【ラーメン店・麺屋いちびり】最初の頃は運転資金がほとんど0円!?気合と根性で乗り越え人気店に上り詰めるまでの成功秘話とは?

出店・開業

近鉄橿原線・南大阪線・吉野線「橿原神宮前」駅(西口)より徒歩約1分、大きな看板と提灯が目印の「麺屋いちびり」。食べログでは★3.61、ラーメンデータベース88.291ポイントを獲得(2024年5月16日現在)するほどの人気店です。

2012年6月6日のオープン以来、行列必至の人気店となった「麺屋いちびり」さんのお店を開業するまでに至った経緯や、苦労したこと、失敗から学んだこと、成功に至るまでについてお聞きしました。

開業までの経緯

脱サラして飲食業界へ

高校卒業後、物流会社や建設会社でサラリーマンをしていました。
サラリーマン時代は、昔の考えの年功序列の会社が多くてなかなか昇給できなかったんですよね。
だから直談判しに行ったりしてみたりしたんですが駄目で、自分はサラリーマン向いてないのかなと思ったんです。

でも他になにするかっていっても特に思いつかなくて。
そんな時、地元の先輩の居酒屋に食事しに行って、「こういう感じで、自分がしたい仕事ができたらいいよね。」と軽い気持ちで、飲食業に進もうかと思ったんです。

そこで、奥さんにも言わずに建設業を何の相談もなくやめてしまったんですよね。
3、4ヶ月くらいは飲食業ってどんなもんかなと考えていて。
飲食業をパッと見た時、奈良県にはスタミナラーメンとかしかなく来来亭がテレビで「ばーっと」出だした頃だったんですよね。

来来亭が有名だし、給料いいし働いてみようと思って就職したんですけれど、3、4ヶ月で「これはしんどすぎる」ということで辞めてしまいました。

「美味しい」と思えたつけ麺との出会い

その後、大阪市のミナミのほうで夜の仕事のお手伝いをしていた時に「煮干しらーめん玉五郎」ってお店で初めてつけ麺を食べて「美味しいな」って思って。

元々建設業だったので、内装とか、厨房もオープンキッチンで狭いというのを見て、そんなに初期投資が必要なさそうだなと思ったんですよね。
来来亭に比べたらアイテム数も少なくて作業工程もそんなに難しそうじゃないように見えました。

「これなら俺でもすぐに覚えられるんじゃない?」と思っていたら、スタッフ募集の張り紙を見つけてすぐに就職しました。

「煮干しらーめん玉五郎」で一年半。
半年で店長になって、一年間で店舗管理とかを学んで、地元奈良に帰ったんです。
そこで当時奈良には一店舗もなかった「王道の魚介とんこつラーメン」の店を開きました。

親会社が「元気ファクトリーグループ」というんですけど、会長に正式に「『煮干しらーめん玉五郎の卒業生』ということで卒業させてくれ」ということでお願いして、「名前も使っていいよ」というお墨付きをもらってオープンさせました。

スープづくり、チャーシューづくりからマネジメントまで、すべて「煮干しらーめん玉五郎」で覚えました。
店長をしていた時に、「原価率、人件費率、光熱費率」などの計算は個人的にやっていて、それを元に上に給料の掛け合いをしたりもしていたんですよ。

元々建設業界で現場監督という立場を経験していたので、そういうことには頭が回った。それが今の管理をするという部分にも生きていると思いますね。と、濵田さんは語る。

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苦労したこと、失敗したこと、それらを乗り越えたエピソード

伸びない売り上げ

経営の数字の管理とか、味づくりに関しては学んでいたけれど、オープンして以降、SNSが急に流行りだしたんですけど、うちはオープン当時は口コミだけで広がっていく感じで。

オープン景気とかいうこともなく、最初は路地裏でオープンしたので最初の3日目ぐらいまでは地元が近かったので知り合いが多く来てくれたこともあり、まあそれなりの売り上げにはなったんですけどね。
それ以降、ガクーンと売り上げが落ちてしまいました。

運転資金がほとんど0円で、「券売機に入ってるお金だけ」というような状態でしたね。
売掛もなく都度現金で払うという状況で、赤字になってしまいました。
「半年くらいは認知してもらえませんでしたね」と濵田さん。

昼営業は11時半から14時まで、夜は17時半から深夜2時までやっていました。
マーケティングとかをまったくしていなかったので、どういうお客さんが来るのかよくわからないままやっていました。

それから、予備校へ行く前の学生さんをターゲットに17時頃開けて、終電を逃した人や、居酒屋帰りの〆のお客さんをめがけて深夜までやっていました。
3年~4年は睡眠3時間くらいでやっていましたね。

半年後にようやく100杯の壁を超えた

認知されていなかったので、初めて100杯売れた日というのが半年後の日曜日でした。
僕が店長をしていた「煮干しらーめん玉五郎」の本町店では月商850万くらいはいっていました。
カウンター15席で一日200杯、300杯売るのが当たり前みたいな世界でやっていたので、「自分でやったらこんなものか」とは思いました。

「麺屋いちびり」一番人気の看板メニュー:特製つけ麺1,150円(税込)

小麦香る全粒粉入り多加水ちぢれ太麺を使用した麺は200gとボリュームたっぷり。

国産豚をメインに国産鶏を加え10時間かけて仕上げる白湯スープと千葉県産背黒イワシの煮干しとサバ節など計 6 種類の魚介から旨味を抽出した魚介スープ。
動物系、魚介系それぞれの旨味を絶妙なバランスで掛け合わせた自慢のWスープを使用しています。

