みなさま初めまして。今回より当ブログの執筆を仰せつかった自称「ふーみん」です。
経歴は新卒からひたすら不動産業に従事しており、居住用不動産から事業用・投資用・土壌汚染まみれの土地・工場・倉庫・果ては病院のM&A取引など、登記簿謄本に掲載される不動産はなんでも取引しておりました。
その中で、事業用不動産、特に飲食店の開業を検討されている皆様向けに、不動産にまつわるコラムを執筆してまいります。どうぞ、宜しくお願い致します。
今回は、飲食店舗が入居するテナント賃料から紐解く飲食店の損益計算の出し方となります。
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目次
飲食店の損益計算
最初に、飲食店の一般的な損益構造の簡単な解説からご説明します。事業計画を策定するにあたり、重要な内容となります。こちらの解説から進めて参ります。
飲食店の損益計算とは
飲食店経営を始める、イコール一国一城の経営者になります。
法人化していれば文字通り会社経営、個人経営でも事業者登録をし、青色申告対象の個人事業主となります。料理を提供しお客様からの笑顔を受ける裏では、自社が倒産しないよう、経営的な観点の店舗運営は絶対に外せないところです。
経営の指標でよく上がるのが、【貸借対照表(BS)】【損益計算書(PL)】【キャッシュフロー計算書(CF)】の3点であり、この3点を常に睨めっこしながら会社経営していくことになります。
特に損益計算書は、本業たる飲食店経営の売り上げ、必要経費、手残り純利益などを計算する指標であり、重要な指標となります。飲食店の事業計画を策定する上で、押さえておくべき指標となります。
以下にて内容を解説していきます。
飲食店の一般的な損益構造
飲食店の一般的な損益構造は以下の通りです。
●売り上げ・・・いわゆる月商売り上げ(年商売り上げ)です。
※ここから以下はすべて経費です
●原価・・・食材費、容器などの直接的に売り上げに関係する費用です。
【売り上げ総利益】…売り上げから原価を控除した利益、いわゆる粗利です。
●販売費および一般管理費(販管費とよく略します)…人件費、テナント賃料、水光熱費、リース料、減価償却費など、間接的に売り上げに関係する費用です。
【営業利益】…売り上げ総利益(粗利)から販管費を控除した利益です。本業の利益を示す数値です。売り上げに対して高い金額なら好調な経営を示し、低いと人件費等の経費が経営を圧迫していることを示します。
●営業外損益…金融機関から融資を受けていれば、支払い利息等が該当します。
※借り入れ返済元本は損益計算には登場しません!支払い利息のみです。
【経常利益】…営業利益から営業外損益を控除した金額です。この数字が低いと本業外の収益圧迫要因が存在することになります。(借り入れ金利が高すぎるetc)
●特別損益…想定外に飲食店を閉店することになり、退店に伴う想定外の費用があたります。例えば残存賃料の支払い、減価償却の除却損etc
【税引き前純利益】…経常利益から特別損益が発生していれば控除した金額となります。支払う税金の基となる金額です。
【法人税等】…飲食店を会社組織としていれば、税引き前純利益に法人税を掛けて税金を払います。
【税引き後純利益】…最後の最後、手元に残る金銭です。金額が残っていれば黒字経営、残らなければ赤字経営と一般的に言われます。
今回は、上記の損益構造の中で、販管費に該当する賃料にフォーカスを当てます。
FLRについて
飲食店の損益計算の内、原価や販管費に関わる数値について、特に飲食店業界はFLRという用語を用いて、経費指標の目安目標が存在します。以下に解説致します。
FLRとは
一般的に、飲食店経営を行うに絶対押さえておくべき指標として、FLRと呼ばれる指標があります。
F:FOOD、食材仕入れ費用のことです。上記損益構造の原価にあたります。
L:LABOR、人件費のことです。上記損益構造の販管費の要素の1つです。
R:RENT、賃料のことです。上記損益構造の販管費の要素の1つです。
