「お客様の笑顔のために、今日も美味しい料理を提供したい。」
そう願う飲食店オーナーの皆様、日々の厨房での衛生管理、本当にお疲れ様です。しかし、どんなに細心の注意を払っていても、食中毒のリスクは常に潜んでいます。
もし、お客様が突然体調を崩してしまったら…それは、あなたの店で提供した食事が原因かもしれません。食中毒は、お客様の健康を脅かすだけでなく、お店の信用を失墜させ、最悪の場合、営業停止や廃業に繋がる可能性もある、決して他人事ではない重大な問題です。
この記事では、飲食店で起こり得る細菌性、ウイルス性、自然毒といった様々な食中毒の原因、具体的な症状、そして万が一発生してしまった際の迅速な対処法を徹底的に解説します。さらに、日々の衛生管理に役立つおすすめの対策商品もご紹介。
日々の業務に役立つ実践的な対策を盛り込んでいますので、ぜひ参考にしてください。

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目次
ウイルス性食中毒

ウイルスが食品を介して体内に入り込み、腸内で増殖することで発症します。
ノロウイルス
原因
主に汚染された食品(特にカキなどの二枚貝を生または加熱不十分な状態で摂取した場合)、汚染された水、感染者の嘔吐物や糞便からの二次感染(飛沫感染、接触感染)
症状
激しい吐き気、嘔吐、下痢、腹痛、発熱。症状は急激に現れ、通常1~2日で回復するが、脱水症状を引き起こす可能性もある。
対応策
- 二枚貝は十分に加熱(中心温度85〜90℃、90秒以上)
- 感染者の嘔吐物・糞便を適切に処理し、消毒を徹底。
- 従業員の健康管理と手洗い・消毒を徹底。
- アルコール消毒は効果が限られるため、次亜塩素酸ナトリウムによる消毒を推奨。
サポウイルス
原因
ノロウイルスと同様に、主に汚染された食品や水、感染者の嘔吐物や糞便からの二次感染(飛沫感染、接触感染)
症状
嘔吐、下痢、腹痛、発熱など、ノロウイルスに似た症状が現れますが、一般的に症状は軽度で、回復までの期間も比較的短いことが多い。
対応策
- ノロウイルスと同様に、手洗いを徹底(特に調理前、食事前、トイレ後)。
- 加熱処理が不十分な食品(特に貝類)を避け、十分に加熱する。
- 次亜塩素酸ナトリウムを使用した消毒が効果的。
- 感染が確認された従業員は、症状が治まるまで休養を徹底。
細菌性食中毒

