いです。賃貸面積、所在階は当たり前ですが要確認です。また築年数も必ずチェックしてください。
例えば昭和40年代の建物ですと、遅かれ早かれ建替え時期となります。本当に建替えするとなれば、大家からテナントへ立ち退き要請が来ます。せっかく繁盛している店舗でも立ち退きされてしまえば元子もありません。
また、この資料に記載の『設備』の欄は空欄となってます。ここはダクトやガスの容量のことです。ほとんどの募集図面ではここまで記載されていません。しかしご自身のお店の業態によっては、多くの設備容量が必要になるかもしれません。
記載が無いなばら、必ず不動産会社に確認してください。これを怠ると、後で発生する内装工事の際にとんでもないことになるかもです、、、
最後に、下のその他欄です。ここは超重要です!
よくあるパターンは、可能な業態や営業時間が記載されています。例えば中華料理不可となっている場合、どこまでが可能で不可なのか、これだけでは分かりません。
これを見て、そうか中華料理はダメなのか、、と諦めるのではなく、何がOKでNGなのか絶対に確認してください。同じ中華料理でも飲茶系はOKかもしれません。
また、賃貸条件の箇所で出てきた保証金の償却について記載されています。通常、収めた保証金に対して、退去時に差っ引かれる分が償却と言う表現で記載されています。保証金10ヶ月で償却3ヶ月ならば、退去時は7ヵ月分の保証金が返却されることになります。大きなお金なので、必ず確認してください。
賃貸借契約更新時に更新料が発生するならば、更新料の目安も記載されているケースが多いです。賃料100万円で更新時1.5ヵ月ならば、更新料として150万円を支払うことになります。こちらも大きなお金が動くことなので、よくよく確認です。
とにかく、このその他欄は、実際にお店を行う上で致命的に関係する内容が多く記載されています。面倒がらず、必ず下の下まで確認してください。
まとめ
本コラムでは、賃貸募集図面について解説を行いました。
今は不動産会社が掲載しているインターネット上からでも容易に募集図面を取り寄せることが出来ます。あくまで物件探しにおいて最初のとっかかり資料の位置づけですが、最初が肝心。
ここでつまづくと、全てつまづきます。繰り返しになりますが、あくまで参考資料です。
実際はどうなのか、ご自身の目で確認してください。募集図面の見方や、こう記載あるけどどういうこと?等、何かご不明点などありましたら、お気軽にテンポスまでご相談ください。誠意対応して参ります。
テンポスは、飲食店の開業にあたり、事業計画の策定方法、効果的な不動産物件の探し方など、厨房機器等以外のソフト面でも、全力で飲食店の開業をサポートします。詳しくは下記までお問合せください。お問合せ、心よりお待ち申し上げます。
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