東京で飲食店を開業する際には、初期費用として1,000万円程度の資金が必要と言われています。そのため、多くの場合、融資を受ける必要があります。
融資を受けるためには、金融機関の審査に通る必要があります。審査では、事業計画書の作成や、経営者の人柄や経歴などがチェックされます。
そこで、本記事では、東京で飲食店を開業時に融資を受ける際のポイントを解説します。また、開業の流れについても併せて解説します。
飲食店を開業する際には、ぜひ参考にしてください。
目次
東京の開業率は全国8位
2015年度の厚生労働省の調査によると、飲食店を含む東京の開業率は5.6%と全国で8位です。また廃業率は3.7%となっています。これは、東京は多くの人が集まる大都市であり、ビジネスチャンスが多いためです。しかし、東京で開業するには、高い家賃や人件費などのコストがかかるため、開業後に失敗するリスクも高い傾向にあります。
まずは融資、補助金、助成金、それぞれの特徴を知りましょう!
融資、補助金、助成金は、いずれも事業資金を調達する手段として活用できますが、それぞれに特徴があります。
融資
融資は、金融機関から借り入れを行うことです。利子をつけて返済する必要があるため、返済計画をしっかりと立てることが大切です。融資のメリットとしては、資金調達が早いこと、事業の自由度が高いことなどが挙げられます。一方、デメリットとしては、利子がかかること、返済義務があることなどが挙げられます。
補助金
補助金は、国や地方公共団体などの公的機関から、事業の実施に必要な経費の一部を支給されるものです。返済の必要がないため、利子や返済の負担がありません。補助金のメリットとしては、資金調達が早いこと、利子や返済の負担がないことなどが挙げられます。
一方、デメリットとしては、申請に手間がかかること、採択率が低いことなどが挙げられます。
助成金
助成金は、補助金と似ていますが、補助金よりも受給要件が緩やかであるのが特徴です。補助金と同様、返済の必要がないため、利子や返済の負担がありません。助成金のメリットとしては、資金調達が早いこと、利子や返済の負担がないことなどが挙げられます。
一方、デメリットとしては、申請に手間がかかること、採択率が低いことなどが挙げられます。
それぞれの特徴をまとめると、以下のようになります。
資金調達の主体
融資:金融機関
補助金:国や地方公共団体など
助成金:国や地方公共団体など
返済の必要性
融資:必要
補助金:不要
助成金:不要
利子
融資:必要
補助金:不要
助成金:不要
申請の難易度
融資:やや高い
補助金:やや高い
助成金:比較的低い
資金の使い道
融資:自由
補助金:指定された用途に限る
助成金:指定された用途に限る
事業資金を調達する際には、それぞれの特徴を理解した上で、自社に最適な方法を選択することが大切です。
東京で利用可能な融資・補助金・助成金とは?
東京では、中小企業や個人事業主を支援するために、さまざまな融資・補助金・助成金制度が用意されています。これらの制度を活用することで、事業の資金調達や経費の削減など、事業の成功につながる効果が期待できます。
融資制度
融資制度とは、金融機関から事業資金を借り入れることができる制度です。東京都では、東京都中小企業振興公社や東京信用保証協会などの公的機関が、中小企業向けの融資制度を実施しています。これらの融資制度は、金利が低く、審査が柔軟であるなどのメリットがあります。
補助金・助成金制度
補助金・助成金制度とは、事業に必要な経費の一部を、国や地方自治体から支給してもらえる制度です。東京都では、東京都産業労働局や公益財団法人東京都中小企業振興公社などの公的機関が、さまざまな補助金・助成金制度を実施しています。これらの補助金・助成金制度は、事業の初期費用の負担軽減や、事業の競争力強化などに役立ちます。
東京で利用可能な融資・補助金・助成金の例
東京で利用可能な融資・補助金・助成金の例を、以下にいくつか挙げます。
融資制度
・東京都中小企業経営円滑化融資
・東京都信用保証協会中小企業経営円滑化保証
・東京都中小企業新事業創出支援融資
補助金・助成金制度
・創業助成金
・若手・女性リーダー応援プログラム助成事業
・ものづくり補助金
・IT導入補助金
融資・補助金・助成金の活用方法
融資・補助金・助成金は、事業の資金調達や経費の削減など、さまざまな目的に活用することができます。具体的な活用方法としては、以下のような例が挙げられます。
・事業の初期費用の負担軽減
・事業の拡大・改善のための資金調達
・人材育成や新技術導入のための経費の削減
融資・補助金・助成金制度を活用する際には、それぞれの制度の目的や利用条件をよく確認することが大切です。また、複数の制度を組み合わせて活用することで、より効果的に資金調達や経費削減を図ることができます。
