【ラーメン店・らぁ麺ばらや】大事にしているのは「三方良し」という思い。修行の末1200万もの借金と共に引き継いだ焼鳥屋伝統の味と本気で作った新しいラーメン屋の成功秘話とは?

出店・開業

東京都江東区の東陽町、東京メトロ東西線東陽町駅前にある「ラーメン店・らぁ麺ばらや」は2020年のコロナ禍にオープンして以来、食べログで★3.29(2023年10月10日現在)を獲得。

江東区扇橋で20年以上愛される焼鳥店、『炭火やきとりはな』のノウハウで生み出された鶏の濃厚なスープ、淡麗なスープを焼きあごだしと合わせたスープや、約53年もの間継ぎ足しで作り上げられた特製ダレを使ったチャーシューが売りの人気店です。

そんな「らぁ麺ばらや」の生みの親、バラコーポレーションの高橋伸郎さんに開業までの経緯や苦労した事、成功に至るまでのエピソードをお聞きしました。

開業までの経緯

始まりは焼鳥屋から

25年前に江東区扇橋に焼鳥屋をスタートさせた高橋さん。
24歳の時、包丁を握ったこともなく、料理もしたことのなかった高橋さんは「お酒が好き、人が好き」という理由から、大学卒業後にスーツ店でスーツを販売していたところから、飲食業界へ飛び込みました。

飛び込んだのは江東区の焼鳥屋さん。バブルの後半ではあったものの、まだまだ盛況で飲食業界はとてつもなく大変だと知りました。朝11時から開店の夕方5時までの間で準備をし、オープン前の5分で食事をとったり、バタバタと働き、朝方3時近くまで営業し閉店後掃除をしたりして朝4時に眠るというような、大変な毎日を過ごしていたそうです。

借金と共に受け継いだお店

2年の修行の末、自身の地元でもある同じ江東区扇橋に自分のお店をオープンし、当初から客入りもよく10坪のお店でしたが、一日で14~15万を売り上げていました。
その後10年ほどして修行先のお師匠さんが「がん」でなくなってしまい、社長と社員のような関係性のように感じていた高橋さんは、1,200万の借金と共にお師匠さんのお店を継ぐことにしたのでした。

経営の始まりと新しい挑戦

「ご縁と恩返し」の気持ちで会社「バラコーポレーション」を36歳で引き継いだ高橋さんは経営の「け」の字も知らない状態でしたが、やはり「お酒が好き、人が好き」の想いでやっているうちに、人が集まってきてアルバイトも増え、「これは新しいお店を作って、店長を招いてやっていった方がいいな。」と思い「やきとりはな」二号店を東陽町で出店しました。

「らぁ麺ばらや」の誕生

そんな折、ラーメンを作れると言う人も現れ、江東区亀戸の「麵屋ばらいち」をオープンさせました。「焼鳥屋が本気で作ったラーメン屋」というコンセプトのもと、「江東区で20年以上やっている焼鳥屋が本気でラーメンを作った」という売りで2017年に出店しました。

しかしコロナ禍をチャンスとして捉え、家賃が半額の場所へ移転しようと決断したのです。
東京都第3位入賞店の炭火やきとりはな本店の近く、江東区扇橋に「下町食堂麺屋ばらいち」をリニューアルオープン。
それと共にカウンター7席だけの「東陽町らぁ麺 ばらや」が東陽町の駅前に誕生しました。

こちらは、新しいラーメン『老舗の鶏料理焼鳥店が目指す新しいラーメン』というコンセプトのもと「2種類ある鶏の濃厚なスープと淡麗なスープに焼きあごだしで取った出汁をミックス」させた新しいスープに、焼鳥屋で昭和46年に生まれ、継ぎ足し継ぎ足しで使っている「秘伝のたれ」を24時間以上かけて漬け込んだ豚バラチャーシューをのせたラーメンが誕生しました。

店長を務めるのはグループ店舗で13年勤め上げた田辺さとしさん。
たれを使ったチャーシューやスープの監修を一手に引き受けてくれています。

スープや麺は買取制を採用

ラーメンの卸売りをしている「麵屋武一」を運営されているテイクユーさんと業務提携をしていて、スープを買い取ったりレシピ提供などもしてもらっているとのこと。

これは、ミシュランガイドに掲載されている店舗が、スープのレシピを渡して作ってもらっていると聞いたことから、技術力の向上を感じこの方法を採用したそう。

らぁ麺ばらやの出店まで

先にも書いてある通り、コロナ禍をチャンスと捉え、戦略を打ち立てていた高橋さん。

そこへ、自身の焼鳥屋の目の前に空店舗が出るというチャンスが訪れました。
45万円の家賃で、1階と2階が完全に離れた物件を、抱き合わせで両方借りなければならないという条件であったため、一度は諦めたのですが、33万円まで大幅に下がることになり、出店を決断したそうです。

スペシャルばらそば(スペシャルチャーシュー麺)1,250円(税込)

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苦労したこと、失敗したこと、それらを乗り越えたエピソード

居抜き物件の落とし穴

家賃の値下げもあり決めた物件でしたが、元々が『タピオカ屋』だった店舗には水回りの設備もなく、ガスさえ引かれていなかったそう。
ガスを引くことになったものの、ガス会社と連絡が取れなくなるトラブルも。

