昨今、健康意識の高まりによりたばこが吸える飲食店が少なくなってきました。
望まない受動喫煙が問題とされ分煙化が進む中で、飲食店はどのような対策を取れば良いのでしょうか。
飲食店における喫煙の現状や、たばこと集客の関係性、たばこの新ルールを抑えることにより、喫煙環境を整え、喫煙者・非喫煙者のどちらも集客できる飲食店運営を目指しましょう。
目次
現在の東北地区飲食店のたばこ事情は?
現在の日本では、2018年に改正された健康増進法により、飲食店の屋内喫煙は原則禁止されています。東北地区においても同様で、屋内での喫煙は認められていません。
また、屋外での喫煙については、各自治体によって規制内容が異なります。東北地区においても、公共の場や商業施設周辺などの屋外での喫煙が禁止されている場合があります。そのため、飲食店の周辺でも喫煙ができない場合があります。
一方で、東北地区の一部地域では、屋外での喫煙規制が緩やかで、飲食店の周辺でも喫煙が認められる場合があります。ただし、店舗ごとに異なるため、事前に確認が必要です。
これらの規制は自治体によって異なるため、具体的な情報を知りたい場合は、各自治体のホームページや、飲食店のホームページなどで確認することが重要です。
今回は、飲食店の大きな悩みのひとつ「飲食店のたばこの許可申請方法」について深堀し、最後に、「これはありがたい。」と思っていただける、各エリアごとに異なる連絡先窓口などをダウンロードできる便利な「コンテンツ」をご紹介します。
飲食店での喫煙の現状
「飲食店でたばこが吸えなくなった」と聞くことが多くなったものの、喫煙可能なお店もあるため、実際のところはどうなのか良く分からないという人も多くいると思います。飲食店の喫煙について現状をおさらいしましょう。
2020年4月から原則屋内禁煙に
2020年4月1日から、飲食店は原則屋内禁煙となりました。
望まない受動喫煙をなくし、特に健康影響が大きな子どもや、疾患を持っている方に配慮し、多くの方が利用する飲食店などの施設では原則屋内での喫煙が禁止になりました。
改正健康増進法
飲食店での原則屋内禁煙を定めたのは、「改正健康増進法」です。
改正前は努力義務だった屋内での喫煙対策が、今回の改正で義務となりました。
飲食店をはじめとする様々な施設が対象となり、違反した場合の罰則や喫煙可能標識の掲示の義務化など、これまでになかった新たな規則が設けられました。
飲食店とたばこの新ルール
「原則屋内禁煙」ということは、一方で特定の条件や場所においては喫煙が可能ということです。
2018年の調査では、日本の成人喫煙率は、男性で約30%、女性で約8%、男女計で約18%となっています。日本における喫煙者の数は少なくないため、飲食店においても喫煙者の集客は、手放したくないものです。
しっかりと分煙対策を行うことで、喫煙者の集客はもちろん、非喫煙者の方も気持ちよく過ごせる対策を行うことができます。
【こちらもチェック】飲食店×たばこの新ルール~健康増進法改正に合わせて要チェック!
※ぐるなびの飲食店向けサイト「ぐるなび通信」へジャンプします。
たばこと集客
喫煙に対する新ルールを守らないと、罰則規定があるのはもちろん、非喫煙者の方が快適に過ごせず、客離れに繋がります。一方で全面的に禁煙としてしまうことで、喫煙者の集客ができない状況にもなります。
株式会社クロス・マーケティングの行った喫煙者向けに全面禁煙であった際に入店をやめた経験のアンケートによると、「居酒屋・ビアホール」、「バー・スナック」、「カフェ・喫茶」、「焼肉店」などの業態において「入店しないことがある」と回答した人は4割以上となっている。
一方で、非喫煙者向けに行った喫煙ルール別の入店抵抗感のアンケートによると、ルーム分煙の場合に抵抗感があると回答した人は2割程度であり、非喫煙者も分煙であれば入店することに抵抗を感じる人は少なくなるという傾向がみられた。
分煙対策ができていないと、喫煙者は「たばこが吸えないなら別の店にしようか」となり、非喫煙者は「たばこの匂いが嫌だから店を変えよう」となります。
このようなことが起きないように対策することで、店への滞在時間が長くなり客単価アップや、リピート客の取りこぼし減少にもつながります。
飲食を伴いながら席での喫煙が認められる飲食店
一部の飲食店は、経過措置として一定の条件はあるものの席での喫煙が認められています。
それは、下記の3つの条件を満たす飲食店です。
(1)2020年3月31日時点で営業を開始している
(2)資本金が5,000万円以下
(3)客席の面積が100m²(約30坪)以下
これらの飲食店は、全面喫煙可能である旨と二十歳未満の立入禁止の旨が明記された標識を掲示することで、飲食を伴いながら喫煙する事が認められています。
今後も喫煙可能な飲食店の条件
2020年4月1日以降に開業する飲食店は、資本金や客席面積などの規模に関係なく、禁煙および分煙化の義務対象になりますが、分煙対策をきちんと行えば喫煙可能な飲食店の運営は可能です。ここでは、飲食店を喫煙可能とするために必要な条件を見ていきましょう。