一般的に、F+L、FL比率と呼ばれ、売り上げに対し60%以下に抑えることが経営上の目安とされます。Rは売り上げに対し、10%以下に抑える。FLR合計で売り上げに対し70%以下に抑えることが飲食店経営を行う上での目標値となります。
70%を超過していたら、売り上げに対して経費率が重たくなり、経営に黄色信号が点滅し、自分自身の人件費を削るなどの対応が必要となってしまいます。
R 賃料について
FLR指標のうち、FLは変動要素項目となります。
経営努力次第で下げることも可能です。
逆にRの賃料は基本的に固定費用(固定賃料)となります。裏を返せば支払い賃料から逆算して、賃料に対して必要な売り上げを想定することができます。
事例
Aさんは一念発起飲食店を開業しようと、まずは物件探し!ということで早速不動産会社へ足を運びました。
そこで、ちょうど自分が思い描くエリアで理想的な物件に巡り合うことができました。物件の賃料は50万円/月額です。これを逃したら二度と物件は出てこない!と思い、清水の舞台から飛び降りる覚悟で、賃貸借契約を締結しました。この場合、Aさんは毎月どのくらいの売り上げを当該飲食店で立てるべきでしょうか。
答えは500万円の月商が必要となります。この売り上げを下回るととたんに経営が苦しくなります。
飲食店の売り上げ構成要素
上記の解説で、賃料から逆算して当該店舗の目標売上数値を解説しました。では、そもそも飲食店の売り上げ構成要素とは何なのか、以下に解説致します。
飲食店の売り上げ構成要素のしくみ
一般的に飲食店の売り上げ構成要素は下記のしくみで成り立っています。
月の売り上げ(月商)=座席数×客単価×月の営業日数×座席回転数×座席稼働率です。
・座席数:お店のあるお客様が座る座席の数です。
・客単価:お客様1人あたりのレジ支払い料金の平均です。
・座席回転数:座席数に対し、総来店者数の割合です。3回転の場合、座席数が20席ならば60人のお客様が来店したことになります。
・座席稼働率:お店の席数に対し、実際に座った人数です。4人掛けテーブルに3人のみ座ることが多くあります。座席数に対し、100%稼働ですべての席が埋まることはよほどの繁盛店でない限り、難しいことです。
月商500万円の計算
契約した賃料50万円の物件について、図面を引いた結果、例えば席数が20席とれるとなった場合、上記計算式に照らし合わせると、下記になります。
座席数20席×想定客単価5,000円×営業日数25日×想定座席回転数2回転×想定座席稼働率90%=450万円・・・となり、目標売上500万円に届きません。
改善案として、定休日を設けず毎日稼働の場合は下記の通りです。
座席数20席×想定客単価5,000円×営業日数30日×想定回転数2回転×想定座席稼働率90%=600万円
となり、目標売上を超えます。定休日はありませんが、、、
例えばカフェ等の軽飲食を開業したい場合、賃料50万円の物件を契約してしまうと、業態的に月商500万円を毎月コンスタントに計上していくことは、客単価が低いので、なかなかハードルが高いかなと思います。売り上げ向上のために広い座席数を確保すると、フロア人件費が重たくなります。
まとめ
飲食店を開業する場合、綿密な事業計画を策定の上、想定売り上げから逆算して出せる賃料を決めた上で不動産を探す、もしくは店舗物件を先に決めて支払い賃料から逆算して事業計画を策定する。
どちらが正しい、間違ってるということはないです。特に不動産については、この物件を逃したら二度と同じ物件は出てこない、スピード勝負で物件を押さえる必要もあるかと思います。
ただ、いずれにしても、自分のやりたい業態に基づいたアバウトでもいいので事業計画は予め策定しておくべきだと思います。
とにかく飲食店経営は【こんなはずでは、、】の連続です。その時に予め想定していたか、いなかったかでは、リカバリーの対処が全然違ってきてしまいます。
特に不動産は一度契約してしまうと、特に定期借家契約の場合に中途解約を実行することは、かなりハードルが高いです。
※定期借家契約とは??は追って当コラムで解説します。
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