活気あふれる食文化と豊かな人情が魅力的な堺市で、自分だけの飲食店を開業することは多くの人にとって夢のような目標でしょう。しかし、開業には多額の資金が必要となるため、資金調達が大きな課題となります。
そこで今回は、堺市で飲食店を開業する際に融資を受ける際のポイントと、開業の流れについて詳しく解説します。融資を活用することで、資金調達の負担を軽減し、夢の実現に近づくことができます。
目次
大阪府の開業率は全国7位
2015年度の厚生労働省の調査によると、飲食店を含む大阪の開業率は5.9％と全国で7位です。また廃業率は3.6％となっています。
大阪府の開業率が比較的高い理由は、人口が多いため潜在的な顧客が多い、物価が安く開業しやすい環境が整っている、などが挙げられます。
まずは融資、補助金、助成金、それぞれの特徴を知りましょう！
融資、補助金、助成金は、いずれも事業資金を調達する手段として活用できますが、それぞれに特徴があります。
融資
融資は、金融機関から借り入れを行うことです。利子をつけて返済する必要があるため、返済計画をしっかりと立てることが大切です。融資のメリットとしては、資金調達が早いこと、事業の自由度が高いことなどが挙げられます。
一方、デメリットとしては、利子がかかること、返済義務があることなどが挙げられます。
補助金
補助金は、国や地方公共団体などの公的機関から、事業の実施に必要な経費の一部を支給されるものです。返済の必要がないため、利子や返済の負担がありません。補助金のメリットとしては、資金調達が早いこと、利子や返済の負担がないことなどが挙げられます。
一方、デメリットとしては、申請に手間がかかること、採択率が低いことなどが挙げられます。
助成金
助成金は、補助金と似ていますが、補助金よりも受給要件が緩やかであるのが特徴です。補助金と同様、返済の必要がないため、利子や返済の負担がありません。助成金のメリットとしては、資金調達が早いこと、利子や返済の負担がないことなどが挙げられます。
一方、デメリットとしては、申請に手間がかかること、採択率が低いことなどが挙げられます。
それぞれの特徴をまとめると、以下のようになります。
資金調達の主体
融資：金融機関
補助金：国や地方公共団体など
助成金：国や地方公共団体など
返済の必要性
融資：必要
補助金：不要
助成金：不要
利子
融資：必要
補助金：不要
助成金：不要
申請の難易度
融資：やや高い
補助金：やや高い
助成金：比較的低い
資金の使い道
融資：自由
補助金：指定された用途に限る
助成金：指定された用途に限る
事業資金を調達する際には、それぞれの特徴を理解した上で、自社に最適な方法を選択することが大切です。
堺市で利用可能な融資・補助金・助成金とは？
堺市では、事業を展開する中小企業や個人事業主を支援するために、様々な融資・補助金・助成金制度を設けています。
融資
堺市産業・雇用創造支援資金
創業支援、設備投資支援など、様々な事業を対象とした融資制度です。
融資額：最大3,000万円
金利：1.0%～
返済期間：最長10年
堺市中小企業振興資金融資
中小企業の事業資金調達を支援するための融資制度です。
融資額：最大5,000万円
金利：1.3%～
返済期間：最長10年
堺市新型コロナウイルス感染症等関連融資
新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業者の事業継続を支援するための融資制度です。
融資額：最大2,000万円
金利：0.3%～
返済期間：最長10年
補助金・助成金制度
堺市地産地消・6次産業化支援事業
地産地消や6次産業化に取り組む農業者が行う、機械・施設の整備を支援する補助金制度です。
補助率：2分の1以内
補助対象経費：機械・施設の購入費、設置費など
堺市ものづくり補助金
市内の製造業事業者が行う、設備投資や研究開発を支援する補助金制度です。
補助率：1/3～2/3
補助対象経費：設備の購入費、研究開発費など
堺市中小企業IT導入支援事業
中小企業がIT機器を導入することを支援する補助金制度です。
補助率：1/2以内
補助対象経費：IT機器の購入費、導入費など
申請手続き
各制度の申請手続きは、それぞれ異なります。詳細は各制度のホームページなどで確認してください。
その他
上記以外にも、堺市では様々な支援制度があります。詳細は堺市のホームページなどで確認してください。
