少子高齢化や新型コロナウイルスによる景気の不透明化などの影響よって飲食店の人手不足は年々深刻化しています。
人手不足を解消するにはその原因を正しく把握し、対策していくことが重要です。
今回は多くの飲食店が悩んでいる人手不足の原因と解決方法を紹介します。
目次
飲食店における人手不足
まず最初に飲食店における人手不足についてです。
多くの飲食店が人手不足で悩んでいる
日本国内最大手の信用調査会社である「帝国データバンク」が2022年7月に行った調査の結果によると、飲食店の73%が非正規社員不足で、業種別では飲食店がトップで全業種で唯一の7割台と深刻な状況が続いています。
全業種での平均が28.5%で前年同月から6.0ポイント増加しているものの、飲食店の人手不足は他の業種と比べるとかなり高い数値です。
出典 人手不足に対する企業の動向調査(2022年7月) | 株式会社 帝国データバンク[TDB]
離職率が高い
農林水産省が20218年に公表したデータでは、全産業の平均離職率が32.2%に対して、飲食サービス業の離職率は50.2%と他の産業に比べて高い傾向があります。
出典 外食・中食産業における 働き方の現状と課題について | 農林水産省食料産業局
人手不足によって起こる問題
飲食店では人手不足によって、多くの問題が起きます。
今回は、人手不足によって起こる可能性のある問題を3つ紹介いたします。
サービスの質の低下
人手不足によって、お客様からの注文に迅速に対応できなかったり、注文を受けても料理を提供するまでの時間が長くかかってしまいクレームになることもあります。
また、お店の空席状況を把握できておらずお客様をすぐに席に通すことができなかったりなどサービス自体の質が低下とともに機会損失も起こってしまうかもしれません。
さらには、人手不足によって新しく入った従業員への教育に時間をかけることができず、サービスの質を低下させてしまうこともあります。
結果として、お客様からのクレームや信用の低下につながり、客数の減少することもあります。
また近年では、インターネットの普及に伴い、サービスの質が悪いことをSNSや飲食店の口コミサイトに悪評として書かれることもあります。そうなると飲食店としては致命的なダメージとなります。
負の連鎖
人手不足では、従業員一人一人に対する業務量が多くなる傾向があります。
そのため、いくら一生懸命に働いても業務に追われ、体力的にも精神的にも疲弊してしまうこともあります。
一人の従業員が辞め、辞めた従業員の業務を他の従業員が引き継ぎ、その業務量に耐えられなくなった従業員がまた辞めるという負の連鎖が起こる可能性があります。
従業員一人一人の業務量を考え、人員を補充していくことが大切です。
廃業に追い込まれる
最悪の場合人手不足によって、お店を運営していくことが難しくなり、廃業に追い込まれる飲食店もあります。
上記のように人手不足の状態では、サービスの質の低下に加え従業員の一人一人の負担が増えさらに離職を促進させ、飲食店の営業もままならない状況にもなりえます。
人手不足になる原因
なぜ、飲食店はこんなにも深刻な人手不足が起こっているのでしょうか。
人手不足になる理由として、主な4つの原因を紹介します。
労働環境
飲食業界は、競合他社も多く競争が激しいため、お客様を獲得するために低価格化や営業時間の拡大などを行う飲食店が多いです。
しかしながら、深夜営業や24時間営業、年中無休などの営業時間の拡大ではお客様にとっての利便性は上がりますが、それに伴った従業員に対する労働環境の改善を行えているところは少ないです。
また、営業時間の拡大によって従業員の一人当たりの労働時間や業務量が増加します。
そのため、休みも取りにくく労働時間も長いため、自らのワーク・ライフ・バランスを取りにくくなりさらに労働環境の悪化につながります。
雇用形態
飲食店での従業員のほとんどがアルバイトやパートなどの非正規雇用で占めていることも多くあります。
そのため、正規雇用の従業員と同じ仕事をしたとしても、賞与や退職金がでないことが多いなど給与や待遇面で短期的に離職する人もいます。
また、飲食店では福利厚生もあまり充実していない場合もあります。
基本的に忙しい飲食店では、○○休暇制度などがなく長期的な休暇を取ることが難しい傾向にあります。
採用が難しい
飲食業界には、「給与が安い」、「労働時間が長い」、「肉体労働で大変」などのマイナスなイメージがついてしまっているため、求人を出しても長期的に雇用することができる人材が集まらないことがあります。
また、少子高齢化によって労働者人口も低下しているため、マイナスなイメージがついてしまっている飲食業界には人が集まりにくい傾向にあります。
そのため、働きがいのある職場ということをアピールすることが大切です。
人手不足の解消方法
人手不足の解消を怠ると最悪の場合、廃業に追い込まれる場合もあります。
そういったことを未然に防ぐために、人手不足を解消する方法についてお伝えします。
労働環境の改善
人手不足を解消するためには離職者を減らし、新しく入ってくる従業員の定着率を上げることが重要です。
そのためには、現在の労働環境を見直し、働きやすい環境を整える必要があります。
休みが取りやすいシフトや業務量に合った給与体系、新人の教育などの改善を積極的に行うことが大切です。
また、お客様の来店数が少ない時間帯の営業時間の短縮など思い切った方法を取ることも解決策の一つです。
福利厚生
飲食店には少ない福利厚生を取り入れることも人手不足の解消方法の一つです。
飲食店ですと特に自店舗で使える割引券やまかないなどが多いです。
また、飲食店では珍しい長期休暇制度や住宅手当、小さい子供のいる従業員への子育て手当などを導入することで競合他社との差別化を図ることができ、離職率を低下させることができるかもしれません。
労働の効率化を図る
今いる人数で対応していくためには、労働効率を上げることが重要です。
注文から配膳までを速くするために動線の見直しや店舗内のレイアウトの変更などが挙げられます。
また、ITツールなどを導入することでも労働効率を上げることができます。
食材の発注システムやタブレット端末やスマートフォンを使ったセルフオーダーシステム、予約管理システム、キャッシュレス決済など様々なITツールを使うことで労働の効率化を図ることができます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
以上が、飲食店における人手不足の現状や原因、その解消方法などのまとめでした。
新型コロナウイルスの影響で現在の人手不足は減少傾向にありますが、今後収束した際はこれまで以上の人手不足が予測されています。
そのため、今のうちに人手不足を解消し収束時に備えることが大切です。
また、人手不足を解消することで売上のアップやサービスの質の向上などを行うこともできますので、是非自分のお店に合った方法で人手不足を解消していきましょう。
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