気合と根性で乗り越えました

乗り越えた方法というか、正直言って気合です(苦笑)事業主として起業した以上、「自分の時間をお客さんに買ってもらう」というのが大義名分だと思うんです。と濵田さんは真っすぐ語る。

昨今、労働基準法などがあると思いますが、個人事業主にそれが適用しないのはそういうことだと思うんですよね。
自分の時間、人生をかけてやるということ、地元のお客さんにどれだけ認知してもらうか。

「頑張っている姿」を見てもらって、「頑張っている人」として好きになってもらうということが大事だと思うんです。泥臭く頑張っていればお客さんがついてきてくれると思います。

労働時間の緩和というのは自分が現場に立たなくなってから考えるのがいいと思いますね。
自分が人を使う立場になった場合は、状況がまた違ってくると思うので。

この労働時間では働いてくれる人はいないですから。
自分の分身を作ることも出来ない、となったら徐々に営業時間を短くしていくということになりました。

それにともなってオペレーションを変えながら、気合だけではどうにもならない部分を変えていきながら今に至っているという感じです。

カウンター 12席のため、行列が絶えない日が続いています。

開業してみてはじめてわかったこと

気合とコミュニケーション能力が大事

やっぱり気合の大切さですね。
「ガッツ」って大事だと思うんです。
テンポス道場の精神と似ています。

自分に負荷をかけずにプライベートを大事にするという風潮がありますが、「サービス残業をしてでもお金が欲しい」というマインドの人は個人事業主としてはうまくやっていけると思うんです。
気合とコミュニケーション能力が大事。

ハングリー精神と、たとえば中卒で社会にもまれながら生きてきた人と、高校大学と卒業して、7年遅れで社会に出てきた人とではやっぱり環境が違うと思うんですよね。
前者のほうがガッツと気合があると僕は思います。と濵田さんは語ります。

「麺屋いちびり」一押しのメニュー:まぜそば900円(税込)

甘みの強い多加水ストレート太麺を使用。
麺の特徴を捉えて、らーめん・つけ麺・まぜそば、それぞれに一番合う麺を使用しています。

定番のらーめん880円(税込)は、小麦香る全粒粉入り多加水ストレート中太麺を使用。食べごたえ満点のチャーシュー丼350円(税込)も根強い人気があります。

テンポスとのかかわり

玉五郎に勤めていた時からのお付き合いですね。
大阪の難波店とは1、2分の距離でした。

自分の店を持つときは、地元の付き合いを大事にしたくて違うお店を利用しましたが、やっぱりテンポスさんは安いので2店舗目をオープンするときはテンポスさんにお願いしました。

が、大失敗をされてしまったんですよね(苦笑)
すべての厨房機器を外してお金を返してくれという話にまでなったんですが、その時、難波店の白石さんが店長として親身にやってくれたんです。

信頼をおけるようになったのでお付き合いを続けました。
気が付いたら奈良店が出来ていたので、いまも変わらずお付き合いさせてもらっています。

今後の展望・開業する方へのメッセージ

これからも成長を続けたい

自社としてはラーメンをメインとしてやっているんですが、ラーメンという業態だけにこだわらず、挑戦できる業態があれば挑戦していきたいです。
今は直営3店舗なのですが直営5店舗くらいには増やしていきたい。と濵田さんは力強く語ります。

あと、FC事業を本部としてやっていくことも考えつつ、安価な初期投資で利回りなどいいお話があればFC加盟するのもいいかなと考えています。
個人的には今やっているプロデュース業、コンサル業も変わらずやっていきたいですね。

あとは従業員の給料を中小企業並みにしてあげたいです。現状は店長で年収500万、いい方ではあると思うけれど、もっと上げていけるようにしていきたいですね。

必死に頑張って時間を惜しむな!

開業する方へは「とりあえず必死になれ」ですかね。
「自分の時間をお客様に売る」のが個人事業主なので「時間を惜しむな!」と言いたいですね。
僕の考えとしては、サラリーマンというのは「会社に自分の時間を売る」ということだと思うんです。

「誰に時間を売るか」を間違えずにいて欲しい。
事業主は、従業員の時間をツールとしてお客様からお金を頂く。
この3者の関係というのは絶対に変わらないと考えています。

事業を存続するというのはそんなに甘くないので、「自分の時間を大切にしたい」というのはまかり通らない世界だとも思うんです。と濵田さん。

そして最終的には「投資家になる」という感覚が必要だと思います。
投資家はお金でお金を生むという職業。
そういう観点から、僕だったらFC事業について今考えていたりするわけです。

そういう風に自分の今いるポジションというのを明確にすることが大事だと思います。
自分で現場に立って、自分の店をつぶすような人は「社会の歯車」にはなれないと思うんです。
僕なら自己破産しても食えていける。そういう自信があるからリスクを背負ってやっているんですよね。

でも、自分で店立って人件費も払っていないのに自分で店をつぶしちゃうような人はサラリーマンになって「雇われる」という立場になっても何の成績も残せない人だと思います。と濵田さんは語ってくれました。

まとめ

苦しい時期を「気合と根性」で乗り越えたという濵田さん。
個人事業主というのは「自分の時間をお客様に売る」という考え方は、これから開業を目指す方にも、今現在営業をしている方にもためになる言葉ではないでしょうか。

濵田さんのお話からは、必死に「気合と根性」で、一つ一つ課題を乗り越え、お客様に頑張る姿を見て頂きながら努力することで、成功を勝ち取るという力強い信念を感じました。

皆さんも、強い信念をもって成し遂げていくという姿勢を参考にしてみてはいかがでしょうか。

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#取材協力
店名:麺屋いちびり
店主:濵田 年康 様
住所:奈良県橿原市久米町593 小柳ビル 1F
TEL:0744-27-2223(予約不可)

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