飲食事業に携わってるかたは「QSC」という言葉は一度は聞いたことがあるかと思います。
QSCは、Quality(品質)、S(サービス)、C(クリンリネス:清潔さ)の頭文字を取った言葉です。
マクドナルドのビジネスとしての創業者であるレイクロックが店舗でのビジネスを成功させるために考えた方程式と言われてます。
現在多くの飲食店やサービス業において活用されているとのことですが、本当に大事なのでしょうか?
目次
「QSC」それぞれにどんな意味があるの?
QSCという言葉の意味はよくわかったけど具体的にはどういうことなの?
それぞれ詳しくみていきましょう。
Q=クオリティ
Q=クオリティは提供される商品の質を意味します。料理の味付けや盛り付け、料理のボリューム、料理の温度などが要素ですが、第一は「美味しさ」ではないでしょうか?
料理自体が美味しい(及第点にたっしている)のは飲食店において大前提です。
S=サービス
S=サービスは接客を意味します。笑顔や挨拶などスタッフの直接のイメージはもとより料理の提供時間などもサービスに含みます。
注文受けまでの時間や、追加の注文のしやすさなどはもとより従業員同志の私語などもここの要素として入ってきます。
C=クレンリネス
C=クレンリネスは清潔を意味します。お客様が直接触れるテーブルやイスはもとよりフロアーやトイレ、また接客にあたるスタッフの身だしなみまで入ります。
客席の環境(空調やBGMなど)についてはサービスの項目に入れる考え方もありますが、ここではC=クレンリネスの項目として説明させていただきます。
発展形もある
以上のQSC以外にもQSC+VやQSC+Aといった考え方もあります。
VはValue(価値)でマクドナルドが提唱したもので同社の企業理念となっています。顧客満足に繋がる価値などQSCだけでは言い表せない良いイメージを追加したものです。
AはAtmosphere(雰囲気)でそのお店の雰囲気や空気感などを表します。
特化した尖った店もある
教本などによるとQSCをバランスよく向上させるのがお客様を呼び売上を上げる基本だと書いてあります。でも中には一つだけに特化した店も存在します。
ここではそれぞれの要素に尖った店舗を例にして解説していきます。
Q=クォリティーに特化した店
特にキレイじゃない(逆に汚い)けど列ができる店ってありますよね。
量が半端なく多いとか採算度外視の食材を使っているとかです。こんなお店なら目的は食べその料理を食べることなので少々の不便は我慢できるのではないでしょうか?
こういうお店はこれらのコストパフォーマンスを維持するためにサービスやクレンリネスは少々目をつぶってるところも見られます。あとはお店のルールを強要する例などもあるようです。
PL(損益計算書)を見ても食材費の比率が群を抜いて高いのが特徴です。
S=サービスに特化した店
PL(損益計算書)を見ても人件費の比率が群を抜いて高いお店もあります。
ナイト系やメイド喫茶などがこの部類に入るのではないでしょうか?
またサービスの内で料理の提供スピードに特化した営業形態の店舗もあります。駅そばなどはこの要素が強い営業形態となります。最近の駅そばはそこそこ美味しくてキレイではありますが・・・
C=クレンリネスに特化した店
Cに特化したお店というのはなかなかありませんが、Cに客席の環境などを含めるとなると駅前の一等地で広い客席を構えたお店などはここにあてはまるのかもしれません。
QSCを向上させるには?
ではこのQSCを向上させるためにいったい何をやればいいのでしょうか?
この項ではQSCそれぞれに分けて説明していきたいと思います。
Q=クオリティ
料理の味見チェックが基本となります。
同じ食材を使用し同じ手順で調理しているつもりでも何かしらの変化は起こります。
完成品をチェックすることは原材料の品質、保管状態、調理温度や調理時間などの問題発見に繋がります。完成品の温度などは味見チェックだけではわかりづらいため実際に温度を測ってみるのも手です。
いつも美味しい料理を提供するには同じ品質の食材、同じ量の調味料、同じ調理手順、温度、時間などが必要となります。
全てご自分が作られる場合はマニュアルは必要ないかも知れませんが、別のスタッフにやってもらうためにはマニュアルが必要となります。
S=サービス
サービスはハードとソフトという2つに分けて考えるとわかりやすくなるかもしれません。
ハードは時間で料理の提供時間はもとより客席までの案内時間、お会計の時間なども含まれます。
こちらは実際に計測が可能ですので測ってみることをおすすめします。
注文受けの時間はお客様により左右されますので、注文受け終了後~最後の料理が揃うまで(アフタードリンクなどは省く)の時間を記録しましょう。
思っているよりも意外と時間がかかっている、グループの料理の提供時間がまちまち・・・など様々な発見があるはずです。
ソフトはスタッフ自身の対応時の印象(笑顔や言葉づかい、しぐさなど)ですが、チェックが難しいと思います。
可能ならば顔ばれしてない知人などにお願いしてチェックしてもらうことをおすすめします。食事代などの謝礼を払ってでも得られる効果は大きいと思います。
お願いするときは後日スタッフと共有できるよう書面やデータにしてもらいましょう。
ハードとソフトのデータを元にスタッフとミーティングを行い問題点を共有し改善目標を作っていきます。
C=クレンリネス
クレンリネスで重要なのは「お客様の視点に立つ」ということです。
全ての客席に座ってみて見回すと意外な発見があります。
特にカウンターにからは厨房は雑然として見えるかもしれません。
気になるところをメモして一つ一つ改善していきましょう。
まとめ
飲食店のQSCについてまとめました。
他店で食事をするときもこの視点に見ていくとその店の強みや弱みが見えてきます。スタッフを他店に連れて行って一緒に見るのも良いトレーニングになります。
店舗にどっぷりと入り込んでしまうと気づきが減ります。一歩ひいて見てみるのも手かもしれません。