融資・補助金・助成金の申請には、事前に準備が必要となります。早めに準備を始めることをお勧めします。
※こちらは2024年2月1日現在の情報です。最新の情報はこちらからご確認ください。
融資を受ける際に気を付けるべきポイントとは
堺市で融資を受ける際には、以下の点に注意する必要があります。
金利
金利は、借入金額に対して一定期間発生する利息の割合を表します。金利が低いほど、利息の負担が軽くなります。
複数の金融機関から金利条件を比較検討し、できるだけ低い金利で融資を受けられるようにしましょう。
返済方法
返済方法は、毎月の返済額や返済期間などを決めるものです。返済方法は、主に以下の3種類があります。
元金均等返済
毎月の返済額が一定になる方法です。返済当初は利息の支払い割合が高くなりますが、返済が進むにつれて元金の支払い割合が高くなります。
元利均等返済
毎月の返済元金と利息の合計額が一定になる方法です。毎月の返済額は元金均等返済よりも高くなりますが、総支払利息は低くなります。
ボーナス併用返済
毎月の返済額に加えて、ボーナス月にまとまった返済を行う方法です。毎月の返済額を抑えることができますが、ボーナス月にまとまった資金が必要になります。
自身の収入や返済能力に合った返済方法を選択しましょう。
審査基準
金融機関は、融資の申し込みに対して審査を行います。審査基準は、金融機関によって異なりますが、主に以下の要素が考慮されます。
収入：安定した収入があるかどうか
返済能力：毎月の返済額を支払えるかどうか
信用情報：過去の返済履歴
担保・保証人：担保や保証人を用意できるかどうか
審査基準を満たしていない場合は、融資を受けることができない可能性があります。
手数料
融資を受ける際には、手数料が発生します。手数料には、以下の種類があります。
事務手数料：融資手続きにかかる手数料
利息計算手数料：利息計算にかかる手数料
保証料：保証人を立てる場合に発生する手数料
手数料は、金融機関によって異なります。手数料の合計額を確認し、できるだけ低い手数料で融資を受けられるようにしましょう。
悪徳業者
悪徳業者は、法外な金利や手数料を請求したり、虚偽の説明で融資を勧誘したりするなど、違法な行為を行うことがあります。
融資を受ける際には、金融機関の認可を受けているかどうかを確認し、悪徳業者に注意しましょう。
その他
・複数の金融機関から条件を比較検討する
・契約内容を理解してから契約する
・不明点は必ず質問する
・無理のない返済計画を立てる
以上の点に注意して、堺市で融資を受けましょう。
堺市で開業する際の費用の相場とは？
堺市で飲食店を開業する際には、様々な費用がかかります。主な費用の相場と、費用を抑えるためのポイントをご紹介します。
物件取得費用
店舗賃借：月額10万円～30万円
・場所、広さ、設備によって大きく変動します。
・駅近や繁華街は賃料が高くなります。
譲渡金：0円～数百万円
・居抜き物件の場合は、譲渡金が発生します。
・設備の充実度や立地によって譲渡金は変動します。
内装工事費：100万円～300万円
・店舗の規模やデザインによって費用は大きく変動します。
・厨房設備や空調設備などの費用も含まれます。
設備購入費：50万円～100万円
・厨房機器、テーブル、椅子、食器などの費用が含まれます。
・中古品を活用することで費用を抑えることができます。
許可申請費用
営業許可申請費用：1万円～2万円
・食品衛生法に基づく許可申請が必要です。
・申請内容や規模によって費用は変動します。
酒類販売免許申請費用：15万円～20万円
・酒類販売を行う場合は、酒類販売免許が必要です。
・申請内容や規模によって費用は変動します。
運転資金
食材仕入代：月額100万円～300万円
メニュー内容や客数によって大きく変動します。
人件費：月額100万円～200万円
従業員数や給与体系によって大きく変動します。
光熱費：月額10万円～20万円
店舗の規模や設備によって大きく変動します。
広告宣伝費：月額5万円～10万円
・ホームページやSNSなどの費用が含まれます。
・費用対効果の高い広告宣伝方法を選択することが重要です。
その他費用
保険料：年間10万円～20万円
・火災保険、損害保険などの費用が含まれます。
・必要最低限の保険に加入することで費用を抑えることができます。
税金・会計費用：年間10万円～20万円