細菌が食品中で増殖し、その食品を摂取することで発症します。
カンピロバクター
原因
主に鶏肉に感染していることが多く、生または加熱不十分な鶏肉や牛レバーなどの摂取が原因となる。
症状
腹痛、下痢、発熱、吐き気、嘔吐。
対応策
- 鶏肉は中心部まで十分に加熱する(75℃以上)。
- 生肉を取り扱った後は、必ず石けんと流水で丁寧に手洗いを行い、使用した調理器具は十分に洗浄・消毒する。
- 生肉と他の食材は分けて取り扱い、まな板や包丁などを使い分け、二次汚染を防ぐ。
サルモネラ属菌
原因
主に鶏肉に感染していることが多く、生または加熱不十分な鶏肉や牛レバーなどの摂取が原因となる生肉(特に鶏肉、豚肉)、生卵、加熱不十分な卵料理、乳製品などに存在する。
症状
腹痛、下痢、発熱、嘔吐など。
対応策
- 食材は中心部まで十分に加熱する。
- 生卵や生肉の取り扱いには特に注意し、調理前後の手洗いを徹底し、他の食品への交差汚染を防ぐ。
- 食材は適切な温度で保存する(生肉、卵は冷蔵保存)。
黄色ブドウ球菌
原因
人の手指や傷口に存在する菌が食品に付着し、室温で放置される間に毒素を生成する。おにぎり、弁当、クリームなど、加熱後に人の手が触れる食品で発生しやすい。
症状
吐き気、嘔吐、下痢。
対応策
- 調理前、食事前、トイレ後、傷口に触れた後などは、こまめな手洗いとアルコール消毒を徹底する。
- 調理する際は、使い捨て手袋を着用する。
- 食品は10℃以下で冷蔵保存し、常温での放置は避ける。
- 加熱調理後の食品は、速やかに冷却するか、65℃以上で保温する。
- 調理器具、まな板、包丁などは、使用前後に十分に洗浄・消毒する。
- 手指に傷や化膿がある従業員は、直接食品に触れる作業を避ける。体調不良者には出勤停止を徹底する。
腸管出血性大腸菌(O157など)
原因
牛肉、生野菜などが汚染されている場合に感染する。特に加熱不十分な牛肉や、不衛生な水で育った野菜などが原因となることが多い。
症状
激しい腹痛、出血性下痢、発熱。重症化すると溶血性尿毒症症候群(HUS)などを引き起こし、死に至る場合もある。
対応策
- 肉は中心部まで十分に加熱し、特に挽き肉はしっかりと調理する。
- 生野菜や果物は流水でよく洗い、可能であれば皮をむいてから食べる。
- 食品は適切な温度で保存する。
- 生肉を取り扱った調理器具やまな板は、他の食品に使用する前に十分に洗浄・消毒する。
ウェルシュ菌
原因
カレーやシチュー、煮物など、大量に調理され、ゆっくりと冷却されたり、常温で放置されたりして食品内で増殖する。熱に強い芽胞を形成するため、加熱しても完全に死滅しないことがある。
症状
腹痛、下痢。
対応策
- 加熱調理後、速やかに喫食するか、小分けにして急速に冷却し、10℃以下で冷蔵保存する。
- 再加熱する際は、中心部まで十分に加熱(75℃以上)し、鍋底からかき混ぜるようにしながら加熱する。
- 大量調理はできるだけ避け、少量ずつ調理する。
ボツリヌス菌
原因
缶詰や真空パック、瓶詰などの嫌気性(酸素の少ない)環境で増殖し、毒素を生成します。自家製の保存食などでも注意が必要です。
症状
嘔吐、視力障害(複視、霧視)、嚥下困難、構音障害、呼吸困難、筋力低下など。重症化すると呼吸麻痺により死亡することもあります。
対応策
- 缶詰や真空パック、瓶詰などを開封した後は、速やかに消費する。
- 自家製の保存食は、適切な殺菌処理を行う。
- 未開封の缶詰やパック食品が膨張しているなど、異常がある場合は絶対に食べない。
- ボツリヌス菌の芽胞とボツリヌス毒素を確実に壊すため、120℃4分間(または100℃6分間)以上しっかり加熱する。
- 1歳未満の乳児には、リスクが高い食品(ハチミツ、黒糖、コーンシロップ及びこれらを使った食品)は与えない。
リステリア菌
原因
冷蔵庫内でも増殖する可能性があり、加熱不十分な肉や魚介類、ナチュラルチーズ、生ハム、スモークサーモンなどのリステリア菌に汚染された食品を摂取することで感染。
症状
発熱、筋肉痛、吐き気、下痢など。妊婦、高齢者、免疫力が低下している人は重症化しやすく、髄膜炎や敗血症、流産などを引き起こすことがある。
対応策
- 冷蔵庫内を清潔に保ち、食品を適切に保存する(冷蔵庫の温度は1~5℃が理想)。
- 加熱が必要な食品は中心部まで十分に加熱する。
- 調理済みの食品や開封済みの食品は早めに消費する。
- 妊婦や免疫力が低下している人には、リスクの高い食品(ナチュラルチーズ、生ハム、スモークサーモンなど)の摂取を控えるよう注意喚起する。
自然毒食中毒

自然界に存在する毒素を含む食品を摂取することで発症します。
フグ毒
原因
フグの卵巣、肝臓、皮、筋肉などに含まれるテトロドトキシンという強力な神経毒によるもの。
症状
摂取後20分~3時間程度で、唇や舌の麻痺、手足のしびれ、運動失調、呼吸困難などを引き起こし、重症化すると呼吸麻痺により死亡する。
対応策
フグの調理は、専門の資格を持つ調理師のみが行うことを徹底する。素人による調理は絶対に避ける。
貝毒
原因
毒素を持つプランクトンを摂取した二枚貝(カキ、ホタテ、アサリなど)に蓄積された毒素(麻痺性貝毒、下痢性貝毒など)を摂取することで起こる。貝毒は熱に強く、通常の加熱調理では分解されない。
症状
- 麻痺性貝毒:摂取後30分~3時間程度で、唇や舌の麻痺、顔面や手足のしびれ、運動失調、呼吸困難などを引き起こすことがある。
- 下痢性貝毒:摂取後30分~4時間程度で、下痢、吐き気、嘔吐、腹痛などを引き起こす。
対応策
- 貝毒の検査体制が整った安全な二枚貝のみを提供し、採取海域や出荷規制に関する情報を常に確認する。
- 採取場所や流通ルートを確認し、採取・販売が禁止されている区域で採取された貝類の取り扱いを避ける。
- 加熱調理は有効な対策にはならないが、一般的に貝類は85~90℃で1~2分加熱することが推奨される。
キノコ毒
原因
有毒なキノコを誤って摂取することで起こる。毒成分の種類により、様々な症状が現れる。
症状
嘔吐、下痢、腹痛、神経障害(幻覚、麻痺など)、肝臓や腎臓の機能障害など、多岐にわたる。
対応策
- 食用と確実に判断できない野生のきのこは、絶対に食材として使用しない。
- きのこを仕入れる際は、信頼できる業者から購入し、安全性が確認されたものを使用する。
- きのこを調理する際は、十分に加熱する。調理中に異臭や異変を感じた場合は、使用を中止する。
その他
アニサキス
原因
サバ、アジ、イカ、サケなどの魚介類に寄生するアニサキスという寄生虫の幼虫が、生きたまま、または不完全に加熱された状態で人間の体内に入ると、胃壁や腸壁に侵入し、激しい腹痛、吐き気、嘔吐を引き起こす。
症状
摂取後数時間~十数時間後に、激しい上腹部痛、吐き気、嘔吐。
対応策
- 中心部まで十分に加熱する(70℃以上、または60℃なら1分以上)。
- 生食する場合は、-20℃以下で24時間以上冷凍処理を行うことで、アニサキスは死滅する。
- 魚の内臓は速やかに除去し、目視でアニサキス幼虫がいないか確認する。
食中毒予防の3原則