喫煙室の設置
禁煙および分煙化対策には主に4つの方法があります。
(1)屋内全面禁煙
(2)紙たばこと加熱式たばこのどちらも喫煙できる喫煙専用室の設置
(3)加熱式たばこ専用の喫煙室の設置
(4)喫煙専用室と加熱式たばこ専用喫煙室の併設
(5)屋外敷地内における灰皿等喫煙場所の設置(配慮義務あり)
1つ目は、分煙を行わず屋内全面を禁煙とする方法です。
2つ目は、紙たばこと加熱式たばこのどちらも喫煙可能である喫煙専用室の設置です。専用室内は飲食不可で、二十歳未満の人の入室は禁止です。
3つ目は、加熱式たばこ専用の喫煙室の設置です。喫煙専用室とは異なり、室内での飲食が可能です。しかしながら、二十歳未満の人の入室は禁止です。
4つ目は、喫煙専用室と加熱式たばこ専用喫煙室の併設です。2つ目と3つ目の併用です。
5つ目は、敷地内の店舗の屋外(テラスや軒先等)において、灰皿を置く等して喫煙環境を整備する方法です。ただし、喫煙場所は入口の付近から遠ざける等の配慮義務に留意して設置する必要があります。
いずれにしても、禁煙エリアの確保は必須です。
喫煙エリアの技術的基準
喫煙専用室ではたばこの煙が外に流出しないように、以下の3つの技術的基準をクリアする必要があります。
(1)喫煙室の扉を全開にした状態で喫煙室の外から内側に向かって開口面風速0.2m/秒以上が取れている状態
(2)壁や天井などにより、扉以外の部分が完全に他の空間と仕切られている
(3)屋外または外部に煙を排気する機能を持っている
既に喫煙室がある飲食店は、この基準を満たしているか確認が必要です。
こうした技術的基準は、専門的な知識が必要なため、専門家に相談するのも方法のひとつです。
喫煙エリアの年齢制限
喫煙室の設置の項目でも記載しましたが、二十歳未満の人は喫煙専用室および加熱式たばこ専用喫煙室ともに入室が禁止されています。
二十歳未満の来店客だけでなく、二十歳未満の従業員も対象となっています。
掃除や接客などの業務も該当するため、二十歳未満の従業員がいる飲食店は、特にルールを徹底して共有する必要があります。
喫煙ルールの標識掲示
店内に喫煙可能な場所がある場合は、標識掲示の義務があります。
掲示が必要な場所は、店の入口と喫煙室の入口です。店の入口は、店内に喫煙できる場所がある旨を記載する必要があり、喫煙室の入口は喫煙可能な場所である旨と二十歳未満は立ち入りが禁止されている旨を明記する必要があります。
標識は、厚生労働省の特設ページから印刷用データが入手可能です。
飲食店のたばこの許可申請
一部の飲食店は、席での喫煙が認められていますが、届出の申請が必要となっています。ここでは申請について見ていきましょう。
喫煙可能室設置施設届出書
先ほど、3つの条件を満たす飲食店は、二十歳未満の立ち入り禁止また標識の掲示を行えば、席での喫煙が認められると紹介しました。
これらの飲食店は「既存特定飲食提供施設」と呼ばれ、「喫煙可能室」として喫煙室を設けず店内で喫煙することが可能です。この場合、各自治体への届出が必要です。
この届出は「喫煙可能室設置施設届出書」という届け出で、店舗名称や所在地の他に営業許可番号や営業許可日の記載などが必要になります。
変更や廃止の際にも届出が必要
届出後に、店舗名称や所在地、店舗の管理権原者の氏名や住所に変更が生じたときは、変更内容を記載し「喫煙可能室設置施設変更届出書」を提出する必要があります。
また、届出後に喫煙可能室を廃止した場合は廃止理由や廃止日を記載し「喫煙可能室設置施設廃止届出書」を提出することが必要です。
自治体により異なる申請内容
届出書は、大枠の申請内容は同じですが自治体により申請内容が異なる場合があります。
例えば、東京都の場合「喫煙可能室設置施設届出書」と合わせて、「喫煙可能室設置施設届出書(東京都)」という東京都独自の申請書も必要です。
内容は、開業時期、資本金、客席面積に加え、従業員を雇用していない旨の確認となっています。
このように自治体により申請書が異なる可能性があるため、ご自身の飲食店の所在地の申請書を確認してみてください。
まとめ
以上、飲食店とたばこの新ルールと許可申請についてのまとめでした。
分煙に対する正しい知識と現状のルールを把握したうえで、喫煙者と非喫煙者のどちらにとっても居心地の良い空間にすることで、幅広いお客様をターゲットにできます。
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分煙の対策および許可の申請方法については、細かな決まりや専門知識が必要であり、自分だけで判断が難しいと感じた場合には、分煙の専門家や自治体の窓口などに問合せをしながら対策をしましょう。
※自治体によっては独自の条例を制定している場合がありますので、店舗のある自治体の条例状況をご確認ください。