インバウンド対策は何をしたら良いの?今からできるお店の準備

経営ノウハウ

2023年2月、日本政府観光局(JNTO)は、1月の訪日外国人(インバウンド)が150万人に迫ったことを発表しました。2022年10月11日からはビザなし渡航・個人旅行客の受け入れが再開され、11月の訪日外国人は93万4500人、12月にはその約1.5倍となる137万人が日本を訪れ、新型コロナウイルス感染症の影響が出始めた2020年2月以降で初めて100万人を超え、右肩上がりとなっています。

以前より日本の文化や食事、マンガやアニメ、電化製品や化粧品などへの関心が高く、入国の規制緩和により外国人旅行客が増えて行くことが期待されています。

このチャンスをぜひ掴んでいただき、集客にお役立ていただきたいと思います。

そもそもインバウンドって何?

昨今ニュースやメディアで使われる『インバウンド(inbound)』。インバウンドとは、「外国人が日本に観光をしに来る」「日本を訪れる外国人旅行客」「訪日外国人」という意味で使われます。

日本に来る、旅行をする、宿泊する、食事をとる、お土産を買う、といった行動が「インバウンド需要」と言われ、そこでいかに外国人の心を掴んで自分のお客様になるのか、ということがインバウンド集客です。

【人気の記事】“インバウンド”に関する調査~3人に2人が「外食先での訪日外国人が増えた」と回答。寿司・居酒屋・ラーメンが人気~

※ぐるなびの飲食店向けサイト「ぐるなび通信」へジャンプします。

飲食店でできるインバウンド対応とは

お寿司、天ぷら、ラーメン、カレー、唐揚げ、とんかつ、お好み焼き……海外の方が好む日本食はさまざま。
「取り立てて目を惹くメニューではないし」と、お店の方が思っていても外国の方からすれば素敵な日本食と映ることもあるかもしれません。

メニューブックを作ってみる

飲食店でインバウンド集客をする上で重要なポイントは外国語メニューや看板などの準備です。
英語メニューを作成し、「English menu available」とするだけで、見てみようかな、入ってみようかなと興味を惹き、喜ばれることは間違いありません。

しかしながら「翻訳をお願いしないと……」、「説明書きはどうしたらいい……」と、メニューブックを作るのは一苦労。
でもまずはできることからやってみませんか?

写真入りのメニューブック

写真なら、料理を選ぶのは簡単です。海外のレストランで英語だけのメニューを出されて何がなんだか分からない……という経験はありませんか?

写真と日本語のメニュー名、金額があるだけでお客様も注文を受ける側も指差し確認だけでOK。
写真から内容は想像におまかせ!そんな割り切りもアリではないでしょうか。

料理に入っている材料を書こう

メニューをそのまま訳して説明するのは難しく、またその説明があっても何であるかの想像が難しいのが日本食です。

野菜や肉の種類(牛、豚、鳥、羊など)、魚の種類、使っている調味料や原材料をWebの翻訳機能などを使って書けるとGood!です。

宗教・信仰上の理由やアレルギーの観点から食べられない食材を避ける意味としても、お客様がメニューを選ぶのに役立てることができます。

おすすめのセットメニューを作る

外国人観光客向けのセットメニューを作ることもおすすめです。
自慢の料理を含めたコース、おすすめ料理とドリンク1杯付のセットメニューなど。

たくさん料理がある中でどれを選んだら良いか分からない、またお店の方にとっても「おすすめは何ですか」、「どれが美味しいですか」と聞かれて会話に困ってしまうということも。

「Today’s special」(今日のおすすめ)
「recommended menu」(おすすめメニュー)
「chef’s selection」(シェフのおすすめ)

など、紹介してみてはいかがでしょうか。

ホームページ・SNSに掲載

ホームページ、Googleビジネスプロフィール、SNSを使って宣伝をしましょう。
メニュー写真を載せる、メニューや簡単な紹介文を英語で表記するだけでもOK。

スマホを片手に旅行するのが当たり前の今、ネットにお店の情報があるか無いのかは大きな差がでます。
地図や駅からのお店の道順を写真や動画で案内することも良いでしょう。