融資・補助金・助成金の申請方法
融資・補助金・助成金の申請方法は、各制度によって異なります。一般的には、以下の流れで申請を行います。
・各制度の要件を満たしているかを確認する
・必要書類を準備する
・各制度の窓口に申請書を提出する
融資・補助金・助成金の申請には、一定の書類の提出が必要となります。また、審査には時間がかかることもあるため、余裕を持って申請を行うようにしましょう。
東京で事業を展開する中小企業や個人事業主の方は、ぜひ融資・補助金・助成金制度を活用して、事業の成功を目指してください。
※こちらは2023年11月20日現在の情報です。最新の情報はこちらやこちらからご確認ください。
融資を受ける際に気を付けるべきポイントとは
事業計画書をしっかりと作成する
事業計画書は、融資を受ける際に最も重要な書類です。事業計画書には、以下の内容を盛り込みましょう。
・店舗の概要
・メニューやコンセプト
・ターゲット顧客
・売上計画
・収支計画
事業計画書は、金融機関にあなたの事業が成功する可能性をアピールするためのものです。そのため、しっかりと内容を詰めて作成しましょう。
自己資金を用意する
融資を受ける際には、自己資金を用意しておくと有利です。自己資金が多いほど、金融機関はあなたの経営に対する意欲や、返済能力があると判断しやすくなります。
自己資金として、最低でも300万円は用意しておきましょう。
金融機関を比較検討する
融資を受ける金融機関は、複数の金融機関を比較検討しましょう。金利や条件が異なるので、自分に合った金融機関を選ぶことが大切です。
また、金融機関によっては、飲食店向けの融資制度を設けているところもあります。そのような融資制度を活用するのもおすすめです。
信用情報に問題がないか確認する
融資を受けるためには、信用情報に問題がないことが必要です。信用情報に問題があると、融資を受けられない可能性もあります。
信用情報は、信用情報機関で確認することができます。
融資の目的や用途を明確にする
融資の目的や用途を明確にしておきましょう。融資の目的や用途が明確になっていないと、金融機関は融資を判断することができません。
融資の目的や用途は、事業計画書に記載しておきましょう。
融資の返済計画を立てておく
融資の返済計画を立てておきましょう。融資の返済計画が立てられていないと、金融機関は融資を判断することができません。
融資の返済計画は、事業計画書に記載しておきましょう。
融資を受けるタイミングを計る
融資を受けるタイミングを計ることも大切です。融資を受けるタイミングが適切でないと、融資を受けられない可能性もあります。
融資を受けるタイミングは、事業の状況や資金繰りの状況などを考慮して決めましょう。
これらのポイントを押さえることで、東京で融資を受ける際に有利になります。
東京で開業する際の費用の相場とは?
東京で飲食店を開業する際の費用の相場は、業種や店舗の規模、場所などによって異なりますが、一般的には、1,000万円前後かかると言われています。
物件取得費
物件取得費は、店舗の規模や立地によって大きく異なります。例えば、東京23区の中心部で10坪の物件を借りる場合、家賃は月額100万円程度、敷金は100万円程度、礼金は100万円程度かかると考えられます。
内装工事費
内装工事費は、店舗のデザインや設備によって異なります。例えば、居抜き物件を利用する場合は、内装工事費を抑えることができます。
厨房機器費
厨房機器費は、店舗の業種や規模によって異なります。例えば、ラーメン店を開業する場合、厨房機器費は500万円程度かかると考えられます。
食器や調理器具などの設備費
食器や調理器具などの設備費は、店舗の規模によって異なります。例えば、10坪の店舗を開業する場合、食器や調理器具などの設備費は100万円程度かかると考えられます。
広告費
広告費は、店舗のオープン告知や集客のために必要です。例えば、チラシやWeb広告を利用する場合は、広告費は100万円程度かかると考えられます。
人件費
人件費は、店舗の営業時間や従業員の人数によって異なります。例えば、10坪の店舗で10人の従業員を雇用する場合、人件費は月額100万円程度かかると考えられます。
これらの費用をすべて合計すると、1,000万円前後かかると考えられます。
なお、開店後の運転資金も用意しておきましょう。運転資金は、店舗の運営に必要な費用(食材費や光熱費、人件費など)に充てられます。運転資金は、開業資金の3分の1程度を目安に用意しておくとよいでしょう。
東京で飲食店を開業する際には、これらの費用をしっかりと把握しておくことが大切です。
東京で開業する際の資金調達の方法
自己資金
