飲食店の経営は、とても難易度が高いといわれています。帝国データバンクによる調査によると、飲食店の倒産・休廃業・解散は計1,180件と過去最多のデータとなっています。
(出典元:「飲食店の倒産、休廃業・解散動向調査(2018年度)」)
開業して1年未満で閉店してしまうお店は30%。2年後に50%以上が閉店する中で生き残ることは、容易なことではありません。
(出典元:中小企業庁「2022年版 小規模企業白書(HTML版)第2節 中小企業・小規模事業者の現状 第1-1-37図「業種別の開廃業率」 )
「おしゃれ」「優雅」「お客様との会話が楽しそう」など、「飲み物と軽食を提供するだけなら自分にもできるのでは?」と勝手に想像して、カフェ開業に憧れる人は少なくありません。
このように、簡単で楽しそうなイメージを持ってしまうカフェですが、廃業率が高い業種であることを忘れてはいけません。
今回はカフェを開業して1年で失敗してしまいやすいのはどうしてなのか。カフェ経営を成功させる方法について紹介していきます。
これからカフェを開業しようと考えている人や経営をしていく人はぜひ参考にしてみてください。
目次
カフェ経営は難しい?
実際、カフェの経営は難しいのでしょうか。カフェを経営する難しさとは、メニューの提供やお店作り等、実際の業務のみでは判断できません。
なぜならば、カフェの需要や経営の実情というのは、業界を取り巻く現在のカフェ経営にも大きく影響してしまうからです。
ここではカフェ経営が難しいと言われている理由をいくつか紹介していきます。以下のことがあげられます。
・需要のある店舗数が減っている
・2年以内で半分のお店が閉店する
それぞれ詳しくみていきましょう。
需要のある店舗数が減っている
一つ目の理由として、需要のある店舗数が減っていることです。調査によると、全国で2016年のカフェ施設数209,604に対して、2020年は174,598。
新しいお店の開業は2016年の20,227店舗に対して、2020年は9,423店舗と開業店舗が減少しているとわかります。
(出典元:衛生行政報告例 / 令和2年度衛生行政報告例 統計表 年度報」)
一方で、カフェの市場規模は2016年の1.13兆円に対して、2019年では1.18兆円と上昇傾向にありカフェの市場規模は増えていたものの、店舗数は年々減少傾向している状況です。
(出典元:一般社団法人日本フードサービス協会)
調査からわかるとおり、お客様から愛されていないカフェでないとお店を継続していくには難しいといえます。
2年以内で半分のお店が閉店する
二つ目の理由として、2年以内で半分のお店が閉店することです。2015〜2018年の間で閉店した飲食店についての調査を見てみると、オープンから1〜2年が33.3%。
オープン1年以内が16.4%の数値になっており多くの飲食店が2年も経たずに閉店しているとわかります。
(出典元:株式会社シンクロ・フード)
さらに、3〜5年になると20.7%の数値になるため、約7割のお店は5年以内で閉店してしまうのです。
そのため、カフェに限らず飲食店経営を継続することはとても困難なのでしょう。
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※ぐるなびの飲食店向けサイト「ぐるなび通信」へジャンプします。
経営するうえで大切なことは?
カフェ経営をしていくうえで、大切なことはなにがあるのでしょうか。結論から言うと、お客様への要求や概念作りが非常に大切です。
カフェでは、コーヒーを飲みながらゆっくり落ち着きたい人や、趣味や仕事等の作業をしながら軽食が取れる場所として利用したい人が多いのではないでしょうか。
そのような場合、カフェにおいて売上を構成する重要な要素となる客単価や回転率は、カフェ以外の飲食店と比較してみると低い傾向にあります。
さらに、カフェはライバル店が多く、大手のカフェチェーン店の影響もあり客足が伸び悩むこともあります。
利用する目的は、カフェ以外にもコンビニや漫画喫茶。さらに、ショッピングモールのフードコートがライバルになる可能性もあります。
そのため、自営業として開業するカフェにおいてライバルに対抗するためには、独自のメニュー作りや明確な概念の設定。さらに、差別化を図る必要があるのでしょう。
カフェを開業して1年で失敗してしまう人の特徴とは?
カフェを開業して1年で失敗してしまう人の特徴とはなにがあげられるのでしょうか。ここではいくつかの原因を紹介していきます。
主に以下のことがあげられます。
・計画が不透明
・宣伝活動ができていない
それぞれ詳しくみていきましょう。
計画が不透明
一つ目の原因は、計画が不透明であることです。カフェに限らず飲食店を開業する際は、将来的な見通しや事業計画を充分に立てておく必要があります。
計画が不透明なまま開業してしまうと、内外装等にお金をかけすぎて初期費用が発生してしまい、繁盛しているのにもかかわらず運転資金が足りなくなってしまいます。
初めは、赤字だとしても営業を続けられる余裕を残して後から利益が出るような価格設定にする必要があるのでしょう。
宣伝活動ができていない
二つ目の原因は、宣伝活動ができていないことです。おすすめメニューや内外装に力を入れてカフェを開業したのであれば、1人でも多くの人にカフェがあることを知ってもらう必要があります。
宣伝活動ができていないと来店するきっかけとなりにくく、お店の継続が困難になってしまいます。
常日頃から宣伝や集客活動を続けなくては、カフェ経営の先行きが不安になるため宣伝してお店の存在をアピールすることが大切です。
カフェ経営を成功させるには?
カフェ経営を成功させるにはどうしたらよいのでしょうか。ここではカフェ経営を成功させるいくつかの方法について紹介していきます。
主に以下のことがあげられます。
・収支計画を立てる
・メニューを絞る
それぞれ詳しくみていきましょう。
収支計画を立てる
一つ目は、収支計画を立てることです。コーヒー豆の仕入れ費用や消耗品を補給する費用。さらに、設備のメンテナンスといった予期せぬ費用が必要になるケースがあります。
このような細かい費用を含めて現実的な収支計画を立てておき、売上が悪かった場合はどこから運転資金を捻出するかあらかじめ決めておきましょう。
売上と支出の関係を理解しておき、現実的な計画を立てておくことで、安定したカフェ経営ができます。
メニューを絞る
二つ目は、メニューを絞ることです。メニュー数が多いほうが消費者の利用が増えると考えがちです。
しかし、メニュー数が多ければ多いほど、食材費やスタッフの負担も大きくなってしまいます。
結果的に、利益が下がってしまったりするケースもあります。
さらに、人件費が必要になる場合もあるため、あらかじめメニュー数を絞るようにしておきましょう。
シンプルなメニュー数であれば消費者側も注文が決めやすく、流暢にお店を回転できます。
まとめ
今回はカフェを開業して1年で失敗してしまいやすいのはどうしてなのか。カフェ経営を成功させる方法について紹介してきました。
カフェを開業して1年以内で失敗してしまう人の特徴として、計画が不透明であることや宣伝活動ができていないことがあげられます。
カフェ経営を成功させるためにも、収支計画を立てメニュー数を絞るといった計画を立てておく必要があります。