・法人税、消費税などの税金や、会計処理の費用が含まれます。
・税理士に依頼することで、節税対策や会計処理を効率化することができます。
堺市で開業する際の資金調達の方法
堺市で飲食店を開業する際には、様々な資金調達方法があります。以下に、主な方法とそれぞれの特徴をご紹介します。
自己資金
最も確実な資金調達方法です。開業資金の全てを自己資金で賄うことができれば、借入による利息負担や返済の心配がありません。
融資
金融機関から融資を受ける方法です。
融資を受けるためには、事業計画書や財務諸表などの書類を準備し、金融機関に審査を受ける必要があります。
補助金・助成金
堺市では、飲食店開業を支援する様々な補助金・助成金制度があります。
補助金・助成金は、返済不要の資金調達方法です。ただし、申請要件を満たす必要があり、採択率は必ずしも高くありません。
クラウドファンディング
インターネットを通じて多くの人から資金を集める方法です。
・CAMPFIRE
・Makuake
・READYFOR など
クラウドファンディングで資金を集めるためには、魅力的なプロジェクト内容を提案する必要があります。
個人投資家
個人投資家から資金を集める方法です。
・エンジェル投資家
・ベンチャーキャピタル
個人投資家から資金を集めるためには、事業の成長性や収益性をアピールする必要があります。
その他
リース：厨房機器や設備などをリースすることで、初期費用を抑えることができます。
ファクタリング：売掛金を早めに現金化することで、運転資金を確保することができます。
日本政策金融公庫を利用する
日本政策金融公庫は、中小企業や個人事業主を支援するために設立された金融機関です。
創業融資
創業資金の調達に利用できる融資制度です。
融資額：最大3,000万円
金利：1.0%～
返済期間：最長10年
中小企業向け融資
事業資金調達に利用できる融資制度です。
融資額：最大5,000万円
金利：1.3%～
返済期間：最長10年
新型コロナウイルス感染症等関連融資
新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業者の事業継続を支援するための融資制度です。
融資額：最大2,000万円
金利：0.3%～
返済期間：最長10年
日本政策金融公庫は、民間金融機関よりも金利が低く、返済期間も長いというメリットがあります。また、創業融資の場合は、保証人が不要となる場合もあります。
※こちらは2024年2月1日現在の内容です。最新の情報など詳しくは日本政策金融公庫の公式ＨＰなどで確認してください。
堺市で開業する際の実際の開業までの流れを解説
堺市で飲食店を開業するには、様々な準備が必要です。以下に、実際の開業までの流れを詳しく説明します。
コンセプト立案
まず、どのような飲食店を開業するのか、コンセプトを明確にする必要があります。
・ターゲット層
・提供する料理
・店舗の雰囲気
・価格帯
などを具体的にイメージしましょう。
市場調査
コンセプトを決めたら、市場調査を行い、競合店の状況や顧客ニーズを把握する必要があります。
・競合店のメニューや価格帯
・顧客層
・地域のニーズ
などを調査し、自店の差別化ポイントを明確にしましょう。
物件探し
コンセプトに合った物件を探しましょう。
・立地
・広さ
・設備
・賃料
などを考慮し、最適な物件を選びましょう。
資金計画
開業に必要な資金を算出し、資金調達方法を検討しましょう。
・初期費用
・運転資金
・融資
などを考慮し、資金計画を作成しましょう。
事業計画書を作成する
事業計画書とは、飲食店の経営計画を示す書類です。事業計画書には、以下の内容を盛り込みましょう。
店舗の概要
店舗の立地や規模、コンセプト、内装、設備などをまとめたものです。大まかにどのような店舗を想定しているのかまとめましょう。
メニューやコンセプト
競合店を分析したり独自の強みを打ち出したりすることで競争に勝てるよう考えましょう。
ターゲット顧客
ターゲット顧客を明確にすることで店舗の方向性や立地の条件なども明確になってきます。
売上計画、収支計画
収支計画を実現可能なものにすることで明確なビジョンを打ち出しましょう。売り上げの計画もしっかりとすることで事業の実現性を明確にします。
事業計画書は、金融機関から融資を受ける際にも必要となります。
許可申請