自己資金とは、自身の貯蓄や借金など、自分で用意した資金のことです。自己資金を多く用意しておくことで、融資を受ける際に有利になるだけでなく、開店後の運転資金としても活用することができます。
融資
融資とは、金融機関から借り入れることができる資金のことです。飲食店を開業する際には、融資を利用するのが一般的です。
融資を受ける際には、事業計画書の作成や、審査を受けるなどの手続きが必要です。
補助金・助成金
補助金・助成金とは、国や地方自治体から支給してもらえる資金のことです。飲食店を開業する際には、補助金・助成金を利用することで、開業資金の負担を軽減することができます。
補助金・助成金を受ける際には、各制度の要件を満たしていることが必要です。
日本政策金融公庫を利用する
日本政策金融公庫は、国が100%出資する金融機関です。日本政策金融公庫では、中小企業や個人事業主を対象とした融資制度を実施しています。
日本政策金融公庫の融資制度は、金利が低く、審査が柔軟であるなどのメリットがあります。
また、日本政策金融公庫では、飲食店向けの融資制度も実施しています。
飲食店向けの融資制度としては、以下のようなものが挙げられます。
・新創業融資制度
・チャレンジ・スタートアップ支援融資制度
・新事業創出支援融資制度
これらの融資制度は、飲食店の開業や事業拡大を支援することを目的としています。
※こちらは2023年11月20日現在の内容です。最新の情報など詳しくは日本政策金融公庫の公式HPなどで確認してください。
東京で飲食店を開業する際には、これらの資金調達の方法を検討してみてください。
なお、開業資金の調達方法は、以下の流れで考えることが大切です。
・開業に必要な資金を把握する
・自己資金で賄える範囲を検討する
・融資や補助金・助成金を利用できるか検討する
これらの流れを踏まえて、自分に合った資金調達の方法を検討しましょう。
東京で開業する際の実際の開業までの流れを解説
開業1年前~6カ月前
コンセプトを立てる
飲食店を開業する際には、まず、コンセプトを立てる必要があります。コンセプトとは、店舗の方向性やテーマなどを示すものです。コンセプトを明確にすることで、店舗の雰囲気やメニュー、ターゲット顧客などを決めることができます。
事業計画書を作成する
前章でも紹介しましたが、事業計画書とは、飲食店の経営計画を示す書類です。事業計画書は、金融機関から融資を受ける際にも必要となるとても重要なものです。
事業計画書には、以下の内容を盛り込みましょう。
店舗の概要
店舗の立地や規模、コンセプト、内装、設備などをまとめたものです。大まかにどのような店舗を想定しているのかまとめましょう。
メニューやコンセプト
競合店を分析したり独自の強みを打ち出したりすることで競争に勝てるよう考えましょう。
ターゲット顧客
ターゲット顧客を明確にすることで店舗の方向性や立地の条件なども明確になってきます。
売上計画、収支計画
収支計画を実現可能なものにすることで明確なビジョンを打ち出しましょう。売り上げの計画もしっかりとすることで事業の実現性を明確にします。
店舗物件を見つける
店舗物件を見つける際には、立地や賃料、物件の状態などを考慮して選びましょう。立地は、ターゲット顧客の集客に大きく影響します。賃料は、店舗の経営に大きな負担となります。物件の状態は、内装工事の費用に影響します。
開業6カ月~2カ月前
資金調達を行う
飲食店を開業する際には、多額の資金が必要です。そのため、融資や補助金・助成金などの資金調達の方法を検討しましょう。
メニューを作る
メニューは、店舗の売上を左右する重要な要素です。ターゲット顧客のニーズや競合店のメニューなどを考慮して、オリジナルのメニューを開発しましょう。
必要な設備を揃える
厨房機器や食器、調理器具などの設備を揃えましょう。設備の種類や価格は、店舗の業種や規模によって異なります。
開業2カ月前~開店前
開店準備をする
開店準備として、以下の作業を行いましょう。
・営業許可や保健所の営業許可などの許認可を取得する
・従業員の採用を行う
・広告や宣伝を行う
従業員を採用する
店舗の規模や営業時間によって、必要な従業員の数は異なります。従業員の採用は、求人広告や人材紹介会社などを活用しましょう。
広告や宣伝をする
開店前に、チラシやWeb広告などの広告や宣伝を行い、店舗のオープンを告知しましょう。
開店
開店までに、すべての準備が整ったら、いよいよ開店です。開店当日は、万全の体制で臨みましょう。
東京で飲食店を開業する際には、これらの流れを参考にしてください。
なお、飲食店の開業は、多額の資金や労力が必要となります。また、競争も激しいため、しっかりとした準備と覚悟が求められます。
東京で飲食店を開業するメリットデメリット
