お茶漬けと聞くと皆さんは何を思い浮かべるでしょうか?鮭の入った鮭茶漬け、梅干し入りの梅茶漬け。具合が悪い時でもさっと食べたり、時間がない朝、吞んだ後にさっぱりと〆るなど、お茶漬けは様々なシーンで私たちの生活に存在しています。
そんな日常を支えるお茶漬けですが、たまにはちょっと贅沢に食べたくなる時もあるのではないでしょうか。今回は、そんなちょっと贅沢な気分を味わえる「鯛茶漬け」についてご紹介していきたいと思います。
目次
お茶漬け、鯛茶漬けの歴史や食べられている地域
そもそもお茶漬けにはどのような歴史があるのでしょうか?お茶漬けと鯛茶漬け、それぞれの歴史や食べられている地域などを見ていきましょう。
お茶漬け、鯛茶漬けの生まれた背景
そもそもお茶漬けにはどのような歴史があるのでしょうか?お茶漬けと鯛茶漬け、それぞれの歴史や食べられている地域などを見ていきましょう。
お茶漬けのルーツ
先ずはお茶漬けが食べられるようになった背景ですが、昔は現代のように炊いたご飯を保存しておく方法はほとんどありませんでした。そのため時間がたてば冷えて硬くなってしまっていたのですが捨てるのも勿体ない。
そんな時に生まれたのが冷えたご飯にお湯をかけて食べる「湯漬け」でした。
今のお茶漬けのように味は付いていませんでしたが冷えたご飯でもさらーっと流し込んで食べる事が出来ました。当時は戦場に向かう武士がさっと食事を終えるのに重宝されていたようです。その湯漬けに出汁を使ったり具を入れるようになって今のお茶漬けに近くなり、次第にお殿様などが食べる高級品となりました。
江戸時代に入ると商人などが力をつけ、そこで働く奉公人が僅かな時間で食事するため湯漬けに漬物を入れてかき込んだことから安価で食べられる庶民の味としてのお茶漬けに変化していきました。
鯛茶漬けのルーツ
鯛茶漬けのルーツは長崎県とされています。
水深があり流れが速い場所を好んで泳ぐ真鯛が生息しやすい場所が多かった長崎県では、鯛が大量に獲れていました。そんな中、様々なものを載せるお茶漬けに鯛を載せて食べる事は自然の流れだったようです。
長崎の他、鯛がよく獲れる新潟県柏崎市のご当地料理としても有名です。
大分県杵築市(きつきし)では300年以上続く料亭でその味を守り続けられている「うれしの」と呼ばれる鯛茶漬けがあり、この地のお殿様が体調を崩した時に毎日鯛茶漬けを食べて「今日も鯛茶漬けを食べられてうれしいのう」と言ったことからその名がつけられたとされています。
様々な地域で食べられています
鯛がよく獲れる地域では鯛茶漬けの文化が育っているようです。それでは鯛茶漬けが食べられている地域を見ていきましょう。
食べられている地域
長崎:天然の真鯛にタレをつけて並べ、熱いお茶を回して食す贅沢な一品。生でも鯛を美味しく頂けます。
新潟(柏崎):笠島の鯛は成長段階で荒波にもまれることにより白身がキュッと引き締まっています。日本海トップクラスの鯛の名産地で、2013年の「第4回 全国ご当地どんぶり選手権」で鯛茶漬けでグランプリを受賞しています。
福岡(福津):天然真鯛の漁場に恵まれていて、鯛茶漬けも親しまれています。市内の旅館・飲食店で「ふくつの鯛茶づけフェア」を開催しています。
鹿児島:鹿児島の錦江湾は昔から鯛がよく獲れることで有名です。桜の花の咲く頃に美味しいとされるので桜鯛と呼ばれています。
愛媛:鯛めしが有名なので、鯛めしを利用した鯛茶漬けも人気です。
京都:ぶぶ漬け文化の京都でも鯛めしと共に鯛茶漬けが親しまれています。
鯛茶漬けの作り方&バリエーション
ここからは、自宅でもできる鯛茶漬けの作り方や、鯛茶漬けのアレンジについて見ていきましょう。高級感のある味を手軽にお家で頂きましょう。
鯛茶漬けの作り方
ご自宅でも出来る鯛茶漬けの作り方を紹介します。いつもの茶漬けをワンランクUPして、料亭気分を味わえます。
鯛茶漬けの作り方
用意するもの
鯛:刺身用のものでOK
タレ:醤油、みりん、料理酒、ごまや白すりごま
顆粒出汁:和風の顆粒だしで味付け
わさび:香りと味で風味を豊かにします
のり:お好みで入れます
1.鯛をタレで良く味付けします。冷蔵庫でじっくりつけ置きすることで鯛にしっかり味を付けます。
2.ご飯の上に鯛を載せます。わさびもこの時入れておきます。
3.顆粒出汁を溶かしたお湯を回しかけて完成。
この時、みりんを使う場合には火を通すかレンジで温めるなどアルコールを飛ばす工程をはさんでください。アルコールをきちんと飛ばさないと苦味などが残ってしまいます。
美味しさのコツ
鯛茶漬けを食べる時は、ご飯は熱々でなくても良いです。鯛も冷たくて美味しいので、少し冷めたご飯に低めの温度のお湯やだし汁、煎茶などを入れて食べると美味しいです。醤油で鯛を下洗いしてからタレに漬け込むことで味がなじみやすくなります。
鯛にタレを漬けこみはしますが、鯛自体の甘さが感じられるように薄めの汁で楽しむのもいいかもしれません。逆に、お吸い物程度の少し強めの味の出し汁やかつおだしのものをかけた場合には、しっかりとした味わいで料亭のような本格的な味になります。
アレンジレシピ
更に色々な味を足してみるアレンジレシピもご紹介。いつもとは一味違う鯛茶漬けに出会えます。
冷やし茶漬け
程よく冷えたご飯に、冷蔵庫でタレをつけ置きで染み込ませた冷たい鯛を入れ、冷や汁で美味しく頂きます。夏場や食欲のない時などにさっぱり食べられます。
浅葱、小口ネギなどを一緒に
浅葱や小口ネギを薬味として載せていい香りでさっぱり爽やかに頂きましょう。
梅干し
梅干しを足して塩味と酸味でさっぱりとした味わいを楽しめます。昆布茶をかけても深みのある味を頂くことが出来ます。
フレンチドレッシング
サラダ用のフレンチドレッシングで和洋の味を合体。さっぱりと爽やかな酸味が足されて、まるでカルパッチョを食べているかのような味わいに。
まとめ
さて、いかがでしたか。
我々にとって身近な存在であるお茶漬けですが、鯛を載せて食べる事で高級料亭に行ったかのような特別な気分を味わうことが出来ます。元々さっぱり味わえるお茶漬けですが、淡白でありつつ甘さのある鯛を載せることで更にさっぱりな味わいで高級感のあるお茶漬けを楽しめます。ただお茶で食べるだけでなく出汁や煎茶など様々な味付けで食べられるのでバリエーションも楽しめます。
お家でも楽しむことのできる鯛茶漬け、是非挑戦してみてください。