飲食店を開業するには、食品衛生法に基づく営業許可が必要です。
・営業許可申請書
・店舗平面図
・設備配置図
・食品衛生責任者の資格証明書
などを準備し、堺市保健所に申請しましょう。
内装工事・設備導入
コンセプトに沿って、店舗の内装工事を行い、必要な設備を導入しましょう。
・厨房設備
・テーブル
・椅子
・食器
などを準備しましょう。
メニュー開発
ターゲット層やコンセプトに合ったメニューを開発しましょう。
・味
・見た目
・価格
などを考慮し、魅力的なメニューを作成しましょう。
スタッフ募集・採用
必要なスタッフを募集し、採用しましょう。
・求人広告
・面接
などを実施し、適切な人材を採用しましょう。
開業準備
・開店日の告知
・スタッフ研修
・食材仕入れ
・開店準備
などを進めましょう。
開業
準備が整ったら、いよいよ開業です。
開業後の運営
・顧客満足度の向上
・売上管理
・従業員教育
・衛生管理
などを徹底し、事業を継続させましょう。
堺市で飲食店を開業するメリット
歴史と文化の融合
歴史的な街であり、古くから栄えてきた商業都市です。そのため、伝統的な味や文化が根付いており、地域の特色を活かした飲食店が多く存在します。
アクセスの良さ
大阪市と隣接しているため、大阪市内や近隣の地域との交流が盛んです。
地域資源の活用
周辺には豊かな自然環境や農産物、海産物が豊富にあります。地元の食材を使用したメニューを提供することで、地域経済の活性化に貢献することができます。
競争の少なさ
大都市圏に位置しながらも、大阪市や神戸市と比べると飲食店の競争が比較的少ないという特徴があります。そのため、新規の飲食店が市場に参入しやいです。
堺市で飲食店を開業するデメリット
地域特性への対応
地域ごとに独自の特性があります。地域の嗜好や需要を把握し、それに合ったメニューやサービスを提供する必要があります。
人口密度の低さ
一部地域は人口密度が低いため、集客が難しい場合があります。
人手不足
飲食業界での人手不足が問題になっており、従業員の確保や育成に課題があります。賃金や勤務体制などで差別化を図りましょう。
経営資源の確保
開業には多くの資源が必要です。資金や人材、物件などの確保や適切な経営計画の策定が重要です。融資や補助金を有効に利用しましょう。
堺市で開業する際の開業資金を抑えるコツとは
堺市で飲食店を開業するには、多額の初期費用が必要となります。しかし、いくつかのコツを意識することで、開業資金を抑えることができます。
物件選び
・駅近や繁華街は賃料が高くなります。人通りが少ない場所でも、工夫次第で集客することは可能です。
・居抜き物件を活用することで、内装費用を抑えることができます。
・自治体の空き店舗情報などを活用し、掘り出し物を見つけるのもおすすめです。
中古品・DIY
・厨房機器やテーブル、椅子などを中古品で購入することで費用を抑えることができます。
・DIYに自信がある場合は、内装工事の一部を自分で行うことで費用を抑えることができます。近年では、DIY向けのワークショップやレンタルスペースなども充実しているので、積極的に活用しましょう。
テンポスでは多くの中古商品を取り揃えております。
設備リース
厨房機器や空調設備などをリースすることで、初期費用を抑えることができます。
リース期間終了後は、機器を買い取ることも可能です。
補助金・助成金
堺市では、飲食店開業を支援する様々な補助金・助成金制度があります。
積極的に活用することで、資金負担を軽減することができます。
人材
・アルバイトを活用することで、人件費を抑えることができます。
・学生や主婦など、時間帯や曜日限定で働ける人材を探しましょう。
・求人広告は、無料の求人サイトなどを活用しましょう。
その他
・開業前に試食会やイベントを開催することで、宣伝効果を得ながら資金を集めることができます。
・クラウドファンディングを利用することで、多くの人から資金を集めることができます。
・行政機関や商工会議所などの無料相談を利用することで、開業に関するアドバイスを受けることができます。
まとめ
堺市で飲食店開業をお考えの方、融資を活用すれば夢の実現が近づくかもしれません。事前に準備をしっかり行い、複数の金融機関を比較検討することで、最適な融資を選びましょう。計画的な資金調達と入念な準備で、成功への道を切り開いてください。
開業に際してご相談、ご質問お気軽にお待ちしております。