メリット
大規模なマーケット
世界有数の大都市であり、人口は約1,300万人以上です。これだけ多くの人口が集積しているため、飲食店の開業には大きな可能性が秘められています。
多様な客層
世界中からさまざまな人が集まっています。そのため、飲食店のターゲットとする客層を絞り込むことができるため、より効率的に集客することができます。多くの集客を実現するために市場調査し差別化を図りましょう。
高い競争力
飲食店が非常に多い都市です。競争が激しいというデメリットもありますが、逆に言えば、成功するための努力も必然的に高まります。多くの飲食店に埋没しないようお店を魅力的にしていきましょう。メニューを日々進化させるなどの努力が必要になります。
優秀な人材が集まりやすい・高い技術力
日本有数の教育機関が集積している都市です。多くの優秀な料理人やサービススタッフなど、人材が集まりやすく、高い技術力を期待することができます。そのために賃金などで差別化を図りましょう。
豊富な情報とサポート
飲食店を開業するための情報やサポートが豊富に提供されています。そのため、初心者でも安心して開業することができます。専門家などに相談し、不安を解消することもできます。
デメリット
高い開業コスト
物価が高い都市です。そのため、飲食店を開業する際には、高い開業コストがかかります。これには、物件取得費、内装工事費、厨房機器費、食材費、人件費などが含まれます。
長時間労働・高い人件費
飲食店は、長時間労働が一般的です。そのため、体力的にも精神的にも負担がかかります。また、休日も不定期になりがちです。更に人件費が高いため、アルバイトや正社員を雇用する際にコストがかかります。無理のないオペレーションで負担軽減を図りましょう。
激しい競争
飲食店が非常に多く、競争が激しいです。そのため、集客が非常に難しいです。また、価格競争やサービス競争にも勝ち抜かなければなりません。市場の動向や流行に敏感になるのが重要です。
厳しい衛生基準
衛生管理が非常に厳しい都市です。そのため、飲食店を開業するには、厳しい衛生基準をクリアする必要があります。これには、HACCPの取得や、定期的な衛生検査の実施などが必要です。
リスクが高い
飲食店は失敗率が高いため、リスクが高いビジネスです。特に競合の多い東京ではそのリスクが高めになる傾向があります。
東京は、飲食店を開業する上で非常に恵まれた環境が整っていますが、デメリットも多くあります。これらのメリット・デメリットを十分に理解した上で開業を検討してください。
東京で開業する際の開業資金を抑えるコツとは
東京で飲食店を開業する際の開業資金を抑えるコツは、以下のとおりです。
立地や規模を検討する
立地や規模は、開業資金に大きく影響します。立地が悪くても、ターゲット顧客のニーズに合った店舗であれば、成功する可能性もあります。また、規模を小さくすることで、内装工事費や設備費を抑えることができます。
中古やDIYを活用する
中古の物件や設備を活用することで、新品に比べて費用を抑えることができます。また、DIYをすることで、内装工事費を抑えることができます。
融資や補助金・助成金を利用する
融資や補助金・助成金を活用することで、自己資金を抑えることができます。
具体的な中古やDIYの活用例としては、以下のようなものが挙げられます。
物件:居抜き物件を利用する
居抜き物件とは、前のテナントから内装や設備を引き継いだ物件です。内装工事費や設備費を抑えることができます。
注意点:中古の物件は、築年数が経過している場合が多く、設備や内装の状態に問題がある可能性があります。
設備:中古の厨房機器や食器を利用する
中古の厨房機器や食器は、新品に比べて費用を抑えることができます。ただし、状態や性能には注意が必要です。
注意点:中古の設備は、故障や修理のリスクがあります。
テンポスでは多くの中古商品を取り揃えております。
内装:DIYで内装工事を行う
DIYで内装工事を行うことで、内装工事費を抑えることができます。
注意点:DIYで内装工事を行う場合、施工スキルや時間が必要です。また、専門業者に依頼した場合と比べて、仕上がりに差が出る場合もあります。
東京で飲食店を開業する際には、これらのコツを参考にして、開業資金を抑えましょう。
まとめ
以上、東京で飲食店を開業時に融資を受ける際のポイントについて解説しました。融資を受けるためには、事業計画書の作成や、自己資金の用意など、しっかりとした準備が必要です。また、融資だけでなく、補助金・助成金も活用することで、開業資金の負担を軽減することができます。
開業までの流れを把握し、しっかりと準備をして、成功する飲食店を開業しましょう。
開業に際してご相談、ご質問お気軽にお待ちしております。