さらには店舗の入った大きなビルの1階だったことから、床が掘り返せないことが分かり、ガスを引くにも水回りを施工するにも施工費が莫大になりそうだということで賃貸の解除も一旦は考えたそうです。

しかし、そこは以前からずっと様々な工事をお願いしてきて懇意にしていた施工業者さんだったことから「上手く作るから、任せて!」と言ってもらい、簡単な図面のみでのスタートだったと言います。

「ラーメン屋を作ったこともある。」という施工業者さんが今まで通り無理難題を全て解決してくれ家庭用の水回りしかなかった店舗に、グリストラップを取り付けて上手いことやってくれたおかげで、オープンにたどり着くことができました。

「メニューも決まっていて、オープン日も決まっていた。水回りとガス回りの最終チェックなんかが苦労した点ですかね」と高橋さん。

新人教育は地道に

次に問題となったのは新人教育でした。

お客様に提供する味玉の調理で、新人がやると30個中ボロボロになってしまって使えるのが3個とかいう状態もあったそうで、何回教えてもすぐには身につかなかったそう。

そういった場合は、マンツーマンで徹底的に「何度も何度も教える」という地道な努力で乗り越えました。上手くできなかった子がしばらくしてお店を辞めるころには、教える側のレベルになっていたそうです。

高橋さんいわく「何回もやって覚えるしかない。慣れですね」とのこと。

開業してみてはじめてわかったこと

駅前立地のラーメン屋ということで、下調べではラーメン屋が多いと分かってはいたんですが、家系があったり、油そばがあったり、東陽町という場所柄激戦区ということで良い立地だなとは思っていました。

実際オープンしてみると意外とラーメンが好きな人が多く来てくださって、そういう「ラーメン好きのお客様の目の肥え方が半端なかった」と知ったそうです。

「今は口コミとかでもいい評価をもらってはいるんですが、初めのうちは叩かれていて心が折れそうになりました。」と苦笑する高橋さん。

ラーメンって10人食べても10人それぞれ好みが違う。『「十人十色」ってこういうことだなあ』って実感しました。ともおっしゃっていました。
「ラーメン好きな人たちのニーズを捉えながらも、一般の方にも喜ばれるようなラーメンを作りたいなと思っている。リピーターになってもらうための差別化という点がやはり難しい。」と語ります。

テンポスとのかかわり

開業の際にはテンポスを知らなかったとのことですが、店長の田辺さんが所属していた会社のオーナーさんが、「テンポスの勉強会に参加していた。」とのことでテンポスを認識してくださったそうです。
「今後機械の故障や買い替えなどの時にお付き合いさせてもらえればと思います。」とのお言葉をいただきました。

「テンポスでは機械だけでなく、食器などを専門的に置いているお店もあるんですよ。」とご紹介したところ好感触をいただきました。

今後の展望・開業する方へのメッセージ

弊社の展望としては東陽町を中心としたエリアから、食を通して社会貢献していければ、という思いがある。
一番大切にしているのは近江商人の言葉で、「三方良し」(売り手良し、買い手良し、世間良し)という考え方です。

売り手=弊社 買い手=お客様 世間=一般的に見ていい店だねと評価を頂けること

業者さんがいて食を提供できる。それをお客様が喜んでくれる。お客様が来てくれて、業者様を利用することができる。この二方向が成り立って商売が成り立ち、自分たちも喜べる。更に一般的に見ていい店だね。って認めてもらえることができたら「四方良し」にだってなる。

こういう商売に魅力を感じていて。これをこれからも突き詰めて考えていければと思っている。
「一杯のラーメンに対して、色んな業者さんが絡んできてくれる。そしてお客様が喜んでくれる。だから僕たちは営業しているんだよ」そういう思いをこれからもずっと大切にしていきたいと思っています。と高橋さんは力強く語ります。

開業する方へのメッセージを聞くと、

「これから、ラーメンが好きだから色んなラーメン作りたいんだっていろんな方が色んなラーメンを世に送り出してくださると思うんですけど、やっぱり「人と人との繋がり」が商売につながっていくのでそう言った「三方良し」という思いを大切にして一緒に飲食業界を盛り上げていきたいなと思っています。」

と言う言葉をいただきました。

まとめ

たくさんの飲食店を運営していらっしゃる高橋さんのお言葉からは、お店を取り巻くあらゆる環境が合わさって現在へと繋がっているという気概を感じました。

「人が好き」とおっしゃる言葉通り「人と人の繋がり」を大切にされている姿勢が今の成功を引き寄せているのではないかなと思いました。

店舗だけでは成り立たない、業者さんやお客様あってこその店舗運営であるという姿勢は見習っていきたい姿でもあります。

昭和から続く味を大切に守りながらも、ラーメンという新しい挑戦を恐れず追求しつつ突き進んでいくその姿勢はこういった確固たる意志の元生み出されていくのだなと勉強になりました。

テンポスドットコムでは、様々な視点からラーメン店の開業成功を全力で応援します。
自分のお店の業態に合わせて必要なものは何があるのか、詳細を確認することができますので是非ご覧ください!

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#取材協力
店名:らぁ麺ばらや
オーナー:バラコーポレーション 高橋伸郎氏 店主:田辺さとし氏
住所:東京都江東区東陽4-3-1 東陽町信栄ビル 1F
TEL:03-6666-6787

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