飲食店業界で最も利益率が高いといわれている居酒屋。夜の飲屋街として常に客足が絶えません。
外国人観光客でにぎわっている中、ビールを飲んで乾杯する外国人観光客にとって、居酒屋はとても人気の高いお店です。
居酒屋を開業して、1店舗目を軌道に乗せるだけでも相当な努力が必要です。安定した経営ができるようになると、多くの人が2店舗目の出店を考えるはずです。
「もっと収入を増やしたい」「スタッフの育成をしたい」等、こうした思いを実現させるためにも、なにを考え2店舗目の出店をすればよいのでしょうか。
今回は居酒屋を2店舗展開するメリットとは。適切なタイミングについて紹介していきます。2店舗目を開業して一気に波に乗りたい人は参考にしてみてください。
目次
居酒屋を2店舗展開する際のメリット・デメリット
居酒屋を2店舗展開する際のメリット・デメリットはなにがあるのでしょうか。まずは、メリットについて紹介していきます。メリットは以下のとおりです。
・仕入れ費用の削減
・リスクの分散ができる
・売上の向上が見込める
・スタッフのモチベーション
それぞれ詳しくみていきましょう。
仕入れ費用の削減
一つ目のメリットは、仕入れ費用の削減です。居酒屋経営の費用の中で絶対に欠かせない費用が仕入れです。
1店舗のみで経営する場合より、2店舗経営の方が食材や飲料などの原材料の仕入れる量が増えるため仕入単価は安くなります。
また、仕入れを増やすことで仕入れ先からの信用度も上がる可能性があり、仕入原価の値下げ交渉もできるようになるでしょう。
リスクの分散ができる
二つ目のメリットは、リスクの分散ができることです。店舗が2店舗となると、片方の店舗が立ち行かなくなった場合でも、もう片方の店舗で赤字を補えます。
飲食業界では、外的要因によって営業不振に陥るケースがあります。都市部では、新しい施設開発や競合店舗が毎年増えることにより、地方に比べても環境の変化は活発です。
環境の変化により人の流れが変わる場合や、客入りが悪くなったり新しい店舗に顧客が流出したりしてしまう可能性があります。それを踏まえ、2店舗を経営していれば業績が落ち込んだとしても店舗の損失を防げます。
また、2店舗を開業する際の成功や失敗体験を経験できるのもポイントです。多店舗運営の知識が増えることで、店舗経営全体でのリスク抑制にもつながるでしょう。
売上の向上が期待できる
三つ目のメリットは、売上の向上が期待できることです。店舗数が増えることで収容客数も増加する見込みがあるため、売上の向上が期待できます。
また、店舗同士の距離が近い場合、片方の店舗が満席状態であったとしても、もう一方の店舗に案内できるため、機会損失を減らせるでしょう。
しかし、多店舗展開をすることで仕入れ先が煩雑化し、原材料費の物価上昇により利幅が狭くなる可能性があります。そのため、1店舗目との相乗効果を考え出店場所を検討しましょう。
スタッフのモチベーション
四つ目のメリットは、スタッフのモチベーション向上です。店舗の数が増えることで、管理するスタッフの数が増えます。
キャリアアップを希望するスタッフのモチベーション向上にも繋がり将来、店長やマネジメント層の候補生を担う人材が教育可能です。
飲食店業界の人材面での課題は、キャリア制度が明確化していないことにより、人材の流出が多くあることです。
スタッフのキャリアアップを充実させ、長期間勤め上げる制度を構築すれば各店舗の店長やエリアマネージャーを育てられるでしょう。
次にデメリットについてです。デメリットは以下のとおりです。
・店舗全体を確認できなくなる
・新規出店の動機を明確にする
・立地選びを慎重に行う
それぞれ詳しくみていきましょう。
店舗全体を確認できなくなる
一つ目のデメリットは、店舗全体を確認できなくなることです。スタッフの勤怠管理等、管理業務の量が増えることで、サービスの質に支障が生じる可能性があります。
また、店舗が増えることで、各店舗を細かく確認できなくなり、ミスに気付くことも遅くなります。
顧客満足度を向上させ、売上や利益を伸ばすための多店舗経営だったにもかかわらず、かえって店舗のサービスを低下させてしまいます。
そして、お客数に満足のいく提供ができなくなり来店数が減ってしまうのでしょう。これを防ぐためにも、マニュアルを作成して対策しなくてはいけません。
新規開業の動機を明確にする
二つ目のデメリットは、新規開業の動機を明確にすることです。多店舗展開では運営費用が高額になってしまいます。
新規出店後にあまりにも費用の負担が多いと、既存店舗の運営にも支障を与えてしまう恐れがあります。
そのため、店主として多店舗展開による危険を負えるのかどうか踏まえ新規開業を検討しましょう。
場合によっては、1店舗目の損失の穴埋めを理由にして、2店舗目を出店するケースもあります。しかし、このようなケースは失敗に終わることがほとんどです。
損失が発生している要因を理解しないまま新たに店舗を開業したとしても、同じ失敗を繰り返すだけです。そのため、2店舗目を開業する前は、新規開業の動機を見直しておきましょう。
立地選びを慎重に行う
三つ目のデメリットは、立地選びを慎重に行うことです。2店舗目の立地は1店舗目との距離が重要です。
店舗間の距離が遠すぎると、お客様は行き来するのに時間がかかってしまいます。距離が遠すぎることで、店舗運営の実態をつかむのが遅れてしまったり、管理者とのコミュニケーション不足が原因で問題が起きてしまったりする可能性があります。
一方で、店舗間の距離が近すぎるのも問題です。近くに複数の店舗があると、店舗同士で顧客を奪い合うといった共食いをしてしまいます。
そのため、店舗同士は遠すぎず、近すぎない距離を立地として選ぶことが大切です。
そのほかにも、店舗間の距離のみではなく、地域にターゲットとなる顧客がいるかどうか調査しておきましょう。
2店舗目を開業する際の適切なタイミングは?
2店舗目を開業する際の適切なタイミングはいつになるのでしょうか。1店舗目の運営がうまくいっていないのにもかかわらず、2店舗目を開業してしまうと両方ともうまくいかなくなる可能性が高くなります。
かといって、タイミングを逃してしまうと物件の空きがなくなってしまったり、競合店が増加してしまったりといつまでも出店ができない可能性もあります。
最初に考えなくてはいけないことは、1店舗目の収支や借入金の返済が計画通りに進み、手元に2店舗目の開業に充てる資金が確保できているかどうかです。
2店舗目の開業も同じく、金融機関から借入をすることになるため、金融機関の担当者に1号店の運営状況や2店舗目の開業に必要な資金を伝えておくことで、借入を許可してくれるケースがあります。
一番重要になってくるのが、人材の確保ができているかどうかです。今まで1店舗だけを見ていた店主も、2号店の開店準備や開店後の運営に立ち会わなくてはいけません。
そのため、1号店をある程度任せられる人材が育っていることが重要です。
まとめ
今回は居酒屋を2店舗展開するメリットとは。適切なタイミングについて紹介してきました。
2店舗目を開業するメリットとして、仕入れ費用の削減やリスクの分散ができることがあげられます。開業するタイミングが重要になってくるため、判断を間違わず手続きをしましょう。