食中毒に備えられる保険はあるの?飲食店で発生した場合の対策と予防策

出店・開業

飲食店を経営する上で火災や水漏れ、盗難など様々なリスクを想定しなければなりません。リスクの一つに「食中毒」があります。昨今、コロナ禍ということもあり、衛生対策に敏感になっているものの、食中毒は発生し続けています。

今回は、飲食店における食中毒の発生状況、対策などについて解説していきます。

飲食店における食中毒のリスク

食中毒とは、細菌やウイルス、有毒な物質がついた食べ物を食べることによって、下痢や腹痛、発熱などの症状が出る病気のことです。
ここでは飲食店における食中毒のリスクについて解説していきます。

発生件数

厚生労働省の発表によると、令和3年の食中毒発生件数は717件、患者数は11,080人です。
原因施設が判明したものの構成割合を見てみると、飲食店が54.8%と全体の半数以上が
飲食店で発生しております。

参照:厚生労働省|食中毒統計資料

飲食店への影響

飲食店が食中毒を発生させた場合、どのような処分を受けるかご存じでしょうか。
食中毒を起こした疑いがある飲食店は、保健所から連絡があり、拭き取り調査を中心とした施設調査が実施されます。

具体的には取り扱っている食材やトイレなどの拭き取りを行い、検体を採取します。
さらに、平行して当日調理した人の検便や食材の仕入先一覧の提出など念入りなヒアリングがされます。

調査を行った結果、食中毒の原因が飲食店だと認定された場合は、食品衛生法第6条第3号違反(食中毒の発生)により、行政より営業停止命令、もしくは営業禁止処分を受けることになります。
多くの場合は、3日程度の営業停止処分を受けることになります。

休業中は当然ですが、売上が入りません。また、営業再開後も食中毒を発生させた飲食店だとお客様に認知されてしまうことが多いため、マイナスイメージを払拭できず食中毒が発生した以前の売上に戻すことは困難です。

さらに、場合によっては食中毒の被害に合ったお客様から賠償請求をされて賠償金額だけで数万から数十万にのぼることもあります。

発生事例

実際に飲食店で食中毒が発生した事例を2つ取り上げていきます。

①飲食店で食事をした数十人からカンピロバクターが検出され、食中毒と断定

マグロや唐揚げ、カキフライなどを提供する料理店で食事をした男女数十人が下痢や発熱などの症状を訴えた。複数の患者の便からカンピロバクターが検出され、食中毒と断定された。
同店は営業禁止処分を受けた。

カンピロバクターは鶏や牛などの腸にすむ細菌で、食品や飲料水を通して感染するとされています。
生の鶏肉や加熱不十分な肉料理が主な原因のため、肉を扱った料理を提供する場合十分な加熱を心がける事が対策になります。

②飲食店でサバを食べた女性の胃からアニサキスが検出され、食中毒と断定

ある飲食店でしめ鯖を食べた20代女性が胃痛や吐き気などの症状を訴え、食中毒と断定された。
女性の胃からはアニサキスが見つかった。
料理を提供した飲食店は営業停止処分を受けた。

アニサキスは寄生虫の一種でサバやアジ、サンマ、カツオなどの魚介類に寄生します。
対策として新鮮な魚を選び、速やかに内臓を取り除くことが大切です。

また、魚の内臓を生で提供しないことや目視で確認して、アニサキス幼虫を除去することが大切です。
さらに-20℃で24時間以上冷凍することや70℃以上、または60℃なら1分加熱することで予防できます。

食中毒の主な要因と予防法

食中毒のリスクについては理解できましたでしょうか。
発生事例でカンピロバクターとアニサキスについては紹介しましたが、その他にもさまざまな原因が存在します。ここでは食中毒の主な要因と対策について紹介していきます。

サルモネラ属菌

牛や豚、鶏などの腸の中にいる細菌のことです。菌が付着した食べ物を食べてから半日から2日後くらいで激しい腹痛、下痢、おう吐などの症状が現れます。やや高い熱が出るのが特徴の1つです。
予防法として、十分な加熱調理や生肉・卵等を扱った手指や調理器具はよく洗浄、消毒することが大切です。

腸管出血性大腸菌(O157やO111など)

牛などの家畜の腸管内に1~3割程度みつかるといわれています。多くの血清型があり、代表的なものは「O157」です。10~100個程度の少量の菌で人に食中毒を起こすといわれております。
潜伏期間が3~8日程度と比較的長い時間を経て発症し、腹痛や下痢などの症状が現れるといわれています。

加熱不足、またそれらによって汚染された食品、牛糞堆肥等で汚染された生食用野菜・浅漬け・水などが原因となります。
予防法として十分な加熱や洗浄、消毒などが挙げられます。

セレウス菌

土壌や河川など自然界に広く生息しています。熱に強い芽胞を作る細菌で、毒素を産生し、この毒素により食中毒が起こるといわれています。症状は嘔吐型と下痢型の2つに分かれます。

原因となる食品はどちらもチャーハン、ピラフなどの焼飯類、焼きそば、スパゲッティなどの麦を原材料とする麺類が原因になりやすいです。

予防法として十分な加熱やチャーハン、ピラフなど炒め物を調理後、室温に長時間放置し、その後、食べないようにすることです。そのため、食べきれる量だけを作ることが大切です。

(コンビニエンスストア等で販売されている『チャーハン』『トマトライス』等は、炊き込み調理されたもののため安全です)

ノロウイルス

空気が乾燥する冬場を中心に起きやすい食中毒です。
原因食材として加熱不十分な二枚貝の喫食による場合が2割、調理する人の手指などを介して、ノロウイルスが食品についたことが原因となる場合が8割程度です。(パン、菓子、きざみのり、すし等のあらゆる食品)

予防法として日頃から手洗いを徹底することや、十分な加熱などが挙げられます。
この他にも食中毒の原因はいくつかありますので、興味がある方は調べてみてください。

食中毒に対応している保険

消毒や洗浄、加熱調理などが食中毒の予防法になりますが、気を付けていてもリスクを0にすることはできません。万が一のためにも、保険に加入することをおすすめします。

では、食中毒に対応している保険はどのようなものがあるでしょうか。
食中毒に対応している保険として、PL保険(生産物賠償責任保険)があります。

PL保険に入っておけば、万が一食中毒や異物混入などで賠償責任が生じた場合、その賠償金を補償してくれます。
テンポスでは、お客様のご要望にあった保険の提案を行っている保険代理店をご紹介しています。
まだ保険に入っていない方はぜひお問合せください。

テンポスフードプレイス|飲食店専用保険

まとめ

いかがでしたでしょうか。
飲食店における食中毒のリスクから要因や予防法、食中毒に対応している保険について説明してきました。

保険は、万が一に備えるためのものです。
日頃から対策をするのはもちろんのこと、いざというときのために保険に加入することで備えましょう。

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