これらの3原則を徹底することで、食中毒のリスクを大幅に低減することができます。
つけない
手洗い・消毒の徹底
調理前、食事前、トイレ後、生肉や魚介類を触った後など、こまめな手洗いを石けんと流水で丁寧に行い、必要に応じてアルコール消毒を併用する。
調理器具・設備の洗浄・消毒
まな板、包丁、調理台、食器などは、使用前後に十分に洗浄し、必要に応じて熱湯や塩素系消毒剤で消毒する。特に、生肉や魚介類に使用した器具は念入りに洗浄・消毒する。
食材の適切な管理
生肉や魚介類は、他の食材と分けて冷蔵・冷凍保管し、汁などが他の食材に付着しないようにする。食材の保管温度と期限を遵守し、新鮮な食材を使用する。
増やさない
適切な温度管理
食材は、適切な温度で保管する。冷蔵が必要な食材は10℃以下、冷凍が必要な食材は-15℃以下で保管する。調理後の食品は、速やかに10℃以下に冷却するか、65℃以上で保温する。
迅速な調理・提供
調理後の食品は、できるだけ早く提供する。提供までに時間がかかる場合は、適切な温度管理を徹底する。
適切な解凍
冷凍食材を解凍する際は、冷蔵庫内や流水など、安全な方法で行い、室温での解凍は避ける。
やっつける
十分な加熱調理
食品の中心部まで十分に加熱する。特に、生肉、魚介類、卵などは、中心部が75℃以上で1分以上になるように加熱する。
殺菌・消毒
調理器具や設備は、必要に応じて熱湯や塩素系消毒剤で殺菌・消毒する。生野菜などは、必要に応じて適切な殺菌処理を行う。
対策用品
飲食店での食中毒対策として有効な商品は、原因となる菌やウイルスの種類、使用場所、目的に応じて適切なものを選ぶことが重要です。以下に代表的な商品と選び方のポイントをまとめました。
手洗い石鹸

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- 手洗いと同時に殺菌・消毒ができます。
- 泡タイプの機器・容器におすすめです。
アルコール消毒

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次亜塩素酸ナトリウム製剤消毒

カネヨ石鹸 キッチンブリーチ5kg
- 次亜塩素酸ナトリウム・界面活性剤
- 厨房の除菌・衛生漂白剤です。
Kao ハイターE 5kg
- 主成分:次亜塩素酸ナトリウム
- 優れた殺菌・除湿効果があります。
- 黄ばみ・黒ずみをとり、真っ白に仕上げる塩素系の白物繊維用漂白剤です。
温度計

タニタ 中心温度計 デジタル温度計 TT-508N-WH
- 丸洗いできる防水タイプで安心
- -50から250度まで計れる料理用デジタル温度計
- 測った温度を記憶して表示するホールド機能付き
A&D 防水形中心温度計 AD-5604C
- 防水仕様IPX7相当
- 防水仕様なので簡単な水洗いができ、衛生的。
- 温度測定範囲は-50~+300℃
- バックライト付きで暗い場所でも見やすい。
温湿度計 No5488 食中毒注意ゾーン付
- 測定範囲:温度-10度から40度、湿度10%から90%
- 温度と湿度による食中毒の発生を、未然に防止する為の目安に最適です。
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- 加熱調理後の食品を短時間で冷却する製品です。
- コンパクトタイプでリーズナブル
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- 食品を一気に冷凍する製品です。
- -40℃の冷気で一気に凍結
- 棚 (W418×D575)12枚
- 有効内容積:403L
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- 2/3ホテルパン5枚収容可能
- 毎日のお手入れの最後に除菌運転でプラズマクラスターイオンを放出
まとめ
飲食店での食中毒は、予防策を徹底することで多くのケースを防ぐことが可能です。
しかし、万が一発生してしまった場合には、迅速かつ冷静な対応が求められます。食材の仕入れから調理、保存方法に至るまで、日々の衛生管理を徹底することが最も重要な予防策です。従業員への定期的な教育や、衛生管理のチェック体制を強化することが、店舗の信頼性を守り、お客様に安心して食事を提供できる環境を作り出します。
食中毒発生時には、速やかな報告と関係機関との連携が不可欠であり、その後の再発防止策を講じることで、店舗運営の信頼を回復することが可能です。常に意識を高く持ち、予防策を強化していくことが、飲食店の運営における最も重要な責任と言えるでしょう。
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