キャッシュレス決済の導入

日本では特にコロナ禍になってからキャッシュレス決済(現金以外の決済方法。クレジットカード、SuicaやPasmoなど電子マネー、QRコードなど。)が飲食店でも増えてきました。
現金の取り扱いが難しいのは外国人ではなおさら。

キャッシュレス決済であれば、お札や硬貨をひとつひとつ確認して出すよりも手間がかからず、支払う側もお店側としても大変便利な決済方法です。

お店で扱えるキャッシュレス決済の種類が決まったら、店頭に扱える種類の掲示をしましょう。
お店選びのポイントにもなりますよ。

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無料Wi-Fiの設置

旅行者が携帯やPCを使って情報を集めるためにWi-Fiスポットを求めてお店に入ることも考えられます。

国によっては街中に無料のWi-Fiがあり、利用するのに困らないそうなのですが、日本ではここ最近自治体などで使えるスポットを増やしてはいるもののまだまだ少ないのが現状です。

そのような需要に応えるためにもお店に無料Wi-Fiを設置し、店頭に目立つように掲示してお客様を呼び込むようにしましょう。

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料理教室の実施

寿司店や日本料理店などでの料理教室なども、単に食べていただくだけではない高い満足度を得ていただける体験です。

また料理そのものを体験していただくだけでなく、折り紙やこま、書道、縁日の遊びなどを体験していただくこととあわせて食事をする、というようなことも。

アイデア次第でさまざまな日本体験が提供できるのではないでしょうか。

気をつけたい食材やマナー

多国籍のお客様が来る中で、宗教上の理由などから気をつけたい食材やマナーについてご紹介します。

各宗教や信念について全てに対応することは難しいことですが、それらに理解を示してできるかぎりのおもてなしをしましょう。

イスラム教

豚肉、アルコールが全体的に禁止されています。
そのものを食べる・飲むことだけでなく、豚由来の調味料、油脂、出汁などすべてがNGとなります。
しょうゆ、みりんなども醸造の過程でアルコールが発生するため摂取をしないことがあります。

またイスラム教では食事をしたり調理するのは右手を使うのがマナーとなっていますので、料理を提供する時には右手を使うようにしましょう。

ヒンドゥー教

肉類全般が避けられています(牛・豚・鳥・羊など。)
特に牛は宗教上神聖な生き物とされているため、食べることは禁忌行為です。

魚や卵もNGですが、卵だけ、魚だけ食べる、という人も。また、生もの、ニラ・ニンニク・玉ねぎ・ラッキョウ・あさつきといった臭いの強い野菜は食べられません。

ヒンドゥー教では「左手は不浄の手」とされていますので、料理を提供する時には右手を使うようにしましょう。

ベジタリアン・ヴィーガン

ベジタリアンは一般的に肉・魚介類を避ける「菜食主義」の総称です。
ヴィーガンと言って卵や乳製品を含む、動物性の食品を摂取しない「完全菜食主義者」の方もいます。

牛や豚などの肉類は食べないものの、魚介類は食べるといったペスタカリアンなど信条によってさまざまです。

アレルギー

卵・乳・小麦・そば・えび・かに・落花生(ピーナツ)は年齢や国籍などとは関係なくアレルギーの中でも特に症例数や重篤度が高い食材です。

現在、飲食店ではアレルギー表示は義務化されていないものの、インバウンド対策に限らず何を使っているか、何が含まれているかを問われた時に答えられるように準備しましょう。

【人気の記事】【2023年上半期】飲食店の業績は回復傾向~宴会やインバウンドが追い風も、コスト増が課題~

※ぐるなびの飲食店向けサイト「ぐるなび通信」へジャンプします。

できることからはじめよう

飲食店のインバウンド対策は一度にすべてを行うことは大変です。
しかし、できることから対応していくことで、インバウンド対策だけでなくお店全般の見直しにもなり少しずつ効果がでてくることがあるはずです。

まずは外国人観光客を受け入れようとする姿勢を持ちましょう。
そして来店された外国人観光客との接客の中で、こうしたほうが良い、あれがあれば、といった問題点や課題が見えてきます。

来店されるお客様のニーズを掴むことであなたのお店はもっと選ばれるお店になるはずです。
これから開業しようという方・改装や業態変更を考えている方はぜひご相談ください

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